迷宮映画館

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ノーマンズランド

2002年10月28日 | な行 外国映画
ボスニア紛争のさなか、交替兵として前線を歩いていたボスニア兵たちは深い霧の中、完全に道に迷ってしまった。霧が晴れたとき、自分達は敵セルビア軍の真っ只中にいた、やば!と思った瞬間、もう命はない。肩を撃たれ、命からがら中間地帯(ノーマンズ・ランド)に逃げ込んだチキ。とりあえず、一息つく。

様子を見に行くことにしたセルビア陣営。二人の兵士を偵察に出した。中間地帯についた二人は死体の下に地雷を埋めることにした。死体を片付けようとすればドカンだ。チキの反撃によって、セルビア人の一人が死亡。この閉塞空間にチキ(ボスニア人)とニノ(セルビア人)が対峙することになった。新米兵士のニノになんとなく同情を見せるチキ。共通の人物を知ってたりして和やかな空気も流れる。

地雷を下にした死体のはずのツェラが生きていた。うめくツェラ。生きてたのか!でも少しも動けない。ちょっとでも体をずらしたらドカーン。さあどうする。裸になって白旗を振ることを試みる二人。こうすればどっちがどっちかわからず砲撃もされないはず。この事態を見た両陣営は国連に助けを求める。駐留していた国連防護軍にすこーしやりがいのある仕事が舞い込んできた。現地にいて待つことに飽いていたマルシャン軍曹は出動するが、あくまで非介入で面倒なことに突っ込もうとしない上層部は撤退を命じる。

この騒ぎを聞きつけたマスコミ。少しでも派手な映像を撮りたくて、スクープを流したくてうずうずしている。塹壕のにらみ合っている兵士、地雷を下にした兵士、うろうろする国連軍、ハイエナみたいなマスコミ。この混乱はどう収拾するのか。

結局、よくわからないまま始まって、なんだかわからないまま終わった(?)がボスニアの紛争だ。地図を頭に叩き込んで、対立の構図を覚え、宗教の違いを念頭にいれ、民族対立を覚え・・・。コレは難しい。半分、玄人の私でさえよー把握できない。万歳。でもコレを見て、戦っている本人達でさえ、なぜこういう状況に追い込まれてしまったのか十分認識していなかったことがよくわかる。じゃあなぜココまでの泥沼の混乱に陥ってしまったのか?戦争で一儲けしようと思った第三者がいた。人道援助、非介入にこだわって結局何もしようといなかった国連軍がいた。やられたらやり返す、至極当然のことなのだがすべての戦争の根源がその考え方、それを貫いた人々がいた。これがすべてだ。

その愚かしさ、滑稽さ、哀しさ、無情さをさらっと表現してしまった。コレは必見です。

「ノーマンズランド」

原題「No Man’s Land」 
監督・脚本・音楽 ダニス・ダノヴィッチ 
出演 ブランコ・ジュリッチ レネ・ビトラヤツ 2001年 仏・伊・ベルギー・英・スロヴェニア共同製作


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