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映画・演劇のレビュー

ババロワーズ『クレイジー・フルーツ・マシンガン・ショウ!!!』

2011-07-20 22:58:30 | 演劇
 終わってみると、なんと2時間20分の大作だった。作っている本人たちにはきっとそんな自覚はない。だらだらバカバカしいギャグを演じているうちに気付くとこんなことになっていただけなのだ。しかも、見ている僕たちもあまり自覚はない。笑って見ていたらこんな時間になっちゃった、って感じだ。それってなんだか幸福なことだ。

 たかせさんが久々に自由奔放な芝居を作っている。この無駄な長さがいい。それで、見ていて退屈するようならダメなのだが、彼らは退屈なんかさせない。いつものように脱力系の芝居である。お話自身にあまり意味はない。最近はちゃんと意味のある芝居が続いていたから、今回初心(?)に帰って、とてつもなくくだらない芝居を目指したのだろう。

 群像劇である。特定の主人公はいない。一応は、おおせゆか演じる暴力的な男(相変わらずこんな役はオパンポン創造社の野村侑志だ!)から逃れる女を中心に作られてあるが、気にしなくていい。彼女を巡る話というわけでもない。

 このやけくそな感じがいい。この作品は07年に上演された『ウハウハ!』(なんとも言い難いタイトルだ)という作品の再演らしい。僕は見ていないので比較はできない。だが、なんだか想像がつく。

 大幅に改訂を加えて原型を止めていないようだ。この手の作品なら現場のアドリブでどんどん改稿していける。勢いが何よりも大事だ。そういう意味で、今回は実にたかせさんらしい作品になった。ただ、わかっていたことだが、この数本の作品で試みたドラマとの融合という一面は後退した。それを今後どうするのかが、20回公演へ向けての課題だろう。


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