この春いちばんの期待作だった。どうして、どういう経緯でこういう映画がうまれたか、そこもまた、気になるところだが、問題はそれではなく、僕がもともとこういう隠れ里を描く映画が好きなのだ。登場人物は5人。ほかは、点景の域を出ない、というのもいい。「やさしい香りと待ちながら」というサブタイトルは作り手(というよりも宣伝部か)の自信のなさを感じさせて、なんだかなぁ、だが、悪くはない。
主人公の女性(永作 . . . 本文を読む
『クスクス粒の秘密』の監督作。今回も長い。監督の名前が、ではない。上映時間が、である。なんと3時間もある。(監督の名前は、アブデラライス・ケシシュ。長い。難しい。覚えられない)
しかも、話はない。アデルのエマへの熱い想いを、ただ延々と綴っただけ。高2の頃、出会い、好きになり、同棲して別れるまで。
ずっと好き。その気持ちは出会ったとき(街角で偶然すれ違っただけ)から、別れた今も変わらない。寂しい . . . 本文を読む
主人公は、京都麩屋町(先日芝居を見るために京都に行ったから、ついでにこの小説の舞台を歩いた)で小さな和食器店を営む女性、紫。彼女に無邪気に大胆に好意を寄せてくる調子のいい(胡散臭い)15歳も年上の染物師、光山。30代のひとり身の女性と、50代のプレイボーイ。まるで接点のない2人が恋に落ちそうで落ちないという小説。そう書くと、「なんだ、それは!」である。京都を舞台にして、そんな大人の恋を描く。そうい . . . 本文を読む