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映画・演劇のレビュー

『赤羽骨子のボディガード』

2024-08-05 19:29:00 | 映画

こんなバカバカしい設定の映画が作られる。もう今の時代はほんとうになんでもありだ。もちろんこれもマンガの映画化である。ラウール主演で出口夏希がヒロインを演じる。予告編を見て笑ってしまった。このバカをどういうふうに2時間仕立てるのか、興味を持った。昨年の『Gメン』のように徹底的にやれたならかなり面白い映画になるのではないか、と少し期待した。ただし監督が石川淳一である。そこまで弾けることが出来ないのではないか。この手の映画は中途半端な作りをされたら目も当てられない。ということでかなりのギャンブルだけど、見に行くことにした。

役者たちが弾けまくってくれたらいいが、若い子たちはなんだかお上品。クラスメイトの23人がみんなボディガードというバカを楽しめるまでには至らない。自分に与えられたキャラを演じるだけで手一杯。ブレザーで真っ白の上下、カッターは黒、ネクタイは白なんていう大胆な制服は凄いけど。

100億の懸賞金を手に入れるために日本中から凄腕の殺し屋がやって来て彼女の命を狙うという設定に見合うだけの敵がうじょうじょ出てこないと成り立たない映画なのに敵がショボい。キアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』みたいな難敵が必要。

3年4組の団結も嘘くさい。バカでいいけど、もっと徹底して欲しい。そうでなくてはこの世界観に乗り切れないからだ。お約束を受け入れるだけの強度がなくてはこの映画は成立しない。彼らが本当に強いと思わせるだけの説得力も必要。

ヒロイン出口夏希は天然のお嬢さまで構わないけど、みんながなんとかして彼女を守りたいと思うだけの魅力は欲しい。仕事で守っていたはずが、友情から本気になって行くという黄金パターンに説得力が欲しい。あれもこれもと欲しいばかりで、欲しいは実現できていない。

ラウールは頑張ってはいるけど、空回りしている。大人組も同じ。遠藤憲一の父親もあれでは演じようがないし、可哀想だった。そんな中で唯一、土屋太鳳はシリアスなコメディリリーフを見事演じた。


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