
食にまつわるエッセイ集。『キッチン常夜灯』と並行して読む。こんなにもどうでもいいエッセイをわざわざ時間を割いて読んでいるってバカみたい、とも思う。だけどこういうムダな時間が大事なのではないか、とも思う。たわいない日々の雑感をとりとめもなく綴っているだけで、何もない。途中に挟まる日記なんてそれこそ自分だけの備忘録だ。
だけど読んでしまう。読んでいてなんだか嬉しくなる。こんなにもたわいない毎日を繰り返しながら生きている。そんなことを改めて思う。彼女は自宅で家事をしながら、仕事をしている。(作家だから書き物を)時間には融通が利く。曜日の感覚はないし、自由がある。
取り止めもなく綴っていくうちに記憶にある食にまつわるさまざまな出来事がタイトルである『記憶を食む』ように流れ込んでくる。こんなにもなんてことのない毎日の中で僕たちは生きている。なんとなく食べているけど、そうだからここにいられる。美味しい食事に感謝。