『ルパンの消息』 横山秀夫

2013年07月10日 21時25分15秒 | 読書
連投で申し訳ないです。書けるときに書いとかねば。



「十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。 」(BOOKデータベースより)

とある所轄の忘年会での一こま。
この所轄では記者クラブの記者と一緒に忘年会を行っていた。
みんなよく出来上がった夜11時ごろ、署長の後閑の膝元にとあるメモが出された。
「15年前の女教師の自殺事案につき 他殺の疑い濃厚との有力情報あり 至急、帰署されたし」
このメモを見た刑事課の刑事たちは、記者と他の課の職員を置いてひとりまたひとりと退出していく。

しかし、事件が起こったのはちょうど15年前。
殺人の公訴時効は15年だった。
時効完成は翌日午前0時。
時効まで24時間を切っていた。

警察は、ある重要参考人を署に引っ張ってくる。
参考人・喜多は15年前の事件の日、事件現場である高校に忍び込んでいた。
そして、死体発見現場とは異なる、校長室の金庫の中に死体を発見したのだった。
しかし、警察はあっさり自殺とみて捜査をすることなく事件は迷宮入りしていた。
それを知った15年前の喜多たち3人組は、独自に事件の真相を探り始めたのだった。


いかん、うまい紹介ができない。
でもこの本、お勧めです。
伏線を上手に幾重にも張って、そしてちゃんと地雷を踏んでいく。
だれもが納得しそうな解決が見つかるのに、なにか心に引っかかるものがある。
普通の読者ならなにかしかの違和感を覚えるはずだ。
ただ、その違和感のまま終わってしまう本は少なくない。
雑多な推理小説なんか、そんなことばっかり。
しかし、この作品はしっかりその伏線も回収していく。
典型的な推理小説でありながら、読者を引き付ける臨場感。
スリルを感じさせる描写。
複数の事件が絡み合いながら、それを解決へと導いていくストーリーにやられます。
丁寧に伏線も回収してくれるので心地よいです。
まあ、三億円事件との結びつきはすこしやりすぎな感もありますけど。
それを差し置いてもよい作品だと思います。

★★★★★

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