『幸せの条件』 誉田哲也

2015年11月01日 10時09分59秒 | 誉田哲也
幸せの条件とは・・・といった自己啓発的な話ではないです。



「恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下された―単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた24歳に勝算はあるか!?働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。 」(BOOKデータベースより)

主人公の梢恵。
二流大学を出てなんとか就職するも、なにをさせてもだめ。
伝票管理と在庫管理のみをして毎日過ごしている梢恵に社長から
「バイオエタノール用のコメを作れる農家を捜してこい」との下命を受け、
一身長野に行くことに。
方々に断られ、やっと拾われた農業生産法人「あぐもぐ」で、
梢恵は農作業を手伝うこととなる。

農作業を続けていたある日、日本に危機が訪れる。
梢恵は初めて自分のやりたいことに気付き、必要とされることを実感し、成長していくのでした。



という、流れ的には典型的なダメ人間成長パターン。
でもいい話。
終わり方がちょっとあっさりしてたかなーって感じですが、
読んでて心地よい作品でした。

『ブルーマーダー』 誉田哲也

2015年07月14日 20時43分19秒 | 誉田哲也
久しぶりに誉田先生です。


「池袋の繁華街。雑居ビルの空き室で、全身二十カ所近くを骨折した暴力団組長の死体が見つかった。さらに半グレ集団のOBと不良中国人が同じ手口で殺害される。池袋署の形事・姫川玲子は、裏社会を恐怖で支配する怪物の存在に気づく―。圧倒的な戦闘力で夜の街を震撼させる連続殺人鬼の正体とその目的とは?超弩級のスリルと興奮!大ヒットシリーズ第六弾。 」

姫川玲子シリーズは
ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」、「インビジブルレイン」、「感染遊戯」「インデックス」と紹介してきましたが、あと紹介していませんが「シンメトリー」もありますね。

インデックスのほうが7作目になりますが、今回のが6作目です。

今回は怪物です。
両鎖骨をへし折り、抵抗できない形にしたうえで
殴り殺す。
恐ろしい殺人鬼対姫川ら警察のスリリングにあふれる作品。
ただ、それだけじゃなくがんてつの人情味あふれる部分も。
まあ、ながいことこの作品読んでると、
いろんな人に感情移入することになりますね。

もちろん、菊田もがんばってます。

僕は菊田の味方です。

『インデックス』 誉田哲也

2015年03月21日 21時43分39秒 | 誉田哲也
久しぶりの姫川玲子シリーズ(ストロベリーナイトシリーズ)だったので、単行本だけど買いました。



「池袋署強行犯捜査係担当係長・姫川玲子。所轄に異動したことで、扱う事件の幅は拡がった。行方不明の暴力団関係者。巧妙に正体を隠す詐欺犯。売春疑惑。路上での刺殺事件…。終わることのない事件捜査の日々のなか、玲子は、本部復帰のチャンスを掴む。気になるのは、あの頃の仲間たちのうち、誰を引っ張り上げられるのか―。 」(BOOKデータベースより)

久しぶりにジャケットも載せてみた。
誉田さんのジャケットきれいなんですよ。


さて、この作品は全8作からなる短編集です。
一つ一つは短くて20~30分程度で読めます。
短編はどうしても展開が早いんでね、紹介しずらいところがあります。
ま、姫川さんなんで、小さな事件から大きな事件を引っ張り出すのがうまかったり。
いろんなヒューマンドラマが見れたり。

さくっと読めますので、気になる方はどうぞ!

『黒い羽』 誉田哲也

2014年10月29日 21時37分16秒 | 誉田哲也
今日はこれで終わりです。

「右肩にある瑕に、君島典子は幼い頃から苦しんできた。激しい痒みと痛み。どんな治療もほとんど効果がなかった。病院を転々とした末に辿り着いた遺伝子治療という選択。典子は主治医らとともに、人里離れた山奥にある研究施設へと向かう。ところが、そこには何体もの惨殺死体が転がっていた!ここには凄まじく危険なナニカがいる…。衝撃のサスペンス・ホラー。 」

ホラーとは言いますが、お化けが出てきたりはしませんのでご安心ください。
という意味じゃないか。

原因不明の傷に苦しむ典子は、ある日人里離れた研究施設に向かうことになる。
その研究施設は遺伝子治療を研究している施設。
いままでどんな治療も効かなかった傷だったが、一縷の望みをたよって雪深い山道を進んでいたが、そこで事故が起きる。
雪にハンドルを取られ、乗っていた車が崖から落下してしまった。
なんとか生き延びた典子たちはなんとか研究施設にたどり着くことができたが、そこにはおなかを食いちぎられたかのような死体が転がっていた。
一人が建物から逃げ出したが、帰り道は雪崩で道がふさがれており、帰ることもできない。
そんななかで、典子たちは施設の中を調べることにしたが、そこには凄惨な状況が広がっていた。


まあ、人がたくさん死ぬ物語はあんまり好きじゃないんですが、これは人がたくさん死にます。
ということで好きかと言われたらそういうことではない。
リアルじゃないことがあるとしらけることもあります。
本当はリアルなことかもしれませんけどねw

気になる方はお読みください。

『レイジ』 誉田哲也

2014年10月11日 11時05分13秒 | 誉田哲也
最近はめっきり小説の紹介が減ってしまいました。おすすめがあったら切実に教えてほしいくらいです。好みは長編小説で恋愛ものは基本NGですw

「音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル、高みを目指すゆえ周囲と妥協できない礼二。中学で出逢った二人は、文化祭でバンドを結成するが、その後、それぞれ違う道を歩み続ける。女子の青春小説でも定評のある著者が、今度は、二人のロック少年の苦悩と成長を描く。ほろ苦く切ない、青春ロック小説。 」(BOOKデータベースより)

えー青春ロック小説です。
何歳になっても青春です。
そこは読んでもらえばわかることかと思いますが、あえて書かないでおきます。

この作品は二人の主人公が交互に一人称でつないでいくものとなります。
主人公はワタルと礼二。
ワタルと友達の友哉はバンドを結成することになるが、ボーカルができる人が見つからなかった。
そこに友哉が礼二を見つけてきた。
礼二は快く引き受けるが、1度文化祭で演奏したきり、方向性の違いで礼二が脱退することになる。
ふたりはそれぞれけん制しあいながらもそれぞれの道を進むことになるが、そのさきにある事件がおこるのだった。


とまあ、よくある構成といえばそれまでですが、二人の一人称をそれぞれ書くことで、それぞれの思惑だったり葛藤だったりがみえていて、それがどうなっていくのかが、この作品の楽しみどころ。
ついでにいえば、二人の恋の行方もですが。

バンドにかける思い。
なかなか熱いですね。

『ドルチェ』 誉田哲也

2014年07月01日 21時08分33秒 | 誉田哲也
エアコンが良く効いた職場で働きたいです。

「元捜査一課の女刑事・魚住久江、42歳独身。ある理由から一課復帰を拒み、所轄で十年。今は練馬署強行犯係に勤務する。その日、一人の父親から、子供が死亡し母親は行方不明との通報があった。翌日、母親と名乗る女性が出頭したが(「袋の金魚」)。女子大生が暴漢に襲われた。捜査線上には彼女と不倫関係の大学准教授の名も挙がり…(「ドルチェ」)。所轄を生きる、新・警察小説集第1弾。 」(BOOKデータベースより)

誉田哲也さんの警察もの短編小説集ですね。
主人公の魚住久江を中心に、街で起こる殺人事件には満たない傷害事件だったりを捜査している。

久江は粘り強い捜査で真実を見抜く目を持っていて、たとえ交通事故であってもその視点を逃さずに捜査にあたっている。

奥さんに刺された「袋の金魚」
強盗傷害の「ドルチェ」
レイプ未遂の「バスストップ」
傷害事件の「誰かのために」
同じく傷害の「ブルードパラサイト」
交通事故の「愛したのが百年目」

の6作ですが、どれも名推理により事件解決!
というよりは、人間味があふれるような作品です。

さくっと読めます

『感染遊戯』 誉田哲也

2014年01月12日 17時45分52秒 | 誉田哲也
2本目です。



「会社役員刺殺事件を追う姫川玲子に、ガンテツこと勝俣警部補が十五年前の事件を語り始める。刺された会社役員は薬害を蔓延させた元厚生官僚で、その息子もかつて殺害されていたというのだ。さらに、元刑事の倉田と姫川の元部下・葉山が関わった事案も、被害者は官僚―。バラバラに見えた事件が一つに繋がるとき、戦慄の真相が立ち現れる!姫川玲子シリーズ最大の問題作。 (BOOKデータベースより)

誉田哲也さんの「姫川玲子」シリーズの第何作目でしょうか。5作目ですかね。
スペシャルドラマになった「ストロベリーナイト」
ドラマ化された「ソウルケイジ」や「シンメトリー」
映画化された「インビジブルレイン」

そしてこの作品は「インビジブルレイン」の後、解散した姫川班のその後の物語ですね。
映画の後にスペシャルドラマ化されていますね。

この作品は今までの4作品とは異なって、主人公が姫川ではなく、脇役であった「がんてつ」こと勝俣、子供が殺人を犯し妻が殺された元刑事の倉田、そして元姫川班の若手巡査部長の葉山。

それぞれが主人公の短編が3本と、それらが合わさり混ざり合い、中編くらいの長さの話で完結します。
あまり明かされなかった「がんてつ」の苦悩だったり、警察官の正義感だったり、まあ警察小説でありながら、その人間性を絡めたあたりがさすがです。

今までみたいなえぐい殺し合いとかはなく(殺しはありますが)、おもいのほかすっきりするような話もあれば、現代の問題に切り込んだような話もあります。

姫川シリーズが好きな方は必読ですね。

『歌舞伎町セブン』

2013年12月12日 19時57分11秒 | 誉田哲也
いつもアクセスありがとうございます。このブログ、どこかに紹介でもされたのでしょうか?
一気にアクセスが増えてビビっております。w



「歌舞伎町の一角で町会長の死体が発見された。警察は病死と判断。だがその後も失踪者が続き、街は正体不明の企業によって蝕まれていく。そして不穏な空気と共に広まる謎の言葉「歌舞伎町セブン」…。『ジウ』の歌舞伎町封鎖事件から六年。再び迫る脅威から街を守るため、密かに立ち上がる者たちがいた。戦慄のダークヒーロー小説。 」(BOOKデータベースより)

久しぶりに誉田さんの歌舞伎町を舞台にした作品。
メインではありませんが、以前「ジウ」で活躍した東警部補も登場します。
彼のファンの方は是非読みましょうw

さて、歌舞伎町でひそかに噂され始めた「歌舞伎町セブン」という言葉。
それが何を意味するのかわからないが、何人かが動いていることは事実のようだ。
町会長が殺されたことでひそかに調査を始めた地域課の巡査部長・小川は、町会長の死に方に疑問を持った。
以前、新宿区長だった父親が同じような死に方をしていたのだった。
特に外傷がないが、少し違和感のある心不全でなくなっていた。
聞き込みをしていく中で、小川は「歌舞伎町セブン」と「欠伸のリュウ」という二つのことばを聞く。
それをもとに街をかぎまわっていた小川は、あるとき暴漢にさらわれてしまうのだった。


と、かきましたが話の核には全く触れられていません。
そこまで書いちゃうと面白味のかけらもないですもん。
いや、あるだろうけど是非読んでほしいですね。

誉田さんらしい圧倒的な暴力とゆがんだ正義。
ファンなら楽しめると思いますね。ジウやストロベリーナイトのようにえぐいシーンも特にありませんので。
ジウとつながっているといえばそうですが、読んでいなくても大丈夫なお話になってます。

『月光』 誉田哲也

2013年06月25日 19時14分40秒 | 誉田哲也
最近涼しいですね。これが普通か。



「同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。 」(BOOKデータベースより)

ついにこのブログもR18を紹介するようになってしまったのか。
18歳未満の方は閲覧禁止ね。

といってもそこまでエロではないし、そこまでヴァイオレンスでもない。
ゆうなれば「限りなく透明に近いブルー」のほうがよっぽどR18だ。


野々村結花は姉の涼子をバイクの事故で亡くし、その事故に疑問を持っていた。
そんな結花は姉が通っていた高校に入り、同じ部活に入り、その疑問を解消しようとしていた。

結花はそこで音楽教師の羽田と出逢う。
ほかの教師に聞いてもはぐらかすようにして教えてくれなかったが、羽田だけは結花に協力してくれた。
それに結花は、涼子と羽田が何らかの関係にあったのではないかと思っていた。
のちに、羽田と涼子は不倫の関係にあったことが明らかになるのだった。
しかし、それは涼子の闇の一部分にすぎなかった。
涼子はもっとおぞましい、苦しい高校生活を送っていたのだった。


罪と罪の連鎖。
罪が罪を呼び、それがまた罪になる。
単純ではない罪に下される罰。
それは妥当なのか。
罰せられないものの罪はないのか。
そして、そこに差す淡い月の光のような慈悲。

答えのないようなものだけど、すっきりするようなすっきりしないような。

エロと暴力が苦手じゃなけりゃ読んでみてください。

★★★★☆

next...「箱館売ります(上) - 土方歳三 蝦夷血風録」
土方歳三らの旧幕府軍は、新政府軍から箱館を奪還した。その混乱に乗じて、広大な土地を手に入れようと目論むプロシア人兄弟は、蝦夷政府の幹部たちに近づく。財政難にあえぐ旧幕府軍は、租借料を目当てに契約の締結を進めるのだが、プロシア人兄弟の背後には、領土を広げようと企むロシアの策謀が見え隠れしていた―。 (BOOKデータベースより)

『世界でいちばん長い写真』 誉田哲也

2012年12月21日 22時09分10秒 | 誉田哲也
なーんで日本はクリスマスにカップルで過ごさなきゃいけないんでしょう?と思う寺の息子です。

「人気者だった親友の洋輔が転校してから、宏伸の毎日は冴えない感じだ。特にやりたいこともなく、クラブ活動の写真部でも、部長からしかられてばかり。そんなある日、祖父の古道具屋で、大砲みたいにごつい不思議なカメラに出合う。世界一長い写真が撮れるカメラって!?その日から、宏伸の日常がきらめき始める。ワクワクして胸にジンとくる、青春小説の新たな傑作。」(BOOKデータベースより)

ごめんなさい。写真はないです。

主人公の宏伸は、親友の洋輔が引越してから冴えない日々を過ごしている中学三年生。
特筆すべき点は特にない、普通の中学三年生。
そんな宏伸が祖父のリサイクルショップでよくわからないごついものを見つける。なにやらそれは古いカメラらしい。
ネットで調べてもよくわからなかった宏伸はリサイクルショップに再度出向き、しっかりカメラを調べてみることにした。
そのカメラは、ごついL字の台座にカメラがはまっているような形で、その台座の下にはなにやら複雑な機構をもつ回転台のようなものが付いている。
みてもわからなかった宏伸は写真店に持ち込むが、それはスリットカメラなるものだと判明した。
どうやら、カメラの前を通過する物体を連続して撮影できるカメラらしい。しかもこのカメラは下の回転台にモーターが付いていて、自動で360度連続した写真が撮れるものだと判明。
宏伸は、このカメラに出合い、だんだんと元の活気がある学生時代に戻っていくのだった。

書きたいことが書けないね。もどかしいです。
スリットカメラってのは、こんな写真が撮れるらしいです。
勝手に引用しました。すいません。

中学男子の青春です。
そこにはもちろん手の届かない美人がいて、でもいつもそんなにかわいくない強い女子に抑え込まれるようなことも。
思わず笑ってしまうような失敗も。
でもそれが中学生ってもんでしょう。
早々美女にお近づきになんてなれませんよね?w

あ、あと従妹の温子ね、いいよ。
いい味出してます。

すっきり爽快な読みものでした。

★★★★☆

next...「身の上話」 佐藤正午
あなたに知っておいてほしいのは、人間にとって秘密を守るのはむずかしいということです。たとえひとりでも、あなたがだれかに当せんしたことを話したのなら、そこから少しずつうわさが広まっていくのは避けられないと考えたほうがよいでしょう。不倫相手と逃避行の後、宝くじが高額当選、巻き込まれ、流され続ける女が出合う災厄と恐怖とは。 (BOOKデータベースより)