同カテゴリー前回は、ディズニープリンセスとセーラー戦士を絡めて投稿した。
--- 実はセーラームーンの知識は薄く、手探り状態で描いた(書いた)もの。
今回は、昭和生まれのオッサン(僕)にも馴染みの深い、
変身バトルヒロインの元祖を取り上げてみたい。
不定期イラスト連載 第百六十三弾は「キューティーハニー」。

90年代を席巻した美少女戦士たちへ至る系譜をたぐると行き付くプロトタイプが、
70年代初頭に生み出された「キューティーハニー」かもしれない。
漫画家「永井豪(ながい・ごう)」氏の代表作の1つだ。
主人公は、女子高生「如月(きさらぎ)ハニー」。
普段は金髪碧眼の美少女だが、事件が起こるとチョーカーのハートをポチッとな。
紅毛赤瞳、愛の戦士「キューティーハニー」に変身!
銀の長剣・シルバーフルーレ、ハニーブーメラン、ハニービームなどを駆使して
犯罪組織「パンサークロー」と戦う。
作品のハイライトの一つは、変身シーン。
「ハニーフラッシュ!」のコールと共にミニワンピがビリビリに破れ、
一瞬「ハニー」は、あられもない姿に。
直後、四散した服が再び集まってきて、身体に貼り付き、
露出度の高いピチピチレオタードの戦闘スタイルになる。
決め台詞は『愛の戦士 キューティーハニーさ!』。
彼女は、体内に「空中元素固定装置」を内蔵した「半生体アンドロイド」。
セクシー極まりないメイクオーバーは、
装置によって服を一度分子レベルにまで分解して、再固定することで実現する。
「ハニー」の“変身遺伝子”は、マイナーチェンジを繰り返しながら、
同系統作品に受け継がれてゆくのだが、
“先祖返り”ともいうべき例が「セーラームーン」ではないだろうか。
「ムーンプリズムパワー、メイクアップ!」の掛け声とともに、
ボディラインが浮き立つシルエットから、
セーラー服とハイレグレオタードを組み合わせた衣装に転換。
『愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン! 月に代わって、お仕置きよ!』
で、決めポーズ。
--- かように「ハニー」と「ムーン」の変身は酷似しているものの、
大きく異なる点もある。
変身バトルヒロイン草創期の「ハニー」には「理屈」が必要だった。
なぜ、どうやって変身できるのかを説明し、受け手を納得させなければならなかった。
対して、年代を経た「ムーン」は、最早無用。
母体の少女マンガでは、魔法少女たちの先例もあり、
とにかく「変身できる前提」で創作された。
視聴者(読者)も、違和感なく受け入れる素地が出来上がっていたのだ。
--- さて、振り返ってみると「キューティーハニー」の登場以前、
男向けジャンルに、真の意味の「バトルヒロイン」は殆どいなかった。
戦隊ヒーローやスーパーロボットものに「戦う女性」は存在していたが、
彼女たちに与えられた役回りは概ねアシスト止まり。
フィナーレを飾るのは、常に男だ。
しかし「キューティーハニー」は、
妖艶な魅力を振りまきながら、自らの力で悪を倒してのけた。
花も嵐も踏み越えて 行くがオンナの生きる途(みち)--- を体現した、
最初のキャラクターなのである。