『告白』 奏かなえ

2010年06月19日 15時52分05秒 | 読書

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
わが子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞のベストセラーが厚いに文庫化!(双葉文庫より引用)

「09年本屋大賞」第1位
「週刊文春08ミステリーベスト10」第1位
「ミステリが読みたい09年版」第3位
「このミステリーがすごい!09年版」第4位

そして映画化。


この小説の主人公といえば森口悠子先生、映画では松たか子が演じています。
小説でも映画でも、森口先生が終業式の後のホームルームで語る場面から始まります。
ここは原作そのままです。ぜひ見比べてほしいくらい、松たか子の名演技ですね。

かなりダークな内容です。
娘を殺された森口先生がどのように復讐したのかという話。

森口先生はほとんど、否、まったくと言っていいほど自分の手を汚さず、相手に精神的な苦痛を与えていきます。
中学生という多感な時代を生きる若者を相手にしているからこそ、この方法になる。

読んで、考えてみてください。

★★★★☆

『食堂かたつむり』 小川糸

2010年06月19日 15時45分57秒 | 読書


トルコ料理店でのアルバイトを終えて家に戻ると、部屋の中が空っぽになっていた。突然、同棲していた恋人に何もかもを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、主人公の倫子はさらに声をも失う。たったひとつ手元に残ったのは、祖母から譲り受けたぬか床だけ。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな小さな食堂を始める。一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂。次第に食堂は評判になるが――五感をくすぐる瑞々しく繊細な描写と、力強い物語運びで話題を呼んだデビュー作。(amazonより)


心温まるストーリー。

どうやってこの作品を紹介すればいいのか、ちょっと図りかねる部分がありますけど。。。


流れ的には起承転結って感じで、すごい読みやすい流れというか、ストレスなく読める作品です。
料理っていうものを通じて、人の心、親の愛情、子の嫌悪、田舎の温かさ、いろんなものを表現しているのではないでしょうか。



ちょっと、疑心暗鬼になってそうなあなたに贈る作品です。


★★★☆☆

『カシオペアの丘で』 重松清

2010年06月16日 20時04分11秒 | 重松清


丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった――。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再開と贖罪の物語が、静かに始まる。(講談社文庫より引用。下巻は略)

ヒューマンストーリー。


久しぶりに涙した。
39歳という若さで癌に侵された俊介。
余命半年と診断された男を中心とした、人情味あふれるものがたり。


なぜ俊介は故郷である北都を離れなければならなかったのか。
なぜ俊介は親友を傷つけてしまったのか。
王と呼ばれた祖父はなぜ冷徹な対応をし続けているのか。


「命」というものを、これほどに胸に訴えかけてくる作品はなかなかない。

これは、俺の憧れでもあるかもしれない。

故郷を捨て、家を捨て、親友を捨て、やってきた東京。
死にゆくことは、とても悲しい。つらい。
けど、それと向き合うことで、今まで許せなかったことに立ち向かう勇気を得られたのかもしれない。


★★★★☆

『がらくた』 江國香織

2010年06月05日 22時17分16秒 | 読書


私は彼のすべてを望んだ、その存在も、不在による空虚さも――。45歳の翻訳家・柊子と15歳の美しい少女・美海。そして、大胆で不穏な夫。彼は天性の魅力で女性を誘惑する。妻以外のガールフレンドたちや、無防備で大人びた美海の心を。柊子はそのすべてを受け容れる、彼を所有するために。知性と官能が絡み合い、恋愛の隙間からこぼれ出す愉悦ともどかしさを描く傑作長編小説。(新潮文庫より引用)

最近ふと思うことがある。

こういった文庫本の裏表紙に書かれている紹介文。
最後に「傑作小説」と書いてある本は、たいてい傑作じゃない。おもしろくない。

なぜか。

それは、これを書いている人が、この小説が「なんかとらえようがなくて、なんともいえない、微妙な小説」だけど、そんなこと書けるはずがなくて、でも、この小説を表わすような的確な言葉が見つからないから、「なんとなく「傑作小説」ってしておけば売れるんじゃない。」っていう安易な発想から生まれてるんじゃないか。


まあ、別に出版社を批判するわけじゃないけどね。彼らはそれ以上の偉業を成し遂げてくれているので。


この「がらくた」という作品は、まあ紹介文に書いてあるような本です。
だが、それが何なんだっていう疑問を解き明かしてはくれませんでした。

まあ、恋愛小説っていう枠の中で、すべての人に受け入れられるようなものはないと思いますけどね。
人それぞれ恋愛観は違うわけだし。

★★☆☆☆