リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

333. 18回目のドイツ旅行(13) 2人旅 トゥールーズからバーゼルへ

2024年01月19日 | 旅行

▶バーゼルで新発見!

 


このバーゼル歴史博物館で嬉しい新発見がありました!

 

▶モンパルナス駅での大失敗

 2023年9月4日。トゥールーズで最後の朝食。でも何度もトイレに駆け込む状態で食欲が湧きません。私は薄いパンケーキを3枚と珈琲で済ませました。昨夜、持っていた最後の梅干しを食べるとお腹が落ち着いてきたので愛さんにLINEで緊急要請。「お腹の調子が良くなくて、梅干しをいくつか持って来ていただけると助かります」と書くと、すぐに「わかりました」と返信があってホッとしました。彼女が7月に来日した際、数年前に作っておいた梅干しをプレゼントしていたのですが、図々しくそれをちょっと拝借したかったのです。私のお腹や乗り物酔いには梅干しがとてもよく効きます。50日間の旅にしてはちょっと持って来た量が少なめだったのを反省。

 朝8時28分発のTGVでモンパルナスに向かいます。発車番線は直前にならないと表示が出ないため、皆ロビーで待機。早めにホテルを出てきたのにあまり意味がありませんでした。
 列車内で懸案事項を一つ解決。以前フランクフルトでうまくスマホが働かず、息子に見てもらった時に直ったのですが、何かいじった関係で「通信サービスはありません」という表示が出るようになっていたのです。愛さんとはLINEもメールもやりとりできるので今までは大丈夫でしたが、緊急の場合は電話しなければならないこともあるので携帯電話番号を教えてもらい、電話できるかどうかを確かめてみたかったのです。どうやったのか忘れましたが(これがいけない!)「通信サービスはありません」という表示が消えたのでホッとしました。

 モンパルナス駅に着いて下車した時に愛さんと一度電話でやりとりしてみました。無事に通じて安心して歩き出すと、一番後ろの車両だったため、もう皆出ていった後でした。何とかなるだろうと前方に行くとエスカレーターがあります。そこを上がっていく男性が見えたのでそちらなのかと思って上がったところ、出てもだだっ広いところで愛さんも誰も居ません。焦りました。間違えたと思って戻ろうにも改札があって入れません。取りあえず愛さんに電話で報告。電話が通じるようになっていて本当に良かった! あのエスカレーターを上がらずにまっすぐ行けば出られたはず。どうやったら一階分下りられるのか試そうと思ってもわからずおろおろしていると愛さんから電話。「とにかくそこで動かずに待っていてください!」と。でも後ろは完全に出口がないので、少し前方に歩くぐらいは良いだろうと恐る恐る歩いていると、向こうから愛さんが息せき切って走ってきました。もう申し訳なくて申し訳なくて…。「思ったよりは近かった」と言ってくれましたが、きっと「何やってるんだ、この人たちは~!」と思ったに違いありません。このあとの時間はそれほど余裕があるわけではないので、愛さんにはどんなに気を揉ませてしまったか。一生彼女に足を向けて寝られません。

 愛さんはパリ・リヨン駅に戻るのに、比較的階段の少ないという地下鉄M6(緑色)に向かいました。ここから Nation 行きに乗ってBercyで乗り換えると一駅でパリ・リヨン駅に戻れるらしいのです(あれ? 最後は何線に乗ったのか忘れました。もしかしたらうろ覚えで間違っているかもしれません)。何にせよ、あの北駅のような長い階段がないのには助かりました。おかげで順調にパリ・リヨン駅に戻り、あとは以前ディジョンに行く際に乗ったことのあるTGV乗車口へ私がリードする番です。これも大勢の人がいて回りがよく見えず、全く初めてだったらおろおろ探したことでしょう。
 愛さんは、この日わざわざ梅干し入りのお握りと梅干しを持ってきてくれたのでした。愛さんの家にはちょうど今日弟さん夫妻も泊まりに来ることになっているので、ユウゴ君がそちらを迎えに行き、愛さんは私たちを迎えて、ここまで送りに来てくれたのです。家族揃って本当に親切です。いよいよ今日でお別れ。嬉しく、楽しかった思い出がたくさんできました。冷や汗ものの恥ずかしい思い出もできてしまいましたが、「今度は来年会いましょうね」と手を振ってTGVに乗車。乗車してからいただいたお握りのなんと美味しかったこと…。梅干しも2~3個とお願いしたのに5個も入っていて、これで帰国までは大丈夫と安心することができました。愛さん、お手間をかけました。TGVは3時間ほどでバーゼルに着きました。


▶バーゼルでの2泊3日

 バーゼルの ibis ホテルは予約したときの写真と外観が違うので最初わかりにくく、ずいぶん探し回りました。わかってみればさして駅から遠くはなく、チェックインしたときに「公共交通機関は無料、市内のリストに載っている美術館は半額になる」というカードをくれたのには感激でした。以前はそんなカードをもらえたこともありましたが最近はほとんどこうしたサービスを受けた記憶がありません。
 ここはスイスなのでまたまた通貨が変わります。これも持ち越したスイスフランが少しありましたが、取りあえず夕食は駅の生協でカード払いができたので、それで賄いました。

 9月5日。今日はできる範囲でバーゼルの美術館と教会を訪ねます。朝、9時開店の銀行が駅前にあったので、そこで古いお札の両替。イギリスとは違って支店でも簡単に替えてくれました。その後、川向こうに行こうとバス停で待っていると、なかなかその番線のバスが来ません。近くに居た老婦人に聞いて見たら、「今バーゼルでは橋を修復していて、あちらに渡って行くバスがないんですよ。向こう側に行くなら駅の通路で歩いて行けますよ」と教えてくれました。聞いて良かった。このまま待っていたら時間が無駄になってしまうところでした。駅の反対側に出ると、こちらが旧市街。以前ドイツ側のホテルに泊まって行ったことのあるバーゼル美術館も歩きで行けそうです。爽やかな秋の晴天。美しい公園や川縁を通りぬけてまずはバーゼル大聖堂へ。




上:バーゼル大聖堂外観 中:入り口前の聖ゲオルク 下:内部の椅子


 大聖堂の屋根はウィーンのシュテファン大聖堂とよく似た感じの格子柄でした。入口そばの聖ゲオルク像は長い槍で遠くの竜を退治している造りが珍しいと思いました。でも聖ゲオルクさんの姿は何だか素朴です。堂内に入ってみると、ズラッと並んでいる椅子の背に透かし彫りが入っていました。ここにも彫り師のこだわりがあるようです。一体何種類の透かし模様が彫られているのか数えてみたくなりました。
 トゥールーズのサン・セルナン大聖堂やモワサックのサン・ピエール修道院を訪ねてからは、外観の柱頭彫刻も気になります。でもあまりたくさんあると写しきれません。もっとゆっくり時間がないと無理ですね。

 

▶次に向かったのはバーゼル美術館でした。

 大聖堂からバーゼル美術館に行き、チケット売り場で半額カードを呈示すると本当に半額になりました。元々一人26スイスフラン(当時のレートで約4,400円)という入場料は結構高額ですから、これは有り難いです。それを十分補うほど、この大きな美術館には名画がたくさんありました。ホドラー、ゴッホ、シャガール、ピカソやルソーなどに加えてションガウアー、グリューネヴァルトにハンス・バルドゥング・グリーンまで、次から次へと出てくるのです。見きれないほどの量でした。途中ビストロで食事をし、またまた通りの向こうの新館まで行って午後3時頃外に出ました。


バーゼル美術館


▶最後のバーゼル歴史博物館で新発見

 地図を見ながら大分歩いてようやく歴史博物館(トップ写真)に到着。多少は中世の作品が見られるのではないかと期待してはいましたが、ある部屋に先に入った三津夫が興奮して出てきました。小さい声で「あったよ!!」と言います。続いて入ってみるとまぁ、リーメンシュナイダーのレリ-フが壁に掛かっていたのでした。正真正銘、彼の手になる「大ヤコブ」です。1510年頃の作と書かれています。ただ、私はリーメンシュナイダーの追いかけ人になってから20年以上の身。ネットでもたくさんの画像を検索してきましたが、この作品は一度も見たことがありません。ドイツのリーメンシュナイダー関係の本も20冊以上ありますが、そのどれにもこの作品は紹介されていません。初めてみる作品なのです。この大ヤコブさんは今回の旅の輝かしい新発見となりました。この作品に出会えて本当に良かった。ここに写真を載せたいほどですが館の許可をいただいていないのでやめておきます。でも写真展を開催したときには是非紹介したいと思っています。

 地下にもハンス・ヴィジツの「アダムとエヴァ」やミヒェル・エーアハルトの「聖セバスチアン」などが展示されていて、閉館時間ギリギリまでしつこく見ていたのでスタッフからはなんと思われたことか。受付に戻ってリーメンシュナイダーの資料はないかと探してもらいましたが何も見つからなかったのが残念です。それでも今日は滅多にない充実した幸せな1日でした。

 明日はバーゼルを発ってインスブルックに向かいます。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2024  Midori FUKUDA

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 332. 18回目のドイツ旅行(1... | トップ | 334. 18回目のドイツ旅行(1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

旅行」カテゴリの最新記事