『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』池井戸潤

2014年09月24日 20時55分09秒 | 池井戸潤
いまさらですが、半沢直樹原作です。話は続きですのでまとめて紹介します。

「大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。 」(「オレたちバブル入行組」BOOKデータベースより)

今頃になって半沢直樹を見たので、原作を読んでみました。
原作⇒ドラマとか映画っていうパターンはだいたい小説に思いが強すぎてがっかりするんですけど、今回は逆パターンです。

さて、倍返しだの半沢さんですが、小説ではもう少し優しいですね。
まあ、ドラマなんでかなり誇張しているところがあります。
愛しの花ちゃん(上戸彩)はそんなに大事なポジションじゃないし。
まあ、あまり書くと半沢ファンにも怒られてしまうかもしれませんね。

ドラマで見て不可解だった点が小説では書かれているので謎が解けたりしましたが、ぎゃくにドラマのキャラクターが強すぎてそのイメージのまま読んでしまいましたね。
まあ、よくあることですが、小説とドラマは似て非なるものです。

それを受け止めれるならお読みください。

『架空通貨』 池井戸潤

2012年10月22日 19時35分33秒 | 池井戸潤
どーしても読書時間が短くなってしまう。どーにかしたい



「女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻した―。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、二人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。江戸川乱歩賞受賞第一作『M1』を改題。」(BOOKデータベースより)


読み終わったのは1週間ほど前になるんだけど、なんとなくこう紹介する気がでませんでして遅くなってしまいました。
紹介したい!っていうほどヒットしなかったってのもあるんですけどね。

さて、物語は社会科教師の辛島と教え子の麻紀が、麻紀の父親が経営する黒沢金属工業が不渡りを出したことで倒産の危機にひんしているときの話。
麻紀は社債の期前償還をもとめて、田神亜鉛に出向くのだが、そこには田神亜鉛とそれを取り巻く企業集団の破滅への道のりがあったのだった。

あかん、説明端折りすぎた!
でも説明しにくいってのもあるんです(言い訳)

架空通貨とは何か。
それが流通した先に見えてくるのは。
中小零細企業の経営基盤の脆弱さが事件をより大きくしてしまう。


★★★☆☆

next...「同期」今野敏
警視庁捜査一課の宇田川は現場で発砲されるが、突然現れた公安所属の同期の蘇我に救われる。数日後、蘇我は懲戒免職となり消息不明に。宇田川は真相を探るが、調べるにつれ謎は深まる。“同期”は一体何者なのか?組織の壁に抗い、友を救おうとする刑事の闘いの行方は!?今野敏警察小説の最高峰がここにある。 (BOOKデータベースより)

『BT'63』 池井戸潤

2012年09月01日 09時51分41秒 | 池井戸潤
連続で申し訳ないです。



「父が遺した謎の鍵を手にすると、大間木琢磨の視界に広がるのは、四十年前の風景だった。若き日の父・史郎が体験した運送会社での新事業開発、秘められた恋…。だが、凶暴な深い闇が史郎に迫っていた。心を病み妻に去られた琢磨は自らの再生をかけ、現代に残る父の足跡を調べる―。父と息子の感動長編。 」(BOOKデータベースより)(上)
「呪われたトラックBT21号の運転手四人が次々と殺され、史郎が精魂を注いだ新事業も立ち行かない。すべては闇の住人、成沢が仕掛けたことだった。愛する鏡子まで成沢の罠に陥り、史郎は苦悩の選択をする―。一方の琢磨は、現代に残っていたBT21号を手に入れる。「物語」のすべてがつまった圧倒的大作。 」(BOOKデータベースより)(下)


主人公は大間木琢磨。
父である大間木史郎を亡くし、また自身も病気により仕事や恋人、そしてここ数年の間の記憶を失っている。
そんな琢磨はある日夏服を押し入れから出すときに、濃紺に金のモールをあしらってある「相馬運送」の制服、父の昔の職場の制服を見つけたのであった。
その日の夜、あまりに寝付けなかった琢磨はふと思い立ってその制服を着てみることに。
しかし、その制服に袖を通した瞬間、耳にエンジンをかけているような音や「ちっきしょう!」「デコンプレバーを引け!」といった声が聞こえるようになった。
何が何だか分からなくなった琢磨は、そのままその世界に引き込まれていくのであった。

その世界とは40年前の若き日の史郎の物語である。

この40年前の物語をみた琢磨は、その物語を頼りに現実世界で相馬運送を探し出すことに。なぜか問われれば自分探しとしか言いようがない。
その中で出逢った当時のメインバンクであった三つ葉銀行の桜庭と面会する。

この小説は、これら40年前の史郎の物語、桜庭の記憶を頼りに、琢磨が現実世界で真実をみつける物語である。


この父の制服を着ること(のちにBT’21の鍵を手にすること)で過去の父の記憶が見えるという、池井戸潤にしては珍しい(?)SF的要素が多いこの物語。
BT’21とはボンネットトラック21号という意味だが、まあ表紙のようなトラックのことです。
このトラックが琢磨を呼んでいる。そんなお話。
なかなか時代背景が古かったり、難しい設定もあったかと思うけど、さすがは池井戸潤って感じで割と読みやすかったです。

★★★☆☆

next...「凍りのくじら」辻村深月
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。 (BOOKデータベースより)

『果つる底なき』 池井戸潤

2012年02月04日 23時46分49秒 | 池井戸潤
東京日帰りはしんどかったです。疲れは移動距離に比例するような気がする―。



「「これは貸しだからな」。謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった…。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊木はただ一人、銀行の暗闇に立ち向かう!第四四回江戸川乱歩賞受賞作。 」(BOOKデータベースより)


主人公の伊木の同僚である坂本が不審な死を遂げる。
伊木は、坂本の仕事を引き継ぐこととなるが、引き継いだ仕事の中で何か不正が行われていることに気付く。
事実を究明していくとどうやら不審な送金があることが分かるのだが、そのころ伊木の身に危険が迫っていた・・・。


俺が紹介文を書くとこんな感じになるかな。
銀行を中心として描くミステリ作品です。

俺は一応経営学部卒業だからある程度手形の取引とかはわかるけど、それ以外の普通の読者は理解できるのかなぁ?
割引手形とか不渡がどうこうとか、どうなんすかね?
まあ、わからんならわからんなりにメインストーリーを楽しむことはできると思うけど。

あと、読んでて思ったのが、時代設定をしっかりインプットしてなきゃ分かりにくいところがあったね。
この話は1990年代後半が舞台でした。
初版が1998年だからね。俺のミスでした。反省。

池井戸潤のちょっと荒削りなころの作品でした。

★★★☆☆

next...「限りなく透明に近いブルー」村上龍
米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に!(講談社文庫裏表紙から)

『鉄の骨』 池井戸潤

2011年12月13日 19時43分34秒 | 池井戸潤
やる気が出ない毎日です。


「中堅ゼネコン・一松組の若手、富島平太が異動した先は“談合課”と揶揄される、大口公共事業の受注部署だった。今度の地下鉄工事を取らないと、ウチが傾く―技術力を武器に真正面から入札に挑もうとする平太らの前に「談合」の壁が。組織に殉じるか、正義を信じるか。吉川英治文学新人賞に輝いた白熱の人間ドラマ。」(BOOKデータベースより)


池井戸潤、あいかわらず凄い作家だと思います。


世の中のタブーであろう「談合」に真正面から向き合った作品です。
話のプロットがまたすごいな、ちゃんと練られてて伏線もしっかり張って回収して。
最後にはまさかの展開ですよ。
そうきたか!あんたも役者だねぇ 的な。

人間ドラマも話に厚みをもたらしてますよね。
仕事とプライベートは連動して動くもの、そう思えてきたりします。
実際もそうなのかな?経験者の方はお知らせくださいw


お勧めです。

★★★★☆

『空飛ぶタイヤ』 池井戸潤

2011年10月17日 19時18分16秒 | 池井戸潤
タイムアウトで消えた―!だからかなり短めになります笑
本当のやつはもっと魂こもってました。



「走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。」
「事故原因の核心に関わる衝撃の事実を知り、組織ぐるみのリコール隠しの疑いを抱いた赤松。だが、決定的な証拠はない―。激しさを増すホープグループの妨害。赤松は真実を証明できるのか。社員、そして家族を守るために巨大企業相手に闘う男の姿を描いた、感動の傑作エンターテインメント小説。 」(BOOKデータベースより)


運送会社である赤松運送と財閥系(とはいってなかったか?)の自動車会社であるホープ自動車との争いの物語。


記憶に残っている方も多いと思いますが、あの三菱ふそうの起こした横浜母子三人死傷事件を題材とした物語です。
内容自体はもちろんフィクションですけど、読めば絶対にこの事故のことだろうと思うはずです。

話のプロットを予想するなら、赤松とホープ自動車ひいてはホープグループと争う中で赤松が追い詰められながらも悪役であるホープに勝つというおきまりのものでしょう。
というかそうです。

だから読者としては「簡単には感動しねーぞ!?」的な挑戦的な態度で挑むわけです。少なくとも私はそうです。


作家としてはそんな読者に勝たなくちゃいけませんよね。巧妙なトリックものじゃないですし。
読者を欺くか、読者の想像を超えるものを提供するか。
それは、あなたの目で確かめてください。

この物語の中で、幾度となく発せられる言葉があります。

「どこ見て仕事してんだ!」


今どこを見てるかってわけじゃないですよ。
誰のために仕事しているのか。

大企業のおごりがあるホープグループは自分たちの利益のことしか考えていないわけですよね。
だれでもそうかもしれません。自分がかわいいです。

赤松はそれにNo!を突き付けるわけですよね。

最後には感動です。また池井戸潤にやられました。

★★★★☆

Next...「ピース」樋口有介

『下町ロケット』 池井戸潤

2011年09月03日 21時20分28秒 | 池井戸潤
読みたくて先に読んでしまいました。



「その特許がなければロケットは飛ばない――。
大田区の町工場が取得した最先端特許をめぐる、中小企業vs大企業の熱い戦い!
かつて研究者としてロケット開発に携わっていた佃航平は、打ち上げ失敗の責任を取って研究者の道を辞し、いまは親の跡を継いで従業員200人の小さな会社、佃製作所を経営していた。
下請けいじめ、資金繰り難――。
ご多分に洩れず中小企業の悲哀を味わいつつも、日々奮闘している佃のもとに、ある日一通の訴状が届く。
相手は、容赦無い法廷戦略を駆使し、ライバル企業を叩き潰すことで知られるナカシマ工業だ。
否応なく法廷闘争に巻き込まれる佃製作所は、社会的信用を失い、会社存亡に危機に立たされる。
そんな中、佃製作所が取得した特許技術が、日本を代表する大企業、帝国重工に大きな衝撃を与えていた――。
会社は小さくても技術は負けない――。
モノ作りに情熱を燃やし続ける男たちの矜恃と卑劣な企業戦略の息詰まるガチンコ勝負。
さらに日本を代表する大企業との特許技術(知財)を巡る駆け引きの中で、佃が見出したものは――?
夢と現実。社員と家族。かつてロケットエンジンに夢を馳せた佃の、そして男たちの意地とプライドを賭した戦いがここにある。」(amazonより引用)


内容については上に書いた通り。あまりにいい紹介文だったので引用しちゃいました。


日本の中小企業の持つ技術力とプライドに涙しました。。。

なんて書いていいかよくわかりませんが、とりあえず読んでみてください。
さすが直木賞ってとこです。


佃製作所の成功には偶然の産物も多いんです。
でも本当の技術力をもっている会社は強い。

人もしかり。
本当の技術、能力をもっている人は強い。

この本の中では大企業vs中小企業っていう対比があるのはもちろんのこと、
そこで働いている人たち、さらにその会社の中でも対比されている。

規模だけでかくなって背伸びしすぎている人はしぼみ、
しっかりとした技術力、能力をもった人は成功する。



小さな工場を巡る、熱い熱いお話でした。



★★★★☆


next...「図書館危機」有川浩