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つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡の松と、ローマの松。

2011年02月19日 23時26分42秒 | 日記
「今日の一枚」は、津幡小学校の正面玄関。
画面中央奥に映る松の木は、僕にとって思い出深い場所。
…何故なら「絵のモチーフ」だったからである。

今ではもう行われなくなってしまったらしいが、
かつては年に一度催された「写生大会」。
確か季節は春だったように記憶している。
当日は、学童達が小学校近隣へ出向き、思い思いの風景画を描く。
絵の対象を決めたら、画板に画用紙を止め、鉛筆で当たりを付ける。
デッサンが終われば、水彩絵の具を使って彩色だ。
バケツに水を汲み、筆先を濡らし、鉛のチューブから絵具を押し出す。
ちょっと石灰に似た、絵の具の独特の香りを嗅ぎつつ
パレットの上で混ぜ合わせながら画用紙の上へ。
正直、僕は絵の才能に恵まれていなかったが、
こうした一連の作業が好きだった。

僕にとっての題材は「学校前の松の木」。
選択の理由を考えていて1つ思い当たったのが、
音楽の授業で聞いた「交響詩 ローマの松」である。

何楽章だったのかは覚えていないが、
確かローマ軍の行進の様子を表した作品だと教えてもらったはず。
ごく弱く静かに始まり、段々と大きくなっていく音量。
管楽器を従えたエンディングへと続く、勇壮な作品だ。

だが、勇ましさとは裏腹に僕の脳裏に浮かぶローマの松は、
街道沿いにポツンと一本だけが立っているイメージ。
人間よりずっと寿命の長い常緑樹が、移り変わる人の営みを見守り、
人間のカレンダーとは、まったく違った時間を生きている…。

音楽を聞きそう感じた僕は、神秘的な存在に思えた松を描く事にした。

そして絵を描き終えて根元の敷石に腰掛け、松脂の匂いを楽しむ時、
僕はとても安らいだ気持になった。

津幡小学校のランドマーク、ウェルカムツリーとも言える前庭の松。
積雪の多かった今シーズン、大活躍だった雪吊りが外れる日も近いだろう。
その頃には新校舎が完成し、松の周囲は静寂に包まれている事だろう。
コメント
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