迷宮映画館

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人生に乾杯!

2009年10月31日 | さ行 外国映画
社会主義政権下のハンガリー。運命的な出会いをしたエミルと、ヘディは、結婚。幸せな結婚生活を送った・・・・と思いきや、波乱万丈な人生であったことは容易に想像できる。

今は81歳と70歳。悠々自適な老後の生活を送っている・・・というわけにはいかない。少ない年金で、電気も止められる始末。体中、あちこガタは来てるし、借金は今まで生きてきた誇りさえもズタズタにした。

思いたったエミルは、自分の車の中にいつの間にか置かれていたトカレフを片手に、郵便局を襲って、強盗を働く。とっても紳士的に。

それを皮切りに、どんどんとエスカレート。お見せに銀行、宝石商を襲って、逃避行を始める。

81歳と70歳のボニーとクライドなんか、すぐに捕まえられる!と思った警察だが、この二人はなかなか手ごわい。おまけに彼らと出会った人は、とっても同情的。はした金の年金で、やってけるわけがないと、立ちあがる人も。

ツウことで、逃走途中で逆に捕まえちゃった女刑事の事情も絡んで、はたして事件の結末は・・・・。

とまあ、どこの世も後期高齢者には厳しい現実が待っている。若いころは身を粉にして政府のために働き、それしかない!という生き方をしてきたはずだったが、国家の体制はガラッと変わり、そんな価値観も地の底だ。

愚痴の一つも言ったって、罰などあたりそうもないのだが、そうもいかない。はした金の年金で、どうやって生活せい!と。思いあまってやった強盗だけど、痛快!!という風には感じられなかった。

どこも・・・イタイ。一つや二つ、道をそれたった大目に見たい気もするけど、やっぱやってることに共感はできない。だったらどうすりゃいいんでしょう?と言われても困るが、あれしか方法がない・・・ということも、あえて犯罪を犯しているということで、表しているのだろうか。

ヘディが女性刑事と別れるくだりは、ちょっとぐっときたが、なんだか「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」に、「テルマ&ルイーズ」の影がチラチラとちらつく映画だったなあ。

◎◎◎

「人生に乾杯!」

監督 ガーボル・ロホニ
出演 エミル・ケレシュ テリ・フェルディ ユディト・シェル ゾルターン・シュミエド ロシック・ジョコ


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
俺たちに明日はない (圭一朗)
2009-10-31 23:05:27
 僕には、「俺たちに明日はない」「明日に向かって撃て」の老人版に見えました。

最後の結末は、グッと(泣)きましたねぇ。
悪いことをしたってことは、自覚しているのでしょうから、
思い残すことはなかったのでしょう。

年寄りをあんなに追い込んではいけません。
お年寄りも生き甲斐の持てる社会にして欲しいものです。
僕たちも行く道ですから・・・。

 それにしても 凄い「車」でしたね。
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うんそうですね (miyu)
2009-10-31 23:47:22
色んな映画を彷彿とするところはいくつもありましたね。
それの老夫婦版って感じでね。
確かに彼らのしたことはどんな理由があっても
やっぱり犯罪は犯罪なんだろうけど、
本来なら「余生」と言われる生活を送ってしかるべき
彼らがそんな犯罪行為に走らせてしまったのは
ちょっと切ないものがありましたね。
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実際には… (KLY)
2009-11-01 23:12:32
洒落になってない重いテーマだと思うんです。
要は年金も足りなくて生きていけませんって
話ですから。そこを逆説的にユーモアたっぷり
に描いたところが上手いなぁと感じます。
むしろ老人が犯罪を犯して捕まったほうが日々
の生活に困らないであろうというところが皮肉
ですね。
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>圭一朗さま (sakurai)
2009-11-02 21:01:47
うたい文句が「きっと明日を変えられる!」でしたからね。
ボニーとクライドの看板は背負ってましたが、なんだかそれよりも、「ノッキン・・」の影がちらついてました。
あの最後は、思い残すことなし・・の行動ではなかったと見ましたが、どうでしょう。

年よりは大事にしないといけないのは、肝に銘じたいと思います。
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>miyuさま (sakurai)
2009-11-02 21:04:13
そうなんす。ちょっとオリジナリティが感じられなかったなあ。
老人をあすこまで追いこんでしまう世の中は、どこでも結構あることで、氷山の一角だ・・・ということも、なんだかさびしく感じてしまいました。
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>KLYさま (sakurai)
2009-11-02 21:27:17
重いです。重すぎます。
遠くない未来に、年金生活になろうとしている身にとっては、笑い事じゃないです。
なかなか上手な脚本だと思うんですが、ちょっとオリジナリティに欠けてたかなあ。
あの刑事の二人が何気に良かったですわ。
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確かに・・・。 (mezzotint)
2009-11-11 12:38:53
sakuraiさん
重いですね。ユーモアを交えてって書きましたが・・・。そうではないですね。
しかしあのじいさん、あちらこちらが悪い
というわりにはあれだけのパワーがある
んだから、お気の毒っていう同情的キャラ
ではありませんでしたね。
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>mezzotintさま (sakurai)
2009-11-12 21:11:18
うーん、少々期待も大きかったので、ちょっと期待したものと、違ってたかな。。。と思った次第です。
犯罪をせざるを得なかった状態まで追い込まれたんだ・・・というのもわからなくもないのですが、どうしても同情には行けませんでした。
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