『影法師』 百田尚樹

2012年11月30日 20時06分17秒 | 百田尚樹
仕事でよく草刈してます。



「頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。 」(BOOKデータベースより)

時は江戸時代(1603年から1868年)。
物語の中に40年前に一揆がおこったという記述があること、当時14歳の勘一(主人公)が50歳までは生きており、その時も江戸時代であることから、物語は1670年から1830年ごろ、僕の予想からすると、物語の時代は1700年代後半でしょうか。(根拠はありません笑)
勘一が生まれた茅島藩というのはネットで調べても出てきませんでしたが、西北五里(約20キロ)に干潟があること、江戸へ行くときに北国街道(国道18号)を南に下がったことから、茅島藩は現在の上越ジャンクションあたりではないでしょうか(根拠全くなし)。

そんなことは置いといて。
物語の主人公である戸田勘一、のちの名倉彰蔵は茅島藩の御徒組の下士の長男として生まれる。
戸田家は石高20石の吹けば飛ぶような家だが、お金がないながらも剣術を見よう見まねで練習していた。
あるとき藩校に通うことになった勘一だったが、藩校は中士以上の家柄の武士がほとんどで、下士は一人だけ。
登校初日からけんかを始めてしまうのだった。それが何日も続くと、勘一はしばらくの登校禁止になるが、禁止が明けた後はだれも勘一におびえ、声をかけようとしない。
そこに現れたのが、彦四郎だ。彦四郎は頭脳明晰、剣術優秀の中士の二男。
彦四郎と勘一(その他2名)はいつも一緒に過ごすようになる。

そんな幼少期を過ごした二人だが、のちに勘一は下士から大大大大大抜擢され筆頭国家老(家老のトップ)(中央省庁でいえば財務事務次官みたいな)になり、彦四郎は有る不祥事により藩を追われ、酒におぼれ、病で40代でなくなってしまう。
そんな二人の運命はなぜこんなに変わってしまったのか。
そこには、勘一も知らない、想像を絶する感動の裏話があるのだった。

いやー、もっと書きたいけど書けない。
読んでください。江戸時代の勉強にもなります(どうでもいい)。
友情と愛情と。
「永遠の0」に負けず劣らずいい話になりました。
まあ、背景がね、江戸時代だから現代とは違う部分が多いから読んでてむずかしところもあるけど、歴史的なところも歴史音痴な僕には気にならないし、気になるなら調べれば出てきますから。
文庫の方は袋とじも是非読んでください。
愛情にあふれてます。

★★★★☆

next...「箱の中」
痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野。収監されたくせ者ばかりの雑居房で人間不信極まった堂野は、同部屋の喜多川の無垢な優しさに救われる。それは母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川の、生まれて初めての「愛情」だった。『箱の中』に加え、二人の出所後を描いた『檻の外』表題作を収録した決定版。 (BOOKデータベースより)

『主よ、永遠の休息を』 誉田哲也

2012年11月27日 20時19分42秒 | 誉田哲也
もう冬っていうことでいいですか?

「通信社社会部の記者・鶴田吉郎は、コンビニ強盗の犯人逮捕を偶然スクープ。現場で遭遇した男から、暴力団事務所の襲撃事件について訊ねられた吉郎は、調査の過程で、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の“実録映像”がネット配信されていたことを知る。犯人は精神鑑定で無罪とされていた…。静かな狂気に呑み込まれていく事件記者の彷徨を描いた傑作、待望の文庫化。 」(BOOKデータベースより)


殺人事件を起こすも精神鑑定で無罪となった犯人とその被害者の遺族のよくある話。
うわっ、一言で終わらせてしまったw

さすがにこれじゃせっかくこのページを開いていただいた皆様に失礼なのでちゃんと紹介します。

主人公は共有通信社会部の記者である鶴田吉郎、通称鶴吉。
鶴吉はある日コンビニで強盗の現場に居合わせる。
そのコンビニ強盗は別の客に籠を投げつけられたことでナイフを落とし、逃げ出したが、その客と鶴吉の追跡によりつかまってしまう。
そこにはまた別の男がおり、その男により犯人は転ばされたというが、その男は身分も明かすことなく去っていくのだった。
しかし、鶴吉のもとにその男から連絡が入り、コンビニ強盗があったその日にある暴力団事務所が襲撃されたらしいという情報を提供してきた。
鶴吉は不審に思いながらもその暴力団事務所周辺の聞き取りをしたところ、確かにその日に暴力団事務所は襲撃されたらしい。
詳しいことを調べるために鶴吉は暴力団事務所の若手と接触を取るが、鶴吉は組長のもとに連れて行かれ半ば殺されかける。
そこに助けに入ったのが、この情報を流してきたあの男であった。

まーこの辺にしておきます。
興味がわいてきましたでしょうか??

そんな文章力じゃないですねw

ストーリー的にはよく言えばうまくまとまってるし、他方ストーリーが読めてしまう点もあります。
まあ、それは読者の勝手な想像なので毎回どんでん返しであっと驚かされる作品に出逢えるわけじゃないですもんね。
だからこそそれに出逢った時の喜びはひとしおなので。

★★★☆☆

next...「影法師」 百田尚樹
頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。(BOOKデータベースより)

『まほろ駅前番外地』 三浦しをん

2012年11月18日 08時24分33秒 | 三浦しをん
Sundaymorningにコメダからの投稿ですw



「東京都南西部最大の町・まほろ市の駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生・行天。汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も承ります―。多田・行天の物語とともに、前作でお馴染みの星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー七編を収録。」(BOOKデータベースより)

ご存知の方も多いかとは思いますが、「まほろ駅前多田便利軒」(以下便利軒)の続編?いや、スピンオフ?どっちでもないような感じですが、便利軒の1年後ぐらいを描いた作品になってます。

便利軒の登場人物も多く出てきて、というかほとんど出てきているでしょうか。便利軒の話を受け継いで、それを補完するかのような話になっています。

認知症の曾根田のおばあちゃんのお見舞いの話ではおばあちゃんの過去の恋愛ストーリーが出てきたり、あぶないアルバイトをしていた由良がまた危ない橋を渡ったり、バスの間引き運転を指摘したい岡老人の奥さんの心情がわかったり。多田と行天が喧嘩したり。
多田が恋したり・・・(本当?)


短編小説なので短い時間でも読み切りやすいし、全体的に難しい話は出てこないし、ほんわかしたムードがあって心地作品でした。
まあ、基本的に私は短編が好きじゃないので(なら読むな)、評価はそれほどになってしまいますけどねー。

ま、でも行天がいいキャラしてるので、ちょっと盛っておきます。


★★★★☆

next...「主よ、永遠の休息を」誉田哲也
通信社社会部の記者・鶴田吉郎は、コンビニ強盗の犯人逮捕を偶然スクープ。現場で遭遇した男から、暴力団事務所の襲撃事件について訊ねられた吉郎は、調査の過程で、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の“実録映像”がネット配信されていたことを知る。犯人は精神鑑定で無罪とされていた…。静かな狂気に呑み込まれていく事件記者の彷徨を描いた傑作、待望の文庫化。 (BOOKデータベースより)

『喫茶店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』 岡崎琢磨

2012年11月06日 20時01分24秒 | 読書
朝起きるのがつらい時期です。



「京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。 」(BOOKデータベースより)

以前紹介した、『ビブリア古書堂の事件手帖』に少し似た雰囲気がありますね。
喫茶店タレーランのバリスタである切間美星がさまざまな謎を解決していきます。
主人公は大学生のアオヤマ。かれがなかなかとんちんかんな推理をして、それを美星が訂正していくのが主なストーリー。
人物がのんびりした感じである点を除けば、案外本格ミステリといっていい作品なんでしょうか。

全体的に読んでいて心地いいです。
人も死なないし。
それにおいしいコーヒーが飲みたくなります。

自分的には最後の章があんまり納得できないというか。。。
まあ、いいんですけど。
すっきりしないよね。

ということです。

★★★☆☆

next...「まほろ駅前番外地」 三浦しをん
東京都南西部最大の町・まほろ市の駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生・行天。汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も承ります―。多田・行天の物語とともに、前作でお馴染みの星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー七編を収録。(BOOKデータベースより)

『深く深く、砂に埋めて」 真梨幸子

2012年11月03日 18時36分59秒 | 読書
寒いですね。これでもまだ20度きったくらいだから、冬はもっと寒い。(←あたりまえ!)



「かつて一世を風靡した美貌の女優・野崎有利子。彼女に魅せられたエリートサラリーマンが、殺人と詐欺の容疑で逮捕された。やがて明らかになる男の転落と女の性。奔放に生きる有利子は悪女か、それとも聖女なのか?悪女文学の傑作『マノン・レスコー』を下敷きに、女のあくなき愛と欲望を描く長編ロマンス。」(BOOKデータベースより)


真梨氏のほかの作品(といっても読んだのは「殺人鬼フジコの衝撃」だけですが。)とくらべると人もそんなに死なないし、そこまで悪女じゃないので思いのほか楽しめてしまいました。
殺人鬼フジコの衝動のときに期待の作家と表現しましたけど、期待を裏切らなかったです。

冒頭の一節を引用しますね。

私は恋ゆえに盲目となった一青年を描こうとしているものである。彼は幸福であることを拒絶して、結局は、悲境にみずからとびこもうとする。かがやかしい未来を約束している、あらゆる才質をかねそなえながら、みずから好んで裏街道をごろついて、運命と自然がもたらす有利な条件のごときもことごとく棒に振ってしまう。自分の不幸が目に見えているのに、避けようともしない。もとより、そうした不幸を身をもって感じもし、また、その蹂躙にまかされてもいるのだが、親しい人たちから不幸払いの方法をたえずさずかりながら、それをいっこうに利用しようともしない。(中略)――以上が、私のこれからお目にかけようとする絵巻の背景をなすものである。   アベ・プレヴォー   (「マノン・レスコー」作者の言葉より)


この作品は、この「マノン・レスコー」の日本版っていう感じです。

主人公は弁護士の篠原賢一。
物語は基本的にこの人の一人称で進んでいきますが、ところどころ手記であったり手紙であったりが登場します。
そしてキーパーソンが野崎有利子。
上に引用した通り一世を風靡した美貌をもつ彼女は多くの男を虜にし、たくさんのお金を貢がせていた。
ただ、この有利子はそこまで悪女っていうわけじゃない。
貢がせていたとはいえ、男たちが自主的にお金をかけてきているだけ。
まあ、売春して生計を立ててるくらいだから聖女っていうわけにはいかないとおもうけど。

そんな彼女に出逢った斎藤啓介。
かれは有利子に魅せられ、多くの金を貢ぎ、悪に手をそめ、詐欺を働いてまで貢ぎ続けた。
そんな斎藤が逮捕された。
詐欺と殺人の容疑。
その陰に見え隠れする有利子。
しかし、斎藤は有利子は無関係だという。
斎藤は嘘をついているのか。真犯人は有利子か。

そーんな話。
ただじゃ終わんないんですけどね。
なかなか面白い作品でした。

★★★★☆

next...「喫茶店タレーランの事件簿――また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」
京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。 (BOOKデータベースより)