ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

こだわるということ

2008年09月22日 | ROSE POSYのひとりごと

人にはそれぞれ、これだけは譲れない、という『こだわり』があると思います。方法、材料、道具、など、あくまでも最良の結果を求めるための、自分の中で決めているルールのことです。みなさんは、どんな”こだわり”をお持ちですか?

たとえば、私の場合、和食料理のダシにはちょっとこだわりがあり、多少面倒でも、鰹節や昆布から取ります。といっても、ちょっとの手間ですから、どんなに急いでいてもこれだけは手抜きをしません。そして、素材もいろいろ試した結果、やはり老舗の鰹節屋さんや昆布屋さんの良品には絶対にかなわない、という結論に至りました。自分の舌で何度も確かめて確信したことなので揺らぎません。スーパーやディスカウント店でどんなに手軽に安く買えたとしても、味がすべてを語ります。

昔から老舗の暖簾を守っているお店とは、良い素材や良い仕事がわかるお客さんに支えられ、守られてきたのだと思います。こだわる職人がいて、こだわる客がいる。正直でまっすぐに良い仕事をし、それが多少高くても、ごひいきにして下さるお客様がいる、こんな至極まっとうな商いが通用しない世の中になってきた、今の日本がなんだか悲しいです。

次々と新たに発覚して絶えることのない、ここ最近の偽装、粗悪な品物の流通は、最終的には末端消費者の責任だと私は思います。高度成長期の大量生産・大量消費時代を経た日本は、良い物を手に入れ、長く大切に使う、という心を失い、人の五感までもが”安物”にならされて麻痺してしまい、そのつけとして、おかしなものを横行させることになってしまったのではないかという気がしてなりません。

   

話は変わりますが、先日、デザインが可愛くて、しかも値段が安いことで大人気の、ある若い女性向けのジュエリー通販ネットショップが、ネット掲示板で激しく叩かれているのをみつけました。その書き込みには、”こんな、ちゃちいもの売りつけやがって”、”ダイヤ汚い”、”ルピーちっちゃっ!ダマされた。”、”リング、細すぎっだつうの!”、”爪の留めが下手”のような、酷評がたくさん書かれていました。

そのショップが現物とまったく違う写真を掲載したりしたら、それは詐欺になるでしょうが、そのショップでは写真を多用しており、アップ写真で見ても、リングは細いし、石もちっちゃいし、モデルの着用写真で着けた感じもわかるし、最大幅とかグラム数とかきちんと書いてあるのに・・・・。与えられた情報から、現物の様子を把握する想像力が乏しい人がクレーマーと化してしまうのでしょうか。

1万円台で、ゴールド台・フルエタのダイヤモンドリングって・・・。そういう値段で売ってるのだから、値段なりのモノなのでしょう。”海外大量生産で、間に流通経路がないメーカー直送だから、お安くできるのです。”と正直に理由を言っています。しかし、その前提でも限界というものがあります。その過熱気味な書き込みには、過度に期待しておいて、勝手に失望している様子がうかがえます。

   

その店の肩を持つわけではありませんが、気に入らなければ返品・返金可能なのですから、ショップ側からしたら、わざわざ想像を遙かに超えるようなひどい商品を騙して客につかませる意味もありません。低額商品ばかりを扱うお店ですから、リピートオーダーもして欲しいし、返品処理のコストを考えると、返品されないようにできるだけ誤解のないような写真や情報を提供する努力をしているはずです。

だまって返品すればすむものを、”見る目がなかった”、自分を棚に上げて腹いせにショップを叩くのはいかがなものかと思います。こういう自己中心的なモンスター消費者が、いかに多いことか。

『地金たっぷりで、インクルのない綺麗な無色透明のダイヤを使っていて、造りも丁寧で、そいでもって激安なリングが欲しい』って、それはどこの世界にも(中国にも!)ないですよ・・・。そういう人が、海外旅行とかで偽物をつかまされるんですよ~。(笑)

デパートや宝石専門店で売っているレベルのものを激安店で求めるのは無茶というものです。普段からいろんな実店舗でいろんな商品を観察して、品質と価格のバランスを理解していれば、自爆して腹を立てることもないと思います。

そして、自分の中に欲しいジュエリーに対する価値基準(つまり、”こだわり”ですか)を持っていれば、”へんなもの”をつかむことなく、満足度の高い買い物ができると思います。たとえば、地金だけはしっかりしているものを、とか、ダイヤの質にはこだわりたい、とか、デザイン性を重視したい、とか・・・。

高いモノが良い、と言っているのではありません。値段が安いものであっても、”これだけは特に気に入ったから買った”、という自分の中でのそのモノへの”こだわり”と”思い入れ”があれば、いいのです。そして、それを長く愛用して楽しむことができればとても幸せな良い買い物です。


結局、消費行動の質と満足度とは、消費者が何に”こだわり”を持つか?ということの結果に他なりません。

   

その対極的な話ですが、こないだあるTV特集で、スイスでは海外輸入の野菜や卵、肉などの生鮮食品はほとんど売れない、3割ほども高い値段でも国民は皆、品質が確かで安全な国産品にこだわっている、とのことでした。そうした”こだわり”のある消費者に支えられて、生産者も、”こだわり”を持って安全で良いものを作り続けることができているのだと言います。いい話ですね。素晴らしい”こだわり”だなと思いました。

   



最新の画像もっと見る

コメントを投稿