『模倣の殺意』 中町信

2013年03月26日 16時37分01秒 | 読書
一年もたつのが早いですね。



「七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。 」(BOOKデータベースより)

この作品は、元をたどれば1972年に出版されたということです。
どうりで読んでいくとちょっと昔っぽい言い回しだったりするわけで。
それを大幅に改定しての作品となります。

トリックものなので、上の解説以上にうまく説明できないのでだめですけど。
ただ、トリックはよく考えられとるなーとか、考え抜いたなとか思いましたね。
まーでも、あのトリックはマナー違反でしょ!と思ってしまうぼくでした。

★★★☆☆

next...「父からの手紙」 小杉健次
家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。 (BOOKデータベースより)

『ユダ 伝説のキャバ嬢「胡桃」、掟破りの8年間』 立花胡桃

2013年03月23日 12時21分54秒 | 読書
春ですね。



「キャバ嬢になった瞳の胸には高校時代の過酷な経験から、男への不信感と怒りがみなぎっていた。持ち前の美貌と頭脳、そして負けず嫌いの性格は、次々と店を移っても常に瞳を不動のNo.1へと押し上げる。“胡桃”と名を変え、ついに辿り着いた歌舞伎町。飛び交う札束、錯綜する心、拭えない孤独。真に迫る筆致で話題をさらった衝撃のデビュー作。」(BOOKデータベースより)

立花胡桃さんの実体験に基づいた物語らしいです。

主人公は中田絵里香。
専門学校の帰り道でスカウトされ、キャバ嬢になる。
源氏名は瞳。眼力があるから瞳。
絵里香は大宮のエルセーヌで瞳としてデビューすることになる。
店長の熱心な教えと持ち前の美貌などから、わずか2カ月ほどでNo.1にまで上り詰めた瞳は、だんだんとやる気が出なくなり、惚れていた黒服の将とともに店を辞め、近くのルージュという店で働き始める。
ルージュでもNo.1になった瞳は、その後、チップス、シュシュと渡り歩き、すべての店でNo.1となる。
そして、チップスで名前を胡桃と変えた瞳は、ついに夜の街、新宿歌舞伎町のエデンに移籍することになる。
胡桃は歌舞伎町で様々な洗礼を受けながらも、やがてNo.1の座に就くのだった。

とまあ、キャバ嬢としてのストーリーをメインに書きましたけど、ただのサクセスストーリーだけで上下巻合わせて700ページも読んでられません。
そこには高校時代の経験からお金と男に復讐しながらも恋をし必死に生きている絵里香がいるし、家族を大切にする絵里香もいる。
その辺がうまく混ざり合っての700ページです。

でも、だいぶ自伝的なものが多いのも事実で、私的には少し疲れましたね。
読みものとするんだったらもう少しまとめてもらったほうが読みやすいかなって。
でも合わせて2,3日で読んじゃうからね、読みやすい作品かな。

これ読んで、キャバクラにはまらないように気をつけます!w
一回も行ったことないからね。

★★★☆☆

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七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。 (BOOKデータベースより)

『植物図鑑』 有川浩

2013年03月21日 20時31分25秒 | 有川浩
最近よく本を読みます。



「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。 」(BOOKデータベースより)

上の説明を読むと、何だそれってなりますよね。
まあ、有川先生なのでやってくれるだろうという期待の元、手に取ったこの作品です。

主人公は一人暮らしで働くさやか。
さやかは飲み会の帰り道に家の前の植え込みの中で倒れている青年・樹を発見する。
さやかに起こされた樹はなぜ植え込みの中で寝ていたのかを説明し、もう一歩も歩ける体力がないから家に入れてくれないかと頼まれる。
お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です
ここでその発言がなされるわけです。

ふつう怪しんで一人暮らしの女子の部屋なんかに上げる人はいませんけど、樹が面白かったのと、さやかが酔っていたのと、樹がちょっとイケメンだったから拾うことに。
樹にカップラーメンを恵んださやかのため、朝早く起きた樹はさやかのため味噌汁とオムレツを作ってあげる。
その味噌汁とオムレツのあまりのうまさに、そしてちょっと気になるイケメンに、さやかはしばらくこの家に住まないかと提案することに。
なんといってもさやかは家事が苦手で、料理ができるだけで大助かりなのだった。

一緒に暮らしだしたさやかと樹は、いつからか川沿いに散歩するようになる。
そこで、野草を採取してご飯にする。最初はふきのとうや、ふきや、つくし。
そしてワラビ、クレソン、野イチゴなど。
そのどれもが樹の手により料理されると美味しくなるのであった。
そんな樹に、さやかは恋するのだった。

なんでしょうね、野草を取ってきて料理して美味しくて樹好きになって、ってのを何回も何回も繰り返している感じ。
最初のころは楽しかったけど、だんだんと飽きがきちゃうね。
ま、人によってその始まりは前後するだろうけど、俺の場合はちょっと前置きが長かったかなーという印象。
それにしても、これほどの読みやすい文章を書いていただけるのでありがたいです。なんて。
それに、この恋も一筋縄にはいかないしね。いってたら小説にならない。
これ以上言うのやめます。
気になる人は読みましょう。

★★★☆☆

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キャバ嬢になった瞳の胸には高校時代の過酷な経験から、男への不信感と怒りがみなぎっていた。持ち前の美貌と頭脳、そして負けず嫌いの性格は、次々と店を移っても常に瞳を不動のNo.1へと押し上げる。“胡桃”と名を変え、ついに辿り着いた歌舞伎町。飛び交う札束、錯綜する心、拭えない孤独。真に迫る筆致で話題をさらった衝撃のデビュー作。(BOOKデータベースより)

『ALONE TOGETHER』 本多孝好

2013年03月17日 15時14分48秒 | 読書
今日3つ目です。これで最後のはずです。



「「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。 」(BOOKデータベースより)

久しぶりに手に取った本多さんの作品です。前読んだのが記憶にないくらい。
紹介もしてないかな?

さて、主人公の柳瀬は他人の波長にシンクロする能力をもっている。
他人の波長にシンクロするとはどういうことか?
それは、その相手自身になるということに他ならないのだろう。
もちろん、そんな能力は公にはしていない。
ただ、柳瀬は周りに不思議な能力をもっているかのような雰囲気を感じられているようだ。

そんな柳瀬に脳神経学の権威、笠井教授がこんな依頼をした。
「私の殺した女性の娘さんを守ってほしい」
笠井教授は、延命措置によって生きながらえていた女性の装置を切り、死に至らしめたとして世間をにぎわせていた。
なぜ笠井教授は半年で大学を辞め、ほとんど記憶にも残ってないような柳瀬にこんな依頼をしたのか。

柳瀬はその依頼を受諾し、その娘とコンタクトを取ることに。
だが、他のどんな人とシンクロした時も何も感じさせることがなかったのに、その娘にだけは何か感じられてしまう。
この二人はどうなってしまうのか。笠井教授は本当に女性を殺したのか。

さまざまな謎を抱えながら物語は進んでいく。


まー、こう書きましたけどね、あんまりよくわかんなかったところも多々w
抽象的っていうか、難しく書きすぎてる部分もあったりSFチックなところもあったりね。
そして「ALONE TOGETHER」という相反する2つの言葉。
それが意味するものはなんなんだろうか。
自分の中では答えは出てたりするけど、まあ書くほどのことでもないでしょう。

★★★☆☆

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お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。 (BOOKデータベースより)

『ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~』 三上延

2013年03月17日 14時54分33秒 | 読書
連投すいません。



「珍しい古書に関係する、特別な相談―謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その家には驚くべきものが待っていた。稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが―。 」(BOOKデータベースより)

売れてるらしいですね。ビブリア古書堂もそれに紹介された本も。
こんなに上手に紹介されたら読みたくもなります。

そんなビブリア古書堂の事件手帖の4作目。
こちらは他の3作と違って長編になります。
そしてあのキーパーソンまでついに現れます。あの人のあんな一面も。
それは紹介しませんけどね、1作目から読んでわくわくしててください。

さて、そんな栞子さんのもとに舞い込んだ今度の事件。
まず栞子さんは依頼人にこんな問題を出されます。

「これは乱歩の著書の初版本です。この本に手を触れずに、署名を答えてください。」

その本はフェルトのカバーがかかったままで、表紙は全く見えない。
それなりの厚みがあって、古いことを除けば大きさや形に特徴はない。
カバーが掛かっていない裸本で、フェルトの下はすぐ表紙だ。

それも、栞子さんの力からすれば難題ではなく、見事正解して見せた。

そこで、栞子さんはこの人の依頼を受けることになるのだが、その依頼とは金庫の鍵をあけてくれとのこと。
その金庫は鍵とダイヤルと暗証文字の3重のロックが掛かっているとのことだった。
栞子さんは、この3重のロックを古書の知識と推理力で一つ一つ解決していくのであった。

今回のお話は江戸川乱歩について深ーく面白く探求していきます。
今までの短編ではなく、長編として書かれたことで1冊の本に集約されることなくさまざまな本などを通じて乱歩の人となりも描写してあります。
とても面白い作品なので、また乱歩の作品が売れてしまうんじゃないかと危惧していますw

僕は古書は苦手です。

★★★★☆

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「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。 (BOOKデータベースより)

『フリーター、家を買う。』有川 浩

2013年03月17日 14時34分58秒 | 有川浩
ご無沙汰になって申し訳ないです。



「就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす“甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って?やり甲斐って?自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長篇小説。 」(BOOKデータベースより)

フリーターが家を買う?
いやいや、フリーターが家を買えるほど世の中甘くないし。

というギャップと、いやいや有川先生ならやってくれるでしょうという期待感の元、購入しましたこの作品です。

新卒で就職した会社で行われた研修で宗教チックで熱狂的な研修を受け、その後会社に馴染むこともできずに3か月でやめてしまった主人公の武誠治。
退職後は就職活動をしたりしなかったり、バイトをしたりしなかったり、自堕落な生活を続けていた。
そんな誠治の母、寿美子はそんな生活に精神病になってしまった。
どうやら精神病にはもっと深い意味があるようだ。
フリーターという暇な生活をしていた誠治は、寿美子の看病を続けながら、ふがいない父親、誠一のお世話もすることに。
ストレスのたまった誠治は寿美子にあたったり、誠一と言い合いをしたりしていたが、そのことを気に病んだ寿美子が自殺未遂をしてしまう。
それから心を入れ替えた誠治(と一応誠一も)は、寿美子の病気と真正面から向き合いつつ、家族の絆を取り戻し、成長していくのだった。


無難に説明するならこんな感じでしょうか。
プロットを書かないらしい有川先生のお話は、先生も楽しみながら書いているせいか読者にも凄い楽しませてくれる。
そう感じたこの作品でもありました。

誠治もただ普通の20代の青年なんだけど、だからこそ身近に感じてしまう僕27歳。
フリーターではありませんけどね。w

うつ病と戦う難しい展開ではありますけど、読みやすく書いてくれています。
お勧めですね。

★★★★☆

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珍しい古書に関係する、特別な相談―謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その家には驚くべきものが待っていた。稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが―。 (BOOKデータベースより)

『さよならドビュッシー』 中山七里

2013年03月06日 18時23分47秒 | 読書
春ですね。このままあったかかったらうれしいです。



「ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。第8回『このミス』大賞受賞作品。 」(BOOKデータベースより)

ドビュッシーのことはよく知りませんので、ドビュッシーのアラベスク第1番を聞きながらの紹介にします。w

この作品は、全身大やけどを負った香月遥が、コンクールを目指してもうレッスンに励むスポ根、かつ音楽、かつ推理小説。

大やけどにより体の大部分の皮膚を移植し、歩くどころか指を動かすこともままならなくなった遥だったが、ピアニストの岬に個別指導を引き受けてもらうことで魔法のようにピアノが弾けるようになっていった。
その背後で、遥は何度か命が奪われそうになる。
犯人はだれなのか?誰がそんなことをする必要があるのか?遥が持つ莫大な遺産が目当てなのか?

いつも思うんですけどね、この手のミステリは紹介しにくいんですよね。書けばネタばれしてしまう。
ただ、警戒せずに読み進めていった分、楽しく読めましたね。
音楽的知識のない僕でもある程度読めました。

みなさんも粗さがしはせずに、純な気持ちで読み進めてください。そしたらきっと面白いはずです。

★★★☆☆

next...「フリーター、家を買う。」 有川浩
「母さん死ぬな―」へなちょこ25歳がいざ一念発起!?崩壊しかかった家族の再生と「カッコ悪すぎな俺」の成長を描く、勇気と希望の結晶。(BOOKデータベースより)