習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ザ・ファブル』

2019-07-15 15:15:56 | 映画
  これは思いっきり変な映画だった。岡田准一主演のアクション映画という括りから想像できるものとかけ離れた映画で、その意外性がこの映画の魅力である。しかも、コメディとして笑わせるのではなく、彼がシリアスに演じることで生じるおかしさ。そのへんてこさがとても魅力的で、彼の日常生活のスケッチを通して世界に対する見方、世界の見え方がほんの少し変わっていくような気がした。アクション映画のはずが、ま . . . 本文を読む
コメント

『COLD WAR あの歌、2つの心』

2019-07-10 21:13:44 | 映画
20年にも及ぶ恋の物語をたった88分で描く。でも、端折るのではなく、悠々たるタッチでじっくりと見せてくれる。歌がテーマなのだから、歌うシーンが何度となくある。なのに88分。 モノクロでスタンダードの映画がなんだかとても新鮮だ。これは断じて古臭い映画ではない。こんなにも古臭いラブストーリーなのに、である。そこがなんだか不思議。恋愛に古いも新しいもないのだろうけど、これがクラシックな映画であることは . . . 本文を読む
コメント

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

2019-07-10 20:27:00 | 映画
先週の木曜、テアトル梅田の最終上映で見に行った。満席で立ち見になっていた。さすがに3時間半の立ち見は無理、と思ったが、わざわざ時間休を取って来たので、それでもいいや、と思い劇場に入る。それにしてもよく入っている。こんな地味な映画にも人が集まるのか、と意外な気分。それだけではない。まるで予想した映画とは違うので、少し戸惑うことになる。 確かにこの図書館の舞台裏は描かれるけど、僕が見たかったものとは . . . 本文を読む
コメント

『ガラスの城の約束』

2019-07-06 09:28:39 | 映画
6月に劇場で見た映画は12本。その中で外国映画はなんと3本のみ。そかも、そのうち1本は『ゴジラ キングオブモンスターズ』なのだから、実質は2本という少なさ。しかも、その貴重な2本に関してはなぜか、感想をここに書いていない。ほかの10本はちゃんと書いているにも関わらず。なぜ、そんなことになったのか、よくわからない。で、その2本がつまらなかったから、というのならまだわからないでもないけど、2本とも極上 . . . 本文を読む
コメント

プロトテアトル『レディカンヴァセイション』

2019-07-06 09:02:39 | 演劇
今回のプロトテアトルは暗闇での見えない相手との会話劇。廃墟同然のビル、そこの警備員、そこの探検に来た男女、そこに死にに来た人々。地震が起きて生き埋めになった彼らのサバイバルが描かれるのだけど、なぜだか彼らはのんびりしている。極限状況のはずなのに、きっと救出されるとでも信じているかのように。危機感が感じられないのだが、そこが反対にリアルな気がする。暢気そうにサバイバルって、ふつうならあり得ない。でも . . . 本文を読む
コメント

夕暮れ社 弱男ユニット『京都で、恋とフォーク』

2019-07-06 08:40:14 | 演劇
前作『サンクコストは墓場に立つ』も面白かったけど、今回もまた、なんでもないお話なのに、笑える。あるあるのお話が展開していく。そこにはなんの驚きもない。京都の大学、フォークソング部の合宿、部員は9人。男女半々。いや、女子のほうが少し多い。いやいや、3対6だから男子少ない。カップルがいくつか、できている。二股もある。部内恋愛禁止というわけではないだろうけど、人間関係もあり、カミングアウトは難しい。 . . . 本文を読む
コメント

浪花グランドロマン『舞え舞えかたつむり』

2019-07-06 08:21:14 | 演劇
こういう芝居を見るとなんだか安心する。これは別役実の戯曲なのだが、浦部さんのオリジナルだと言われても納得するくらいに自家薬籠中のものとしている。自身のアトリエで余裕をもって作られた作品はちゃんと浪花グランドロマンのテイストを体現しており、円熟の極致に到る。小さな芝居でいいし、だからこそ、繊細に見せることができる。主人公の2人(というか、2人芝居だ)がこの空間で向き合い、無理がない。 冒頭は思い野 . . . 本文を読む
コメント

『凪待ち』

2019-07-05 23:57:23 | 映画
どんどんダメになっていく男を描いて、こんなにも魅力的な映画が成り立つってすごい。ギャンブル(競輪)に嵌ってだらしない毎日を送る中年男を香取慎吾が演じる。体にはだらしなく肉を付けて、こいつはダメだな、と無言で伝える。仕事を首になり、都会から(といっても川崎)から6年間付き合っている女(西田尚美)の故郷である石巻に移り住む。彼女の実家でお世話になり、印刷工の仕事を得る。再起を期すのだが、当然のようにま . . . 本文を読む
コメント

遊気舎『アンソロジー 3つの短編』

2019-07-05 22:06:40 | 演劇
思いもしなかった(失礼!)面白さで、衝撃を受ける。久々に見た遊気舎の芝居、ということよりも、久保田浩という作家発見の興奮のほうが大きい。彼の力量に圧倒される。こんなすごい作家が関西にはいたのか、と改めて驚く。というか、役者としての彼ならずっと前から知っているし、古い話で恐縮だが、後藤ひろひとが遊気舎を抜けたとき、絶対に彼が作、演出を担うべきだと思った。だけど、なかなかそういうことにはならなかったし . . . 本文を読む
コメント

劇団未来『ストップキス』

2019-07-03 21:20:46 | 演劇
オーバーアクトを許したのは、外国ものだからか。今時そんなことで大仰な芝居をさせるなんて、時代錯誤も甚だしい。翻訳ものを「赤毛もの」なんていう言い方はもう死語になったはずだ。久々にそんなことを思い出させる芝居だった。演出のしまさんは敢えてそういうルーティンを役者に課したのだろうか。最初はきついな、と思った。ただ、だんだん慣れてくる。人間というのはすごい。そのうち、もしかしたらこれはある種のパターンに . . . 本文を読む
コメント