リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

332. 18回目のドイツ旅行(12) 2人旅 トゥールーズ3泊4日

2024年01月17日 | 旅行

▶ロンドンからパリ経由でトゥールーズへ


トゥールーズ駅 この手前にホテルがありました。


▶パリでの乗り換えは大変です。

 2023年9月1日。ロンドンのセント・パンクラス・インターナショナル駅までは宿から5分ぐらいです。わずかに残ったポンドコインで買えるジュースなどを買い、パスポートコントロールを済ませて待合室へ。ただロンドンでのパス・コントロールがどんなだったのかほとんど記憶がありません。おぼろげながら、パリよりずっと広い待合室で楽に座れたようなイメージだけが残っています。

 TGVがパリ北駅に着くと、降車口の向こうでスマホを私たちに向けている愛さんの姿がありました。ホームと列車の間が広く開いていたため、トランクを下ろしたときに三津夫のリュックのポケットに入れておいたジュースのペットボトルが車両の下に転がり落ちてしまったのが残念でした。下を覗いたら同じように転がり落ちたいくつものペットボトルが見えました。でも愛さんに無事会えたことでホッとして、今度は地下鉄M4でモンパルナス駅に向かいます。

 モンパルナス駅で乗り換えるときは大変でした。ここは古い駅のようで、エレベーターもエスカレーターもなく、長い長い下り階段が続くのです。覚悟を決めてトランクを持ち上げようとすると若い男性2人が通りかかって「お持ちしますよ」と運んでくれました。階段下で「ありがとうございます!」とトランクを受け取ると、2人は笑顔で去って行きました。しばらく歩いて、愛さんが「出口がどこだか確かめてくるから、ここでちょっと待っていてください」と言うので待っていると、また2人が戻ってきたのです。「この先に長い階段があるから」と(多分)言いながらトランクを運んでくれに来たのでした。何と親切なジェントルマンだこと! 愛さんも戻ってきて、階段を上がりきったところで2人の男性に心からお礼を言いました。本当に助かりました。

 この先はエレベーターもあって無事にTGVの乗車口に到着。幸い座って待てるスペースもあったので、しばし愛さんとお喋り。愛さんは先日と同じようにフランスパンのサンドイッチと、苺ゼリーのデザートまで持って来てくれました。今日は親切をいただくばかり。「トゥールーズからバーゼルに行くときにはまたモンパルナスからパリ・リヨン駅まで行くのが大変だから、お迎えに来ます」と帰っていきました。愛さんは拝みたいほど有り難い助っ人です。


モンパルナス駅のTGV乗車口にやっと到着しました。愛さん、ありがとう!!

▶トゥールーズに到着しました。

 夕方6時頃、無事トゥールーズに到着しました。愛さんが大学院時代に留学していたので「懐かしい。一緒に行きたいぐらいです」という町。ホテルは駅のすぐ前です。案外古い建物で、エレベーターがとても小さいのが印象的でした。2人とトランクが大小3個入るとキッツキツです。部屋は広くて食事も並んで取れるようなテーブルと椅子があるのは良いのですが、何故かベッドは3つもあり、窓側は違うルートの通路となっているため、カーテンは閉めていないと落ち着きません。照明が少ないのでいつも薄暗いのが残念です。浴室とトイレが分かれているのはありがたいのですが、トイレが小さくて足がぶつかるほどでした。一長一短ですね。

 荷をほどいてから駅まで戻って簡単な食事を買ってきて食べると9時頃。ロンドンでは浴室が狭くて溜め込んでしまった洗濯をしたりして11時頃就寝。やはり長旅は疲れがあとから出ます。


▶急遽日程を大変更

 9月2日。今日はモワサックまで行ってサン・ピエール修道院でゆっくり見たいロマネスク時代の彫刻があったのですが、昨日の愛さんとのお喋りで「世界遺産のカルカッソンヌも良いですよ」という話を聞いた連れ合いから「両方行けないかな」と欲張った要請が出ました。どちらも見られれば見たいのはやまやまですが、切符が取れるかどうか鉄道窓口で相談してからでないと決められません。

 この宿は朝食付きのプランなので、1階のレストランに下りてみました。品数はまぁまぁでしたが野菜類は見当たらず、自分で茹でるゆで卵器がありました。面白そうなのでトライしてみたらうまくできず、近くに座っていた泊まり客が助けてくれました。

 朝食後に駅の窓口に行って2つの町に一日で行けるものかどうか相談してみました。担当者は親切な男性で、カルカッソンヌまでは IC で行かなければならず、今の時期は座席予約が必要とのこと。そして2つのルートを呈示してくれました。  
 ・
一つ目はモワサックからカルカッソンヌへ。これだと途中の乗り換え時間が5分しかないと言います。
 ・二つ目はカルカッソンヌからモワサックへ。こちらだとモワサックに着くのが夕方5時頃になりそうです。
午後6時で閉まってしまうサン・ピエール修道院の見学時間は1時間に満たないことになりますが、でも一つ目のルートで5分という乗り換えを逃すと一番行きたかったモワサックに行けなくなってしまうので、二つ目のルートで出発することにしました。

 
▶カルカッソンヌ

 カルカッソンヌは予定になかった場所のため『地球の歩き方』の小さな地図しかなく、出だしで方向を間違えてしまいました。大分大回りしてしまって暑いし、疲れるし、喉も渇くし…。城壁内に入ると結構な人出です。でもお城の中は予約していた人が列を作っているのと時間も無いので諦め、城跡の雰囲気だけ味わって簡単なお昼を食べ、駅まで歩いて帰りました。


上:カルカッソンヌ外観 中:城壁内の様子(この奥はもっと混んでいました)
 下:カルカッソンヌの町。こんな変わった雰囲気の建物もあります。帽子屋さんのようですが。


▶そしてモワサックへ

 カルカッソンヌ駅からトゥールーズ駅にまず戻り、そこからモンタルバン駅まで乗って更にアジャン駅行きに乗り換えてモワサックで下りるという乗り換えが大変複雑なルート。その都度列車が遅れるので途中どれだけハラハラしたことか…。
 モワサック駅についてからサン・ピエール修道院までほとんど走るようにして5時45分頃到着。開館している間に何とか堂内を見学することができました。その後やっと落ち着いて門の外のタンパンと柱の彫刻を撮影しました。この彫刻を知ったのは、植田重雄先生の遺された『Die Skulpturen von Moissac』(Torsten Droste Albert und Irmgard Hirmer著  Hirmer Verlag München)というドイツ語の
本からでした。その166頁に全体像が掲載され、およそ制作年は1135年以降だろうと書かれていましたが、制作者名はありませんでした。リーメンシュナイダーより400年ほど前の時代に、こんなに繊細で奥深い表現の彫刻が彫られていたのだなと感嘆しました。それにしても、ゆっくり回廊まで回れなかったのは本当に残念でした。 

 

 
左:預言者エレミア 右:聖パウロ (おそらく1135年以降) 

人が立っている丸い入口の柱にあるのが上の2体の彫刻です。


 なお、この彫刻について良い資料はないかと調べていたらマダムユキさんという方の大変詳しいウェブサイトを見つけました。こちらに紹介しておきます。

 帰りのモワサック駅はとても簡素でほとんど乗客がいませんでした。あのような修道院ができていた昔の発展した町を想像すると、とても不思議な気がしました。

フランス最古のロマネスク回廊を訪ねてモワサックへ

フランス最古のロマネスク回廊を訪ねてモワサックへ

ロマネスク建築の傑作『モワサック修道院教会』を歩く

エクランドゥフランス - ECRINS DE FRANCE - フランス現地旅行会社

 

 

▶トゥールーズ市内観光

 9月3日は日曜日です。ということはお店があまり開いていない可能性があります。それでもトゥールーズの町は大変賑やかでした。今日は昨日に引き続き世界遺産の教会や施設をできるだけたくさん回ろうと意気込んで、地図を片手に宿を出ました。

 まず最初はサン・セルナン・バジリカ聖堂(写真・下)です。ここもサン・ピエール修道院と同様にタンパンの彫刻が有名な聖堂です。ただ、ちょうどミサの時間に重なり、内部は拝観できませんでした。その後、ジャコバン教会も入りましたが、こちらはいわゆる美術館になっていました。サングラスの係員にコロコロはここに置いていくようにと入口近くに置かされ、警備はしっかりしていましたが、目を惹かれる彫刻はありませんでした。


上:サン・セルナン・バジリカ聖堂 下:オーギュスタン美術館

 そろそろお昼なので、どこで食べようかと回るのですがほとんど空席がありません。それもそのはず、午後になるとどんどんレストランは閉まってしまうのでした。ガロング川から大きな歓声が聞こえるので回ってみるとトライアスロンのレースの真っ最中。次から次へと自転車が通り過ぎていきます。
 その後にオーギュスタン美術館へ。ここは修復中でしたが一部開館しているのです。ところが、コロコロのような荷物がある人は置き場所がないので入館できないと言われ、仕方がないので最初に私が中に入り、三津夫は外で荷物番。サッと見て外に出て交替するということで取りあえず凌ぎました。あまり彫刻も多くは展示されていなくて少々残念でした。

 再びレストランを探しながら川まで戻り、結局橋を渡ったところにあった小さなギリシャレストランが辛うじて開いていたので中に入りました。何とかありついた昼食は余りお腹に合わなかったようで、2人とも腹痛に悩まされました。川の対岸にあった聖ジャクス博物館、オテル・デュー臨床研究開発センターと、合計4つの世界遺産を回ったことになります。

 回れる範囲は回ったし、暑くて疲れたのでゆっくり歩いて宿に戻りました。こんなときは入口の冷たい水と珈琲が本当に有り難かったことを思い出します。

 明日はスイスのバーゼルに向かいます。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2023  Midori FUKUDA

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  331. 18回目のドイツ旅行(... | トップ | 333. 18回目のドイツ旅行(1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

旅行」カテゴリの最新記事