『夜行観覧車』 湊かなえ

2013年01月26日 21時49分02秒 | 読書
雪ふっとる。もう憂鬱でしかない雪。年とった。



「父親が被害者で、母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。」(BOOKデータベースより)

なんだかんだ、湊さんの本は何冊目だ?4冊目か。「告白」「少女」「贖罪」と続いたところでこの「夜行観覧車」です。

話は基本的に、遠藤家、遠藤家の向いで殺人事件の起きた高橋家、遠藤家の隣の小島さと子の3つの視点から語られていきます。
ただ、語り手は3人かというとそうでもなくてあっち行ったりこっち行ったり。
よくよく「誰の話だ???」ってなりました。。w
読解力不足ですね。

舞台は高級住宅地といわれるひばりヶ丘。
遠藤家はひばりヶ丘でいちばん小さな家。
何の変哲もない夫婦と娘一人の家族。
母親の真弓はマイホームをもつことが夢で、小さいながらもひばりヶ丘に家をもつことができてとてもうれしい。
娘の彩花は中学受験に失敗して普通の公立中学に通っているが、受験に失敗したことが原因か、1週間に一度は癇癪を起こす。それが真弓の悩みの種。
ただ、二人はアイドルの高木俊介のファンで、その話だけは普通にできる。
実は、高橋家の二男、慎司が高木俊介に似ているということで、彩花は俊介のことが気になっている。
旦那の啓介は工務店に勤める普通の会社員。実は彩花の癇癪に注意することもできず逃げている。

殺人の起きた高橋家。
殺されたのは父親で医師の弘幸。前の奥さんを早くに亡くし、現在は再婚して3人の子供を授かった。
殺したのは母親の淳子。淳子は旦那と口論になって殺してしまったようだ。
長女の比奈子は彩花と同い年だが、彩花が落ちた有名私立中学に通っている。
事件当日は友達の鈴木歩美の家に泊まりに行っていた。
二男はさっき紹介した慎司。受験勉強に疲れ果てている。
長男は大学の医学部に通いながら一人暮らしをしている。

小島さと子はただのおばさん。昔からひばりヶ丘に住んでて、ひばりヶ丘を愛している。
新規開拓で移り住んできた遠藤家や高橋家を疎んでいる。
なにかにつけて干渉してくる、近くにいたらちょっと嫌なおばちゃん。
野次馬根性丸出し。

このふた家族と一人がこの事件を機に、それぞれが悩み、苦しみ、そのなかで答えを見つけていく。
遠藤家は娘の癇癪がどうにもならなくて一家離散の危機にひんしてしまうし、高橋家は父は死に、母は逮捕され、二男は行方不明。
ただ、湊作品には珍しく(?)最後はいい展開になったりします。

気になる人は読んでくださいね。

★★★☆☆

next...「もぐら 讐」矢月秀作
警部補の惨殺事件が発生。警視庁は特別捜査本部を設置し、組対の垣崎、楢山らが捜査に乗り出す。一方刑事局長の瀬田は、殺人罪で服役中の影野竜司に極秘の任務を依頼する。やがて動き出す謎の教団アレース―新宿、そして竜司がいる刑務所を爆破し、警視総監に聖戦が布告される…。超法規的、過激な男たちが暴れ回るシリーズ第二弾。 (BOOKデータベースより)

『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと消えない絆~』 三上延

2013年01月22日 22時28分40秒 | 読書
連投すいません。続編ばっかですいません。



「鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない―。これは“古書と絆”の物語。 」(BOOKデータベースより)

うん、これくらい書いてくれないと。

相変わらず栞子さん、キレキレです。
今回は大きく分けて3つのお話。

最初の話はロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」にまつわる話。
古書市場で落札しようとした「たんぽぽ娘」を含む幾束かの古書。
栞子さんのビブリア古書堂は落札できなかったのだが、「たんぽぽ娘」が盗まれてしまった。
また、その翌日、栞子は売り場に出すよう納屋から「たんぽぽ娘」を持ち出してきた。
栞子は犯人なのか。真犯人はだれなのか。

2番目は「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」の話。
これは本の名前じゃなくて、本の名前が思い出せない話。
フレーズや登場人物を聴くだけでだいたい思い出せてしまう栞子さんでもなかなか思い出せない。
そこには親子の絆が・・・。

最後は宮澤賢治の「春と修羅」にまつわる話。
依頼人である玉岡聡子が「春と修羅」が盗まれたと栞子に犯人探しを依頼してきた。
容疑者は兄夫婦。
しかし、二人の話を聞くと、どうやら二人とも盗んではいなさそうだった。
一体だれが盗んだのか。

そして消えない絆とは・・・?
読んで解決しましょう。
ドラマは気にしないようにw

★★★☆☆

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『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』 大沼紀子

2013年01月22日 22時12分14秒 | 読書
マイブームは筋トレ。



「夜が深まる頃、暗闇に温かい灯りをともすように「真夜中のパン屋さん」はオープンする。今回のお客様は希実につきまとう、少々変わった転校生。彼が企む“計画”によりパン屋の面々は、またもや事件に巻き込まれていく。重く切なく、でも優しい、大人気シリーズ第3弾。」(BOOKデータベースより)

今回のBOOKデータベース、ちょっと手抜きだな。

少々変わった転校生こと、美作孝太郎。
孝太郎は希実が中学3年の春にやってきた。
何が変わっているって、彼は登場するなり腹話術を始めたのだ。
人形の名前はアンジェリカ。特技は霊視占いらしい。
そして孝太郎とアンジェリカはなぜか希実に危機が迫っていると告げるのである。
危機とは何なのか戸惑う希実、というか孝太郎とアンジェリカに戸惑う希実。
しかし、その日の帰り道、希実に向かって一台の車が猛スピードで突っ込んできた。
孝太郎に間一髪助けられた希実は、孝太郎のいう危機を信じはじめることになる。
そして、その危機を逃れるためには人助けをしろと告げられる。
希実は人助けを始めるのだが。。。

というまあ、50ページぐらいの要約です。
まよパンシリーズにしてはなかなか重い話。
親と子の話、医療の話などいろいろつながっていきます。
それでもまよパンだからスらっと読めてしまうのがいいところですね。

★★★☆☆

next...「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと消えない絆~」
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない―。これは“古書と絆”の物語。 (BOOKデータベースより)

『十字架』 重松清

2013年01月07日 20時22分34秒 | 重松清
あけましておめでとうございます。新年早々、重たい内容になりました。



「いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。吉川英治文学賞受賞作。」(BOOKデータベースより)

どう紹介していいのか、まだ迷いながらですが、思いつくままに紹介します。いつにもまして駄文になること必須ですが、ご容赦ください。

主人公は、ごく平凡な中学2年生の真田裕。
裕のクラスではいじめが発生していた。いじめられていたのは藤井俊介。
裕と俊介は幼なじみではあったけど、中学生になってからは特に交流もなかった。
いじめのメインだったのが三島と根本。二人は前々から悪ガキでお互い仲も悪かったのだが、担任に抑え込まれた二人はいじめをすることでストレスを発散していたのだった。
これに堺を加えた3人が主にいじめをしていた。
そして、そのほかのクラスメイトは、自分に火の粉がかかるのを恐れ、また興味がなかったのか、見て見ぬふりをしていたのだった。

ある日、俊介は自宅で首をつって死んだ。中2の9月4日だった。
そして遺書にはこう書いてあった。

 真田裕様。親友になってくれてありがとう。ユウちゃんの幸せな人生を祈っています。
 三島武大。根本晋哉。永遠にゆるさない。呪ってやる。地獄に堕ちろ。

そして、

 中川小百合さん。迷惑をおかけして、ごめんなさい。誕生日おめでとうございます。幸せになってください。

中川さんは、おそらく俊介が片思いしていたのだろう。

なぜ、俊介は中川さんに謝るのか。
俊介は死ぬ直前に中川さんに電話し、プレゼントを渡したいと申し出たのだった。
しかし、特に仲も良くない中川さんはそれを固辞し電話を切ったのだった。
その後、俊介は首をつった。中川さんの誕生日に。

俊介のお母さんは、泣き、衰え、病に倒れてしまう。
お父さんはいじめをしていた人も、それを見て見ぬふりをしていた同級生たちも決して許すことはできない。
弟の健介はなにもしなかった同級生たちに強く当たるようになってしまう。

そして重要な人物があと2人。
地元のブロック紙の記者である本多薫さん。
本多さんは時に中川さんの心の支えになり、時に遺族と裕と中川さんの橋渡しをすることになる。
そしてフリーライタ―の田原昭之さん。
田原さんはみて見ぬふりをする人を決して許すことができず、それを批判する記事を多く書いている記者であった。

知らぬ間に遺書に名前を書かれてしまった裕と中川さんは十字架を背負い続けることができるのか。
いじめで同級生を殺してしまった三島と根本はどうなるのか。
両親と弟は立ち直り、同級生たちを許すことができるのか。
本多さんと田原さんの願いは。
みて見ぬふりをした同級生に罪はないのか。

そして、俊介は何を思い、死を選んだのか。

重くて辛い内容ですが、この本を通じ何を思い何を感じ、そしてどう行動するのか。
年の初めに考えてみるのもいいかもしれませんね。

★★★★☆

next...「真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生」大沼紀子
夜が深まる頃、暗闇に温かい灯りをともすように「真夜中のパン屋さん」はオープンする。今回のお客様は希実につきまとう、少々変わった転校生。彼が企む“計画”によりパン屋の面々は、またもや事件に巻き込まれていく。重く切なく、でも優しい、大人気シリーズ第3弾。 (BOOKデータベースより)