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愛の勝利を ムッソリーニ

2011年11月14日 | あ行 外国映画
「ミケランジェロの暗号」で、ヒトラーがムッソリーニに同盟の証として捧げたかったのが、ミケランジェロが描いたモーセ・・・というのが、かの映画で表されていたが、その時期もなかなかうまく活かされてた。ムッソリーニが失脚するのと、うまーくリンクしてるのだ。そのあたりもうまいなあ~と思ったのだが、イタリアのムッソリーニと、彼の妻(?)の物語がこちら。

第一次世界大戦前の時点から、ベニート・ムッソリーニがまず社会主義者として活動をはじめ、戦争に加わっていくことにより、社会主義から全体主義へと変貌していく。その頃、経済的に彼を支えていたのが、イーダ・ダルセル。身も心も捧げて愛する・・と言うことを、身をもって表しているようだ。

しかし、彼が妻とした女性はイーダ一人ではなかった。イーダとは正式な婚姻をしていないことから、彼女は愛人扱いとされる。ムッソリーニの脇に今いる女性こそが泥棒猫なのに!!!戦争で傷ついた彼のそばに行くこともできないイーダ。イーダとムッソリーニの子供も生まれ、父の名をとってベニートと名付けるが、ムッソリーニの側近たちは、彼女が近づくことさえ許さない。

イーダを厄介払いするために、彼女の妹夫婦のところに追いやる。わずかな間、心休まる時を過ごすが、自分があくまでもムッソリーニの妻だという主張をやめない彼女を、とうとう精神病院に押しこんでしまう。禁治産の烙印を押され、一切外部との連絡を絶たれるイーダ。息子にも会えない。それでも彼女はめげない。なんとかして手紙を出そうと孤軍奮闘する。

精神病院に閉じ込められ、自分の存在を消されようとしているイーダ。大きな大きな壁のように立ちはだかるものに立ち向かうイーダ。彼女の意志には崇高ささえ感じる。

前半は、若きベニートのほとばしるぎらぎらしたエネルギーが、少々鼻についてしまい、話の少々わかりづらいのも手伝って、なんだか入り込めなかった。実際の映像の方があたし的には興味深かった。そして怒涛の後半。。。ベニートが出なくなって、イーダが圧倒的な相手に向かって尊厳もって戦うあたりから、どんどんと面白く、かつ完全にのめりこんでいった。

どんなことがあっても自分を失わず、尊厳を持ち、息子を愛し抜き、村の人たちに愛されるイーダ。政権維持のためにはどんなことでもする輩のちっちゃさがなんとも言えずにいやらしい。

実際は、最初にイーダと結婚し、離婚後に正式な妻とされる女性と結婚したらしい。若きベニートに惹かれるのはわかる。しかし、後年の行動は、愛しているからではなく、自分と息子の尊厳を守るため。それは何より強い。イーダの思いがくっきりと表された、これまたお見事な一本だった。

◎◎◎○●

「愛の勝利を ムッソリーニ」

監督 マルコ・ベロッキオ
出演 ジョヴァンナ・メッゾジョルノ フィリッポ・ティーミ ミケーラ・チェスコン


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2 コメント

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Unknown (KLY)
2011-11-15 23:53:57
実際の映像は私もとても興味深かったです。
ムッソリーニってあんなに肉肉してるんですねぇ。
後半はもうムッソリーニだからというよりも、
狂気をまとった母の愛でした。
でもこういう強さを持った女だからこそ、最初
はベニートが愛したのでしょうね。
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>KLYさま (sakurai)
2011-11-16 22:20:37
ムッソリーニの演説をまねする息子がすさまじかったのですが、あの実際の映像はどれも興味深かっです。
後半になってからの怒涛の流れはとっても面白かった。
やっぱラテンのなせる血ですかねえ。
よくエネルギー続くわ。
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