程よくやれた感があるクリームタンク/コロンビアブルーの初期型C111です。年式相応で錆等がありますが非常に程度の良い1台です。前オーナーさんが少しだけ手を入れたそうですが、ほぼ当時の状態を保っています。手に入れた時には実働という事だったそうで一応走れるのか・・・?とは思っていたのですが・・・。
手を入れる前にじっくりと拝見。うちのサンタンC110Sと同じキャリア一体型のシングルシートの車両で、このあたりは初期型でもC111とC110Sのパーツは使い回しの模様(というより恐らく後発のC110SにC111の部品が転用された言うことかと)。
鉄製のホーンカバーに、C100と同じ自動遠心式のエンジン、内蔵一体型イグニッションコイルと初期型ならでは、C111ならではの部品が満載です。
キャブレターはオイルパイプの連結しない初期型の中でも1960年式のみのタイプで、インシュレーターも同年式のみの長い物となっています。
こちらはうちの初期型C110Sのキャブレター。キャブ、インシュレーター共上記1960年式とは異なり、同じ初期型でも1961年式となるとオイルパイプが有り、インシュレーターも若干短く変更されているのが分かります。
これは1960年式オイルパイプレスのキャブレターがスポーツカブの専用部品としてC110/C111で初めて採用されたものの、キャブレターの結露や長い為振動などに弱いインシュレーターが実用的に問題視された為ではないかと推測されます。1年程度での変更なので、この1960年タイプの構造のC110/C111を見かける事はほとんどありません。
SさんのC111も貴重な車両です!
C111だけは諸変更されずに1960年式のそのままの形状でしばらく発売された可能性も有りますが、C111でも上記のC110Sと同形状のキャブ構造を持つ初期型を見た事がありますので、この車体も1960年式で間違いが無いと思われます。(一度ハーネスの年式を拝見したく思うのですが)
C111は純正でダウンマフラーが付いているスポーツカブ唯一のモデルですが、ブレーキペダル付近でフレームから出ている長い棒はこれ用の取り付けステーとなっています。
1960年式のC110で既にフレームがこの形状ですので、最初からダウンマフラー搭載が予定されて設計されていた事になります。
上記の事からもC111はC110開発時から既に予定されており、1960年にC110と同時発売される様になっていた事が良く分かります。
余談ですがスポーツカブも派生車種に対応できるようにフレーム形状に変化が有り、後期型になるとC115の発売を前提としたC115と共用できるフレームにする為に、フレーム各部の形状が変えられています。
こうやって車体を観察するとメーカーの色々な思惑や経過が推察できて面白いものです。