習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

三浦しをん『天国旅行』

2010-05-06 23:10:45 | その他
 短編連作である。死をテーマにする。死んでいく、死んでいることが、どう周囲の人たちを巻き込み、そして、自分自身にとってどんな意味を持ちうるのかを、それぞれの作品がいろんな角度から考察する。決してつまらない小説というわけではない。読み物としてはとてもよく出来ている。一気に読ませる力がある。だが、それだけなのだ。これでは僕には物足りない。  三浦しをんほどの作家なら、こんな次元の作業に終始するべきで . . . 本文を読む
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『四川のうた』

2010-05-06 22:37:24 | 映画
 『世界』『長江哀歌』のジャ・ジャンクー監督最新作である。この作品は昨年の四月に劇場公開された。本当ならその時にすぐ見るべきだったのだが、例によって簡単に公開が終了し、見ることは叶わなかった。待つこと1年、ようやくDVDになり、ついに対面となる。  四川省・成都にある巨大国営工場が閉鎖される。閉鎖直前の風景が描かれる。ここで働く人たち、その家族。たくさんの人々の想いを秘めて取り壊されていく。そし . . . 本文を読む
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金蘭座『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』

2010-05-06 20:24:43 | 演劇
 今、この40年近くも前に描かれた革命についての物語を、山本篤先生が、金蘭座とその子供たちである金蘭会高校演劇部を率いてリメイクすることの意義は、もう今さら問うまでもない。山本先生の拘りは変わらない。  だが、この山本先生の変わることのない情熱は一歩間違えば、『地獄の黙示録』のカーツ大佐と重なってしまう。(まぁ、それは、半分冗談なのだが)何も知らない周囲の人たちは、彼を裸の王様のように受け止める . . . 本文を読む
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午前十時の映画祭

2010-05-06 20:23:08 | 映画
 2月6日から1年間かけて週替わりで50本の選りすぐりの名画が劇場でリバイバル公開されている。『午前十時の映画祭』だ。  映画はいつのまにか消耗品になってしまい、毎年恐るべき量の作品が上映され一瞬で消えていく。なんだかとても悲しいことだが、これが今の現実だ。1本1本の映画はもっと大切にされてもいいはずなのに、まるで大事に扱われていない。そんな時代の中で、敢えて本物の映画をもう一度劇場で見ようとい . . . 本文を読む
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