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映画・演劇のレビュー

『万能鑑定士Q モナリザの瞳』

2014-05-24 22:24:22 | 映画
どうしてこんなにもつまらない映画になってしまったのだろうか。『GANTZ』2部作、『図書館戦争』の佐藤信介監督作品なのに、である。スケールの大きなエンタメをきちんとリアルに見せていくことを得意とする彼なのに、今回の設定はまったく生かすことが出来ていない。もちろんこれは、お話自体にはスペクタクルな要素はあるのだが、映像としてそれを見せることがとても難しいタイプの小説で、それを視覚化するのは、とても困難であることはよくわかる。だが、勝算があったから引き受けたのではないのか。なのに、この体たらく。

しかし、それにしてもこのチープさは何なのか。大作のはずなのに、なんだかすべてにおいて安っぽい。しかも、まるで映画の世界に入り込めない。モナリザの真贋を暴くなんていうストーリー自体が映画向けではない。大体、撮影に本物のモナリザを使ってないだろうし、もし、使ったとしてもそれが映像としての力を持ちえないところに、この映画の困難がある。では、どうすればいいのか。

ルーブル美術館での大々的なロケがウリになっているようだが、それもまた、しょぼい。あの程度のことをしても、もう誰も驚かない。美術番組とか、旅もので、散々ルーブルなんか映像で見ている。そこにはなんら驚きはないはずだ。映画のカメラがルーブルの中に入ったことで何が可能なのか。そこが勝負だったのではないのか。

本物のルーブルだからこそ可能な映画としてのスペクタクルを展開出来たならいいけど、制約が多すぎてそんなこと、不可能だし、これはそういうタイプの映画ではない。大体ルーブルなんか、パリに行った人ならみんな見ている。(僕でも行ってるし)

ルーブル自体の凄さを映画は描けない。ならば、何を描けばいいのか。そんなのは、わかりきっている。凛田莉子(綾瀬はるか)の鑑定士としての超能力によるトリックを見破るサスペンス、それしかない。コナンばりの名推理で、事件を解決していく。それしかない。でも、なんだかもたもたするばかりで、いつまでたってもそうはならないのだ。しかも、そのうち彼女は能力を失うし。どうすりゃいいのか。

 だいたい彼女がたった一晩でフランス語をマスターしてしまう、というようなとんでもない設定のおもしろさ。そういう部分がもっと効果的に生かされたならよかったのだ。でも、ない。

ルーブル周辺を歩くシーンを見ながら、確かにそこは僕も歩いたよ、と懐かしく思った。セーヌ川の橋の上、コンコルド広場、凱旋門にシャンゼリゼ、要するにいかにも、の定番コースを主人公たちに歩かせているのだ。まぁ、これはただの観光映画なのである。そのくせ、ルーブルの中は、結構限定されたエリアしか見せてくれない。いろんな意味でつまんない。しかも、同じことばかり言ってるし。


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