『月光』 誉田哲也

2013年06月25日 19時14分40秒 | 誉田哲也
最近涼しいですね。これが普通か。



「同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。 」(BOOKデータベースより)

ついにこのブログもR18を紹介するようになってしまったのか。
18歳未満の方は閲覧禁止ね。

といってもそこまでエロではないし、そこまでヴァイオレンスでもない。
ゆうなれば「限りなく透明に近いブルー」のほうがよっぽどR18だ。


野々村結花は姉の涼子をバイクの事故で亡くし、その事故に疑問を持っていた。
そんな結花は姉が通っていた高校に入り、同じ部活に入り、その疑問を解消しようとしていた。

結花はそこで音楽教師の羽田と出逢う。
ほかの教師に聞いてもはぐらかすようにして教えてくれなかったが、羽田だけは結花に協力してくれた。
それに結花は、涼子と羽田が何らかの関係にあったのではないかと思っていた。
のちに、羽田と涼子は不倫の関係にあったことが明らかになるのだった。
しかし、それは涼子の闇の一部分にすぎなかった。
涼子はもっとおぞましい、苦しい高校生活を送っていたのだった。


罪と罪の連鎖。
罪が罪を呼び、それがまた罪になる。
単純ではない罪に下される罰。
それは妥当なのか。
罰せられないものの罪はないのか。
そして、そこに差す淡い月の光のような慈悲。

答えのないようなものだけど、すっきりするようなすっきりしないような。

エロと暴力が苦手じゃなけりゃ読んでみてください。

★★★★☆

next...「箱館売ります(上) - 土方歳三 蝦夷血風録」
土方歳三らの旧幕府軍は、新政府軍から箱館を奪還した。その混乱に乗じて、広大な土地を手に入れようと目論むプロシア人兄弟は、蝦夷政府の幹部たちに近づく。財政難にあえぐ旧幕府軍は、租借料を目当てに契約の締結を進めるのだが、プロシア人兄弟の背後には、領土を広げようと企むロシアの策謀が見え隠れしていた―。 (BOOKデータベースより)

『噂』 荻原浩

2013年06月22日 19時03分47秒 | 読書
いい天気ですね。最近梅雨らしかったので週末に張れるとうれしいものです。



「「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。 」(BOOKデータベースより)

主人公は目黒署に勤める小暮巡査部長。
管内で起きた殺人事件の捜査の相方となったのは本庁の捜査一課の名島警部補。
名島は小柄で若い、ちょっとハスキーボイスの女だった。

小暮と名島は被害者の交友関係をあったていたところ、ふと「レインマン」という言葉を耳にする。
ニューヨークからやってきて、黒いレインコートを着ていて、女の子の足首を切断するという。
噂にしては今回の殺人と酷似しすぎているが、それと犯行との接点があまりになく、捜査でもあまり重要視されない。
しかし、渋谷の若い女子を中心に、確かにレインマンの噂は広がっているのだった。

小暮と名島はレインマンの噂がどう広がっていっているのか調べだしたところ、ある会社が浮かび上がってきたのだった。


と、まあ思わせぶりに書きましたが、序盤から犯人の目星は付いてきます。
まあ3人くらいに絞れますよね。
そんなかからあり得なそうな一人を選ぶわけですよね。こいつが犯人だ!と。
ああ、またこの類いか。と真ん中辺まで思ってましたけどね。
さすがに犯人を追いつめるシーンなんかは迫力ありますよね。
それがなかったら警察小説の楽しみがないってものです。

犯行の手口だとか動機だとかはそんなに凝ったものではない。
まあ、こりゃ★三つコースだな、とおもいつつ最後まで読み進めてましたけどね。
帯にも書いてある通り、最後の1行で震えました。
そうきたかー!ってね。
まあ、熟考してりゃその可能性もありうるわけだけど、何気なーく最後の結末を読んでるとびっくりします。
最後の1行で★ひとつあげます。w
思うに、前も書いたかもしれないけど、小説の最後の一行ってとっても難しくてとっても重要。
どんなにいい作品でも終わり方が悪いとがっかり。
悪い作品でも評価が上がってしまったり。
なかなか自分が評価する最後の一行ってあんまりないんですけど、久しぶりに出会いました。
気持ちよい作品ではないですが、お勧めですね。

★★★★☆

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同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。 (BOOKデータベースより)

『閃光』 永瀬隼介

2013年06月19日 21時08分57秒 | 読書
やっと雨が降りました。



「玉川上水で男性の扼殺体が発見された。捜査陣に名乗りを上げた老刑事・滝口と相棒に選ばれた巡査部長の片桐。滝口はこの殺人事件に三十年以上前に起きた“三億円事件”との接点を見いだす。その頃、殺された男と三億円事件当時仲間だった連中がにわかに再会を果たしていた。昭和最大のミステリーに、緊密な文体と重層的なプロットで迫る!『19歳一家四人惨殺犯の告白』で読者を震撼させた著者がものした、犯罪小説の白眉。」(BOOKデータベースより)

三億円事件を題材にした作品。
僕の生まれる前の話なので詳しいことは知りませんが、昭和の未解決事件なんですね。
概要はwikipediaでどうぞw

さて、転々と語り手が変わっていく作品ですが、主に捜査一課で定年間近の滝口と所轄で刑事課の片桐の語られていきます。

玉川上水で発見された男は、以前三億円事件の重要参考人であったが逮捕されることのなかった男だった。
三億円事件は、容疑者逮捕の一歩手前までいっておきながら、解決することのなきまま時効を迎えた。
容疑者グループのリーダーは警察官の子どもであり、その子供が自殺したことから、警察は臭うものにふたをしたのだった。 

その事件から34年、当時三億円事件の捜査に加わっていた滝口は真相を暴くために、片桐とともに独自に捜査を始めた。
その陰で、当時の犯行グループは再び集まり始めたが、次第に仲間割れをしていく。
そして、ひとり、またひとりと犠牲者が増えていくのだった。

滝口は真相を暴ききれるのか。
また、犯行グループの運命は。



なかなか読むのに時間がかかると紹介する文章が下手になります。
もともと下手だろうという批判はご容赦ください。

さて、実際の事件からインスパイアしたフィクションですが、解説によるとだいぶリアルな感じのようです。
最初は際物かなとおもいながらも手に取ってしまいましたこの作品。
まず帯「営業担当が満場一致で推薦!」と書かれたら読むしかないでしょう。
そして面白くなかったら今後角川書店の本を読むことはないでしょう、というリスク満天の広告につられて手に取りました。

たまに「ん?」と思うこともままありましたけど、このボリュームにして十分の臨場感があり伏線を上手に回収したりとなかなかの作品だと思います。
はじめて読む作家さんですが、ノンフィクションで有名な方っぽいですね。
今後期待かもしれません。

★★★★☆

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「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。 (BOOKデータベースより)

『翳りゆく夏』 赤井三尋

2013年06月11日 18時44分10秒 | 読書
台風大丈夫でしょうかね?僕の髪はアウトです。



「「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。」(BOOKデータベースより)

東西新聞社の社員・梶はある事件の責任から記者の身分を追われ、今は調査資料室長を務めている。
室長とはいえ、部下は2人。
退屈な日々を過ごしていた。
そんな梶に社長直々に20年前の幼児誘拐身代金事件の再調査が命じられることになった。
その事件は、容疑者死亡ということで決着している事件だった。

再捜査は困難なものだった。
なにせ20年前の事件で容疑者は死んでいる。
子どもも見つからないままだった。

そんな梶はあることから意外な人物が怪しいことに気付くのだった。


題材としては面白いですよね。
誘拐犯の娘に焦点を当ててるところとか。
ストーリー的にも面白く読ませていただきました。

と、こういう紹介をするときは大体そうだけど、推理が突飛にすぎたりするんですよね。
まあ、読者の想像としてはそういう結論もありかななんて感じですが。(読者はあり得ないような人を勘であてるのが好きですよねw)

今回のお話では導入も結論も申し分ないと思うんですけど、つなぎの部分がちょっと弱かったかなという印象。
それを差し置いても、十分に読み応えのある作品でした。

★★★★☆

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玉川上水で男性の扼殺体が発見された。捜査陣に名乗りを上げた老刑事・滝口と相棒に選ばれた巡査部長の片桐。滝口はこの殺人事件に三十年以上前に起きた“三億円事件”との接点を見いだす。その頃、殺された男と三億円事件当時仲間だった連中がにわかに再会を果たしていた。昭和最大のミステリーに、緊密な文体と重層的なプロットで迫る!『19歳一家四人惨殺犯の告白』で読者を震撼させた著者がものした、犯罪小説の白眉。 (BOOKデータベースより)

『限りなく透明に近いブルー』 村上龍

2013年06月08日 11時05分13秒 | 読書
最近重力に体が勝てません。



「米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく―。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に!群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作。 」(BOOKデータベースより)

ドラッグとセックスの話。
それは大きく括りすぎか。w

福生(ふっさ)のハウスで、リュウはアルコールやドラッグにまみれて生きていた。
さまざまなパーティを開いてはアルコールを飲み、コカインやヒロポンを打ち、セックスをしていた。

そんななかで、リュウたちのグループは時にけんかをし、時に狂い、時にセックスをする。
そうこうしているうちに、リュウは頭に空想の街を描くようになり、それにおびえ、憧れ、苦しみながら生きていく。
そこで見た限りなく透明に近いブルーは、リュウにどう映ったのか。


今回の紹介は読んでもわけわからないと思います。
訳も分からなくなりながら紹介してるのでわけわからないと思います。

たかだか160ページのこの作品に、著者は後に書く自分の著書の要素がすべて詰まっているといいます。
それを読んで共感するのも自分、反発するのも自分。
あまりに親切じゃないこの作品ですが、何度も読みこめば作者の意図することが分かってくるのかもしれませんね。

★★★☆☆

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「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに“封印されていた真実”をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。 (BOOKデータベースより)

『宇宙のみなしご』 森絵都

2013年06月04日 17時42分46秒 | 読書
コメントください(*´∀`)笑

「中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン。両親が仕事で忙しく、いつも2人で自己流の遊びを生み出してきた。新しく見つけたとっておきの遊びは、真夜中に近所の家に忍び込んで屋根にのぼること。リンと同じ陸上部の七瀬さんも加わり、ある夜3人で屋根にいたところ、クラスのいじめられっ子、キオスクにその様子を見られてしまう…。第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞の青春物語。 」(BOOKデータベースより)

主人公の陽子は中学二年の女子。
両親は仕事で忙しくなかなか家に帰ってこない。
そんな陽子は年子の弟リンといろんな遊びを模索しながら過ごしてきた。

そんな陽子は二学期も始まって間もない頃からふと不登校になった。
理由は特にない。
一言で言えばサボりぐせがついただけ。

ある日、陽子は屋根に乗っている一匹の猫を目にする。
なんか、気持ち良さそう。
そう思った陽子は、リンと夜な夜な屋根に上る遊びを思い付いたのだった。

屋根に上ることは二人にとってなんとも言えないスリルと興奮を覚えることだった。
二人は屋根に上ることで、いろんな事件や出来事に出会うのだった。



なかなか面白いところまで紹介できないと言うか、面白いところ紹介しちゃうと、すべネタバレしちゃいそうで、さわりだけの紹介になりました。

一言で言えば、青春小説となるんでしょうか。
ほとんどが中学生の話だし、彼らの心情の変化を書いたさくひんですので。

そんなに長くない作品で、読みやすいので一日で読めちゃうような作品です。

★★★☆☆

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米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく―。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に!群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作。 (BOOKデータベースより)

『チャコズガーデン』 明野照葉

2013年06月01日 09時45分23秒 | 読書
5月は3作品の紹介にとどまってしまいましたが、読んだのは9冊分ですね。よく読んだほうだ。



「吉祥寺の瀟洒なマンション、チャコズガーデンに住む渚は、離婚を隠したまま孤独な数ヶ月を過ごしていた。だが不審者の侵入や奇妙な騒音が頻発、住人同士で協力することに。そこで見えてきたのは各家族の秘密、最上階に住む謎のレディの正体…渚は住人達と危機を乗り越え、新しい一歩を踏み出せるのか。サスペンスの名手が描く人間ドラマ。」(BOOKデータベースより)

国友渚。
もとい佐伯渚。
彼女はチャコズガーデン505号室に住む女子。
渚は実業家の夫・秋介に別れを切り出され、今は慰謝料として二人で住んでいたマンションの一室をもらい、一人で暮らしていた。
しかし、渚は離婚したことを告げることなく、まだ秋介と暮らしているようにみせかけていた。
苗字も旧姓の佐伯になっていたが、表札は国友のまま。

ある日、503号室に岡地一家が引っ越してきた。
岡地の妻・映子は優雅な専業主婦のような女性で、その子供のケイトは妖精のようにきれいな少年だった。
ケイトは、渚のさみしさを敏感に感じ取り、いろいろと話しかけてくるように。
また、映子は渚を誘ってランチをしたり、いろいろと働きかけてくるように。
それにつられて、外部との接触を拒んでいた渚も徐々に心を開いていくようになる。

また、チャコズガーデン内でさまざまな事件が発生することに。
日々送られてくる不審な郵便物。
散見される不審人物。
夜中に響く不審音。

それらの不審に対応していく住民たちの秘密は徐々に明らかにされ、その反面、住民たちの付き合いはより親密になっていくのであった。


最近、紹介文を書くのが苦手になってきました。w
前は、考えるまでもなくすらすら出てきたのに。
ちょっとスランプですw

さて、今回のチャコズガーデン。
明野照葉さんということでごてごての人間ホラーサスペンスを期待してましたけど違いました。
帯に書いてある、「自分の不幸は隠したい。人の秘密は見てみたい。」から、またそういう展開なのかなと思ってましたけど。
今回はハッピーエンドですよ、割と。
明野ファンのみなさん、読むか読まないかはあなた次第です。w


★★★☆☆

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中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン。両親が仕事で忙しく、いつも2人で自己流の遊びを生み出してきた。新しく見つけたとっておきの遊びは、真夜中に近所の家に忍び込んで屋根にのぼること。リンと同じ陸上部の七瀬さんも加わり、ある夜3人で屋根にいたところ、クラスのいじめられっ子、キオスクにその様子を見られてしまう…。第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞の青春物語。 (BOOKデータベースより)