
こんな彩瀬さんを見たことがない。軽妙なタッチで、チャボが語る毎日の暮らし。漱石の『吾輩は猫である』と同じように動物視点からの人間ウォッチングだが、ここでは人間と動物たちは等価で描かれる。しかも動物目線(チャボの桜さんの視点から)。
チャボの桜と一応彼女の飼主である茂さんのお話。ふたりは友人であり、家族でもあり、バディ。お互いに寄りかかり生きている。どちらかというと、桜さんが保護者。
茂さんは心を病んで仕事をやめた。引きこもりになり、そこから立ち直るために今は少しずつ働き始める。近所の人たちを相手に便利屋をしている。そんな彼をチャボの桜さんが助ける。二人三脚で暮らすふたりの日々。なんどでも生まれることができるというメッセージは心強い。