
東京での暮らしに見切りをつけて、最初はしばしの「休暇」として、そしてやがてはここで第2の人生を送るため定着する。自然のなかでの暮らしはメルヘンではなく過酷だ。だが、彼女はそこに生きがいを見出していく。
大袈裟なものではない。ただのスケッチのような小説だ。身辺雑記の記録でしかない。だから、エッセイと言っても成り立つ。半島での暮らしは東京での暮らしと同じように孤独だ。だが、その孤独の質は当然著しく異なる。田舎暮らしを心安らぐ優しいものとして描くことはない。どこにいても生活は付いてくる。周囲の住人は60代後半から80代の高齢者ばかりだ。みんなリタイア組。彼女はそんな人たちよりは、まだまだ若いが、もう人生にも見切りをつけている。ひとりで静かに暮らせばいい、と思う。
崖のほとりに小屋を建てそこで暮らす。周囲の沼や森に続く土地を購入し、自分に出来る範囲で環境を整えていく。雑草の駆除は大変な作業で抜いても抜いてもすぐに生えてくるし、いろんな虫はいるし、快適な暮らしからはほど遠い。生活は単調で刺激はない。ただ自然と共に生きるだけだ。でも、そんな暮らしが彼女には心地よい。
この何もない小説を読みながら、ただここに書かれてあることを漫然と追いかけながら、だんだんいろんなことがどうでもよくなっていく。毎日慌ただしくあくせく暮らしながら、でも、それが何になるわけでもない。日々に追われ、疲れ果てて、でも翌日になれば電車に揺られ仕事に行く。そんな当たり前の日々を大切に思っている。だが、それだけがすべてではない。こういうエコな生活に憧れるわけではない。この小説はただのひとつの生き方でしかない。彼女はそこになんの押しつけもしない。これはよくある提案ではない。彼女の個人的な問題だ。だから他人が干渉することはない。40代の後半で自分の人生を、大袈裟に言うと自分の青春を終えた女が、ここでもう一度人生を始める。そんな日々の第1章である。
大袈裟なものではない。ただのスケッチのような小説だ。身辺雑記の記録でしかない。だから、エッセイと言っても成り立つ。半島での暮らしは東京での暮らしと同じように孤独だ。だが、その孤独の質は当然著しく異なる。田舎暮らしを心安らぐ優しいものとして描くことはない。どこにいても生活は付いてくる。周囲の住人は60代後半から80代の高齢者ばかりだ。みんなリタイア組。彼女はそんな人たちよりは、まだまだ若いが、もう人生にも見切りをつけている。ひとりで静かに暮らせばいい、と思う。
崖のほとりに小屋を建てそこで暮らす。周囲の沼や森に続く土地を購入し、自分に出来る範囲で環境を整えていく。雑草の駆除は大変な作業で抜いても抜いてもすぐに生えてくるし、いろんな虫はいるし、快適な暮らしからはほど遠い。生活は単調で刺激はない。ただ自然と共に生きるだけだ。でも、そんな暮らしが彼女には心地よい。
この何もない小説を読みながら、ただここに書かれてあることを漫然と追いかけながら、だんだんいろんなことがどうでもよくなっていく。毎日慌ただしくあくせく暮らしながら、でも、それが何になるわけでもない。日々に追われ、疲れ果てて、でも翌日になれば電車に揺られ仕事に行く。そんな当たり前の日々を大切に思っている。だが、それだけがすべてではない。こういうエコな生活に憧れるわけではない。この小説はただのひとつの生き方でしかない。彼女はそこになんの押しつけもしない。これはよくある提案ではない。彼女の個人的な問題だ。だから他人が干渉することはない。40代の後半で自分の人生を、大袈裟に言うと自分の青春を終えた女が、ここでもう一度人生を始める。そんな日々の第1章である。