ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ネネのお兄さん: 天国にいった『ハル』 (1)

2007年11月03日 | ねこの話
ネネは、野良猫の子として生まれ、優しいご夫婦に保護されて、うちにやって来ました。4頭の兄弟でしたが、4頭ともひどいネコ風邪(ヘルペス)を患っており、どの子も両目が炎症でただれて潰れており、本当なら一番可愛い盛りのはずが、悲惨な状態の時にこの子達に出会いました。それでも何度かお宅に足を運ぶうちに、子猫たちに愛情が湧いてきて、ついに飼う決心がついたのです。

保護主さんのご一家の愛情のこもった懸命の育児と看病のおかげで、ねこ風邪はほとんど良くなりましたので、いわゆる”お見合い(※)”のために、4頭ともうちに2週間お預かりました。写真はその時のものです。
※お見合い: 里親になるまえに、ネコと人との相性や飼い主の飼育能力を見るために一時的に預かってテスト的に飼ってみること。

 
(左)生後3ヶ月。同じ器で仲良くごはんを食べています。
(右)ウチのベランダでなったゴーヤを不思議そうに眺める子猫たち
   ネネだけが女の子で、あとの3頭は男の子。

4頭とも引き取りたかったのですが、我が家は初めて動物を飼うため、多頭飼いには自信がなかったので、義母、私、夫でそれぞれ最も好きな子を1頭だけ選び、残った子を断腸の思いで元の飼い主さんにお返ししました。そのご夫婦は すでに沢山の猫を飼っていらっしゃいますが、その子を迎え入れられました。


我が家と義母の家にひきとられた3頭の子猫たち。
毛色がそれぞれ違い、同じ親の子と思えません。
左から、『トモ』(義母宅へ)、『ハル』、『ネネ』 
ハルは私、ネネは旦那のお気に入り。

今日は、私がこの4頭のなかで一番気に入っていた茶トラの男の子の『ハル』のことをお話をします。1つの貴重な経験として、猫を飼っている、あるいは、これから猫を飼いたいと思っているすべての皆さんにお伝えしたいことです。



ネネが一番大好きなお兄さんだったハルは、去年の10月、ちょうど1年前に天国に召されてしまいました。1年経ってようやく、気持ちの整理がつきました。ハルのことを忘れないためにも、写真とともにハルのエピソードをブログに残しておきたいと思います。


 

ハルは、男の子らしく大変やんちゃで活発な子でしたが、兄弟猫たちのリーダー的存在で、他の子たちは一方的にハルに甘えたり舐めてもらっていました。特に、ネネはハルにぞっこんで、いつも一緒にラブラブ、イチャイチャしておりました。

どの子もすくすくと育ち、生後6ヶ月の10月、こんな子供でも、もう繁殖ができる年頃なので、兄妹で間違いが起きてはいけないと、そろそろ去勢・避妊をしようということになりました。

 

まず一番発育がよく健康そうなハルが選ばれました。去勢手術は1泊入院すればすぐ戻れるということなので、土曜日の昼にハルを病院において、私たちはそのまま外出しました。

数時間後、病院から携帯に連絡がありました。手術が無事終わったという連絡だろうと思ったら、『手術後に突然ハルちゃんの容態が変わり、心肺が停止しました。すぐ来ていただけないでしょうか。』と告げられました。私は全身から血の気が引いて、その場で失神しそうになりました。

何故、去勢手術で、心肺停止???『医療過誤』、という言葉が頭をよぎりました。いい大人が恥も外聞もなくぽろぽろ泣きながら、タクシーで病院に向かいました。病院に到着すると、そこには酸素呼吸器をつけられたハルが手術台に横たわっていました。院長先生が蘇生術を施してなんとか心臓は動き出したようですが、普通ならもう覚めているはずの麻酔がかかったままのような、意識がほとんどない状態です。

『どうして去勢手術でこんなことになってしまったのですか?』と私は我を失って先生に詰め寄って怒鳴り、そしてその場にへなへなと腰を落として号泣してしまいました。

先生によると、手術は問題なく終了し、麻酔を解くための薬を投与してしばらくしたら容態が急変して心肺が停止したというのです。
院長先生は年間300件という去勢手術(ほぼ毎日ですね)をされていて、10年以上の経験があるがこうしたケースは初めてだとのことで、原因は詳しく調べないとわからないとのことでした。

でも、目の前のまだハルは生きています。薄目を開けて、苦しそうに呼吸しています。なんとか助かって欲しい!

先生に、『とにかく、できる限りのことをします。お預かりさせてください。ご心配でしたら何時でも会いにいらしてください。』と言われ帰宅しました。

その夜、先生から何度も経過報告の電話をいただき、『血液を調べたところ、肝機能の値がありえない数値を示していて大変危険な状態』との連絡を受けました。
 
(つづく)