スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

銀河の彼方へ

2016年10月07日 | 雑感
女流時代作家 ・ 宇江佐 真理 が他界して (2015年11月7日) 早いもので もうすぐ1年になる。
 宇江佐 真理 Wikipedia  

             
  「髪結い伊三次捕物余話」はTVドラマにも。  函館在住・自宅は江戸情緒を醸し出す平屋だ。 
 
青い時の同級生。 当時から文芸誌に投稿するなどの才女、クラスのマドンナだったと記憶している。

2015年 『文藝春秋』 2月号の闘病記 「私の乳癌リポート」 を読み、初めて彼女が病気と闘っている
ことを知ったのですが、実は私もその数年前にがんを患い、手術と療養を余儀なくしておりました。

他人事とは思えない気がし、少しでも励ましになれればと文藝春秋編集長宛に「手紙」を出したところ、
早速本人へその書を転送していただき、まもなく本人から著書四冊と三枚の手紙とが送られてきました。 


人への思いって通じることもあるのだなぁと正直嬉しく、人の出会いの不思議を感じたものです。
懐かしい同級生のその後や思い出、病の状況とそれへの思い、などが綴られておりました。 

       
   この四冊は当ブログでも紹介。 ウエザ・リポート笑顔千両  読書三昧(24)宇江佐真理著三冊

訃報を聞いたのはその数カ月後。  月刊誌 『オール讀物』 に髪結いシリーズが連載され続けられ
てもいたので、少し病状も安定しているのかなぁ・・・・なんて思っていた矢先でした。

エッセイ ≪ ウエザ・リポート 『 見上げた空の色 』 ≫ に こんな <あとがき> が書かれていた。
  ~ エッセイ第二弾(文庫本)。文藝春秋の闘病記 「私の乳癌リポート」 も併せて収録されている。

        

『 同級生が手紙をよこしてくれた。
  もしもの時には、函館山山頂から午前零時発の銀河鉄道に乗って、皆で向うへ行こうと書いてあった。
  妙なことを考えているものだと苦笑したが、次第にそれもいいかも知れないと思うようになった。


      ( そういえば手紙に 「 その時が来たら銀河鉄道に乗り、酒でも酌み交わしながら
        皆で往こうか、なんて気の合う仲間とよく話をしているんですよ。」 って書いたからかな。)


  すてきだね。 眼下に函館の夜景が拡がっていて、花火なんて揚がっていたら、もっと賑やかだ。
  夢という言葉を口にしなくなって久しいが、それが今の私の夢になっている。

  日一日と時間が過ぎれば、当然、病状も悪化の傾向を辿るだろう。

  一日を大事に生きるなんて大袈裟なことは言わないけれど、毎朝目覚める度に思うことは
  昨日と同じ今日でいい、というささやかなものだ。

  昨日と同じ今日などないとわかっていても、そう思わずにはいられない。
  大きな変化はいらない。 舞い上がるほどの幸運もいらない。 生きているだけでいいと思う。 』 
                 
この単行本化への 「あとがき」 が書かれたのは < 2015年の 夏 自宅にて > とあった。

その同じ年の 秋 病状が急変、銀河の彼方へ旅立ったのです。  

遠からず仲間を引き連れてそっちに行きますから、その時はワインでも飲んで語り合いましょう !
「 いやいや 一人で行ってくれ 」  なんて そんな冷たい仲間もおりますがね。

  
               ≪ 銀河鉄道始発駅 ・ 函館山山頂≫

第21回吉川英治文学新人賞受賞作 『深川恋物語』(短編集)や蒼井 優主演で映画化された
『雷桜』 などがある。   もう一冊当ブログで紹介したこんな本もあった。
 寂しい写楽                                                 

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