迷宮映画館

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ケンタとジュンとカヨちゃんの国

2010年07月30日 | か行 日本映画
廃ビルの解体工事をしている若者二人。電動ドリルの振動の半端なさは、こっちにまで伝わってきそう。これは、遠からず白ロウ病になるんじゃないかなあ・・と思ってみてたが、そこは一つのキーになる。

仕事はきついは、給料は安いは、その上上前はとられるはと、何にもいいことない。せいぜい尻軽女でもナンパして、鬱憤晴らすくらいが関の山だったが、ケンタの我慢の限界が超えた。

とてつもなく威張ってて、上前をはねてる裕也。ケンタをまるで人扱いしてないが、その理由は徐々にわかってくる。ケンタの兄の後始末をさせられていたのだ。施設で育ち、裕也のところで解体の仕事していた。多分、兄貴もぼろくそに言われてきたのだろう。

罪を犯した兄貴は、裕也を刺して、また罪を重ねた。その賠償金とやらを払わされていた。人間のわずかに残った尊厳すらもゴミのように扱う裕也に、ケンタはキレた。思う存分キレた。彼の行動に一緒についてきたのが、施設でともに育ったジュン。

車とバイクを奪って、二人はとりあえず兄貴のところに行くことにする。網走がどこにあるのかも知らないのに・・・。同行二人のはずが、ジュンがナンパしたカヨちゃんも加わった。同行三人。

北に向かう彼らは、多分初めて自由なるものを味わう。それはとてつもない開放感とともに、漠としたつかみどころのないもの。自分たちが行く先に何があるのか。行きついた後に、一体何があるのか。。。。今は、行くしかない。行ってみなければわからない。いや、行くことしかできない自分たち・・・・。

と、いう感じだろうか。見ていて、こんだけ眉間にしわ寄ったまんまだとは・・・。こういう若者もいる。自分が悪いわけでもないのに、子供じゃなんともしようがない環境で育つしかなかった。

仕事もきつい、きたない、給料やすいの3拍子揃ったものしかない。頼りだったはずの兄貴は人生を降りたかのように、目の前から消え去った。檻の中にいるのが、まるで自分の居場所かのように。

旅は楽しかった。バカだけど、自分たちのこと絶対に裏切らない女の子もついてくる。自分たちは、彼女をあっさり裏切るけど。たった二人、この広い世の中で、二人が生きていける隙間もないのだろうか・・・。いや、二人に限らず、誰だって窮屈で、自由などどこにもなくて、何かに追いかけられているようにびくびく生きてるのかもしれない。

でも、それじゃあ、あまりにさみしいでしょう。現実はそれほどさみしいのかな。現実がさみしすぎて、映画の生き方もさみしすぎて、なんだかほんとにさみしくなってしまった。心がさみしい。さみしさと、世の中の狭さは、とことん描かれていたが、こういう映画を見たかったのか・・・と言われると、否。


そういや、「ゲルマニウムの夜」も見た後、後悔したんだっけ。
宮崎将君、こういうさみしい役が似合いすぎ。昔は、妹さんもこんな役が似合ってたんだけど、今は完全イメチェン。兄貴はこのまんまか・・・・・。

◎◎●(あくまでも自分の好みではなかった。映画としてはどうなんでしょ)

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

監督・脚本 大森立嗣
出演 松田翔太 高良健吾 安藤サクラ 宮崎将 柄本佑 洞口依子 多部未華子 美保純 山本政志 新井浩文 小林薫 柄本明


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2 コメント

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Unknown (KLY)
2010-07-30 22:55:57
言えてるかも。
私はこの作品の表現したいこと言いたいこと、表現の手法としては結構気に入っているのです。ま、俳優3人も若手で実力ある人たちだし。でも彼らの想いだとかは理解できないししたいとも思わない。だからこんな映画が観たかったのかといわれると確かに悩んじゃうところがあります。
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>KLYさま (sakurai)
2010-08-01 20:14:43
そうなんすよ。
映画って、とっても大事な媒体ですが、見たい方の気持ちをくみ取って欲しいなあ・・・なんて思ったりして。
的を得てるだろうし、若手俳優の演技もなかなかでしたが、こういうのはあんまり見たくなかった・・・というのが、率直な感想かも。
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