ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

おとなのけんか

2012-03-09 22:26:50 | 映画

おとなのけんかを観ました。予告にやられてw。

一場面ものです。基本的にシーンはリビングだけで、移動してもせいぜいエレベーターホールくらいです。登場人物も2組の夫婦計4人だけです。「十二人の怒れる男」みたいな感じ。こういう作品を語るのは野暮だと思います。とにかくおもしろいので、なにしろまあ観てみてくださいw。

一応背景だけ。ニューヨークの公園で11歳の男の子どうしザカリーとイーサンがけんかして、イーサンが顔を怪我します。かれらの両親が善後を落ち着いて話し合うために、イーサンの家に集まってます。ザカリーの父親アランは薬品会社の弁護士です。新薬の副作用問題で訴訟を控えていて、その準備で忙しい様子です。母親ナンシーは証券ブローカー。イーサンの父親マイケルは商店主。母親ペネロペは夫いわくライターですけど、主にはアルバイトをしています。
最初は穏便に話し合っていた4人ですけど、もともと個性がたった人達ですから、次第に議論がヒートアップしていきます。それぞれのキャラクター設定をまとめてみました。
・ペネロペ(ジョディ・フォスター) : 明るくて社交性がある。→自尊心が強く、違う考えを受け入れられない。
・マイケル(ジョン・C・ライリー) : 人間関係を大切にし、オープンで気さく。→傲慢。ペネロペの気位の高さが気に入らない。
・ナンシー(ケイト・ウィンスレット) : 控えめな淑女。マイペースな夫に困りつつも、強く言わない。→周囲の人に言いたいことが鬱積している。
・アラン(クリストフ・ヴァルツ) : ジコチュー。仕事第一で家庭のことは妻に任せきり。

アランだけが最初から最後まで変わらない。アランのジコチューっぷりに、他のひとがだんだんイライラし始め、少しずつ本性を表します。まるで合唱隊が輪唱するように。もしくはオーケストラの多重演奏。全員の本性が出たところで、物語はクライマックスを迎えます。

「十二人の怒れる男」とのちがいは、登場人物がその場にいなきゃいけない必然性が無いこと。だから精神的に追い込む緊迫感はありません。それを逆手にとってます。その場にいる必然性がないのにその場に居続ける不自然さが楽しいのです。

なにしろほぼ4人しか登場しませんので、俳優さんの個性がそれぞれ際立ってました。まんべんなく順番に見せ場がきますので、演じていても楽しいでしょうね。なかでもストーリーの進行で重要なアクセントになっていたのがアランのジコチューです。ここっていうときに携帯に電話がかかってきますw。観る側は、最初はアランにイラつくんですけど、最終的にはアランにだけ妙な信頼の感情が芽生えます。クリストフ・ヴァルツはイングロリアス・バスターズで存在感をみせてましたね。

ペネロペの神経質なキレっぷりが、いかにもジョディ・フォスターな感じです。

ケイト・ウィンスレットは、綺麗な淑女と、ある失態を経た豹変っぷりを好演です。失態は見てのお楽しみw。

ジョン・C・ライリーは、何度か出演作をみてるんですけど記憶がなく。アランと対比した庶民を好演してました。

繰り返します。なにしろとにかく観てください。コンパクトでキレのある作品です。

タイトルにもありますけど、大人のみなさんにオススメ。