『ヒア・カムズ・ザ・サン』 有川浩

2013年11月26日 21時47分29秒 | 有川浩
三投目です。



「編集者の古川真也は、特殊な能力を持っていた。手に触れた物に残る記憶が見えてしまうのだ。ある日、同僚のカオルが20年ぶりに父親と再会することに。彼は米国で脚本家として名声を得ているはずだったが、真也が見た真実は―。確かな愛情を描く表題作と演劇集団キャラメルボックスで上演された舞台に着想を得た「ヒア・カムズ・ザ・サンParallel」を収録。有川浩が贈る物語新境地。 」(BOOKデータベースより)

一つの題材を基に、ふたつの話を描いた作品です。
といってもよくわからないですよね。

真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。
彼は幼いころから、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。
強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。
ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。
カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したというのだ。
父は、ハリウッドで映画の仕事をしているという。
しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた……。(冒頭より引用)

この7行から起草し、二つの話を有川先生は書かれました。
舞台設定は同じでも話は全く違うから楽しく読めます。
内容は詳しくは書きませんが、なかなか有川先生らしい人間くささが存分に書かれています。
こういう親子もあってもいいのか。いや、ないほうがいいのか。
すこしSFチックな部分もある作品ですが、メインはそこじゃなくて人間です。

有川先生の書く人間に酔いしれてください。

★★★

next...「小暮写眞館」 宮部みゆき

『クジラの彼』 有川浩

2013年08月07日 19時43分25秒 | 有川浩
今更感のあるこの作品です。



「『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。 」(BOOKデータベースより)

潜水艦乗りの冬原は、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「海の底」の冬原です。
合コンで知り合った中峯聡子との「遠距離恋愛」(潜水艦乗りはつねに長期出張中)は、ほとんどメールのみの付き合いになってしまっている。
そんな中で、聡子の上司である社長の息子に交際を迫られるようになる。
彼はほぼ常に不在なことから残業を拒むこともなく、彼氏がいないのではないかと疑われていたのだった。
日々エスカレートして交際を迫られる聡子だったが、冬原の乗る潜水艦が事故にあったニュースが流れたのだった。
なかなか連絡の取れない冬原に聡子は。。。

と、この作品が表題作の「クジラの彼」で、そのほかに航空輸送機の製作に携わる女子の話の「ロールアウト」、自衛隊員同士の恋愛の「国防レンアイ」、こちらも「海の底」から夏木の話の「有能な彼女」、自衛隊の駐屯地から脱走する自衛官を題材にした「脱柵エレジー」、そして「空の中」から航空自衛隊の武田光稀と三菱重工業の春名高巳の「ファイターパイロットの君」の短編6話です。

どれも自衛隊を絡めたラブコメです。
もう甘ったるいです。
年とったかな?それとも有川作品読みすぎたかな?
有川さんの特徴あふれる一作です。

まあ、恋愛パターンが分かってきたような。
有川さんはこういう恋愛にあこがれているんでしょうかね。
それとも、世間一般にこういう恋愛が行われているのでしょうか。

そんな、甘い作品でした。

★★★☆☆

next...「奪還」麻生幾
一人の女を捜して欲しい―すべてはその依頼から始まった!依頼主が頼ったのは、フィリピンで暮らし、“海洋民族”の女から学び自己訓練に没頭する海自の元特殊部隊員、河合斌。心の奥深くに秘めたある思いを引きずりながら“人捜しビジネス”を請け負った河合だったが、意外な事実が待ち受けていた。(BOOKデータベースより)

「キケン」 有川浩

2013年07月25日 19時12分22秒 | 有川浩
なんか梅雨空みたいです



「ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称「キケン」。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。 」(BOOKデータベースより)


とある県にある、平凡なほぼ男子校の成南電気工科大学には「機械制御研究部」というサークルがあった。
略して「キケン」。
ただ、そこには危ないにおいがぷんぷんしています。

さて、ある男子学生二人が「キケン」の部員募集のチラシを見ていると、そこに現れたのは、「成南のユナ・ボマー」こと上野である。
ユナ・ボマーについてはwikipediaで。
上野に連れられて部室に行くと、そこには強面の大神がいた。
大神は、通称「大魔神」。空手もやっていて怒らせると怖い。

ふたりはその後、上野の家に連れて行かれるのだが、上野の部屋は立派な母屋から離れたプレハブ小屋だった。
どうやら母屋に入ることは許されていないらしい。
おそるおそるプレハブ小屋に入った二人は、あちこちに焼跡を見つけるのだった。
煙草にしては臭いがない。
そこでふたりは棚のラベルにこう書いてあるものを見つける。

「かやく」

カップラーメンのあれじゃなくて、花火とかに入っているあれ。
どうやら、上野は爆弾マニアらしい。
そして自制した爆弾の威力を見せるために向かった公園の砂場。
底が見えるまで穴を掘った後、がちゃがちゃのカップで作った爆弾を埋めて着火。

そうすると、かるく地面が揺れるほどの爆発となるのだった。

ふたりは、そんな「キケン」に入部し、さまざまなイベントや危機に立ち向かうのだった。




んー。
あんまり楽しそうな雰囲気が伝わりませんが、かなり面白い作品です。
通勤時間と昼の時間だけで2日かからずくらい。

実際通ったことがないのでわからない部分もありますけど、いわゆる「男子校の乗り」?みたいな。
青春を必死に全力で駆け抜ける作品に心打たれます。
こんな青春っていいなって、大人心に思ってしまったのはもう老けた証拠でしょうかね。
もうすぐ28になりますが、心はまだ若いつもりです。w
とりあえず、読んでください。
後悔はしません。きっと。
有川節、炸裂してます。有川さん好きな方はきっと好きになってくれると思います。

★★★☆☆

next...「死亡推定時刻」朔立木
山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。 (BOOKデータベースより)

『県庁おもてなし課』 有川浩

2013年04月14日 14時54分10秒 | 有川浩
暖かかったり寒かったり、見に行った野球でぼろ負けした次の日に大量リードしている今日この頃。



「とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所仕事」から抜け出して、地元に観光客を呼べるんだ!?悩みながらもふるさとに元気を取り戻すべく奮闘する掛水とおもてなし課の、苦しくも輝かしい日々が始まった。地方と恋をカラフルに描く観光エンタテインメント。」(BOOKデータベースより)

県庁おもてなし課

これを見た瞬間、買うしかないって思いましたね。
ただ、文庫が出るまで待とうと待ちに待ち、2年越しで手に入れました。

主人公は高知県観光部おもてなし課で働く掛水史貴。
掛水たちおもてなし課は、高知県の観光を何とかしようと働く人たち。
ただ、そこは公務員なので動きはまー遅いし、融通も利かない。
あるときおもてなし課は観光大使の制度をまねようと画策し、著名人にしらみつぶしに接触することになる。
そんなとき、掛水のもとに人気作家の吉門からメールが来る。吉門に電話すると、「観光特使っていう制度の実効性がわからない」といわれてしまう。
たしかに、特使がちまちま名刺に印刷されたクーポン券を渡していったからって数は知れてるし、効果があるかわからない。
そのほかにも耳が痛くなるような指摘をずばずばと言ってくる吉門に、おもてなし課の職員たちは反感を覚えるが、吉門係の掛水は吉門に触発されてなんとか現状を打破することができないか考え始めることになる。

そして吉門は、パンダ誘致論を調べてみろと、パンダ誘致論を唱えた男を抱え込んでみろというのであった。


んーあんまり面白そうな紹介ができなかった。
とにかく、この作品は公務員の痛いところをよく突いているなという感じですね。
新しいことには及び腰で、でもなにか斬新なことをしろという話もある。
動きはのろくて、融通も利かない。
そこを、なんとかしようと頑張る姿も面白いし、上には書きませんでしたが、掛水の恋物語もなかなかいらいらします。w
でもこれが公務員ってものと開き直る分には僕も公務員です。
お堅いだけの公務員は嫌いです。規則の中でいかに柔軟に動けるか、その辺で楽しんでおりますw

なんて、公務員批判をここでする気はありませんが、役所の実情も少しわかってもらえるかと思いますので、是非お読みください。

★★★★☆

next...「きみ去りしのち」重松清
幼い息子を喪った「私」は旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原…“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。鎮魂と再生への祈りを込めた長編小説。 (BOOKデータベースより)

『植物図鑑』 有川浩

2013年03月21日 20時31分25秒 | 有川浩
最近よく本を読みます。



「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。 」(BOOKデータベースより)

上の説明を読むと、何だそれってなりますよね。
まあ、有川先生なのでやってくれるだろうという期待の元、手に取ったこの作品です。

主人公は一人暮らしで働くさやか。
さやかは飲み会の帰り道に家の前の植え込みの中で倒れている青年・樹を発見する。
さやかに起こされた樹はなぜ植え込みの中で寝ていたのかを説明し、もう一歩も歩ける体力がないから家に入れてくれないかと頼まれる。
お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です
ここでその発言がなされるわけです。

ふつう怪しんで一人暮らしの女子の部屋なんかに上げる人はいませんけど、樹が面白かったのと、さやかが酔っていたのと、樹がちょっとイケメンだったから拾うことに。
樹にカップラーメンを恵んださやかのため、朝早く起きた樹はさやかのため味噌汁とオムレツを作ってあげる。
その味噌汁とオムレツのあまりのうまさに、そしてちょっと気になるイケメンに、さやかはしばらくこの家に住まないかと提案することに。
なんといってもさやかは家事が苦手で、料理ができるだけで大助かりなのだった。

一緒に暮らしだしたさやかと樹は、いつからか川沿いに散歩するようになる。
そこで、野草を採取してご飯にする。最初はふきのとうや、ふきや、つくし。
そしてワラビ、クレソン、野イチゴなど。
そのどれもが樹の手により料理されると美味しくなるのであった。
そんな樹に、さやかは恋するのだった。

なんでしょうね、野草を取ってきて料理して美味しくて樹好きになって、ってのを何回も何回も繰り返している感じ。
最初のころは楽しかったけど、だんだんと飽きがきちゃうね。
ま、人によってその始まりは前後するだろうけど、俺の場合はちょっと前置きが長かったかなーという印象。
それにしても、これほどの読みやすい文章を書いていただけるのでありがたいです。なんて。
それに、この恋も一筋縄にはいかないしね。いってたら小説にならない。
これ以上言うのやめます。
気になる人は読みましょう。

★★★☆☆

next...「ユダ 伝説のキャバ嬢「胡桃」、掟破りの8年間」
キャバ嬢になった瞳の胸には高校時代の過酷な経験から、男への不信感と怒りがみなぎっていた。持ち前の美貌と頭脳、そして負けず嫌いの性格は、次々と店を移っても常に瞳を不動のNo.1へと押し上げる。“胡桃”と名を変え、ついに辿り着いた歌舞伎町。飛び交う札束、錯綜する心、拭えない孤独。真に迫る筆致で話題をさらった衝撃のデビュー作。(BOOKデータベースより)

『フリーター、家を買う。』有川 浩

2013年03月17日 14時34分58秒 | 有川浩
ご無沙汰になって申し訳ないです。



「就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす“甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って?やり甲斐って?自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長篇小説。 」(BOOKデータベースより)

フリーターが家を買う?
いやいや、フリーターが家を買えるほど世の中甘くないし。

というギャップと、いやいや有川先生ならやってくれるでしょうという期待感の元、購入しましたこの作品です。

新卒で就職した会社で行われた研修で宗教チックで熱狂的な研修を受け、その後会社に馴染むこともできずに3か月でやめてしまった主人公の武誠治。
退職後は就職活動をしたりしなかったり、バイトをしたりしなかったり、自堕落な生活を続けていた。
そんな誠治の母、寿美子はそんな生活に精神病になってしまった。
どうやら精神病にはもっと深い意味があるようだ。
フリーターという暇な生活をしていた誠治は、寿美子の看病を続けながら、ふがいない父親、誠一のお世話もすることに。
ストレスのたまった誠治は寿美子にあたったり、誠一と言い合いをしたりしていたが、そのことを気に病んだ寿美子が自殺未遂をしてしまう。
それから心を入れ替えた誠治(と一応誠一も)は、寿美子の病気と真正面から向き合いつつ、家族の絆を取り戻し、成長していくのだった。


無難に説明するならこんな感じでしょうか。
プロットを書かないらしい有川先生のお話は、先生も楽しみながら書いているせいか読者にも凄い楽しませてくれる。
そう感じたこの作品でもありました。

誠治もただ普通の20代の青年なんだけど、だからこそ身近に感じてしまう僕27歳。
フリーターではありませんけどね。w

うつ病と戦う難しい展開ではありますけど、読みやすく書いてくれています。
お勧めですね。

★★★★☆

next...「ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~」
珍しい古書に関係する、特別な相談―謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その家には驚くべきものが待っていた。稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが―。 (BOOKデータベースより)

『ラブコメ今昔』 有川浩

2012年07月28日 10時49分36秒 | 有川浩
溶ける。愛知の夏。



「「自衛隊員の皆さんに恋愛や結婚の経験談を語ってもらいたいんです」。二等陸佐・今村和久の前に現れたのは、隊内紙の記者の元気娘・矢部千尋二等陸尉。訊けば、夫婦の馴れ初めを、コラムに掲載したいというのだが!?「みっともない」と逃げる今村、ねばる千尋。一歩もひかない攻防戦の顛末は―!?様々な思いが交錯する、自衛隊員の結婚を綴った表題作を含む、十人十色の恋模様6編を収録した、国を守る男女の本気印恋愛百景。 」(BOOKデータベースより)


有川浩の、自衛隊を題材にした、不器用な男たちの恋愛短編小説です。

有川浩といえば、自衛隊系(図書特殊部隊ってのもありましたが)、そして甘いラブコメディ。
そのど真ん中を突き進むこの作品です。

簡単にそれぞれの紹介をしますと、

・ラブコメ今昔
習志野空挺部隊の第一空挺団で大隊長を務める二党陸佐、今村和久は、陸上自衛隊の広報を務める矢部千尋二等陸尉に、広報誌「あずま」のコラムで今村の奥さんとの馴れ初めを紹介したいと打診される。
今村は50すぎのベテラン自衛官であり、お見合いで出合った古女房との馴れ初めなんて書けるわけがないと一刀両断。
しかし、矢部は持ち前の粘り強さで今村に迫り、だんだんと逃げ場をなくしていくのであった。

・軍事とオタクと彼
営業職の桜木歌穂は5日間の出張を終え大阪の本社へ帰るのぞみで席が取れず、立ったまま帰るはめになってしまった。
出張で疲れ果てていた歌穂はどうにか席に座れないかと、品川、新横浜と過ごしていったのだが、なかなか席をとることができなかった。
そのとき、背後から声をかけられた歌穂は、その青年にトイレに行っている間、席に座っていてほしいと頼まれる。
少しでも休みたかった歌穂は、彼がトイレに行っている間、つかの間の睡眠を取ろうと思ったのだが、ふと眼を覚ましたらまもなく名古屋に到着するころまで熟睡してしまったのであった。
歌穂とその青年は、歌穂が下りる新大阪まで話をし、歌穂が下りるギリギリになって歌穂が名刺を渡し、連絡を待つこととなった。
その後、歌穂と青年は何度か交流をしながらも、なかなか交際まで進展することはなかったことから、業を煮やした歌穂は、他に女がいるのではないかと青年を尾行するのだった。

・広報官、走る!
海上自衛隊の広報室に勤める政屋征夫は、上司に女たらしと呼ばれる一尉。
自衛隊のイメージアップのため、ドラマを二本引き受けることになり、政屋はテレビ局と連絡調整課係を命じられる。
テレビ局の連絡係は鹿野汐里。鹿野は長い髪を後ろでまとめた、地味目な美人ADだった。
テレビ局は予定が遅れることが通常であり、常に5分前行動を信条とする自衛隊とは相いれない存在であり、たびたびテレビ局と自衛隊でもめ事になってしまい、その尻拭いを鹿野がさせられていた。
その理不尽な状況を打開すべく、政屋はある行動に出るのであった。

・青い衝撃
航空自衛隊の花形である、松島基地所属、第四航空団第十一飛行隊、通称「ブルーインパルス」。
そのパイロットを夫に持つ、相田公恵は夫がモテすぎることが悩みである。
多くの航空ショーではトリを務め、女性ファンも多い。
そんな夫、鉱司を取り囲む女性ファンの中に、一人公恵を見つめる視線があった。
ロングヘアを軽く縦に巻いた美人であり、公恵に挑戦的な視線を向けてくるのである。
ある日、鉱司の制服を洗濯しようと襟を確かめていたとき、うなじに当たる襟の折り返しの中にメモを見つける。
そこには、「あなたにだったら、勝てそう」と書いてあったのだった。

・秘め事
陸上自衛隊明野駐屯地第十飛行隊に所属する手島岳彦二尉は、ブルーインパルスに知名度こそ及ばないものの、難易度の高い「明野レインボー」という回転翼機アクロバットチームのメンバーである。
その上官である水田章介三佐の娘、有季と秘密裏に交際しているのである。
その有季との馴れ初めと上官への決死の報告のストーリー。(これ以上言えない。。。)

・ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編~
「ラブコメ今昔」で出てきた矢部と今村の、隠された事情です。


最後の二つは手を抜いたわけではないですよ?
ただ、書いたら面白みがなくなってしまいそうだから。
一つ一つの話は短いのでとても読みやすくて感じがいいです。
ただ、内容が自衛隊縛りなので、連続して読むと混乱しそう。w
まだ読解力が足りませんね。
ただ、短いながらも引き込まれる文章です。さすが有川さんって感じ。

★★★★☆

next...「インビジブルレイン」誉田哲也
姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。暴力団同士の抗争も視野に入れて捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みが入る。ところが、上層部から奇妙な指示が下った。捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。隠蔽されようとする真実―。警察組織の壁に玲子はどう立ち向かうのか?シリーズ中もっとも切なく熱い結末。 (BOOKデータベースより)

『三匹のおっさん』 有川浩

2012年06月06日 18時34分47秒 | 有川浩
暑くなりました



「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。ご近所に潜む悪を三匹が斬る!その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響を与え…。痛快活劇シリーズ始動。 」(BOOKデータベースより)


三匹のおっさんの話。
以上。


といったら怒られるな。
三匹のおっさんとは、主役級で剣道の師範の清田清一、柔道が得意な立花重雄、機械が得意な有村則夫の三人。
おっさんという言葉からすると、中年の男性に対する少し侮蔑の混じった言葉のように聞こえるけど、そうではなくて愛情のある「おっさん」らしいです。

そんなきけんなおっさんたちが、町内の悪に立ち向かって、解決していく短編集です。まあ、つながってはいるけども。

ちょっと今回は簡単な紹介になってしまいましたが、軽快な語り口にもかかわらず、現代の問題点にも切り込んだよい話になっております。

★★★★☆

next...「不正侵入」笹本 稜平
警視庁組織犯罪対策部の刑事・秋川は、自殺とされた旧友の死に不審を覚える。彼の妻から「夫を殺した連中に狙われている」との電話が―。直後、彼女は謎の失踪を遂げた!独自の捜査を始めた秋川の前に立ちはだかる検察の影、背後で暗躍する暴力団組織…。さらに浮かび上がってきた、四年前の殺人事件の真相とは?一刑事が巨悪に迫る、警察小説の新たな傑作。 (BOOKデータベースより)

『シアター!』 有川浩

2011年12月31日 00時06分08秒 | 有川浩
踊る大捜査線見ました。



「小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。」(BOOKデータベースより)


有川浩らしい人間味あるストーリー。
自衛隊シリーズや図書館戦争シリーズのようにSFチックな設定はなく、普通の世界でのお話といえば逆に有川浩らしくないというか。
そんな作品です。


作中にも書いてあるんだけど、主宰の春川巧が書く演劇は軽くて薄っぺらくて深みがないと批判があるんだけど、
客が単純に笑って帰れる芝居があってもいいじゃないって。

有川作品のよさってのも、こういった軽快な文章の中に笑えて、泣けて、笑顔になれるストーリーがあるっていうとこがあると思うんだよね。
この作品で、それを示したかのような。

村上春樹とかみたいに重たくて考えさせれるような作品も素晴らしいんだけど、
有川浩みたいな、現実的な人の温かさを思い出してくれるような作品もいいものだと思う。

それを思い出させてくれた作品でした。

★★★☆☆


next...「SROⅣ 黒い羊」
「SROに届いた初の協力要請は、県警ではなく法務省からの人探し。自らの家族四人を殺害して医療少年院に収容されていた青年が退院後、行方不明になったという。一方、「警視庁のダーティハリー」こと針谷太一のもとにジャーナリストが現れ、過去の事件について取材に応じろと“脅し”をかけてきた。文庫書き下ろし・シリーズ第四弾。」(BOOKデータベースより)

『別冊 図書館戦争Ⅱ』 有川浩

2011年11月17日 21時08分04秒 | 有川浩
一気に読んじゃいました。



「“タイムマシンがあったらいつに戻りたい?”という話題で盛り上がる休憩中の堂上班。黙々と仕事をしている副隊長の緒形に、郁が無邪気に訊くと、緒形は手を休め、遠くを見つめるように静かに答えた―「…大学の頃、かな」。未来が真っ白だった無垢な時代。年をとるごとに鮮やかさを増す、愛しき日々。平凡な大学生であった緒形は、なぜ本を守る図書隊員となったのか!?過去と未来の恋を鮮やかに描く、シリーズ番外編第2弾。」(bookデータベースより)


まりえちゃんと小牧が長年の関係を経て結ばれ、
郁と堂上が王子様を乗り越えて結ばれ、
最後までいがみ合ってるのが手塚と柴崎です。


最初から読んでない人にはもうだいぶネタばれしっちゃってますよね。
まあでもシリーズものを紹介してたらネタばれなりますよ。

でもネタばれても面白いからいいじゃん。


今回は美人な柴崎がストーカーに狙われます。
今まで十分ストーカーに狙われていましたが、それ以上のストーカーで、しかも悪質です。
柴崎は強がりながらも徐々に疲弊していって・・・。まああとはご想像のとおり。


俺はなんか柴崎に共感しちゃいまして。
なかなか素が出せなくて仮面ばっかかぶっている柴崎。
頼りたいのに頑張っちゃって頼れない。

それに、郁たちの関係がうらやましくて。
本気で信頼できて、ばか騒ぎができて、困った時は本気で助けに行く。
そんな仲間がうらやましくて、一員になりたくて。
でも自分に自信が持てなくて。

そんな感情にさせてくれる作品だから読んでて心地よい。

友情と恋愛と、それを超えた信頼とを感じられるよい作品でした。


★★★★☆

next...『モダンタイムス』伊坂幸太郎
「恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。 」(bookデータベースより)