
数年前、米史上最悪のスパイが逮捕されたというニュースは聞き覚えがある。冷戦時代ならまだしも、ソ連崩壊からかなり時が立って、いまだに前世紀の遺物のようなものが残っていたのか・・・と思った。それがこの、FBI職員のロバート・ハンセン。
彼がもたらした被害はあまりに大きくて、いまだ解明されず、というよりも公表できないという。さもありなん。彼を捕まえるためには現行犯逮捕しかない。しかし、百戦錬磨どころか、騙しの天才をまな板の上に乗せることができるのか・・・。
そのために配置された男が、FBIのエージェントを目指しているエリック・オニール。閑職に飛ばされたロバートの補佐官となり、彼の動向を見張る。
しかし、ロバート自身は、すでに自分に官憲(?)の手が伸びていて、そろそろ潮時なこともわかっている。でも、彼には行動を起こしてもらわないといけない。エリックの必死の工作が始まる。
と言うことで、時は2001年2月。同時多発テロのちょっと前で、コンピューターと携帯を駆使して、捜査をするという時代はまだだ。一人のスパイを追い詰めるために、ものすごい人数を配置して、地道にコツコツと捜査しているという状況が面白い。やっぱ、これが捜査の本分なんじゃないかと思ってしまう。
そして、そこに必要なのは人間vs人間の気持ちのぶつけあい。最初から、人をだますために、人を陥れるために、人参をぶら下げられて、上司を捕まえるために命令された若き野心家の苦悩もものすごくわかる。
まるで隙のないような探りを行ったかと思うと、次の瞬間、無垢な後輩に豹変。本当のエリックと言う人間がドンなんかはわからないが、もしこの映画の通りなら、ぜひ役者になってもらいたいくらいの人ではないだろうか。その辺の複雑な人間性をライアン・フィリップが見事に演じてる。
そして、クリス・クーパー。もともとが猜疑心たっぷりと言う表情なので、根っからの善人役にはミスキャストになるが、こういった複雑な状況で、常に後ろに目があり、かつ傲慢で、ぴりぴりしているという性格が凄みを感じるくらいに表わされている。
このスパイの行為によって、アメリカと言う国がどんな被害をこうむったのか、政治的な駆け引きの妙も見たかったのだが、ここであらわされたのは人間ドラマ。人を陥れる仕事なんて、やなもんだが、どの登場人物も必死なのがいい。興味深い人間ドラマだった。
◎◎◎○●
『アメリカを売った男』
監督・脚本 ビリー・レイ
出演 クリス・クーパー ライアン・フィリップ ローラ・リニー デニス・ヘイスバート カロリン・ダバーナ キャスリーン・クインラン
彼がもたらした被害はあまりに大きくて、いまだ解明されず、というよりも公表できないという。さもありなん。彼を捕まえるためには現行犯逮捕しかない。しかし、百戦錬磨どころか、騙しの天才をまな板の上に乗せることができるのか・・・。
そのために配置された男が、FBIのエージェントを目指しているエリック・オニール。閑職に飛ばされたロバートの補佐官となり、彼の動向を見張る。
しかし、ロバート自身は、すでに自分に官憲(?)の手が伸びていて、そろそろ潮時なこともわかっている。でも、彼には行動を起こしてもらわないといけない。エリックの必死の工作が始まる。
と言うことで、時は2001年2月。同時多発テロのちょっと前で、コンピューターと携帯を駆使して、捜査をするという時代はまだだ。一人のスパイを追い詰めるために、ものすごい人数を配置して、地道にコツコツと捜査しているという状況が面白い。やっぱ、これが捜査の本分なんじゃないかと思ってしまう。
そして、そこに必要なのは人間vs人間の気持ちのぶつけあい。最初から、人をだますために、人を陥れるために、人参をぶら下げられて、上司を捕まえるために命令された若き野心家の苦悩もものすごくわかる。
まるで隙のないような探りを行ったかと思うと、次の瞬間、無垢な後輩に豹変。本当のエリックと言う人間がドンなんかはわからないが、もしこの映画の通りなら、ぜひ役者になってもらいたいくらいの人ではないだろうか。その辺の複雑な人間性をライアン・フィリップが見事に演じてる。
そして、クリス・クーパー。もともとが猜疑心たっぷりと言う表情なので、根っからの善人役にはミスキャストになるが、こういった複雑な状況で、常に後ろに目があり、かつ傲慢で、ぴりぴりしているという性格が凄みを感じるくらいに表わされている。
このスパイの行為によって、アメリカと言う国がどんな被害をこうむったのか、政治的な駆け引きの妙も見たかったのだが、ここであらわされたのは人間ドラマ。人を陥れる仕事なんて、やなもんだが、どの登場人物も必死なのがいい。興味深い人間ドラマだった。
◎◎◎○●
『アメリカを売った男』
監督・脚本 ビリー・レイ
出演 クリス・クーパー ライアン・フィリップ ローラ・リニー デニス・ヘイスバート カロリン・ダバーナ キャスリーン・クインラン
って言うか、最近彼の出演作を観る機会が多いのですが、
昔すんげぇイケメンだった頃に比べて、
容姿も演技もすっかり落ち着いていることに嬉しい驚きでした。
あ、いや容姿は昔の方が良かったのだけど、
まぁムリして保つよりは歳相応なんがいいのかもです。
リーズといると、やけに可愛いカップルに見えたんですがね。
最近、めっきりいい感じですよね。ちょっと影を帯びながら、無垢さを感じさせる貴重な存在のような。