
ショーン・ペンが監督し、娘であるディラン・ペンが主人公を演じた。どうしようもない最低最悪の父をショーン自身が演じ親子役で共演する。主人公である女性の実話をモデルにした作品。1975年から92年までの日々が描かれる。10代の初めから30歳。偽札作りをした父親が警察に追われて亡くなるまで。
最低な男、でも彼は父。子供にとって大切な存在。だけど彼がダメ人間だということは子どもにだってわかっている。ただ時には夢を追いかけて実現させていくヒーローでもある。自由人。だけどすぐに失敗して逃げ出す最悪なヤツ。彼女は彼のせいでまともな人生を送れなかった。母親も弟も。
16ミリフィルム撮影によるノスタルジックな懐かしい画像がこの作品にはぴったり。デジタル撮りのクリアな画像ではこの映画は成り立たない。あり得ないほど、不条理な親子の絆。理解不可能であり、なのに納得する関係性。それを成立させることに16ミリフィルムの荒いテイストは寄与している。
ショーン・ペンの父親の弱さ、それを撥ねつけられない娘の想い。彼女は大人になり、立派なジャーナリストとして独り立ちしても、父を切り捨てられない。父のロマンを許してしまう。
要所要所で登場するショーン・ペンが魅力的。こんなにもダメ男だけど、憎めない。のらりくらりと破滅に向かってゆっくり突き進む。だからどうした、って感じだけど、なんとなく心惹かれる。