「今日の一枚」は、津幡小学校の正面玄関。
画面中央奥に映る松の木は、僕にとって思い出深い場所。
…何故なら「絵のモチーフ」だったからである。
今ではもう行われなくなってしまったらしいが、
かつては年に一度催された「写生大会」。
確か季節は春だったように記憶している。
当日は、学童達が小学校近隣へ出向き、思い思いの風景画を描く。
絵の対象を決めたら、画板に画用紙を止め、鉛筆で当たりを付ける。
デッサンが終われば、水彩絵の具を使って彩色だ。
バケツに水を汲み、筆先を濡らし、鉛のチューブから絵具を押し出す。
ちょっと石灰に似た、絵の具の独特の香りを嗅ぎつつ
パレットの上で混ぜ合わせながら画用紙の上へ。
正直、僕は絵の才能に恵まれていなかったが、
こうした一連の作業が好きだった。
僕にとっての題材は「学校前の松の木」。
選択の理由を考えていて1つ思い当たったのが、
音楽の授業で聞いた「交響詩 ローマの松」である。
何楽章だったのかは覚えていないが、
確かローマ軍の行進の様子を表した作品だと教えてもらったはず。
ごく弱く静かに始まり、段々と大きくなっていく音量。
管楽器を従えたエンディングへと続く、勇壮な作品だ。
だが、勇ましさとは裏腹に僕の脳裏に浮かぶローマの松は、
街道沿いにポツンと一本だけが立っているイメージ。
人間よりずっと寿命の長い常緑樹が、移り変わる人の営みを見守り、
人間のカレンダーとは、まったく違った時間を生きている…。
音楽を聞きそう感じた僕は、神秘的な存在に思えた松を描く事にした。

そして絵を描き終えて根元の敷石に腰掛け、松脂の匂いを楽しむ時、
僕はとても安らいだ気持になった。
津幡小学校のランドマーク、ウェルカムツリーとも言える前庭の松。
積雪の多かった今シーズン、大活躍だった雪吊りが外れる日も近いだろう。
その頃には新校舎が完成し、松の周囲は静寂に包まれている事だろう。
画面中央奥に映る松の木は、僕にとって思い出深い場所。
…何故なら「絵のモチーフ」だったからである。
今ではもう行われなくなってしまったらしいが、
かつては年に一度催された「写生大会」。
確か季節は春だったように記憶している。
当日は、学童達が小学校近隣へ出向き、思い思いの風景画を描く。
絵の対象を決めたら、画板に画用紙を止め、鉛筆で当たりを付ける。
デッサンが終われば、水彩絵の具を使って彩色だ。
バケツに水を汲み、筆先を濡らし、鉛のチューブから絵具を押し出す。
ちょっと石灰に似た、絵の具の独特の香りを嗅ぎつつ
パレットの上で混ぜ合わせながら画用紙の上へ。
正直、僕は絵の才能に恵まれていなかったが、
こうした一連の作業が好きだった。
僕にとっての題材は「学校前の松の木」。
選択の理由を考えていて1つ思い当たったのが、
音楽の授業で聞いた「交響詩 ローマの松」である。
何楽章だったのかは覚えていないが、
確かローマ軍の行進の様子を表した作品だと教えてもらったはず。
ごく弱く静かに始まり、段々と大きくなっていく音量。
管楽器を従えたエンディングへと続く、勇壮な作品だ。
だが、勇ましさとは裏腹に僕の脳裏に浮かぶローマの松は、
街道沿いにポツンと一本だけが立っているイメージ。
人間よりずっと寿命の長い常緑樹が、移り変わる人の営みを見守り、
人間のカレンダーとは、まったく違った時間を生きている…。
音楽を聞きそう感じた僕は、神秘的な存在に思えた松を描く事にした。

そして絵を描き終えて根元の敷石に腰掛け、松脂の匂いを楽しむ時、
僕はとても安らいだ気持になった。
津幡小学校のランドマーク、ウェルカムツリーとも言える前庭の松。
積雪の多かった今シーズン、大活躍だった雪吊りが外れる日も近いだろう。
その頃には新校舎が完成し、松の周囲は静寂に包まれている事だろう。