もしも朴槿恵が大統領になったら…
ひょっとししたら、南北関係は動きやすいのではないかと、考えたことがある。
朴槿恵は、2002年6月に平壌を訪問していて、金正日とも歓談したと記憶している。
この二人は、7.4共同声明をした朴正煕と金日成の子ども同士という因縁のある関係。
この共同声明の後、南は維新憲法を発布していよいよ独裁体制に移行していったし、北もやはり憲法を改正して、金日成独裁体制の基礎を作った。
と、このように書くといぶかしく思う方もあると思うので、ここで少し、北の憲法を見てみよう。
48年建国時の憲法
第1条 わが国は、朝鮮民主主義人民共和国である。
第2条 朝鮮民主主義人民共和国の主権は、人民にある。
主権は、人民の最高主権機関である最高人民会議及び地方主権機関である人民委員会を
根拠として行使する。
第3条 主権の一切の代表機関は、人民委員会から最高人民会議に至るまで人民の自由意思により
選挙する。
主権機関の選挙は、朝鮮民主主義人民共和国公民が一般的・平等的・直接的選挙原則
により秘密投票により実施する。
第4条 一切の主権機関の代議員は、選挙者の前に自己事業活動に対して責任を負う。
選挙者は、自己が選挙した代議員がその信任を失った場合には、任期前に召還すること
ができる。 後略
72年改正憲法
第1条 朝鮮民主主義人民共和国は、全体朝鮮人民の利益を代表する自主的な社会主義国である。
第2条 朝鮮民主主義人民共和国は、労働階級が領導する労働同盟に基づいた全体人民の政治思想
的統一及び社会主義的生産関係及び自立的民族経済の土台に依拠する。
第3条 朝鮮民主主義人民共和国は、帝国主義侵略者等に反対して祖国の光復と人民の自由及び
幸福のための名誉ある革命闘争において成し遂げられた光り輝く伝統を引き継いだ革命的
な政権である。
第4条 朝鮮民主主義人民共和国は、マルクス・レーニン主義をわが国の現実に創造的に適用した
朝鮮労働党の主体思想を自己活動の指導的指針とみなす。
第5条 朝鮮民主主義人民共和国は、北半部で社会主義の完全な勝利を成し遂げ、全国的範囲で
外勢をはね除けて民主主義的基礎の上で祖国を平和的に統一して完全な民族的独立を達成
するために闘争する。
第6条 朝鮮民主主義人民共和国においては、階級的対立及び人間による人間のすべての搾取及び
圧迫が永遠になくなった。
国家は、搾取及び圧迫から解放された労働者、農民、兵士、勤労インテリの利益を擁護して
保護する。
第7条 朝鮮民主主義人民共和国の主権は、労働者、農民、兵士、勤労インテリにある。
勤労人民は、自らのとおり機関の最高人民会議及び地方各級人民会議を通じて主権を
行使する。
後略
72年憲法は社会主義憲法と呼ばれたりしていると思いますが、この憲法改正に前後する人事で、多くの幹部が粛清されたことも理解しておく必要があります。
しかし、朴正煕も金日成も、ただ、自らの政権基盤の強化のために共同声明を発表したとは、私には思えない。二人とも、統一すべきという強い認識があってのことだったのだと思うのです。
ただ、実際に交渉してみて、7.4共同宣言に書かれた基本理念、すなわち、自主的に平和的に大同団結という三原則を確認しながら、実は、双方とも、相手の体制を認めることができないことを自覚し、かつ、統一するためには自国を一枚岩にしておく必要にせられたということなのでしょう。
共同声明から30年目に朴槿恵と金正日が会い、歓談したというニュースに私は肯定的な印象を持ったものでした。
また、金正日の立場で考えると、盧武鉉のような“民主”政権よりも心理的負担が軽く、御しやすいと考えないだろうかとも考えたのでした。
そしてこのニュース。
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朴槿恵前非常対策委員長が10日、永登浦タイムスクエア広場にて、大統領選挙出馬式直後にもった内外信合同記者会見で、北朝鮮問題について下記のように語った。
[출처] : 뷰스앤뉴스 http://www.viewsnnews.com/article/view.jsp?seq=88569
朴槿恵候補は塞がった南北関係解消方案と関連して、"韓国と北朝鮮の間で合意を見たり、国際社会と約束したものを守るべきで、新しい約束を作って守りながら信頼を積もうということは話にならない"、"南北が国際社会と結んだ合意などに対して互いにまず守ろうとする努力から始まらなければならない"として、6.15共同宣言および非核化約束などの履行重要性を強調した。
朴槿恵候補はしかし"人道的支援や互恵的交流事業は政治状況が変わっても粘り強く続くようにしよう"として"南北間経済協力、北朝鮮内インフラ構築までも進むことができる。 こういう過程を土台に南北だけでなく東北アジア地域で協力することが多い"と執権した時は前向きな対北朝鮮政策を示唆した。
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ただ、このニュース、額面通り受け容れるわけにはいかない。
というのは、この会見では、李明博の兄、李相得問題でも舌鋒鋭いのだ。
この間、朴槿恵のニュースをいろいろ拾ってみて思うのは、朴槿恵の選挙戦略は、“ALL BUT 李明博” のような気がしてならない。
李明博が“ALL BUT 盧武鉉”で、不人気だった前政権をこき下ろすことで人気を博したように、今、朴槿恵が“ALL BUT 李明博”をしているのだ。
というわけで、選挙戦略ではないところの本当の政策はどうなのか、しっかり見る必要があるものと思います。 選挙になってこれば、おのずと公約も出ます。そして何より、ブレーンとなっている者たちが何者であるか、それをしっかり見極めたいものですね。
by maneappa