1年かけて5作品を連続上演するという壮大な試みだ。これまでに上演してきた「死神シリーズ」4タイトルと、その最終話になる新作を含む5作品を、この12月から3カ月ごとに、来年の12月までかけて上演する満月動物園の15周年企画。
これはその記念すべき第1作。作った当初はこれがシリーズになるだなんて、思いもしなかったはず。単発の作品として上演されたのだが、好評で2作目を作った。それからどんどん4作品。当然1話完結だったはずが、ここに来て、なんだかこれがトリロジーの様相を呈した。だから、そういうものとして再構成する。今回、リライトすることで、5作品で1本の作品になるのではないか。そんなことも期待する。
観覧車が倒壊して一緒にいた恋人は死んでしまったが、彼は奇跡的に助かった。だが、それにはわけがある。事故の時彼は死神と契約を結んだのだ。生かして欲しいと。そして自分の魂と引き換えに、死ぬはずだった命を取り戻す。
死神誕生編となる本作は、実に切ないラブストーリーだ。死んでしまった恋人を想う主人公が、死神と過ごす時間が描かれる。事故の後、入院してきる彼の面倒を見る幼なじみの女性。見舞いに訪れた大学時代の友人である女性。そのふたりから想いを寄せられる。しかし、彼は事故で死なせた彼女のことを忘れることは出来ない。
前半は、入院中の病室を舞台にする。後半は、退院後、故郷の(今では廃屋となった)家を訪れ、そこで病室同様、先の2人の女友達と過ごす時間が描かれる。実にシンプルな構成のドラマだ。正直言って、ここまでモテモテでいいのか、と思う。(片岡百萬両が、この主人公を演じる)だが、これは敢えてそういうふうに作った。
作、演出の戒田竜治さんは、リアルなお話としてこの設定を見せるのではない。だいたい死神が取りつく話にリアリティなんか求めようもないし。このあり得ないお話から、リアルを引き出すとするなら、それは反対に、エッセンスのみを抽出するほうがいいと思ったのだ。
彼らのなまの心情を、オブラートに包み込んだりはせずに、ストレートにぶつけた。その結果がこのお話なのだ。死んでしまった後も、彼を一生見守り続けたいから、死神として彼にまとわりつく。最初は、気付かなかったけど、長い時間を過ごすうちに、彼女だと気付く。そんなふたりのドラマと、そんな彼が過ごしたその後の人生(終盤、一気に駆け足でその生涯をたどる)を通して、生きることの意味を問う。それを、好き、という感情をぶつけ合う4人のドラマだけに集約して見せていく。
とてもテンポよく、わかりやすい作品として仕上がった。相内さんによる映像とのコラボもとても上手くいっている。それにより作品世界が広がる。具体と抽象の融合がなされる。1時間50分という上演時間も適切。いいスタートだ。今後の4作品がとても楽しみ。
これはその記念すべき第1作。作った当初はこれがシリーズになるだなんて、思いもしなかったはず。単発の作品として上演されたのだが、好評で2作目を作った。それからどんどん4作品。当然1話完結だったはずが、ここに来て、なんだかこれがトリロジーの様相を呈した。だから、そういうものとして再構成する。今回、リライトすることで、5作品で1本の作品になるのではないか。そんなことも期待する。
観覧車が倒壊して一緒にいた恋人は死んでしまったが、彼は奇跡的に助かった。だが、それにはわけがある。事故の時彼は死神と契約を結んだのだ。生かして欲しいと。そして自分の魂と引き換えに、死ぬはずだった命を取り戻す。
死神誕生編となる本作は、実に切ないラブストーリーだ。死んでしまった恋人を想う主人公が、死神と過ごす時間が描かれる。事故の後、入院してきる彼の面倒を見る幼なじみの女性。見舞いに訪れた大学時代の友人である女性。そのふたりから想いを寄せられる。しかし、彼は事故で死なせた彼女のことを忘れることは出来ない。
前半は、入院中の病室を舞台にする。後半は、退院後、故郷の(今では廃屋となった)家を訪れ、そこで病室同様、先の2人の女友達と過ごす時間が描かれる。実にシンプルな構成のドラマだ。正直言って、ここまでモテモテでいいのか、と思う。(片岡百萬両が、この主人公を演じる)だが、これは敢えてそういうふうに作った。
作、演出の戒田竜治さんは、リアルなお話としてこの設定を見せるのではない。だいたい死神が取りつく話にリアリティなんか求めようもないし。このあり得ないお話から、リアルを引き出すとするなら、それは反対に、エッセンスのみを抽出するほうがいいと思ったのだ。
彼らのなまの心情を、オブラートに包み込んだりはせずに、ストレートにぶつけた。その結果がこのお話なのだ。死んでしまった後も、彼を一生見守り続けたいから、死神として彼にまとわりつく。最初は、気付かなかったけど、長い時間を過ごすうちに、彼女だと気付く。そんなふたりのドラマと、そんな彼が過ごしたその後の人生(終盤、一気に駆け足でその生涯をたどる)を通して、生きることの意味を問う。それを、好き、という感情をぶつけ合う4人のドラマだけに集約して見せていく。
とてもテンポよく、わかりやすい作品として仕上がった。相内さんによる映像とのコラボもとても上手くいっている。それにより作品世界が広がる。具体と抽象の融合がなされる。1時間50分という上演時間も適切。いいスタートだ。今後の4作品がとても楽しみ。