『国道沿いのファミレス』 畑野智美

2013年08月22日 18時25分10秒 | 読書
夕方、窓から入ってくる空気は涼しいと感じます。



「佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり…。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。 」(BOOKデータベースより)

これは青春小説といっていいんじゃないでしょうか。
普通、青春小説って言ったら高校生とか大学生とか、まあ学生ですけど。
主人公の佐藤善幸は就職難の中で採用された外食チェーンの都内のファミレスで働いていた。
しかし、ある日インターネットの掲示板に「都内S区S店の社員Sはアルバイトの高校一年のウェイトレスに手を出し、散々やりまくって捨てた。」という書き込みがあった。
もともと親譲りの女癖の悪さで、できそうな女がいれば平気で浮気していた佐藤にも身に覚えのないことであったが、警察沙汰にしたくなかった会社は佐藤を田舎の店舗に異動させることによって解決した。
そこは、6年半帰っていなかった佐藤の地元で会った。

地元には親友のシンゴやその親でスナックを経営する茜、そして女癖が激しくほぼ一年中家を留守にする父親やそれでも離婚しない母親、そして苦楽を共にする同僚の粧子など個性抜群の人たちがいるのだった。
その個性豊かな人たちに揉まれ、恋愛し、怒り、許し、本当の恋に目覚めていく。
そんな佐藤とその周りの人たちの人間味あふれるストーリー。


300ページそこそこのボリュームなのにいろんなことが起きすぎて書ききれません。
まあ全部書いたらネタばれ以外何でもないけど。
田舎ならではの濃い人間関係に、すこしうらやましくなったり。
そーんなお話でした。
(それだけかい!)

★★★☆☆

next...「半熟AD」 碧野圭
番組制作会社の元ADで、今は無職の田野倉敦、二十七歳。仕事先を探す中、同居人の先輩に強引に引き込まれ、敦は一般人相手の映像制作会社を手伝うハメに。不本意な仕事ばかり舞い込むが、ある日、天才的な歌声を持つ少女が彼らのもとに現われて―。読めば元気が出ること間違いなし!お仕事小説で話題の著者が贈る、人生賛歌に満ちた爽快エンタテインメント! (BOOKデータベースより)

『ヘッドライン』 今野敏

2013年08月20日 22時01分37秒 | 読書
少しご無沙汰になりました。



「報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って―。 」(BOOKデータベースより)

ニュースイレブンの遊軍記者の布施は、いつもふらふら飲み歩いているようで、たびたびスクープをものにしてきた凄腕の記者。
いつもフラフラしている彼が、ある日アーカイブ室で1年前のバラバラ殺人事件のニュースを見ていた。
また、捜査一課第二係の黒田は1年前のバラバラ殺人事件の継続捜査をしている。
若手の谷口とペアで活動しているが、実は一人で活動したいと思っている。
そんな黒田がある居酒屋で飲んでいると、そこに布施が現れる。
布施は、気になり始めたバラバラ殺人事件の担当刑事が黒田ではないかと予想し、カマをかけてみると図星だった。
黒田たちの捜査は行き詰まりを見せていたが、布施の切り口によって事件が新たな一面を見せていくのだった。
そんな布施に、異例ながら黒田が協力しながら捜査を進めることとなるのだった。

とまあ、普通はあり得ないような話ですけどね。
ま、小説ですから。
解説があの池上彰さん。
彼自身もNHKの報道記者だった経験があるので、その説得力といったらさすが。
今野さんの作品だけあって読みやすさは抜群です。

新しい警察小説ということで、よしとしましょう。

★★★☆☆

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佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり…。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。(BOOKデータベースより)

『人生教習所』 垣根涼介

2013年08月14日 18時52分28秒 | 読書
お盆は休みません。



「新聞に不思議な広告が掲載された。「人生再生セミナー 小笠原塾」。実態は謎だが、そうそうたる企業が後援し、最終合格者には必ず就職先が斡旋されるという。再起をかけて集まってきた人生の「落ちこぼれ」たちは、期待と不安を胸に抱き、はるか小笠原諸島へと出航する!迷える大人たちのための、新たなエール小説。 」(BOOKデータベースより)


「人生再生セミナー 小笠原塾」に参加するため、はるばる小笠原諸島までやってきた浅川太郎たち。
そこでは様々な講義が行われ、その講義に基づいてレポートを提出しなければならない。
また、中間テストがあり、テスト等の結果により後半のセミナーに参加できるかどうかが決まるのだった。

浅川太郎は東京大学の学生だが、日常生活に疑問を覚え、現在大学を休学して家にこもっている。
このセミナーで何かを得ることができればと思っている。

柏木真一はかつて暴力団の若頭筆頭だったが、組から抜け出しブラジルに逃亡していた。
しかし、組が崩壊していることを知った柏木は帰国するも職にありつけず貯金を切り崩す生活をしている。
このセミナーで心身ともに生まれ変わり、仕事を見つけたいと思っている。

森川由香はフリーライターで週刊誌の記事を書いている。
しかし、対人関係に悩み、暗い文章しか書けなくなっていた。
このセミナーで悩みを解消し、よりよく生きたいと思っている。

消して交わることのなかった個性たちが、さまざまな講義を受け、さまざまな体験をすることによってたがいに認め合い、高めあう。
そんなストーリー。


と、まあ上下巻で約600ページですが、300ページでもよかったのでは?というのは辛口すぎかな?
感動のエール小説っていう新しい?分野の物語ですけど、盛り上がるかな?と思ったら淡々と進んで行ったり、なんかもったいないような作品でした。
個人的には、もっと一人にフォーカスしてもいいのかなと思います。
ま、個人的な感想です。

★★★☆☆

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報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って―。 (BOOKデータベースより)

『奪還』 麻生幾

2013年08月09日 16時42分01秒 | 読書
また夏盛りですね。



「一人の女を捜して欲しい―すべてはその依頼から始まった!依頼主が頼ったのは、フィリピンで暮らし、“海洋民族”の女から学び自己訓練に没頭する海自の元特殊部隊員、河合斌。心の奥深くに秘めたある思いを引きずりながら“人捜しビジネス”を請け負った河合だったが、意外な事実が待ち受けていた。 」(BOOKデータベースより)


ざくっといえば、ミニタリー系。
ただ、それが警察であったり自衛隊であったりせず、元自衛官の河合が主人公。
河合は自衛隊を退官後、フィリピンのダイビングショップで働いていた。
ただ、働いているとはいえ、実際はアルバイト店員のライレンから海の中での戦いを教わっているのだった。
ライレンは幼いころから海で生きてきた、海洋民族だった。

そんな河合のもとにある女性を探してほしいという依頼が入った。
その女性は「国境のない医師団」の医師である、折原だった。
折原は、地震の被害にあったフィリピンに医師として駆け付けたのだったが、ある時突然姿を消したのだった。
折原を探すため、河合はフィリピン内でも危険な地域である、コタバト市へ向かうのだった。


ま、ミニタリー系ですが、半分はミステリのような。
河合はさまざまな危険なミッションを成し遂げるんですが、その時々に疑問を覚えます。
それが何なのか、陰で動いているのはだれなのか、そういったところがこの話の焦点です。

それにしても、ごちゃごちゃしすぎてよくわからなかったというのが事実。
よくわからず戦って、仲間を失って、主人公だけ生き残る。(本作がそれとは限りません)

ミニタリー系が好きな方はどうぞ。

★★☆☆☆

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新聞に不思議な広告が掲載された。「人生再生セミナー 小笠原塾」。実態は謎だが、そうそうたる企業が後援し、最終合格者には必ず就職先が斡旋されるという。再起をかけて集まってきた人生の「落ちこぼれ」たちは、期待と不安を胸に抱き、はるか小笠原諸島へと出航する!迷える大人たちのための、新たなエール小説。 (BOOKデータベースより)

『クジラの彼』 有川浩

2013年08月07日 19時43分25秒 | 有川浩
今更感のあるこの作品です。



「『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。 」(BOOKデータベースより)

潜水艦乗りの冬原は、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「海の底」の冬原です。
合コンで知り合った中峯聡子との「遠距離恋愛」(潜水艦乗りはつねに長期出張中)は、ほとんどメールのみの付き合いになってしまっている。
そんな中で、聡子の上司である社長の息子に交際を迫られるようになる。
彼はほぼ常に不在なことから残業を拒むこともなく、彼氏がいないのではないかと疑われていたのだった。
日々エスカレートして交際を迫られる聡子だったが、冬原の乗る潜水艦が事故にあったニュースが流れたのだった。
なかなか連絡の取れない冬原に聡子は。。。

と、この作品が表題作の「クジラの彼」で、そのほかに航空輸送機の製作に携わる女子の話の「ロールアウト」、自衛隊員同士の恋愛の「国防レンアイ」、こちらも「海の底」から夏木の話の「有能な彼女」、自衛隊の駐屯地から脱走する自衛官を題材にした「脱柵エレジー」、そして「空の中」から航空自衛隊の武田光稀と三菱重工業の春名高巳の「ファイターパイロットの君」の短編6話です。

どれも自衛隊を絡めたラブコメです。
もう甘ったるいです。
年とったかな?それとも有川作品読みすぎたかな?
有川さんの特徴あふれる一作です。

まあ、恋愛パターンが分かってきたような。
有川さんはこういう恋愛にあこがれているんでしょうかね。
それとも、世間一般にこういう恋愛が行われているのでしょうか。

そんな、甘い作品でした。

★★★☆☆

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一人の女を捜して欲しい―すべてはその依頼から始まった!依頼主が頼ったのは、フィリピンで暮らし、“海洋民族”の女から学び自己訓練に没頭する海自の元特殊部隊員、河合斌。心の奥深くに秘めたある思いを引きずりながら“人捜しビジネス”を請け負った河合だったが、意外な事実が待ち受けていた。(BOOKデータベースより)

『69 sixty nine』 村上龍

2013年08月06日 18時27分17秒 | 読書
69。。。



「1969年、東京大学は入試を中止した。人々はビートルズに熱狂し、世論はベトナム戦争に揺れていた。僕は長崎県佐世保市、基地のある町に暮らす高校三年生。なにか面白いことをしたい、みんなを驚かせたい、女の子にモテたい!ただそんな気持ちから、僕は仲間たちと一緒に学校をバリケード封鎖した―。爆発しそうな衝動と真っ直ぐな心をあわせ持った高校生たちを描く、青春小説の金字塔。 」(BOOKデータベースより)


この作品、あとがきによると作者の実体験を書いたものらしいです。

時は1969年。
東大安田講堂攻防戦があったり、アポロ11号が月に到達したり、はたまた水戸黄門が放送開始された年。

ケンは有名進学校で理系の学生のほとんどは医学部に進学するような高校に通っていた。
大学紛争など、学生は政治活動をしたり、共産主義に傾いたりしていた時代である。
そこで、ケンは学校をバリケード封鎖する。
ただ、学校全体を封鎖するのではなく、屋上のみを封鎖し、メッセージだけを残して名もなく去っていくゲリラ的なものだった。
開校以来の前代未聞の事件を引き起こすなど、好き放題遊びまわるケンとその友達と、そしてすこし恋愛の話。

まー、現代っ子の僕(!?)としてはあまりよくわからない時代のことです。
ただ、それが楽しく必死に生きる高校生は、危険ながらもうらやましくて。
現代のようなデジタル化した社会ではなく、アナログな高校生活でしか行い得ないような行動に、すこし心躍る作品でした。

★★★☆☆

next...「クジラの彼」
『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。 (BOOKデータベースより)

『ツナグ』 辻村深月

2013年08月02日 20時02分32秒 | 読書
いつもありがとうございます。



「一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。 (BOOKデータベースより)


「死んだ人間と生きた人間を会わせる窓口。僕が使者(ツナグ)です」

そういって、平瀬愛美はイマドキの子の少年に話しかけられた。
使者と書いて「ツナグ」と読む彼は、死んだ人間に1度だけ会うことのできる仲介人のようなものだ。
ただ、生きた人は一生に一回しか使者と会うことはできず、一度権利を行使したら二度と他の人とは会えない。
死者も同じように、生きた人とは1回しか会うことはできない。それに、死者は自分から生きている人に会うこともできない。
生きた人が望んで、死者が受け入れた場合のみ、二人は一晩だけ会うことができるのである。
ここで、「会う」とは、使者を通じて会うのではなく、直接死者と生きている者同士のように会うこと。
決して恐山のイタコのようなものではない。

平瀬愛美が会いたかったのは水城サヲリ。
元キャバ譲のバラエティタレントで、ある日突然に死んでしまった。
平瀬愛美は、心の支えだった水城サヲリに会って、何を話したいのか。
そもそも、水城サヲリに会うことはできるのか。


一つ一つの話は短いから、あんまり詳しく紹介するとネタばれになっちゃうからこれくらいにしときます。
他にも死者と会うために使者のもとに何人か現れます。
それぞれの生きている人は、死者に何を求めるのか。

そして、使者とは何なのか。

ファンタジーのような、そして、一部ミステリのような、そんなお話です。

生と死の話ですけど、そんなに固くならず、自然体で読んでほしい本ですね。

★★★☆☆

next...未定