
こういうファンタジー映画はかなり難しい。しかも、表面的にはリアルなお話のようにも見えるから、この映画が寓話であるということに気がつかない人は、この映画のストーリーに不自然さを感じて、ついていけなくなるかもしれない。正直言うと僕もついていけなかった人のひとりだ。映画がリアリズムの文体で語られるし、寡黙な映像は、わざとらしいドラマ性を希薄にする。そこに監督である中川陽介のねらいがあるのだが、そこが空回りしているのが歯がゆい。淡々と2時間を見せるが、話はあまりにうそ臭いし、これでは作者の意図は伝わらないように思えた。
沖縄の小さな離島を舞台にしてるのに、『ウルトラミラクルラブストーリー』とは対極で、方言はイントネーションくらいに留める。そのためここが架空の島のようにもみえてくる。いっそのこと、どことも知れない島、とでもすれば寓話だとわかりやすかったのに、と思う。
たった3人しか子供のいない島。彼らは子供の頃から3人で遊び、暮らす。やがて、大人になり、2人は島を出て行くことになる。その時、彼らの中で起きる感情のすれ違い。男2人、女1人。3角関係恋愛映画の王道だ。
ひとりが彼女のために珊瑚を取りに行って死ぬ、という話からドラマは大きく動く。といっても、ヒロインである長澤まさみが心を壊してしまうだけだが。
さて、ここからが実は本題。残された男女の選択が描かれるわけなのだが。それがなんだか、あまりにただのパターンで、この映画の独自性のようなものは提示されないのだ。失ったものの大きさに現実を受け入れられない少女と、なんとかして彼女を現実の世界に引き戻してきて自分の思いを伝えたいと思う少年。彼ら2人のそれぞれの思いを、長澤の父と母のドラマに重ねて見せなくてはならない。単純な話だからこそそこの監督の腕が問われることになる。なのに、これではつまらない。
冒頭のウミンチュウの父と体を壊した有名なピアニストである母との出会い。そして、2人の結婚。自分が生まれたこと。母の死。何もない島で、ただ海と風に抱かれて静かに暮らす日々。そこから見えてくるものが、ちゃんと提示されなくてはこの映画は意味を成さない。美しい自然だけでは、映画は成立しない。
沖縄の小さな離島を舞台にしてるのに、『ウルトラミラクルラブストーリー』とは対極で、方言はイントネーションくらいに留める。そのためここが架空の島のようにもみえてくる。いっそのこと、どことも知れない島、とでもすれば寓話だとわかりやすかったのに、と思う。
たった3人しか子供のいない島。彼らは子供の頃から3人で遊び、暮らす。やがて、大人になり、2人は島を出て行くことになる。その時、彼らの中で起きる感情のすれ違い。男2人、女1人。3角関係恋愛映画の王道だ。
ひとりが彼女のために珊瑚を取りに行って死ぬ、という話からドラマは大きく動く。といっても、ヒロインである長澤まさみが心を壊してしまうだけだが。
さて、ここからが実は本題。残された男女の選択が描かれるわけなのだが。それがなんだか、あまりにただのパターンで、この映画の独自性のようなものは提示されないのだ。失ったものの大きさに現実を受け入れられない少女と、なんとかして彼女を現実の世界に引き戻してきて自分の思いを伝えたいと思う少年。彼ら2人のそれぞれの思いを、長澤の父と母のドラマに重ねて見せなくてはならない。単純な話だからこそそこの監督の腕が問われることになる。なのに、これではつまらない。
冒頭のウミンチュウの父と体を壊した有名なピアニストである母との出会い。そして、2人の結婚。自分が生まれたこと。母の死。何もない島で、ただ海と風に抱かれて静かに暮らす日々。そこから見えてくるものが、ちゃんと提示されなくてはこの映画は意味を成さない。美しい自然だけでは、映画は成立しない。