ふんでノート ~ちいきづくり・まちづくりと日本語教育

ちいきづくり・まちづくりと日本語教育をつなぐことを,「場づくり・人づくり」から進めていきたいと思ってつらつら書くノート

抜き書き 〜戦後日本語教育額とナショナリズム〜

2018年05月22日 13時54分49秒 | 
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…この時期の日本語教育には、日本語を教えることだけでなく、別の目標も課せられるようになっていた。80年代半ば以降、外国人と日本人とが直接交流する機会が増加した。交流機会の増加という状況の中で、日本語教育には、単に日本語を教えるだけにとどまらず、日本に対処・適応する能力の育成が求められるようになったのである。日本に対処・適応する能力とは何かと言えば、日本人の思考様式を含む日本事情を知識として理解し、それにどう対処するかを考えておくことで、実際の接触場面でのトラブルを解決したり回避したりする能力ということになる。
 こうした教育目標は、第Ⅱ期のような、精神的に日本人と同じようになることを促すものとは異なる。日本人との実際の接触場面でトラブルや摩擦が起こらないようにする、または起こったとしてもうまく対処し解決するというものである。日本人の考え方はそのために必要な知識の一つとして位置づけられている。しかしこの目標は学習者が自分にとって違和感をもつ現象にであったとき、それに異議申し立てをし、その現象のほうを代えさせるといった可能性は想定していない。
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「戦後日本語教育学とナショナリズム」牲川波都季、くろしお出版
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