つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

上等なる怪奇譚。~ もののけ草紙。

2020年04月20日 21時18分07秒 | 手すさびにて候。
「楳図かずお」、「古賀新一」、「水木しげる」。
「千之ナイフ」、「つのだじろう」・・・(敬称略)。
日本に於けるホラー漫画の描き手は、層が厚い。
それぞれの魅力はあるが、
僕が最も好きな作家は「高橋葉介(たかはし・ようすけ)」氏。
そして、氏の作品中、取り分け好きな一つが「もののけ草紙」である。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百三十六弾は「もののけ草紙」の主人公「手の目(てのめ)」。

「手の目」は、年端も行かない女芸人。
容姿整い、チョイと蓮っ葉な美少女。
名前の由来は、掌に彫った大きな目の刺青。
そいつをかざして操る芸・・・予知、千里眼、降霊などを酒席で披露し、
糧を得ながらの旅暮らしをしている。

舞台設定は、戦前~戦中~戦後の日本と上海租界。
混沌とした時代のためか?
並外れた異能のためか?
行く先々で彼女の袖を引くのはお客だけではない。
幽霊、妖怪、物の怪の類や、それらに憑りつかれた人達との関りが生まれ、
摩訶不思議な物語が展開してゆくのである。

基本一話読み切り。
怪異のバリエーションが豊富で、
野望と欲望、悪意が渦巻き漂う世の空気や、世界戦争の爪痕、
未練、愛惜、色と欲など、多様な要素を盛り込みつつ簡潔にまとめている。
「高橋葉介」氏は“怪奇短編の名手”と言って差し障りないだろう。

そして、絶品の筆使いも堪能できる。
ペンではなく「毛筆」を用いた主線は、繊細で美しい。
絵柄が個性派揃いのホラー漫画家の中でも、存在感が際立っている。
好き嫌いはあるかもしれないが、その画は一見の価値アリ。
前掲の拙作とは、比べ物にならないのである。

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