迷宮映画館

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私は貝になりたい

2009年01月29日 | わ行 映画
公開が始まったのは、去年の秋だったでしょうか。いつか見よう、見よう、見よう・・・と、後回し、後回しにして、とうとう最終週まで引っ張ってしまいました。・・・・やっと見ました。すいません。話の内容はすべて知っています。フランキー堺の名演も見ました。橋本忍の絶妙の脚本、すばらしい物語です。

地の果てのような海辺の町にたどり着いた若い二人。苦労して、苦労して、店を持ち、やっと人並みの生活を送ることができるかな・・・と思ったとところに、赤紙が来る。

足も悪く、愚鈍な自分をも戦争は必要としているのか。そして、行った先での扱われ方のひどさ。牛馬のようにしか扱われない二等兵は、捕虜の殺害を命じられる。上官の命令はすなわち天皇陛下の命令。

従わなかったらどうなるかは、火を見るより明らかだ。この世の地獄を体験して、豊松は妻と子供の所に帰る。戦争も終わり、「あれはとんでもなかったなあ・・」となんとか振り返る余裕が出てきたときに、突然連合軍にしょっ引かれてしまう。BC級戦犯として。

いくら弁明しても、それは聞き届けられない。連隊の最高責任者の中将は絞首刑。自分なんか、ごみのように扱われ、人の数にも入ってなかったはずなのに、銃剣を握り、上官の命令に従ったという証が絞首刑となる・・・・。

悔やんでも悔やみきれない・・・。自分の力ではどうしようもなかった戦争の狂気。その狂気の渦に巻き込まれ、いやおうなしに翻弄されたちっぽけなひとつの命の叫びは、あの戦争とはいったいなんだったのだろう・・ということをつくづく考えさせる。

さすが、橋本忍の本!どこにも隙なし。さすがだわ。そこを何もいじらないで、というか、いじりようもないし、これを他の人が手入れたら、悲惨なものになってしまうのが見えるので、そのままの映画にしたのは正解。

難点は、やっぱ主人公っすかね。感情の起伏が・・・・大きすぎるだわな、これが。石坂浩二と仲間ゆきえチャンの存在感はさすがでした。

突如、「椿なんとか」などという映画を作っちゃうよりは何ぼか価値はあるかと思います。こんな最終週になっても、なんと劇場には高校生が!あたしの一番の収穫は、それですかね。

◎◎◎

『私は貝になりたい』

監督 福澤克雄 
原作 加藤哲太郎
脚本 橋本 忍
出演 中居正広 仲間由紀恵


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2 コメント

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こんばんは! (アイマック)
2009-02-02 23:12:24
まだやってたんだー。
これ簡単なあらすじは知ってたけど、いやあ号泣しました。。
中居くんや仲間由紀恵じゃなかったら、最後までみれたかどうか。
風景もよかったし、昨年みた邦画では一番かも。
鑑賞した時は中高年の方が多かったけど、おお、最終週なのに高校生がみてたとは。
うれしいことだね。
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>アイマックさま (sakurai)
2009-02-03 22:01:22
まだやってたんです。てか、最終週でしたが。
もともとの本が素晴らしいものですから、いいものにならなきゃ困るんですが、変な時代劇の黒沢の名作あたりを作りなおすより、よっぽど価値があったかと思います。
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