『ロード&ゴー』 日月恩

2013年04月23日 18時46分06秒 | 読書
苗字が読めない。たちもり。

「元暴走族という過去を持つ消防隊員、生田は、周囲も認めるベテランの運転手。だが、二ヶ月前に異動してからは、慣れない救急車のハンドルも握らなければいけなくなり、今は勉強の日々。そんなある日、路上で倒れていた男を車内に収容したところ、突然、その男、悠木がナイフを手に仲間の救急隊員を人質にとる。同じ頃、警察とテレビ局に謎の男から犯行声明が入った。男は、悠木の家族を人質にしていること、悠木に爆弾を持たせていることを告げ、ゲームの開始を宣言する。生田は過熱するマスコミに追われながら、犯人が設定したタイムリミットを目指して救急車を走らせ続ける。 」(BOOKデータベースより)

救急車がジャックされた!
と銘打って売り出されていたこの作品。
有川浩氏絶賛と書かれたら買わないわけにはいかないでしょう。
でもだいたいこういう絶賛ものはおもしろくないというか、大物作家と抱き合わせて売ろう的な魂胆が見えますよね。
でもこの作品は面白いです。有川浩氏絶賛の意味もわかります。有川浩氏の作品に似ている部分も数少なくないですよ。

主人公の生田は暴走族上がりの消防隊員で、超絶運転技術の持ち主。
もともとは消防車の運転をしていたが、今は救急車の運転もしなければならない。
消防車と救急車では載せているものが違うだけに、細心の注意をもって運転しなければならない。
ある日、生田と学級委員キャラで美人で救命救急士の森といつでも穏やかに対応できる筒井班長の3人で救急出動した帰り道、吐血している男を発見する。
緊急性が高いとみた筒井らは、彼を乗せて病院へ搬送することに。
ところが、その男は突然森をナイフで脅し、救急車を乗っ取った。
その男の持ち物には爆弾が入っており、その男も犯人に家族を人質に取られていた。
犯人はテレビ電話を使いながら、筒井らに各病院を回らせ続けるのだった。
生田はマスコミのバイクや渋滞を避けながら、必死に救急車を走らせる。
しかし、生田は犯人と男にふと違和感を感じ始めるのだった。

話のストーリー的には単純なだけに紹介が難しいところです。
ということで読んでください。
生田たち、救急隊員に心奪われるはずです。
私も一気読みしちゃいました。本が減って困ります。w

お勧めですね。

★★★★★

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1Q84年―私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。…ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。 (BOOKデータベースより)

『スナーク狩り』 宮部みゆき

2013年04月22日 17時55分48秒 | 宮部みゆき
画像なしですいません。

「その夜―。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。 」(BOOKデータベースより)

んーと、どう説明していいのか。

関沼慶子は裕福な家庭に生まれ、お金には不自由しておらず、特に定職に就くこともなく暮らしている。
ただ、慶子は昔付き合っていた国分慎介に利用され、いろいろ尽くしたのにもかかわらず捨てられてしまったことに腹を立て、趣味の射撃用の散弾銃をもって国分の披露宴会場へと向かうのだった。
しかし、慶子は結局銃を撃つこともなく帰宅することになるのだが、マンションの駐車場で釣具店勤務の織口邦男に襲われ、銃と車を奪われてしまう。
関沼は以前釣具店を利用したこともあり、織口と何度か話をしたことがあった。
織口は、離婚した妻と娘を殺した二人組の男女を憎んでいた。
その男女は石川県に居て係争中であった。
織口は盗んだ車で(東京から)石川県へ向かうのだった。

しかし、織口と同じ釣具店に勤務する佐倉修治はその夜、織口の行動に不信感を覚える。
佐倉は織口が明日石川県で裁判を傍聴することを知っており、犯人に恨みをもっていることも知っていた。
もしや、佐倉は関沼の銃を奪い、石川に向かったのではないか。
佐倉は関沼に連絡を取るが、いっこうに連絡が取れない。
気になった佐倉は関沼のもとに向かい、銃が奪われていることに気付く。
織口が向かっている先は佐倉しか知らない。
佐倉は、織口を止めるため、石川に向かうのだった。

案外書き始めるといろいろ書けるものです。
特に考えながら書いたってわけでもないので支離滅裂になっていたらすいません。
ちなみにこの作品のドラマが5月14日に放送されるそうなので、気になる方はご覧ください。
(テレビ局のまわし者ではありません)

生き詰まるサスペンスかと思いきや、人間ドラマがあったり。
読んでて飽きの来ない作品ですね。
そして、私刑は許されるのかという難問にも立ち向かおうという気概も感じられますね。
ま、単純に私刑は許されないと言ってしまうのは簡単なんですけど、そこに被害者感情であったり、犯罪者の行動であったりが絡んでくるといかんともしがたい感じになるんですよね。
そこにどう結論をつけるのか。
筆者の見せ所ってやつで、そこを明かすほど僕も青くないですね。w

★★★★☆

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元暴走族という過去を持つ消防隊員、生田は、周囲も認めるベテランの運転手。だが、二ヶ月前に異動してからは、慣れない救急車のハンドルも握らなければいけなくなり、今は勉強の日々。そんなある日、路上で倒れていた男を車内に収容したところ、突然、その男、悠木がナイフを手に仲間の救急隊員を人質にとる。同じ頃、警察とテレビ局に謎の男から犯行声明が入った。男は、悠木の家族を人質にしていること、悠木に爆弾を持たせていることを告げ、ゲームの開始を宣言する。生田は過熱するマスコミに追われながら、犯人が設定したタイムリミットを目指して救急車を走らせ続ける。(BOOKデータベースより)

『きみ去りしのち』 重松清

2013年04月18日 20時13分17秒 | 重松清
春の陽気というより、初夏だね。

「幼い息子を喪った「私」は旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原…“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。鎮魂と再生への祈りを込めた長編小説。」(BOOKデータベースより)


「旅をしている。」

9章にわたるこの作品ですが、ほぼ必ずこの言葉からはじまります。
文字通り主人公である関根が日本中を旅してまわる話です。

関根と妻・洋子のもとに生まれた夕紀也は生後1年と10日で心臓が止まってしまった。
あまりに早すぎる死に、自分を責めることしかできない関根と洋子。
なぜ心臓が止まってしまう前に気付くことができなかったのか。
もしも心臓が止まってしまう前に気付くことができていたら。
自問自答は終わることなく二人を苦しめていた。

関根は2回目の結婚だった。
前の妻である美恵子の間に生まれた明日香は5歳のとき離婚して以来、会うこともなかったのだが、ふとしたきっかけで10年ぶりに再会した。
そしてふとしたきっかけで、関根と明日香は一緒に旅をすることになる。
青森の恐山では風車に見立て、奥尻島では津波でなくなった人たちの悲しみを乗り越えて暮らす人たちに自分を重ねる。
旅を重ねるうちに、関根はいろいろな風景と人たちに出会うのだった。

洋子はそんな関根と居るのがつらくなってしまう。
関根と一緒に居ないときは眠れるのに、一緒には眠れない。
二人には離婚の危機が迫っていた。

そして美恵子は病魔に襲われることになる。
刻一刻と容体が悪化していく恵美子によりそう明日香。

死と、悲しみと、苦しみと、それを乗り越えた人たちの、悲しくて明るい物語です。


旅をしていくたびに、関根と明日香は壮大な景色に心を奪われたり、強く生きる人たちに心励まされたりします。
突然子を亡くしてしまった親と、親とに別れが徐々に近づく子。
すれ違っているような二人も悲しみや苦しみを乗り越えていく。

重松清の切り取った「死」はあまりに悲しく、辛いものだけど、そこを乗り越えていく人たちにこころ揺れ動かされるような作品です。

飲み会の前には読まないことをお勧めします。w

★★★★☆

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その夜―。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。(BOOKデータベースより)

『県庁おもてなし課』 有川浩

2013年04月14日 14時54分10秒 | 有川浩
暖かかったり寒かったり、見に行った野球でぼろ負けした次の日に大量リードしている今日この頃。



「とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所仕事」から抜け出して、地元に観光客を呼べるんだ!?悩みながらもふるさとに元気を取り戻すべく奮闘する掛水とおもてなし課の、苦しくも輝かしい日々が始まった。地方と恋をカラフルに描く観光エンタテインメント。」(BOOKデータベースより)

県庁おもてなし課

これを見た瞬間、買うしかないって思いましたね。
ただ、文庫が出るまで待とうと待ちに待ち、2年越しで手に入れました。

主人公は高知県観光部おもてなし課で働く掛水史貴。
掛水たちおもてなし課は、高知県の観光を何とかしようと働く人たち。
ただ、そこは公務員なので動きはまー遅いし、融通も利かない。
あるときおもてなし課は観光大使の制度をまねようと画策し、著名人にしらみつぶしに接触することになる。
そんなとき、掛水のもとに人気作家の吉門からメールが来る。吉門に電話すると、「観光特使っていう制度の実効性がわからない」といわれてしまう。
たしかに、特使がちまちま名刺に印刷されたクーポン券を渡していったからって数は知れてるし、効果があるかわからない。
そのほかにも耳が痛くなるような指摘をずばずばと言ってくる吉門に、おもてなし課の職員たちは反感を覚えるが、吉門係の掛水は吉門に触発されてなんとか現状を打破することができないか考え始めることになる。

そして吉門は、パンダ誘致論を調べてみろと、パンダ誘致論を唱えた男を抱え込んでみろというのであった。


んーあんまり面白そうな紹介ができなかった。
とにかく、この作品は公務員の痛いところをよく突いているなという感じですね。
新しいことには及び腰で、でもなにか斬新なことをしろという話もある。
動きはのろくて、融通も利かない。
そこを、なんとかしようと頑張る姿も面白いし、上には書きませんでしたが、掛水の恋物語もなかなかいらいらします。w
でもこれが公務員ってものと開き直る分には僕も公務員です。
お堅いだけの公務員は嫌いです。規則の中でいかに柔軟に動けるか、その辺で楽しんでおりますw

なんて、公務員批判をここでする気はありませんが、役所の実情も少しわかってもらえるかと思いますので、是非お読みください。

★★★★☆

next...「きみ去りしのち」重松清
幼い息子を喪った「私」は旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原…“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。鎮魂と再生への祈りを込めた長編小説。 (BOOKデータベースより)

『SROⅤ ボディーファーム』 富樫倫太郎

2013年04月09日 19時15分02秒 | 読書
これが最終巻になるのかな?



「本性を隠し潜伏生活を送っていた“最凶の殺人鬼”近藤房子が再び動き出した。巧みに変装しながら捜査の目をかいくぐり、残虐な殺人を重ねる。焦った警視庁上層部は、房子が執着するSRO副室長の芝原麗子を囮に逮捕せよと、室長の山根新九郎に迫るのだが―。 」(BOOKデータベースより)


この作品は、過去4作品(『SROⅠ 警視庁広域捜査専任特別調査室』、『SROⅡ 死の天使』、『SROⅢ キラークィーン』、『SROⅣ 黒い羊』と続いた、SROシリーズの第5作目になります。

シリーズものだと、後になればなるほど紹介しにくくなるっているか、紹介すればするほど前の作品のネタばれになっちゃうのが難しいんですけどね。

今回の作品では、1作目で逮捕された連続殺人鬼「近藤房子」がある理由により逃げ出し、その姿を追う流れとなっております。
逃走したのち、しばらく鳴りをひそめていた房子だったが、その生活にも飽きてきてまた殺人を犯し始めます。
房子が殺したのが札付きの悪の若者であったり、強制わいせつしようとしている男性だったりして、房子は一部の人に賞賛されるようになってきます。
その反面、何人もの被害者を出しながらも房子を捕まえられない警察は猛烈な批判の矢面に。
山根室長は房子を追い詰められるのか。
麗子は房子の恐怖に打ち勝ち、房子を逮捕できるのか。


あー、これくらいしか紹介できません。
ちなみに、今回はわりとグロ系です。免疫ない人は読まないことをお勧めします。

終わり方がちょっと私好みじゃなかったですけどね、なんかまた続くのか?みたいな気もしないでもない。
解説とかあとがきがないので何とも言えないですけどね。

とかく、富樫倫太郎さん、僕は期待してます。

★★★★☆

next...「県庁おもてなし課」有川浩
とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所仕事」から抜け出して、地元に観光客を呼べるんだ!?悩みながらもふるさとに元気を取り戻すべく奮闘する掛水とおもてなし課の、苦しくも輝かしい日々が始まった。地方と恋をカラフルに描く観光エンタテインメント。(BOOKデータベースより)

『親指の恋人』 石田衣良

2013年04月06日 12時11分37秒 | 石田衣良
最近本の減るペースが半端ない。

「恵まれた環境に育ちながら、夢も希望も目標もない日々を送っていた20歳の澄雄。しかしある日携帯の出会い系サイトでジュリアとめぐりあい、彼の人生は一変してしまう。言葉をしらない獣のようにつながりあい、愛しあう二人だったが、六本木ヒルズに住む学生とパン工場で働く契約社員では、あまりにも住む世界が違いすぎた。格差社会に引き裂かれ、それでも命がけて恋を全うしようとする恋人たちを描く。 」(BOOKデータベースより)

すいません、また画像なしです。
載せようと思えばのせれるんですけど、簡単にUPできる状態のものがなかったので。

さて、久しぶりの石田衣良先生の紹介です。
主人公の江崎澄雄は親が外資系投資会社の社長で六本木ヒルズに住むぼんぼんの大学生。
お金に関しては何一つ不自由なく暮らしているけど、やりたいことはなく、自分が世間から取り残されているかと感じている。
大学3年になっても就職活動はせずにだらだらと過ごしていた。
ある日の夜、澄雄は家に居たくなく、近くのカリー屋の席で何の気なしに出会い系サイトに登録する。
誰か自分のことを知らない相手と誰かを演じながらしゃべってみたかったのだ。
好きなタイプやどういう関係になりたいかなど、すべての項目に「その他」を選択し、最後の自由記入欄にこんなことを書いた。
「女なんて嫌いだし、この世界も嫌いだ。なにもほしいものはないし、今夜この時間にこの場所で生きていることを後悔している。もし誰かと出会えるなら、世界が終わるときにいっしょにいてくれる人がいい。」(P.24)
そうすると、こんなメールが来たのだった。
「そんなに世界を終わりにしたいの?それなら、わたしがいっしょしてもいいよ。ここは地獄の底。逃げる場所もないぎりぎりの端っこ。わたしはただ生まれたから、生きている。いつ終ってもいいのにね。気がむいたら、メールして。ジュリア」(P.25)

このジュリアこそ、澄雄がのちに一緒に自殺することになる、三田樹里亜だった。
このあと澄雄とジュリアは激しく恋に落ちていくことになる。
しかし、ジュリアはダメな父親に育てられ、年収200万円台のパン工場で働く契約社員で、澄雄とはまさに住んでいる世界が違う。
一緒に居ることも許されないような関係だったのだ。

ジュリアに降りかかる様々な災難にふたりが出した結論は、心中だった。


え、そこまで紹介していいの??
って感じの紹介しましたけど、この作品に限ってはいいのかなって。
まず、冒頭から二人の心中を知らせる新聞記事が載っているし、そこに向かう二人の心情を描いた作品ということなので。

こういった作品で、安易に自殺で終わらせるというのはNGだとおもうんですけどね、これは少し違って最初から自殺しますよーって宣言しているんです。
ただ、そうはいっても自殺で終わらせるのはどうかなーという印象もある。

そうはいっても、石田先生の書く文章はほんとうにクリアで透明で、空気みたいに自然にすらすらとはいってくる。
びっくりするような比喩もすんなりと溶け込んできて、納得させてしまう。
それが石田先生の魅力であると思うんですね。

そんな澄んだものがたりを読みたい人は、ぜひ石田先生の本を手にとってね。

★★★☆☆

next...「SROⅤ ボディーファーム」
本性を隠し潜伏生活を送っていた“最凶の殺人鬼”近藤房子が再び動き出した。巧みに変装しながら捜査の目をかいくぐり、残虐な殺人を重ねる。焦った警視庁上層部は、房子が執着するSRO副室長の芝原麗子を囮に逮捕せよと、室長の山根新九郎に迫るのだが―。 (BOOKデータベースより)

『和菓子のアン』  坂木司

2013年04月04日 19時57分22秒 | 読書
やばーい、一気に買い込んだ本もあと1冊を残すのみ。また買いに行かなくては。。。

「デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。 」(BOOKデータベースより)

すいません、画像はなしです。

和菓子屋のアンちゃんの話。

といったら乱暴ですが、東京百貨店のデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働く梅本杏子(きょうこ)の話です。

杏子は高校を卒業するも、進学するでもなく働くでもなくだらだらと過ごしていましたが、それじゃいかん!ってことでたまたま行った東京百貨店のデパ地下の総菜売り場で、「これなら私でも出来る」と思い、「みつ屋」でバイトをすることに。
そんな杏子は身長150センチ、体重57キロの大福みたいにころころした体型。
BMI換算すると俺の伸長で90キロ。うん、けっこうがっちり体系。
そんなことはどうでもよくて。

ちょっとぽっちゃりだけど、ギリギリLサイズ。でも非常識なまでの体型じゃなく、むしろかわいがられる性格の持ち主です。

さて、そんな杏子が働き出した「みつ屋」ですが、椿店長初め、立花さん、桜井さんと個性豊かな面々がそろってます。
椿店長は売り上げ予想が鋭く、ほとんど廃棄を出さない。しかし、休憩中は株投資に夢中になりバックヤードで声を荒げることもしばしば。
立花さんは長身イケメン男子。元和菓子職人で知識も豊富だし、接客もプロだが、実は中身は乙女。
桜井さんはかわいい女子大生。でもときどき汚い口調が出てしまうのは、実は元ヤン、切れると怖い。

そんななか「みつ屋」にはさまざまな問題が降りかかってきます。
和菓子屋版、ビブリア古書堂の事件手帖みたいな感じですね。
買っていった和菓子の組み合わせから事件を推理したり、ケーキの出し方から不正を見つけたり、あれこれと難問を解決していきます。
それとともに杏子(「みつ屋」ではアンちゃんといわれてます)も和菓子の世界にのめりこんでいくことになるのでした。

物語としてはつながっているけど、5つの事件からなってます。
よみやすくてすぐ読めちゃうんで、移動時間とかにお勧めですかね。あと和菓子好きにはお勧めですw


★★★☆☆

next...「親指の恋人」石田衣良
恵まれた環境に育ちながら、夢も希望も目標もない日々を送っていた20歳の澄雄。しかしある日携帯の出会い系サイトでジュリアとめぐりあい、彼の人生は一変してしまう。言葉をしらない獣のようにつながりあい、愛しあう二人だったが、六本木ヒルズに住む学生とパン工場で働く契約社員では、あまりにも住む世界が違いすぎた。格差社会に引き裂かれ、それでも命がけて恋を全うしようとする恋人たちを描く。 (BOOKデータベースより)

『父からの手紙』 小杉健治

2013年04月01日 20時15分00秒 | 読書
久しぶりの電車通勤は読書が進みます。



「家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。 」(BOOKデータベースより)

手紙系(!?)はだめです。
感動作が多いんだもの。w

この作品は、刑事殺しの罪で9年の服役を終えた秋山圭一と、父が失踪し大切な人のために好きでもない人と結婚することになった阿久津麻美子の二人の視点から書かれています。

まず、圭一は出所後叔父の援助を受けながらもだらだらと日々を過ごしていた。
圭一は9年前悪徳刑事を殺したことで収監されたのだが、なぜ殺害することになったのか、その動機を思い出せずにいた。
焼身自殺した義兄の妻である義姉を助けるために殺したような気がするが、詳しいことは思い出せない。
また、9年前に交際していた歌子の行方も分からない。そんな中で義姉を探し始めることになる。

また、麻美子は失踪した父の親友が経営する山部製作所の経営危機を逃れるため、経営コンサルタントの高城と結婚することにする。
高城が山部製作所への融資の話をつけたのだった。
しかし、高城は殺されてしまう。そしてその容疑者として弟が逮捕されてしまったのだ。
弟を救うため、また、高城殺しの犯人探しのため、麻美子は父を探し始めるのだった。

とまあ、まったく接点のない二人からはじまるよくあるパターンです。
そしてそのうちある接点から二人が出会うことはお決まり。
そんなことで読者の気を引こうなんて思う作家はもはや居ないでしょう(?)。

高城殺しの真犯人を探すという面からすればミステリ仕立てなのは間違いないところだけど、そこに家族とは何か、生と死についてつよくメッセージを感じることができます。
そこがこの作品の言いたいところでしょう。

読めば読むほど、父親の阿久津信吉の熱い想いが染みてきます。そしてなぜ失踪するという手段を選んだのか。

筆者の生に対する強い想いを感じるよい作品でした。

★★★★☆

next...「和菓子のアン」坂木司
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。(BOOKデータベースより)