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映画・演劇のレビュー

新川帆立『元彼の遺言状』

2024-09-08 09:46:00 | その他

先日彼女のエッセイ『帆立の詫び状』を読んだから、まず一冊だけ彼女の小説も読んでみることにした。これは「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品である。彼女のデビュー作にして1200万円の小説だ。確かエッセイにも書いてあった。それで時計を買ったんじゃないかな。エッセイはそれなりに面白かったから、一冊小説も読んでみて、面白かったらラッキー。それくらいの気分で借りてきた。

 
お金を巡るやり取りが強烈で、冒頭のボーナスが250万しかないから仕事を辞めるというエピソードは凄い。僕たちの生きる世界とは違うレベルの人たちの世界ってあるんだ、と改めて思う。さらには依頼された案件。なんと元カレが死んでしまったのだけど、彼の遺産のうち60億円を殺してくれた人にプレゼントするという遺言を巡る話に突入。彼を殺した男からの依頼。
 
60億貰っても贈与税に30億、残りの20億から弁護料は10億にしかならないから引き受けない、とか、なんかどんどんエスカレートしていくお金の額に愕然とする。さらに残された資産は全部で何兆円だとか。
 
綾瀬はるか主演でドラマ化もされた作品らしい。もちろんTVは見ていないし、僕は普段からこういうミステリーは読まない人だ。だから今回は特別である。
 
ただ、つまらないとは言わないけど、やはりあまり面白くはない。たぶん興味がないからだ。こういうのが好きな人もいるだろう。まだ最初の頃はよかった。主人公の敏腕弁護士、麗子さんが強烈なキャラで楽しい。彼女が何をしでかすのか、興味津々。だけど本題のお話に入るとあまりそれが生きてこない。事件もつまらないし、テンポも悪いから読んでいて退屈してくる。一応一気に読んだけど、後半はしんどかった。
 
先日のたまたま読んだエッセイと連動する(作家の帆立さんとヒロインの弁護士麗子)ところは楽しいけど、お話が荒唐無稽過ぎるし、登場人物にリアリティがないから飽きてくる。エンタメでも人物描写はリアルであったほうがいい。もう読まない。

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