地酒屋のロックンロール日記

酒好き・音楽好きの仕事がらみと個人事をつらづらと・・・

平成20年5月16日(金) 晴  貴の一文 勉強編

2008-05-16 20:06:17 | 貴の一文


貴の一文 勉強編  酒米シリーズ 

はりきり企画部に一本の電話が入りました。
六本木勤務のフォーティーズ倶楽部のメンバーからでした。
「雄町米」の表示で「備前雄町」と「赤磐雄町」とどう違うのか?
と言う質問。 

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しばし考え・・・岡山産は同じだけど
「赤磐雄町」じたいが商標になってるんじゃないかな?
聞かれるとあまり深く考えてなく、曖昧な答えになってしまいました。

そこで「雄町」で仕込んで数年 永山たあぼ先生にご教授頂きました。

「貴の一文 勉強編」と題し自ら第一回と謳っていますので
今後もそれぞれの「酒米」の話しが聞けるのでしょうか?!

では「たあぼ」先生お願い致します。

お米の時期にはお米の勉強を「雄町」編

こんにちは。
大体、どの蔵も酒造りはもちろんの事、生酒の熱酒処理も一段落し、
蔵元によっては、営業三昧の日々でしょう。
また、蔵元によっては苗がおよそ生えそろって、
5月下旬には田植えというところもあることでしょう。
うちは、まだまだ田植えが6月中旬なので、稚苗です。

さて、今日から何回かお米についてのお勉強をしたいと思います。
第一回は「雄町」についてです。

「雄町」といえば、岡山県が栽培地として有名です。
その他にも「広島県」などでも栽培されておりますが、
広島県では、「改良雄町」「こいおまち」など改良系が多いとの事です。

その岡山県産の雄町でも、「備前雄町」と「赤磐雄町」という言い方があります。
ペンネーム「はりきったとんぼ」さんより、
「この違いについて」の質問がありました。

私は、この一番の違いは、「商標」だと考えられます。
「赤磐雄町」という名称は、登録番号:2023948として、
「酒一筋」の「利守酒造」の商標となっております。
これにより、東北にある某蔵元が「赤磐雄町」と商品に銘を打った時、
商標で問題になったと聞いております。
※この辺り、表示は慎重に行きましょう。 はりきり企画部より

「赤磐雄町」・・・特A地区のような赤磐の特別な地区で出来た雄町
「備前雄町」・・・それ以外の岡山県で出来た雄町
という事ではないのです。

よって、「備前雄町」でももっとも良いとされる「赤磐郡赤坂町」の雄町でも、
特A山田と違い、交渉しだいでは入手は可能です。

ただ、実際160cmにもなる酒米の場合作り手によってかなりの差が出ます。
コンスタントに「特等」以上を作られるような農家の「雄町」は
やはり優先的に岡山県の古くからの付き合いがある
酒造メーカーに配分されるものと思います。

※ここで脱線豆知識
カリフォルニア米は品種名を「カルロース」といいますが、
実は、このお米もルーツは「雄町」だと言われています。
また、山田錦の父親である「短稈(たんかん)渡舟」の元となる渡舟も
この雄町米があるひょんな事から名前が変わったと言われています。

最近は、どうしても「冷や」でお酒を呑む風潮があるので、
どうしても、「山田錦」「美山錦」に比べ冷遇されがちな「雄町」ですが、
「燗」で呑むなら「雄町」に勝るお米はそうそうありません。
旨い雄町は、一年くらい適温で熟成させ、
ちょっと高めの燗で楽しむのが一番かと思います。

※「貴」との出会いも「備前雄町 純米吟醸」熟成バージョンからでした。

質問のあった六本木勤務のフォーティーズ倶楽部メンバーの方
これでご理解頂けたでしょうか?

でも彼はパソコンが使えない・・・・