次から次へと災難が起こり、自分の家に帰れない男の話というのはハリウッド映画がコメディーとしてよく使う手なのだが、警察が邪魔して何度も署に舞い戻ることになるという不条理が面白い。しかも、彼らは実は警察ではなく帰宅阻止株式会社という人たちだったなんていう展開もおかしい。
しかし、このネタバレした後が少し納得いかない。帰宅阻止(株)の人たちの行動に何の意味も感じさせず、ただのドタバタに終始するのは . . . 本文を読む
ザムザが朝、目覚めると、お金になっていた。そして、世界中で人がお金になっていく。人は死んでお金を残す。残された家族のために。
この芝居の発想の面白さはそこに尽きる。こんなふうな現実を見せながら、その事件が世界をどう変えていくのか、そこをもう少しリアルに描いてほしかった。20億を手にした青年がその使い道として何を選ぶのか、というところに話を持って行くのは悪くないが、そういうミニマムな視点から話 . . . 本文を読む
大竹野が久々に家族の問題を取り上げている。作品自体は『サラサーテの盤』に続く文芸シリーズ(そんなものがあればだが)なのだが、色川武大のことが好き過ぎて、作品や作家との距離がうまく取りきれてない。彼がかなり苦しんで作ったことが、痛いほど伝わってくる芝居になっている。
原作に描かれた父と子の話を中心にしてうまくまとめれたならよかったのだが、彼はそれだけでは納得いかなかったのである。サブタイトルに . . . 本文を読む