『8年』 堂場瞬一

2011年07月29日 23時09分24秒 | 読書
so what?


「オリンピックで華々しい活躍をし、当然プロ入りを期待されたが、ある理由から野球を捨ててしまった投手・藤原雄大。8年後、30歳を過ぎた彼は、突然、ニューヨークのメジャー球団に入団する。あの男ともう一度対戦したい!その悲願のためだけに…。一度は諦めた夢を実現するため、チャレンジする男の生き様を描くスポーツ小説の白眉。第13回小説すばる新人賞受賞作。 」

なんか軽い。
藤原がメジャーリーグに挑戦する理由が軽い。
藤原がメジャーに昇格してから勝ち始めたという理由がない。
藤原が8年のブランクを経ているのにもかかわらずあれだけの成績を残せるというのの理由がバッティングピッチャーとかそんなわけない。
他の登場人物のことは特に書きませんけど、なんか描写が甘いなぁといわざるを得ない印象。

こういうスポーツ系(スポ根!?)にはままある特に内容はないけど面白いという系統の本といえるでしょう。
野球小説なんて腐るほどあるし、そのなかでこの小説が際立って何がいいのかというと、よくわからない。

中盤ではチームの快進撃が面白く、ぐんぐん進んでいきます。
ま、かといってチームが優勝するわけでもなく。
藤原が目的を達成するわけでもなく。


う~ん。

だから言いたい。

so what?

★★☆☆☆

『図書館戦争』 有川浩

2011年07月26日 19時45分33秒 | 有川浩
やっぱり有川ワールド。甘酸っぱい恋がしたくなる。



「2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。」(「BOOK」データベースより)


主人公は笠原郁。

そして、その直属の上司である堂上篤。

ふたりの周りには個性豊かな仲間たち。


物語は冒頭から訓練のシーン。有川ワールドはなんといっても、ありえない世界でのあり得る話。今回のありえない世界はこの図書館を守る『図書隊』。

ありえない世界が中途半端な作り込みであったなら、すぐ読者は冷めちゃうよね。その辺、有川の設定の妙。

この設定になれるまでにはちょっと手間取ったけど、難しい話はおいといて大筋を理解できたならもう有川ワールドにのめり込んでるんだと思う。


有川ワールドのすごさは、このありえない世界なのに、登場人物はみんな今をいきる等身大の人間そのもので、徹底的な嘘、つまり図書隊以外すべてがかなりのリアリティーで書かれている点。



正直のところ、郁の王子様が誰かなんて、だれでもすぐわかる。作者もそんなことわかってて隠してる。

でも、強がってる郁や王子様(あえて名前は伏せる)が見せる、人間的な、脆い感情、そして恋心。




また、まんまと有川浩にやられてしまいました。


ちょっと設定が難しかった点から、


★★★☆☆

『美しき凶器』 東野圭吾

2011年07月13日 20時35分26秒 | 東野圭吾
最近よく晴れて気持ちいいです。


「安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則を殺害し、いっさいのデータを消去。すべてはうまく運んだかに思われたが…。毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った!迫りくる恐怖、衝撃の真相!俊英が贈る傑作サスペンス。」(BOOKデータベースより)

まんまと騙されました。


よく本屋にこんな文句の書かれた広告を目にします。
そんなにだまされるわけねーだろがと思いながら手に取ったこと数知れず。
そのたびにだまされたり、反則技だと罵ったりしています。

この本、まんまと騙されました。
だまし方としては東野圭吾っぽい。だまされるだろうと思って読んでると面白くない。
この本に騙されてください。
きっと面白い。

そしてなんといっても東野圭吾の終わり方がきれい。
どんな人間味のない殺人鬼も所詮人の子と思わせるような。

また東野圭吾に騙された人が増えました。
あなたもだまされましょう。

★★★☆☆

『SROⅡ 死の天使』 富樫倫太郎

2011年07月11日 19時35分53秒 | 読書
2作目も面白い



「強く死を願う患者の前に現れて、その願いを叶えてくれる―栃木県・下野東方病院関係者の間でささやかれる「死の天使」の噂。担当患者が亡くなった責任を取らされ、退職を強要された看護師からの投書を調べるうちに、新九郎たちSROは奇妙なことに気付く。新時代警察小説、待望のシリーズ第二弾。文庫書き下ろし。 」(BOOKデータベースより)

以前紹介した本の続編です。
主人公たちは前作と同様、警視庁広域捜査専任特別調査室、通称SROの面々です。
違うのは前回大けがを負った木戸は今回は名前だけの登場です。
前回は主役級の活躍でしたからね。今回はお役御免といったところ?

前回の捜査によって雑誌にも報じられた結果、捜査願いが多数寄せられます。
他方、違法捜査を行ったことにより部長から大目玉を食らい、外出禁止を食らってしまっています。

この状況で、一般人からの投書を読み漁っているうちに怪しいと気付き・・・

ただ、前回とは違ってなかなか外に出ることができません。
副室長の麗子得意のマザーによって捜査を進めます。


前回同様、割と早い段階で犯人がだれかわかります。
そこがストーリーのメインじゃないからね。

どうその犯人に迫っていくのか。
数少ないチャンスをものにするSRO。
最後は少し性急な感じもしますが、それを含め楽しい作品でした!

★★★☆☆

『シューカツ!』 石田衣良

2011年07月11日 19時26分35秒 | 石田衣良
久しぶりの石田先生のIWGP以外を読みました


「大学3年生の水越千晴は学内の仲間と「シューカツプロジェクトチーム」を結成。目標は最難関マスコミ全員合格!クールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぽっちゃり型の女性誌編集志望と個性豊かなメンバーの、闘いと挫折と恋の行方。直球の青春小説。」(bookデータベースより)


タイトル通り、就職活動をテーマに主人公たちの成長を描くストーリーといえばそのもの。
筆者の作風からすると、現代社会を鋭く切り取ったいい題材だと思います。

読んでから少し時間が経ってしまったからちょっとホットな情報じゃないのが申し訳ないんだけど。
面接を受けるたび、試験を受けるたび、落ちるたび、そして受かることによってどんどん主人公が成長していくのが見えます。

そして、頑張ってる主人公たちを見て読者もあのころを思い出して、苦い思い出や楽しい思い出に浸ること間違いなし。
そんな浸ってる間にもストーリーはテンポよく進んでいって、ちゃんちゃん。

歯切れのいい文章、現代の問題を直視して切り取る技術、ストーリーの面白さ。

さすが石田衣良って感じの作品でした。

★★★☆☆