『SROⅥ 四重人格』 富樫倫太郎

2015年10月11日 16時19分13秒 | 読書
待ってましたSROの最新作。



「東京と秋田で、トリカブトによる毒殺事件が発生。手口に一貫性がなく、同一犯か複数犯か絞れず捜査は難航していた。その最中、耳や手首が切り取られた惨殺死体、銃殺死体が東京近郊で相次いで見つかる。すべての現場に残る同一人物の指紋から、SRO室長の山根新九郎はある仮説を立て犯人に迫っていく。大人気警察小説、待望のシリーズ第六弾。 」(BOOKデータベースより)

SROは、
『SROⅠ 警視庁広域捜査専任特別調査室』
『SROⅡ 死の天使』
『SROⅢ キラークィーン』
『SROⅣ 黒い羊』
『SROⅤ ボディーファーム』
と足かけ5年にわたり紹介しています私の好きなシリーズの5作目です。

この作品は、通称SRO(警視庁広域捜査専任特別調査室)と呼ばれる、広域捜査の専門調査室で、
トップの室長は警視長、副室長が警視正、室員が警視正人、警視、警部とまあありえない組織です。
わかりにくいので普通の会社でたとえるなら、
警視長は副社長か専務
警視正は取締役
警視は部長
警部は課長
といったところでしょうか。
そんな組織じゃ絶対働きたくありません笑

連続殺人犯、いわるゆシリアルキラーを捜査しているのですが、
今回現れたシリアルキラーは、一見自然死に見せかけ、トリカブトの毒の付いた極細の針で一刺しで殺してしまう殺し屋。
やり手の殺し屋でさえも殺してしまうほどの強烈な殺人鬼です。
そんな殺人鬼を追いかけ、追い詰め、とらえてしまうSROの面々。
今回も面白い作品です。

ま、今回もいろいろと残酷な殺し方をしてしまいますが、
読んだ後にふつうに肉料理を食べに行くような図太い精神の持ち主じゃない場合は、
時間帯を考えて食前等に読まないことをお勧めしますが、面白いのでお読みください笑

『北斗 ある殺人者の回心』 石田衣良

2015年10月11日 15時45分41秒 | 石田衣良
雨の日は読書日和だったりします。



「両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め―。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文芸賞受賞作。 」(BOOKデータベースより)


ある悲しくてつらい人生を送る少年に、考えさせられる作品。
石田先生にしては長い作品です。

いくらかネタバレになりますので、気になる方は読み飛ばしてください。

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幼いころから親に虐待されて育った橋爪北斗。
「橋爪北斗は誰かに抱き締められた記憶がなかった。」(5ページから抜粋)
父親から日々暴力を振るわれ、同じように暴力を振るわれていた母親も自分を守るがために北斗を虐待する。
そんな北斗も、誰にも相談できず、どんなに暴力を振るわれても家に帰るしか生きていけない。
自殺しようとも考えたが、寒い冬の夜に触れた自動販売機の暖かさに救われ何とか生きていた。

そんな北斗にも転機が訪れる。
虐待をしていた父親が突然に病に倒れ、亡くなったのだった。
母親からの虐待もなくなったのだったが、
あるときから母親に暴力を求められるようになる。
母親は支配されることに喜びを感じるようになっていた。
北斗は、幾度か母親に暴力を振るってしまったのだが、
いつか父親のように暴力をふるい、自分が壊れてしまうことを恐れた北斗は、
児童相談所に相談し、里親の綾子に引き取られることとなった。

大人を信じることのできなかった北斗だが、あることを機に綾子に信頼を寄せるようになる。
初めて大人の愛情に触れた北斗は、綾子を実の母親のように慕う。

しかし、幸せは長く続かなかった。
綾子がガンに侵されたのだった。
綾子のガンは手術が難しく、抗がん剤で治療を行っていたのだが、
どんどん体力が削られていく。
あるとき紹介された波洞水という水を綾子に飲ませたところ、
綾子がそれを気に入ったことで、毎日その波洞水を飲ませることとなるのだが、
その波洞水は一番高価なもので1本5万円以上もする代物だった。

綾子がよろこんで飲んでいたので、綾子の貯蓄を切り崩しながら工面していたのだが、
綾子の死が近付いてきたある春の日、その波洞水が医療詐欺であったことが発覚した。
綾子の死の間際、北斗はこの医療詐欺の相手に復讐したいか綾子に尋ねたところ、
綾子は首を細かく縦に振ったことから、北斗は綾子の死後、
実際に復讐を実行したのだったが。。。


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ネタバレ終わり。

とはいえ、ここまでで本の半分ほど。
BOOKデータベースの説明を膨らませただけなので、
読んでも問題ないレベルかと思って書きました。

ここから裁判の話になります。
話のメインは、この生い立ちと医療詐欺と復讐行為が、
どう評価され、どういった判決が下されるのかということ。
判決どうこうというより、読者自身に考えてもらいたいということかと思います。
話も重くてつらい内容ですが、秋の夜長に読んで悩んで考えてほしい作品です。

『白砂』 鏑木蓮

2015年10月11日 15時36分17秒 | 読書
かぶらぎれんと読みます。



「苦労して働きながら予備校に通う、二十歳の高村小夜が自宅アパートで殺害された。中年男性の目撃情報と大金が入金されていることから、援助交際との関わりが捜査線上に浮かぶ。「こんなにつましい暮らしぶりで真面目な彼女がなぜ?」違和感を抱いた下谷署の刑事・目黒一馬は別の角度から捜査を開始する。小夜の両親はすでに亡く、なぜか祖母は頑なに遺骨を受け取らない。鍵は小夜の故郷にあると見た目黒の執念が、運命に翻弄された女たちの人生を浮き彫りにしていく。最後にたどり着いた、死の裏にある驚愕の真実とは。切なさあふれるミステリー。 」(BOOKデータベースより)

長編ミステリです。

二十歳の女性の殺害事件。
男性の墜落事後。

二つの事件、事故が遺骨をもとにつながっていくミステリです。

納得いかないことがたくさんあったりするお話ですが、
きれいな話ではあるのかな?

話の展開が良く見えなかったり、
二つのつながりがわかりにくかったり、
殺人の動機もなんかなあという感じですが、

暇つぶしにはなる文量ではあります。

『ナイフ』 重松清

2015年10月11日 15時25分06秒 | 重松清
忙しくても暇でも更新が遅れますね。
しばらく頑張ります。



「「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。 」(BOOKデータベースより)


重松清の悲しくて幸せな短編集。

悲しくて幸せとは何ぞやっていうところでしょうが、
基本的には悲しいいじめの話。

ある朝学校に行ったらみんなから無視され始めた話。
いじめられている子供の親の話。
ひ弱な子供に強く当たってしまう父親の話。
病気に苦しむ妹と強い転校生に悩むお兄ちゃんの話。
担任教師の方針に納得できない母親に悩む父親の話。

悲しい話の後にハッピーエンドがあったりなかったり。
短編集なので詳しいことは書きませんが、

子供と子供
子供と親
学校と親

そんな現代社会の抱える問題を考えさせられる作品でした