
今年の直木賞受賞作品である。あまり期待せずに読み始めた。町工場のオヤジの話なんて興味ないからだ。しかし、しばらく読み始めたところから、この熱いドラマの虜になる。エンタメとしてとてもおもしろいのだ。勧善懲悪のワンパターンなのだが、その気持ちのいいくらいの色分けが心地よい。正義の中小企業社長対悪の大企業という図式の中で、弱いものが金と力を持つ強いものの陰謀に立ち向かい、自分たちの力でうち勝ち正義を貫いていく。こんな調子のいい話はなかなかない。だが、読みながら快哉を叫んでしまう。おもしろいからだ。「ちょー きもちーいい」って感じなのだ。僕はとても単純だ。でも、本来はあまのじゃくである僕をここまで簡単に乗せてしまえるってすごい。素直な気持ちで、読んでいられるし、元気にさせられる。
この小説はとてもうまい。このギリギリにまで追いつめられたものの一発大逆転は読んでいて快感である。そしてそれが後半戦では失いかけていた夢を追い求める話へとスライドしていく。男たちがプライドを賭けた戦いをする。後半は更なる大きなもの(国内最大手の企業を相手にする)との戦いとなり、ロケットのバルブ製作を自分たちが請け負うという夢の話へ、展開していく。これもまたキョーフのワンパターンである。会社内部でも不満が出る。危機一髪だ。もちろん敵は巨大で勝ち目はない。絶体絶命である。もう仕方ないからこのへんで妥協しておいしいところ取りをしても、なんら問題はないだろう。だが、この主人公は当然そうはしない。(それをやっちゃぁ熱血ドラマの主人公ではなくなるし)
でも、これではまるで安直なスポーツ小説である。だが、良質のそれを読んでいるようなワクワクドキドキは悪くはない。当然のことだが、ラストでは感動が押し寄せる。単純に夢を信じよう、あきらめないで、最後までがんばろう、と思わされる。それでいいではないか。というか、それがいいのだ。甘い話ではない。きちんと努力したこと、その裏付けがあるからこの成功はある。それだけのことなのだ。
この小説はとてもうまい。このギリギリにまで追いつめられたものの一発大逆転は読んでいて快感である。そしてそれが後半戦では失いかけていた夢を追い求める話へとスライドしていく。男たちがプライドを賭けた戦いをする。後半は更なる大きなもの(国内最大手の企業を相手にする)との戦いとなり、ロケットのバルブ製作を自分たちが請け負うという夢の話へ、展開していく。これもまたキョーフのワンパターンである。会社内部でも不満が出る。危機一髪だ。もちろん敵は巨大で勝ち目はない。絶体絶命である。もう仕方ないからこのへんで妥協しておいしいところ取りをしても、なんら問題はないだろう。だが、この主人公は当然そうはしない。(それをやっちゃぁ熱血ドラマの主人公ではなくなるし)
でも、これではまるで安直なスポーツ小説である。だが、良質のそれを読んでいるようなワクワクドキドキは悪くはない。当然のことだが、ラストでは感動が押し寄せる。単純に夢を信じよう、あきらめないで、最後までがんばろう、と思わされる。それでいいではないか。というか、それがいいのだ。甘い話ではない。きちんと努力したこと、その裏付けがあるからこの成功はある。それだけのことなのだ。