ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

とと姉ちゃんロケ地先取りの旅 -20160326 江戸東京たてもの園-

2016-03-27 22:08:07 | 連続テレビ小説とと姉ちゃん

今年も桜が咲きはじめました。

春ですね。日本です。

今年は開花してから寒い日が続いて、満開までが長いようです。いつもより桜を長く感じられるようです。

春は別れと出会いの季節。連続テレビ小説も改変の時期です。平成28年度前期連続テレビ小説は「とと姉ちゃん」でございます。ヒロインは、ごちそうさんの希子ちゃんの記憶が新しい、高畑充希さん。

ひと足はやく、恒例の予告番組がありまして観ていましたら、いきなりなんだか見覚えのある景色が流れてきました。とと姉ちゃんのロケは、静岡県内と木更津と大田原であったことが分かってたので、まさかと思いました。

しばらく観てたら、間違いない!。わが地元、東京小金井の江戸東京たてもの園が映っているじゃありませんか!。

大橋鎭子さんのゆかりの場所があんまり残ってないということなので先取りの旅をするつもりはなかったのですけど、地元でロケしたと知って、朝ドラロケ地巡りマニアの血が鎭まるわけがなく。

というわけで、わが地元の隠れたロケ地の名所、小金井公園内にある江戸東京たてもの園をご紹介いたします。あくまでもとと姉ちゃんロケ地目線ですので、広い園内の5分の1程度の紹介になることをご容赦ください。

ちなみに園のスタッフさんにお聞きしましたら、今のところ小金井ロケは、第1週と第2週に登場するそうです。浜松の街並みのシーンなのだそうです。浜松なんだけど実は東京で撮ってるって見た人はわかんないよねーってスタッフさんと笑っちゃいました。というわけで、たぶん小金井の登場は冒頭の2週間のみだと思います。

本編が放送されてからあらためて江戸東京たてもの園ロケ地巡りをやりたいと思います。とと姉ちゃんロケ地巡りのスタートを地元小金井ではじめられそうで、ワクワクします。渋谷が先かもしれないけど。

江戸東京たてもの園への公共交通機関のルートはいろいろあります。今日は一番メジャーで分かりやすい武蔵小金井ルートでご紹介します。武蔵小金井駅は改札が二つあります(今年小さいほうのnonowa口ができました)。大きいほうの改札を出て、北口に向かいます。

江戸東京たてもの園へは健常なかたでしたら徒歩で30分強です。北口を右に出てすぐのここをひたすら北に歩くと江戸東京たてもの園のある小金井公園です。関東ローム層らしく南から北に向けて緩やかに窪地を登り下りします。後でご紹介する西武バスルートと小金井公園西口で合流します。

今日はバスルートをご紹介しますので、北口を左に出ます。

なお今度の週末は、恒例の小金井桜まつりです。

すぐの横断歩道を渡って、右手の西友の前に西武バスのバス停があります。2番のりばか3番のりばで、どれでもいいので来たバスに乗ってください。

バス停に次のバスの到着時間が表示されていますのでご参考に。

約10分ほどで小金井公園西口に到着です。ここで下車します。

バスを降りた来た小金井街道をちょっと戻って、ここを渡ります。

渡って左にちょっと進むと、小金井公園の西口です。

西口付近は櫻の園といって、とと姉ちゃん第1週の頃は満開になってると思います。

ここを左折したほうがちょっとだけ近道なのですけど、桜の時期は広いほうを道なりに進むほうが楽しいです。

ここを左折。

たてもの園前広場は花見の名所です。正面に見えるのが、江戸東京たてもの園です。

もうひとつの武蔵小金井ルートをご紹介します。関東バスルートです。こちらのほうがバスの本数が少ないですけど、歩く距離先が短いので、足の不自由なかたには良いかもしれません。先ほどのパチンコ屋の前の横断歩道を渡って左折。

ドンキの前の4番のりばです。

関東バスは小金井橋で五日市街道を東に入ります。西武バスルートでは五日市街道は小金井橋を渡るだけですけど、関東バスルートは、江戸中期以来の桜の名所玉川上水の桜街道をちょっとだけ楽しめます。五日市街道の桜は山桜で、種類も多いので比較的長く桜を楽しむことができます。小金井公園前で下車。

今きた五日市街道をちょっとだけ西に戻って、すぐを右折。

小金井公園正門です。まっすぐ進むと江戸東京たてもの園です。

入ると左手にカウンターがあってチケットを買います。自動販売機はありません。大人は400円也。右手にグッズ売り場もあります。小金井公園のキャラは市内にあるスタジオジブリのデザインです。

この通路を通ります。

エントランスの建物内に、広くはないけど結構立派な展示コーナーがあります。今は小金井の桜をテーマにした展示をやってます。

エントランスの建物を出ると、いよいよ江戸東京たてもの園です。

江戸東京たてもの園の全景です。ロケ地は東ゾーンです。

東ゾーンは右手。

高橋是清邸の前を通過します。

生垣に沿って進みます。

ここもまっすぐ。

しばらく道なりに進むと黄色い路面電車とシルバーのバスがある広場に出ます。

路面電車の前、東エリアです。

それではお待たせいたしました。とと姉ちゃんロケ地先取り巡りをはじめます。まずは、下町中通りを南側から見た全景です。こちらはとと姉ちゃんのオフィシャルポスターの背景のモチーフとして使われています。手前左右の四軒、左手の植村邸と右手の丸二商店、花市生花店、武居三省堂です。公園施設内とはいえ地元小金井の風景が朝ドラのオフィシャルポスターになるなんて、誇らしくて大感激です。ポスターのデザインは先週告知されていたのですけど気付きませんでした。たてもの園のスタッフさんとお話してて、ポスターもたてもの園なんですよって教えてもらい、びっくりしました。

予告のオープニングでとと姉ちゃんこと常子さんが走っていた商店街。下町中通りです。園のスタッフさんにお聞きしましたら、ロケは1月下旬の休園日に行われたそうです。

走る常子さんの背後に映ってた建物。千と千尋の神隠しで有名な子宝湯です。

君子さんが鰹節を物色してた商店街。花市生花店、武居三省堂です。

高畑さんが紹介されてた商店街。川野商店と小寺醤油店です。

小橋シスターズが荷物を担いで歩いてた商店街。

最後は、鉄郎おじさんと子ども頃の常子ちゃんが歩いてた商店街。大和屋本店です。

園内のアテンドのスタッフさんは地元のボランティアさんなんですけど、やっぱり江戸東京たてもの園がモチーフになっているメジャーな作品は千と千尋の神隠しですから、お客さんに紹介するときも千と千尋をベースにお話してるようです。

朝ドラのロケ地は最近注目されていますから、もしかしてら今年はとと姉ちゃん目当てでたてもの園に来られるかたもいらっしゃるかもしれません。僭越ながら、予告を観た限りで映っている建物をスタッフさんにお伝えしました。お話に加えてくれるかな(^^;;。

この下町中通りは、朝ドラはとと姉ちゃんが三回目です。過去は、純情きらりとおひさまです。純情きらりでは桜子さんが東京時代に住んでた街として、東ゾーンだけでなく西ゾーンもセンターゾーンも使われてました。

下町中通りを純情きらりから10年がたちました。竹蔵役の西島秀俊さんと木村多江さんも純情きらり以来10年ぶりの朝ドラ出演ですね。ついでながら純情きらりの主舞台の岡崎市は、今年市制100周年なのだそうです。

おひさまでは、白紙同盟の三人が映画を観に来た松本の街として一度だけ登場します。おひさまも5年たちましたね。これから江戸東京たてもの園は5年周期で使われるのかしら?w。

実際に放送されるシーンは少なそうだけど、ととこと竹蔵さん以外の小橋家がみんな出てくるので、印象的なシーンになりそうです。常子さんがもう大きいので、主に登場するのは第2週なのかな?。

新しい朝ドラのはじまりは毎回楽しみですけど、地元がロケで使われているので格別です。ワクワクします。


2016J1リーグ1stステージ第4節鹿島アントラーズvsFC東京@カシマ20160319

2016-03-20 17:35:03 | FC東京

2月はずいぶんと長く感じましたけど、3月ははやくも後半。春近づいて気持ちが急くのでしょうか。小金井公園は染井吉野が咲きはじめました。

早春の三連休は、春分。なぜだか初日の土曜日だけ雨模様です。予報では午後が一番はげしいとのことでしたけど、東関道を潮来に近づきますと、利根川遠景の西の方角が明るくなっていて、鹿嶋に着くころには止みました。試合中のスタジアムは名物の霧がおりて、雨というよりは露をかぶるような冷気を感じる午後でした。

というわけで、今年も越境。鹿島詣です。霧のせいでちょっと肌寒くはありましたけど、すでに春入りしているみたいで、芯から冷えるようなことはもうありません。ようやくサッカー観戦日和がやってきたようです。本日のYou'll Never Walk Alone♪

力勝負を挑み、乾杯です。

東京は拓馬が体調不良で不在です。この時点で、少なくとも攻撃に関してはエクスキューズが成立します。シーズンスタートの東京は、遼一、拓馬、慶悟のそれぞれキャラとエリアの違うボール保持力を攻撃プラン構築の基礎としてきました。その大事な一角の不在は確実に影響します。そして、如実に試合の流れに作用しました。シフトはいつもの4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチはヨネと拳人。今日のメイヤは右に宏太左に草民。今日の2トップは遼一と慶悟です。

鹿島は開幕連勝後の前節初敗戦を受け、アタッカーの布陣をアジャストします。シフトは伝統の4-2-3-1ではなく4-4-2。GKは曽ヶ端。CBは昌子と植田。SBは右にJ1通算200試合出場を達成した大伍と左は修斗です。ボランチは満男と岳。今日のメイヤは右に優磨左にカイオ。2トップは赤崎と夢生です。

拓馬不在の影響は、さっそくビルドアップに現れます。今年の東京のビルドアップポイントは左右中央と分散します。とくに左右、トップから右のバイタルエリアに下がる拓馬と、左ライン際に張る慶悟の両翼の一次基点が、東京の攻撃リズムを生み出す発端です。拓馬が不在で右の基点を失い、さらに慶悟をトップに上げることで左の基点も失います。ここを宏太と草民がフォローできるかがポイントになるわけですけど、試合はそれ以前の展開になります。

つまり、東京がボールを持てるのであれば、ビルドアップの一次基点をチェックしようがあると思うのですけど、今日は鹿島に、そもそも攻撃権を持つことすら許されませんでした。その意味では、実質攻撃においては機能せず、存在する希薄になっていた宏太と草民に責はありません。まったく鹿島がパワフルでした。

鹿島がイニシアチブを握るアプローチの手始めとしているのは、中盤の激しく厳しいコンタクトです。起点となるヨネと拳人に対し、満男、岳、優磨、カイオに加えて、夢生も下がってきて加わり、起点として機能する以前にプレー始動の段階でチェックを仕掛けます。まず鹿島は、局地戦を征することを優先します。東京はフィッカデンティさんの遺産を引き継ぎ局地戦に長けていますし、ヒロシも局地戦に優位に立てる選手をスターターとしてチョイスしています。拳人、草民が定着しつつあるのは、前提としてファイターだからだと思います。リーグ戦三試合を消化しましたけど、対人コンタクトで不利に立ったことはなく、むしろ局地戦を状況打開の鍵にしていました。その意味では、局地戦に自信を持っていると言っていいと思います。鹿島がコンタクトを臨むのは、もちろん鹿島の鹿島たる常套とは言え、トップカテゴリの上位勢に名を連ねつつある東京が鹿島イズムと似たアプローチを辿りつつあるのを感じ、古参の意地として、局地戦長者の格を見せつけようとしたとも言えるのではないかと思います。鹿島が迫るハードコンタクトに、東京の中盤は押し込まれます。

中盤を征した鹿島は、実に鹿島らしいアタックを展開します。鹿島は伝統的にサイドアタック基調のチームです。とくに右サイド加重の、右で作って左で仕留めるパターンを主戦としています。石井鹿島も、この伝統の上に成り立っています。昨年2ndステージ途中から石井さんが取り組み成果を見せたことは、鹿島の原点というか、中盤の守備の支配と右サイドを基軸にしたポゼッションの復活だったんだと思います。ただ今年に入り、3試合で得点2失点1。得点力不足になっていることは明白。それが表層化したのは、想いのこもった激闘となった前節、仙台との復興マッチだったのだと思います。石井さんが感じた課題は、おそらく縦への推進力だったのでしょう。

強い頃の鹿島の攻撃は、ゴール裏から見るとその特長がとてもよくわかります。左右の両翼をいっぱいにひろげ、なおかつ陣形の縦がコンパクトで、一気に相手を包み込むような巨大な圧力を感じさせます。その上で、中央の選手がポジションが被らないように連携して動きます。近年は、どちらかというと個のタレント性に依存していて、この特長が薄れていました。その因を、石井さんはまずはシンプルに捉えたのだと思います。今日の鹿島のMVPは、優磨だと思います。今日は、康と充孝というスキルフルなアタッカーではなく、優磨とカイオという、ゴリゴリと縦に仕掛け続けることができる選手をチョイスしました。まずはカンフル剤的なテストイメージがあったのかもしれませんけど、これが奏功します。

前述したように鹿島の攻撃の基点は右サイドにあります。まず鹿島は、優磨の仕掛けを効果的にするために、右サイドで数的優位を作ろうとします。中盤でトランジションすると鹿島は最終ラインからビルドアップします。この間に大伍が高く位置取ります。さらに夢生が流れてきて優磨と大伍の間あたりを浮遊します。これがポイントです。東京はサイドプレイヤーはゾーンのケアで、フォアチェッカーはどちらかというとボランチが担うのですけど、鹿島はここをつきます。夢生が中盤の右サイドに流れることで、草民をひきつけます。これで大伍がフリーになります。さらに優磨が諒也と1on1のマッチアップを仕掛けます。これで右サイドの攻撃パターンが成立します。康が右に入る場合は、康を基点に大伍、夢生が奥を狙うのですけど、これだと守備側が基点にダブルチームを仕掛け易く、さらに奥のスペースもSBとCBがシンプルにケアできます。もちろん康のキープ力を前提にしますので、康のコンディション次第では逆に数的優位を作り出し易いとも言えます。おそらく康を軸にしたこのパターンは長年積み重ねているので、マークする側の対処パターンもまた、出来上がっているのでしょう。草民が最初、中盤のラインにステイしていたのは、康対策のイメージで優磨を捉えていたからだと思います。

ところが優磨は、アグレッシブなサイドドリブラーです。大伍と夢生が作る右の攻撃の形から、優磨が縦に仕掛けられるシチュエーションが形作られます。最終ラインもしくは岳、満男、大伍からパスを預かった優磨が、ゴリゴリと諒也を狙います。開始早々から鹿島が見せたこの右サイドのパワープレーが、今日の流れを決定付けます。

東京は、必然的に守勢を選択します。おそらくある程度は想定していたというか、ミニマムに勝点1という視野もあったのだと思います。メイヤを、攻撃というよりかは守備の起点として使います。宏太と草民は、鹿島のビルドアップのリズム作りの一角である、大伍と修斗をチェックします。今日の鹿島が中盤で一次基点を作らないのを見て、起点を崩しに行こうとしたのだと思います。この守備モードのアジャストは、当初守備のバランスを崩します。メイヤが前に出ますので、SBとの間にスペースが生まれます。ここを右は下がってくる夢生、左はカイオに狙われます。ただ、こうなると鹿島は、最前線に中央の赤崎と右の優磨、あえて言うとそれに逆サイドのSBが加わりますけど、いずれにしろ最終局面での数的優位を作れません。なので、優磨を中心としたサイドアタックの時間が続きますけど、鹿島はペナルティエリア内で可能性を作り出せません。

そして、東京の守備のアジャストが成り、安定します。サイドで数的優位を作る鹿島の攻撃パターンは、言い換えると中央に脅威が無いということです。東京は、メイヤのフォアチェックを起点に、SBとCB、それにボランチが加わったゾーンをバランス良くコンパクトにサイドに展開できるようになります。これで、鹿島がボランチを含めて、スモールゾーンのショートパス交換で縦を狙おうとするラインを遮断することに成功します。こうして東京に、守備のリズムが生まれ、安定します。

東京の今日もビルドアップは、遼一と慶悟のポストに偏ります。なので、中盤で二人、とくに遼一ががんばったときに、攻撃のリズムを作ることができていました。メイヤを含めた4+4の守備網の安定を優先しますので、必然的に東京の攻撃はロングカウンター基調になります。狙いはこれまたサイド。遼一が一次基点となり、落としたボールを手をかけずにサイド深くに送り込みます。とくに大伍の裏、左サイドを慶悟が狙います。前半途中から鹿島がカイオを基点とした左サイドアタックを混ぜはじめましたので、積極的に攻撃参加する修斗の背後を宏太も狙います。この左右単発のロングカウンターから、クロスをゴール前に供給し、遼一もしくは長躯上がってきてゴール前に参戦するボランチに合わせるパターンが、今日唯一と言っていい東京の得点パターンだったと思います。もしくはセットプレー。

頼みの綱は、なので遼一ですけど、さしものの遼一でもポストの安定を許してはもらえません。鹿島復活の原動力は、きっかけはCBの安定なのだと思います。長いこと本格的なCBらしいCBコンビを作れなかった鹿島ですけど、昌子に加えて植田が定着したことが、最終局面での1on1を征し続けることで安定を作り上げる鹿島伝統の守備スタイルの復権につながっていると思います。

試合の趨勢は、というわけで、東京が耐えきれず決壊するか、カウンター一閃の数少ないチャンスをものにするか、それともこのまま終わるかにかかる様相になりました。前半はスコアレスのまま終了。

前半途中で、守備バランスが取れた東京を打開するために、鹿島は優磨とカイオを左右入れ替えたりしていました。あるいは優磨をやや絞り加減に位置取らせて、セカンドアタッカーの役を担わせる時間もありました。これに対しても東京は慌てることなく、ゾーンは安定します。後半から鹿島は、もう一度オリジナルプランに戻り、右サイドを中心とした仕掛けに徹します。

それでも東京は、鹿島が縦に仕掛けるチャレンジする意欲を断つゾーンを保ち続けます。若さ故の引き出しの少なさに味付けをしたのは、鹿島イズムを継承するレジェンドでした。

50分。鹿島陣左サイド深くの曽ヶ端のFKから、1分40秒間に渡る鹿島のポゼッションアタックの末のゴールです。大伍を起点として、満男、優磨、赤崎を絡めた連続3度の右アタックも、拳人のフォアチェックと草民と諒也の厳しいマークの前に不発。鹿島は戦線を左に変えます。カイオと修斗のコンビネーションも宏太と徳永のマーキングの前に仕掛けることすらできず。もう一度最終ラインを通じて右に持っていきます。東京は前線がフォアチェックし守備陣形を押し上げます。大伍には草民が寄せます。この時草民が上がった背後のスペースに満男が入ります。大伍、岳を経由して、その満男にフリーで渡ります。満男はルックアップ。満男を見ていた諒也は、満男のパスに備えてラインに入ろうと下がります。ただこの時ゴール前は、ニアから優磨、赤崎、夢生に対し、まる、モリゲ、徳永がそれぞれついていて、数的にはイーブン。赤崎がサイド奥を狙って外側にダイアゴナルに入ります。満男は赤崎にロブフィード。堅い東京守備陣を一気に飛び越そうという、満男にして少しばかり、ままよどうにかなりまっしゃろ作戦です。ところがこのフィードが局面を変えるマジックプレーになりました。満男の絶妙なフィードは赤崎の足元に落ちます。コントロールしようとする赤崎にモリゲが寄せます。モリゲは背中からコンタクトしたので、赤崎がコントロールするボールを一瞬見逃します。もしくはゴールライン際のプレーだったので、セルフジャッジしてしまったかもしれません。これが勝負の分かれ目になりました。赤崎がフリーになります。さりとてシュートコースの無い赤崎は、後方にフリーでいた優磨に戻します。優磨は、ペナルティエリアに帰陣しようとするヨネと諒也に対しステイを選択し、フリーを得ていました。優磨はダイレクトでシュート。これはヨネに当たって跳ね返ります。こぼれたボールがゴール正面にいた修斗に転がります。修斗の右足ダイレクトシュートはバウンドを測り損ねてダフりますけど、徳永の背後から抜け出した夢生へのパスの形になり、左足に当たってゴールに吸い込まれました。鹿島1-0東京。

ビハインドを負い、ヒロシが動きます。草民に代えて広貴を同じく左メイヤに投入します。草民が攻撃に絡んでなく、いつものゴリゴリした積極性も見えなかったのは確かなのですけど、守備加重を強いられていたので、草民に問題があるというよりかは、攻撃に転ずるにあたりモードをスムーズに変えるために人ごと代えようという意図だと思います。広貴は積極的に高く位置取ってました。広貴が入ることで、中盤のハードチェイスの威力を落とすことなく、中盤の高い位置で基点が作れます。慶悟が左に流れ、中央だけでなく左にも可能性ができるようになります。]

これを受け、ヒロシがさらに動きます。宏太に代えて梶山をボランチに投入します。拳人が右メイヤに回ります。梶山の役割を見ていると、中盤のオーガナイザーというよりかは、フォアチェッカーのように見えました。鹿島は、岳と満男が役割を入れ替わり、どちらかがポゼッションの基点として前に上がります。なので中盤中央を片方のボランチが一人で担う状況になることがしばしばあります。梶山はこの起点に対しチェックをしかけます。それから、鹿島が仕掛ける中盤の局地戦に対し、フィジカルで不利に立たないことも梶山投入の意図だと思います。ボールロストの少ない梶山に中盤を任せ、ヨネを前目に出したかったのだと思います。

すぐに石井さんが動きます。優磨に代えて康を同じく右メイヤに投入します。石井さんのなかでは、現実としてここまで1試合1点しか取れてないので、このまま逃げ切る可能性も見ていたと思います。攻撃のリズムを安定させポゼッションを向上させる意図だと思います。

ヒロシが重ねます。慶悟と広貴のポジションを入れ替えます。慶悟が流れ、広貴が前に出ることで、鹿島のバイタルエリアに仕掛けることができるようになっていました。満男と岳を後方に引っ張るだけでなく、あわよくばCBを引っ張り出せたら、遼一が仕掛ける状況を作り出す、もしくは慶悟を基点に左サイドで仕掛けることもできるという意図でしょう。

両チームが慌ただしくなります。石井さんも続きます。満男に代えて永木を同じくボランチに投入します。鹿島は永木をフィットさせる過程にあるのだと思います。厳しい局面で投入し、フィットの感覚をはやめる意図なのでしょう。もともと鹿島のボランチは守備範囲が広くハードコンタクトを基調とするので、永木はフィットし易いと思います。中盤のコンディションが上がり、梶山、ヨネ、永木、岳の局面のコンタクトが激しくなります。

永木投入で中盤の守備の可動域を広げて、次に石井さんが選んだのは攻撃による守備負担の軽減です。赤崎に代えて聖真をトップ下に投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。前線にスペースを狙って広範囲に動き回れる聖真を入れることで、東京に後方を意識させつつ、守備網にほころびを作る意図だと思います。

ヒロシが最後のカードを切ります。拳人に代えて相太をトップに投入します。広貴が右メイヤに回ります。相太は昨年9月12日以来の6か月ぶりの公式戦です。昨年はリーグ戦とカップ戦に各二試合の出場に留まりました。再三の大きな怪我を乗り越え、今年もう一度復活してほしいと思います。でも投入された局面がシリアスなので、感慨にひたるどころか、リーサルウェポンと意外性の男相太に期待がかかります。相太が入り、鹿島へのプレッシャーを増幅できるようになります。前線にターゲットマンを二枚置けるので、昌子と植田を各個分散できます。そこに広貴、慶悟、ヨネ、梶山を絡めることができれば、鹿島の堅い守備網を抜けることができるかもと思いました。実際、相太の強引な縦への仕掛けを中心に、鹿島ゴールに肉薄します。

ところが鹿島の守備網は落ち着いていて、遼一、相太の落としからの展開でパスをつなぐことを許してくれません。前がかりになるも、なかなか有効な形でアタッキングサードに入ることができません。じりじりする状況のなか、逆に追加点を許してしまいます。

88分。東京陣に入って左サイドの鹿島のFKから。鹿島は右サイドにサイドチェンジして仕掛けます。再三の右アタックも東京が粘り強く跳ね返します。3度目のアタックは聖真のドリブルインでしたけど、これはまるがクリア。それがラインを割らず鹿島が再度チャレンジします。大伍が拾い、もう一度右で仕掛けます。今度は岳と康の二人の仕掛けから、ライン際を康がドリブルでじわじわ上がります。アタッキングサードに入ります。岳をスクリーンのように使ってスタートした康のドリブルで、岳をマークしていた慶悟が康につきます。諒也も康に寄せダブルチームの形になります。ところがこの時、岳がそのまま上がっていて、康に寄せる諒也の背後に入ります。岳はこれでどフリー。ゴール前は聖真にまる、夢生にモリゲ、カイオに徳永がついてます。なので、岳にはヨネが反応すべきでした。慶悟と諒也を十分にひきつけた康は、岳にパス。フリーの岳はターンしてルックアップ。この時夢生があえてステイ。モリゲとの距離を置きます。これを見た岳は、ラインとGKの間をやや長めに速いクロスを送ります。聖真がまるの背後をとって飛び込んできたので、モリゲは聖真をケアします。これで夢生はどフリーを手にします。岳のクロスを右足ダイレクトで合わせました。鹿島2-0東京。

それでもなお、ゴールに迫ろうとあがく東京ですけど、ついに鹿島の堅城を崩すことはかないませんでした。このまま試合終了。鹿島2-0東京。

拓馬がいなかったエクスキューズはあるのですけど、それでも鹿島に全力でぶつかって、かつての最強鹿島を引き出したカウンターになれたことは、もしかすると鹿島にしてみれば、年々追いかけ、ついに紙一重の互角勝負、スコアレスドロー必定なところまで東京が迫ってきたことを実感したかもしれません。

スコアもスタッツも見た目も鹿島に圧倒されましたけど、微細に見ると内容は互角で、ほんのちょっとした差が彼我を分けました。同じように圧倒されても、かつては歯が立たないなとしょんぼりしながら帰路の東関道を走ったけど、今日はなにかすがすがしくもありました。もちろん圧倒されていいわけがなく、もう鹿島を追うなんてこともなく、逆にカシマで鹿島に圧倒して勝ちたいのですけど、夢の続きがまだ残ったということで、まだ追っかける対象がいてくれる状況を楽しみたいと思います。

代表戦でちょっとリーグ戦は中断します。ACLも無いので、ようやくしばし、二週間の時間が取れます。心身ともに張りつめていたと思うけど、リーグ戦もACLも可能性が十分にあるところに持ってこられたので、まずは無難なスタートを切れた3月と総括していいんじゃないかと思います。課題に対処する時間ができましたので、4月からの闘いにしっかり備えてほしいと思います。


2016J1リーグ1stステージ第3節浦和レッズvsアビスパ福岡@埼スタ20160312

2016-03-13 17:13:42 | 加賀さん

桜の便りがそろそろ気になる弥生というのに、寒い日が続きます。

春はスタートの季節。今年の加賀さんにどんな出来事が待っているのか、ドキドキワクワクと楽しい季節です。

昨年は、ファンとしてもしんどい一年でした。でも今年は、その経験があるので、寂寥を抑え臨むことができます。もちろんピッチでの姿を観たい気持ちは強いのですけど、焦っても仕方がないですし、心身にも良くないですから。今年はのんびりと応援していこうと思います。

なんとなんと!。レッズの加賀さんファンのかたが横断幕を作ってくれました。本当に嬉しいです。ありがとうございます。

という気持ちもあり、少しでも姿が観られたらと思って加賀さんシートの近くに席を取りました。ところが今日は、ほとんどの選手は天井桟敷にいたとか。昨年のCSに続いての安定のツンデレに、今年も加賀さんと同じ場所にいられる日が来たんだなと実感しました。天井桟敷は自分の席の真上だったので、残念ながら写真は撮れず。こちらはたかとりぃさんから頂戴いたしました。ご協力いただきまして本当にありがとうございます!。

というわけで、気もそぞろになることもなく、今日はサッカーを楽しむことに切り替えます。本日はひさびさにJ1復帰となった福岡です。

J1トップクラスのクオリティの差を様々見せつけ、浦和の完勝です。

今年の浦和は、航の加入とカピの安定、タカの左サイド起用で、前線だけでなく中盤から後ろもターンオーバーできるようになっているようです。四連戦明けで一呼吸おいて、三連戦の初戦は、難敵広州恒大戦を控えてのターンオーバーかなと思いましたけど、リーグ仕様の常套メンバーです。シフトは今年もおなじみ、ミシャの3-4-2-1です。GKは周作。今日のCBは右からモリ、航、槙野。ボランチは陽介と勇樹。今日のWBは右に梅崎左にタカ。今日の2シャドウは右に慎三左にムトゥ。今日の1トップは忠成です。

福岡は前節、J1復帰で初勝点をあげました。ある程度の手応えがあったのかもしれません。今日も布陣を変えず。シフトは5-3-2です。GKは新加入のイ・ボムヨン。CBは右から千葉から加入のキム・ヒョヌン、濱田、川崎から加入の實藤。WBは右に北斗左に亀川。3センターは右から城後、末吉、惇。2トップは金森と大黒柱ウィリントンです。

福岡のシフトは金森のポジションゆえに一見複雑です。5-4-1と5-3-2のハイブリッドと言えると思います。ただ闘いかたそのものは非常にシンプルです。ようやくすると守ってウェリントンに送ってスペースに金森と城後が走りこんでクロスをウェリントンに供給、です。そしてセットプレー。

まず福岡の守り方です。すべてのスペースを人を配置することで消すことが発想の原点だと思います。攻撃時にはウェリントンの近くを衛星のように動く金森ですけど、守備時には左サイドに入ります。なので守備時は5-4-1になります。浦和は3トップが中央に集まり、さらにサイドもWBと左右のCBが縦配置になります。中央を陽介ひとりに任せることで、前線とサイドに人数をかけるのが闘いかたの特長です。福岡の守備は、浦和対策というわけではないですけど、数的には各エリアでのマッチアップが成立するかたちをとります。

福岡は自陣でぶ厚く敷いた5+4の守備網にひっかけるトランジションプランです。奪ったボールは、末吉を経由してとりあえずウェリントンに預けます。金森と城後がウェリントンの近くでプレーできる状況であれば、ウェリントンの前方へのフリックを推進力に、前線に金森、城後が飛び出し、一気にアタッキングサードを狙うパターンを志向します。昨年後半にJ2を席けんした、ウェリントン大作戦です。

ようするに福岡の攻撃は、ウェリントンのポストを前提にしているといって良いと思います。というわけで、福岡の攻撃がJ1で通用するかは、ウェリントンのパワーにかかることになります。今日の浦和は、このことを前提にした3CBのチョイスです。ウェリントンに対峙したのは、インプレーでは航です。当然単純な高さではウェリントンが勝ります。ですので、中盤の空中戦ではほぼウェリントンが制空権を持っていました。ただ征するには至りません。ほぼすべてのウェリントンと航の競り合いはウェリントンがボールを触っていて、分が悪いなと思っていたのですけど、ウェリントンがフリックしたボールは安定せず、味方に届きません。それに時間を追うごとに明らかにウェリントンの集中が切れていることが伺えました。現場でないとスタンドからではわからないのですけど、空中戦での航の当たり方がとても上手いのでしょう。フィジカルに勝るウェリントンを持ってしても安定させないツボのようなものがあって、航はそこを心得たコンタクトをしていたんじゃないかと思います。今日は槙野でもミツでもなく航を真ん中で使ったのは、誤解を恐れずにいえばガチのマッスルバトルではなく、テクニカルなコンタクトがウェリントンを封じるポイントだと思考した結果ではないかと思います。まずこの点で、今日の浦和の完封は成立していたと思います。

ただ福岡は、ウェリントンが不安定な場合でも、ままよどうにかなるばい作戦があります。左右のWBです。北斗にはアーリークロスがあります。そしてなにより、福岡が信じる三つのストロングポイントの一つ、亀川がいます。ウェリントンのみならず、亀川のスピードとドリブルが通用するかも、J1に生き残る基準になると思います。少なくとも積極性に関しては、亀川はJ1でも迷いなくやれているようです。有効なチャンスメークはほとんどなかったけど、梅崎を守りの体勢に入らせるシーンが何度かあったので、タイミングを掴んだら面白い存在かもしれません。なので、北斗にしろ亀川にしろ、フォアチェックからの中盤のトランジションに成功すれば、ウェリントンを経由せずサイドアタックを仕掛けることもオプションの一つとして持っています。肝心なのはクロスの精度とゴール前の威力ですけど、ウェリントンをペナルティエリア内でフィニッシャーとして使える限りは、ゴールの匂いは濃厚に漂います。これこそ、福岡に希望を持たせる原動力だろうと思います。

繰り返しになりますけど、今日の浦和はウェリントンに対し粘着質かつスキルフルでした。前述の通りインプレーでは航、そしてセットプレーでは槙野がウェリントンの制空権行使を許しません。福岡にしてみれば、すべての試合で勝負ができるわけではないので、結局ウェリントンが通用しない場合は割り切る場合もあるんだろうなと思いました。

さて、今日の彼我を分けたのは浦和のウェリントン対策ではありません。むしろ浦和が仕掛けた攻撃面での巧妙な罠にこそ、J1トップクラスの洗礼が潜んでいたと思います。

まずもちろん、浦和が誇るアタッカー陣のクオリティは、個々のどこをとってもJ2では感じ得ないものでしょう。ただそれを前提に、当然福岡は対処します。編成で違いを生み出し難い昇格チームの多くは、守勢への素早い切り替え、つまり自陣での守備網形成を優先します。加えて、守備のやり方は安定感を得易いマンマークを採用することを基本とするチームが多いようです。福岡もまたしかり。2トップもしくは1トップ+トップ下のチームであれば、3CBの一枚を常にセーフティネットとして余らせることができます。ところが浦和は、周知の通り1トップ2シャドウ。必然的に福岡の3CBは、3on3のガチマッチアップを強いられることになります。予見されたことですから、今日の試合のキーポイントとして、相当な覚悟と緊張感を持って、ヒョヌン、濱田、實藤は臨んでいたと思います。

そして浦和は、おそらくそれを想定して、罠をしかけます。浦和のアタッカーは序盤、梅崎とタカを含めて5人全員が最前線に並びます。陽介は中盤を漂い、積極的に前線に絡むことはありません。アタッカーは最前線でパスを受け、そのまま多少強引にでもしきりに縦を狙います。ビルドアップの基点はサイド基調で、前線から下がるのは梅崎かタカ。3トップはほぼ前線にはりついたままの状態です。ここに罠が仕掛けられていました。

福岡の3CBは、試合が進むにつれ浦和3トップの愚直感のある縦アタックに徐々に慣れてきていたでしょう。浦和らしい3トップのポジションチェンジもほとんどなかったので、マッチアップもし易かったと思います。浦和はある程度の時間までこの罠を引っ張り、福岡が慣れきったところでBプランに移行する腹積もりだったのではないかと思います。ところが、とくに浦和に予想外なことに、モリがたまに繰り出すスーペルエクセレントなプレーが先制点を呼び込みます。

18分。福岡のGKをトランジションしてからのリスタート。周作のパスからビルドアップです。福岡は早々自陣で守備網を敷きます。左サイドを槙野がドリブルで持ち上がって福岡陣に入ります。槙野から右にサイドチェンジ。上がってきた航に渡ります。この時浦和はやはり5人が最前線に並びます。右サイドの最前列にいた梅崎が下がってきます。航は梅崎につけます。これに対し亀川はラインにステイ。金森が寄せる間に時間があり、梅崎は難なくターン。アタッキングサードに入ります。浦和の攻撃スイッチが押されます。亀川は梅崎の前方スペースをケア。金森も梅崎をマークしますので、その外にいるモリがフリーです。梅崎はモリに渡します。モリはルックアップ。この時前線は、ニアから忠成に實藤、慎三に濱田、ムトゥにヒョヌンがそれぞれマンマークです。ただ、北斗が絞っています。つまり左サイドががら空き。そこにタカがどフリーです。陽介は上がっていませんので中盤に選択肢はありません。モリは迷わず、大外にサイドチェンジを仕掛けます。北斗の頭を越しゴールライン付近に落ちるエクセレントなクロスは、タカの左足付近にぴたりと落ちます。この意外性の高い大サイドチェンジに、思わず福岡CB陣はボールウォッチャーになります。その間隙を縫うように、濱田の背後から慎三がゴール前に顔を出します。パスの軌道を確認しながらルックアップしていたタカはこれを見逃しません。左足ダイレクトのグランダーをぴったり慎三に合わせました。慎三は左足ダイレクトでゴール右隅に流し込みました。パス9本をつなぐ、浦和らしいゴールです。浦和1-0福岡。

本性を隠したまま優位に立てましたので、浦和はかなり心理的にリラックスできたと思います。いくら作戦があったとは言え、守備網を優先するチームからゴールを奪うのは容易いことではないですから。その意味で、今日のMVPは意外性の男モリでしょう。

先制した浦和は、お待たせしましたとばかりに獰猛な本性をいよいよ表します。しごく単純なことですけど普段見慣れた浦和の攻撃にモードチェンジします。3トップが替わるがわる、前後の動きを織り交ぜはじめます。中盤に顔を出してビルドアップの基点になります。これで福岡の3CBと時折距離ができるようになります。マンマークに慣れてきていた福岡は、突然マッチアップする対象が消えて、バランスを見失ったのではないかと思います。さらに浦和は、3トップがポジションチェンジをしはじめます。ますます福岡が混乱に陥ります。こうして浦和は、完全にイニシアチブを握り、試合をオーガナイズすることに成功します。バイタルエリアを基点にサイドに展開し、WBやモリ、槙野からクロスがゴール前に次々と供給されるようになります。

いったん自ら形成した守備のかたちをアジャストするには、福岡のチームのクオリティが至っていないのか、浦和の翻弄にただ耐える時間が続きます。前半は浦和リードのまま終了。

後半頭から井原さんが動きます。惇に代えて名古屋から新加入のダニルソンを同じくボランチに投入します。バイタルエリアに圧倒的な存在感を持ってきて、守備の強度を上げようという意図だと思います。ただ、以前のダニルソンならともかくスピードが無くなったいまでは、高アジリティの浦和アタッカー陣を止める手立てとして適当なような気はしませんでした。

浦和の攻撃モードのバロメーターは左右のCBの位置取りです。リードして、しかもイニシアチブを掌握することに成功してからは、モリも槙野もバランスを保ったポジショニングになります。なので、攻撃はショートカウンターが中心になります。浦和の攻撃パターンが少し変わります。抜け出したWBがクロスをGKとラインの間に送り、そこに前線が飛び込むパターンが何度も見られるようになります。前後の揺さぶりに加えてアーリークロスを加えられて、もう福岡CB陣は対処がやっとの状態になってしまっていたでしょう。そしてその流れで追加点が生まれます。

51分。福岡の右CKを航がクリア。後方に残るムトゥがポストになりフリック。そこからモリ、ムトゥ、タカとパスをつないで左サイドの梅崎に渡ります。一気にアタッキングサードに入ります。ロングカウンターになりましたので、さしものの福岡も守備網を整備しきれませんけど、さすがに人数が戻ってます。梅崎には北斗がつきます。ゴール前は實藤とヒョヌンが戻ります。これに対し浦和は、ゴール前中央に忠成、ファアに慎三が上がります。緊張感漂う高速の3on3。梅崎は北斗との間合いを見て、大きく前方にトラップして北斗を引きはがします。そのまま左足ダイレクトでクロス。この時ゴール前は、中央に走りこむ忠成に城後が寄せようとしています。梅崎のクロスはやや後方に流れ忠成を逸れますけど、そこに慎三がいました。慎三は胸トラップでボールを懐に入れ、左足を振り抜きました。シュートは城後とヒョヌンの間を抜け、ゴール右隅に突き刺さりました。浦和2-0福岡。

よく2点差は怖いなどといいますけど、あくまでも流れのなかの産物で、今日の場合はこれで浦和は安泰だと思いました。あえて言えば、福岡の三つ目の希望、末吉のセットプレーです。でもこちらも前述の通り、末吉自身の精度はともかく、ターゲットとなるウェリントンが封じられているのでチャンスは多くありません。一度ヒョヌンの惜しいシュートがありましたけど、現状の闘いかたで残留を目指すのであれば、過去の同様のチームがそうであったように、トリッキーなセットプレーも試みる必要があるように思います。

それでも井原さんはファイティングポーズを崩しません。金森に代えて平井を同じくトップに投入します。スピードマンではなく、フィジカルに優れたシューターを置くことで、ウェリントンの負担を軽減する意図だと思います。

すぐにミシャが動きます。と言っても平井対策ではなく既定通りです。二枚同時代えです。忠成に代えてズィライオを同じくトップに投入します。陽介に代えてカピを同じくボランチに投入します。ともに、過密日程を考慮したものだと思います。

福岡がアタッキングサードに入る時間が増えてきます。槙野が調子に乗って攻め上がるシーンもあり、ちょっとオープンファイトに入りかけます。いくらイニシアチブを握っているとはいえ、サッカーはとても繊細なものですから、マネジメントは細部に至るまで徹底してほしいと思います。今日は事なきを得ましたけど、なんと言ってもやっぱりウェリントンのような油断できない選手がいるチームは怖いですから。

オープンファイトになりかけたのを見て井原さんが動きます。北斗に代えて坂田を同じく右WBに投入します。バランスよりも攻撃力を重視する意図だと思います。攻守の切り替えがはやまるとスピードマンが威力を発揮する可能性もあるという考えでしょう。ただすぐに浦和は安定を取り戻します。カウンター志向で守りに入る浦和を崩すことは普通でも簡単なことではなく、攻め込みつつも福岡が攻め切れない時間が続きます。浦和は人数をかけずシンプルなパスのつなぎでショートカウンターを狙います。

最終盤ミシャが動きます。ムトゥに代えて駒井を同じく左シャドウに投入します。ムトゥのコンディションの考慮とともに、駒井のテストだと思います。駒井は通常のシャドウのイメージに近く、やや下がり目の位置で基点として時間を作れるプレイヤーのようです。シャドウはターンオーバーポジションなので出場機会も多いと思います。ペナルティエリア内での仕事ができれば、面白い存在になると思います。

結局、浦和がイニシアチブを明け渡すことは最後までありませんでした。完勝です。浦和2-0福岡。We are Diamonds♪

埼スタに来れば、ピッチでの姿を観られずともいくばくか加賀さんを感じられることができるのですけど、今日はまったく無く、ちょっと寂しかったです。今年はミッドウィークに不在にすることが多く、それに東京もACLに出ているので日程が被っていて、あんまり埼スタに来ることができなそうです。せめて来た時は、ちょっとでも姿を観られたらいいなと思うのですけど。

また大原には様子を観にお邪魔したいと思います。

今年も加賀さんを応援します。願わくば、観戦できる日に出場してくれますように。


2016J1リーグ1stステージ第3節FC東京vsヴィッセル神戸@味スタ20160311

2016-03-12 18:56:59 | FC東京

初夏のような陽気と真冬の寒さが交錯する春間近の弥生。体調を崩し易い時期ですから、皆さまご注意くださいね。

そういえばあの日も三月だというのに寒かったですね。東日本大震災から今日で5年です。犠牲になったかたのご冥福をお祈りします。いままだ行方不明のかたが一人でも多く見つかりますように。そしてなお大変な日々を送られている被災されたかたに一日もはやい平穏が訪れますように。

ACL参加ゆえ、今年はミッドウィーク開催が増えてます。火曜日や水曜日は観られないのですけど、金曜日のナイトマッチは、週末が長くなるようで案外いいものですね。なんだかんだ飲めるしo(^▽^)o。

春先のアウェイのイメージが強い、今日はホームでの神戸戦です。You'll Never Walk Alone♪ドロンパのくしゃみ芸

パーフェクトな守備を見せた試合を、終了間際の隅一でしっかり勝ちきりました。だからこそ余計嬉しいです。

東京は勝った流れを継続するセオリー通りに、仙台戦とまったく同じスコッドです。シフトははやくもおなじみ4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチはコンディションが心配されたヨネと拳人。メイヤは右に草民左に慶悟。2トップは遼一と拓馬です。

神戸もゴレアーダの新潟戦と同じ布陣です。シフトは4-3-3。GKはキム・スンギュ。CBは伊野波と岩波。SBは右に峻希左に相馬。3CHは右から凌佑、村松、藤田。WGは右に石津左にマックス。1トップはレアンドロです。

ネルシーニョさんには型がないイメージがありましたけど、今のところは3センターに興味の主軸があるようですね。3センターへのトライは、国内ではネルシーニョさんがはじめたことで、フィッカデンティさんと吉田さんを経て、今も亜流。でも我々東京サポはそれなりの造詣があるので、なまじいに見せられると神戸の現状にニヤニヤしてしまいます(^з^)。

結論から言うと、神戸はまだまだ道半ばのようです。ネルシーニョさんにしてロマンチックなアプローチをされていて、ちょっと驚きます。3センターは中盤のバランスを重視した闘い方です。もしかしたら、守備に発想の発端を置いたアプローチなのかもしれません。ただ本来の3センターは、攻撃に力点を置くためのバランス志向ですから、攻撃の形が伴わない限り4-2-3-1の効果に比べて物足りなさを感じます。このあたりは2014年にさんざ感じたことですので、神戸サポのモヤモヤした気持ちを推し量るや。

守備はリトリートスタイルのようです。流行りのフォアチェックはありません。これはネルシーニョさんっぽいですね。ただ3センターならば中盤で一枚余るわけですから、もっと前から仕掛けてもいいような気がします。3人は中央を固めますから、バイタルエリアの真ん中はとても堅固です。一方、3センターの弱点は中盤の両サイドです。ビルドアップスタイルのチームと対峙する場合、WGが高めに位置取ることになりますので、中盤のサイドにスペースが出来易くなります。

というわけで、今日の東京は中盤で気持ちよく基点を作れていました。右は拓馬がバイタルエリアに下がり、ダブルチームを仕掛けられてもものともせずボールを保持します。ですので、草民と徳永が安心して相馬の背後を狙うことができていました。試合を重ねるごとに拓馬の安定感が際立って見えるようになっています。ACLで日程が立て込むなか、チームのクオリティが一定以上に下がらず波がないのは、拓馬の安定感に負うところが大きいと思います。

左は慶悟です。慶悟は拓馬とは違ってサイドにはります。石津、凌佑、峻希を引きつけ、遼一、拓馬もしくは拳人が狙う裏のスペースを作り出します。まだタイミングと迷いの無さに課題がありますけど、これに諒也が絡めるようになると、もっと左サイドの攻撃のバリエーションが増えて、チームのオーガナイズも高まってくると思います。

ただ、前半は拓馬にしろ慶悟にしろ、一次基点の位置が少し低かったようです。なので攻撃のかたちが単純な裏狙いに偏っていました。守備面では、神戸の重心を下げる副次的な効果を得られていたのですけど、同時にフィニッシュへの圧力に少し欠いていたかもしれません。

さて問題の神戸の攻撃です。神戸は、ネルシーニョさんの本心はうかがえませんけど、今は徹底してビルドアップにこだわっているように見えました。神戸もサイドアタック基調の闘い方です。目指すかたちは、前線のサイド高い位置で一次基点を作り、IHとSBを引っ張りあげてアタッキングサードに入るパターンだと思います。この時逆サイドのIHは、基本的には中盤に残ります。左右で攻撃が偏ることはないので、左右のIHはつるべの動きを繰り返すことになります。

ネルシーニョさんの3センターはどうしても柏のイメージが残ります。秋野や茨田のような長短の正確なパスを左右に散らせるタイプのアンカーが、どうやら神戸にはいないようです。村松の役割は、守備のセーフティネットのようです。なので、IHの役割が攻撃で重要になります。柏でのIHはアクセントですから、同じネルシーニョさんから生み出される仕組みが異なっていて、とても興味深いですし、ネルシーニョさんの懐の深さを感じられます。このIHの処理は、ネルシーニョさんとそれをさらに攻撃的に進化させた吉田さんでもっとも違いが顕著なところです。ネルシーニョさんにはやはりあくまでもリアリストでしょうから、IHが二人とも攻撃に絡むようなシーンは、よほどのチャンスでもない限り無いようです。

アタッキングサードに入ると、攻撃参加したIHがトップ下の役割を担います。中央にレアンドロ、サイドの裏に石津かマックス、その後ろに峻希か相馬が控えます。基本的にアタッキングサードでのサイドチェンジはなく、なので選択肢は三つ。つまり神戸が理想とする攻撃のかたちは、IHが前を向いて仕事をできるシチュエーションをいかにして作るかにかかっていると言っていいと思います。

ゆえに、そのために鍵になるのがWGです。高い位置でWGが一次基点を作られないと、チームの重心を上げることができません。マックスは多少囲まれてもボールを保持する力を持っていますけど、いかんせんボールを受ける位置が少し低かったように感じました。石津は基点になるべくサイドにはるというよりかは、レアンドロとの絡みを意識した距離感のような気がします。なので右サイドは、峻希から前を伺うようなかたちがなかなか作れません。

このため神戸は、ビルドアップの際にレアンドロと石津を入れ替えます。これで右サイドの高い位置で一次基点を作られるようになります。ただし、これではレアンドロの威力は半減します。レアンドロはゴリゴリしたドリブルがあるわけではなく、コンビネーションのなかでフィニッシャーとして活きるタイプですから、レアンドロをサイドで使うのはある意味無駄な贅沢で、付け合せのジャガイモてんこ盛りの50gステーキプレートのようなものです。

もちろんサッカーは相対的ですから、神戸に問題があるというよりかは、東京の4+4の2ラインに対して有効では無かったということです。そうです。今日の東京の守備はパーフェクトでした。今日は神戸がサイドで基点を作ることと裏狙いが無いことを予見して、守備網を安定させるコンサバティブな思考で臨んだのではないかと思います。普段よりもヨネと拳人のフォアチェックは控え目に見えました。それよりも神戸が前を伺えるスペースを消すことに重点を置いていたのではないかと思います。

なので今日の東京のトランジションポイントはそれほど高くはなく、中盤から後ろでした。必然的に攻撃はビルドアップスタイルになりますけど、前述の通り後方から拓馬、慶悟につける一次基点が安定しますので、網にかけてサイドに出して縦を狙うという、シュートに持ち込む良いリズムが漂い続けます。

結果的に、決勝ゴールは88分まで待つことになりましたけど、不思議なことに個人的にはまったく焦りを覚えませんでしたし、勝つ確信が揺らぐことはありませんでした。たぶん、シュートはおろかアタッキングサードで手詰まりになる、よくあるスタック状態ではなく、試合を通じて終始良いリズムを保ていたせいだと思います。エビフライを最後まで残しておくタイプのかたでしたら、今日は大満足なシナリオでしたね。

ただ前半は、前述の通り一次基点の重心が低かったので最終局面での神戸の中央の守備ブロックを崩せず、ほとんどのシュートアテンプトがペナルティエリア外でした。もう少し前線のプレッシングをタイトにしても良いかなと思ってました。神戸の攻撃にアグレッシブなポジションチェンジが絡んでなかったので、フォアチェックのリスクテイクも大怪我には繋がらないような気がしました。ショートカウンターを混ぜられたら、神戸の守備網に守り難さを感じさせられたかもしれません。

神戸に得点の匂いはおろかアタッキングサードにすら入らせないパーフェクトな守備でリズムをつかんだまま前半終了。

後半頭から動いたのは、押しているヒロシでした。慶悟と拓馬を入れ替えます。基本的な闘い方は変わらず、ハイプレスからのショートカウンターではなく、サイドの長めのビルドアップです。なのでこの意図は、一次基点を減らしても裏を狙う人数をかけるということでしょう。これが奏功して、アタッキングサード深い位置まで進出できるようになります。最終局面でのクロスの精度に欠いた場面がいくつかありましたので、技術的な問題かフィジカルかわかりませんけど、課題のような気がします。

東京がイニシアチブを握るとは言え、神戸も明らかな問題が現れるわけではないので、互いにプランを大きく変えられないクリンチ状態に入ります。アドバンテージは東京にあることには変わりないので、我慢大会は多少有利かなと思ってました。

先に動いたのは、やはりネルシーニョさんでした。ただやっぱりドラスティックなアジャストではなく、石津に代えてペドロ・ジュニオールを同じく右WGに投入します。単独でドリブルを仕掛けられる上、裏も狙えますし、前節2ゴールのペドロは、普通に考えると怖いのですけど、道半ばの神戸のなかでは、おバカ試合にはまった前節はともかく、存在感を感じません。

これを受けヒロシが動きます。慶悟に代えて宏太を右メイヤに投入します。草民が一つ上がってトップに入ります。神戸がますますサイド偏重になることが想定されるので、慶悟と草民両方のコンディションを考慮したのだと思います。

さらにヒロシが続きます。草民に代えてサンダサをトップに投入します。これはがむしゃらな異分子を投げ込むことで、チームを活性化する意図でしょう。これが奏功します。終盤に向け、サンダサの粘っこくて荒々しさもあるフォアチェックが、なにやらチームに縦への意識を再認識させるきっかけになったようです。ゴールしてほしいのは山々ですけど、どんな時でも全力で臨んでわかりやすく励んでくれるサンダサの存在は、チームが煮詰まった時のカンフル剤として不可欠でしょう。

サンダサが推進力になるとともに、攻撃がサンダサが好む右サイドに偏ります。このため拓馬が消えはじめます。正直バーンズの入れ頃かなと思ってました。自分の誤りでした。ヒロシの信念がドラマを生みます。

88分。秋元からボールを預かったモリゲがそのままドリブルでゆるゆる上がります。神戸はまったくチェックせず、陣形を作ることを優先します。これがズルズル下がって安易にアタッキングサードを明け渡すことにつながります。アタッキングサード手前で、モリゲはライン際にはる徳永にパス。一次基点となった徳永は寄ってきた宏太にパス。宏太はターンしながら寄せる相馬を引きつけ、前方の拳人に渡します。この時ライン際では、ボールウォッチャーになっていたマーカーのマックスを置き去りにして、徳永が相馬の裏を取ります。これを見た拳人は、村松のチャージを受けながらも二次基点の役を果たし、徳永に流します。抜け出した徳永はゴール前をルックアップ。ニアに入る遼一は岩波がケアしてます。遅れてサンダサが中央に入ってきて峻希がケアしています。その奥、大外に拓馬がどフリーでした。徳永はこれを見逃さず、GKとラインの間を通すアーティスティックな低空クロスを送ります。拓馬は合わせるだけ。東京1-0神戸。

移籍後リーグ戦初ゴールで、拓馬にも結果が出てこれで一安心です。徳永のクロスはピンポイントでしたからけして易しくはなかったので、拓馬じゃなかったらと思うと、後からちょっとドキドキしました。

ついに均衡が破れ、ネルシーニョさんが動きます。凌佑に代えて慶次をIHに投入します。攻守の運動量より攻撃特性を重視する状況ですから、致し方ないでしょう。とは言え、ビハインドの状況で結局一枚残したまま終了ですから、アタッカーが揃っているように見えて案外ネルシーニョさんの想いに叶うタレントは限られるのかもしれません。

このままヒロシも一枚残して終えるかなと思っていたら、アクシデントが起きます。足を痛めたヨネに代えて秀人を同じくボランチに投入します。スクランブルとは言え、秀人ですからまったく心配はありません。

終始守備網が崩れることなく、危なげなくこのまま試合終了。東京1-0神戸。拓馬のシュワッチプロポーズ大作戦♪

シンプルに総括すると神戸にアグレッシブさがなかった試合と言えます。なのでこれを持って守備が完成というには至りません。でも今日のクオリティを第3節で見ることができたことは、正直ちょっと意外でした。比較をすべきではないと思いつつ、フィッカデンティ体制の遺産なのかヒロシが案外守備の構築を重んじているのかまだわかりません。でもいずれにしろ、優良アタッカー揃いのパワフルな神戸に何も、ホントに何もさせなかった事実は、ちょっとだけど安心感を持ってもいいのかなと思いました。

なんて呑気に構えていたら、もうすぐ火曜日にはACLのコンペティションが待ってます。ヨネの状態も、出続けの主力のコンディションも心配です。今はいいけど反動も心配です。開幕すると基本メンバーは固定化されるのは仕方ないけど、バックアッパーが必要になる時期が来ましたから、チーム総力で難局を乗り切ってほしいです。

ひとり抜け出すかと思っていた鹿島が今節早々負けました。混戦の様相です。次はその鹿島戦。ここ数年、チームがネガティヴに傾くきっかけになっているアウェイカシマスタジアムです。ここを跳ね返したらクラブそのものがひと皮むけるかもしれません。応援する気持ちも、春先の暖機とは思わず、天王山で臨みたいと思います。


2016J1リーグ1stステージ第2節ベガルタ仙台vsFC東京@ユアスタ20160306

2016-03-07 20:51:41 | FC東京

ようやく3月。3月というだけで春の声が聞こえるようでソワソワします。なにしろ春生まれなので。

毎年楽しみな東北旅が、今年ははやくもやってきました。

東北はまだ冬明けきらじの寒さ。予報では4月下旬並みだったのに、仙台に来てみたら風が冷たかったです。珍しく普通の観光で多賀城跡来たら、吹きっさらしで寒い寒い。軽装で来たのを後悔して、結局ダウンを買いました(^^;;。

まもなく今週金曜日は、東日本大震災から5年です。今年はうるう年で、あの日と同じ金曜日。震災以来毎年被災地を訪れるようにしています。今年ははじめて東松島にお邪魔しました。

比較的被害が少なかったお隣の松島と違い、東松島は海岸からかなり内陸の山際まで3m級の浸水があったようです。

去年は女川を訪れましたけど、遠目に高台を造成している様子が見えました。今年東松島ではじめて高台移転工事を見ました。スケジュールはよくわからないけど、移転の開始はまだしばらくしてかかるのでしょう。

低地部で、新居に建て替えてらっしゃるお宅もずいぶん見かけました。長引く復興整備のなか、地元での暮らしに対する様々考えがあることを感じることができたのかもしれません。

JR仙石線はすでに高台移転が完了しています。去年女川に行くときは通過しただけだったけど、高台移設区間の野蒜地区を歩いてみました。旧仙石線はレールも施設も撤去されていて、跡だけが残ります。

新しい東名駅です。

こちらは新しい野蒜駅。

東名駅も野蒜駅も、高台移設整備区域に隣接していて、移転がはじまったら自ずと街の中心は高台に移りそうな気がします。

あらためて被災されたかたのご冥福をお祈りします。そして少しでもはやく、地元に平穏が戻りますように。

さて本日は、というわけで仙台戦です。アウェイ仙台戦は春のイメージがあるのは、最近4月に二度マッチアップしてるからですね。それに冬のイメージもあって、こちらは天皇杯で対戦する機会があったせいでしょう。個人的には昨年末の天皇杯以来の仙台です。仙台のコレオグラフカントリーロード♪。本日のYou'll Never Walk Alone♪

開始早々先制を許しましたけど、似た者同士のガチファイトをパワーで征しました。

東京はACLで公式戦連敗を阻止。その結果を受けての、スタートスコッドの模索です。ポイントはSBとボランチとメイヤ。シフトは今日も4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。今日のSBはビンズオン戦と同じく右に徳永左にJリーグデビューの諒也です。ボランチはヨネと拳人。犬ポジコンビの組み合わせをチョイスしました。今日のメイヤは右に草民左に慶悟。2トップは遼一と拓馬です。

仙台は開幕戦をたまのスミ1を守り切って征しました。たまは東京との契約で今日は出場できません。観たい想いはありますけど、仕方ないですね。シフトはおなじみ渡邉さんの4-4-2。GKは六反。CBは博文と清水から新加入の平岡。SBは右に大岩左に直樹。ボランチは今日の富田の相棒は藤村です。メイヤは右に金久保左に梁。2トップはウィルソンと奥埜です。

シフトが暗示する通り、東京と仙台の対戦はシンメトリー。闘いかたが似通った兄弟のようなチームです。サマライズすると、互いに中盤のタイトなチェックからトランジションして、サイドに人数をかけて基点を作り、クロスをゴール前に供給するパターンを基本プランとしています。

試合は仙台がリズムをつかんではじまりました。仙台は東京の起点に対し、ウィルソン、奥埜、金久保、梁がハイプレスをしかけます。基本的な狙いは、以前の仙台のようなフォアチェックからのショートカウンターではなく、パスコースを消して中盤でのトランジションを狙い易い環境を作ることにあります。もうすでに仙台には、手倉森さん時代のなごりは、少なくとも闘いかたではおもかげすらもないと言っていいと思います。その意味で、渡邉さんのビジョンの高さとそれをチームに着装するマネジメントの積み重ねの成果が現れていると言っていいと思います。

仙台の守りかたは東京はもちろん既知なのですけど、どのチームと対戦する時も同じですけど、手合わせしてみないと圧の度合いは肌感覚ではわかりにくいものです。とくにハイプレスは、布陣、心身や環境のコンディションによる細やかな違いをアジャストする猶予を与えない効果も内在しますので、仙台がリズムをつかむのは必定。もちろん東京もわかってのことでしょうけど。

守備でリズムをつかんだ仙台の攻撃の基本プランは、守備同様とてもオーソドックスです。起点はボランチ。仙台のボランチは伝統的に縦関係で、これは富田の特質を活かす発想です。手倉森さんと渡邉さんの違いが顕著に現れるのが富田の相棒のチョイスです。もちろん高いフィードの精度はあるにしても基本的には守備人として中央に君臨していた角田に対し、渡邉さんはパスを左右に捌けるコンダクターを選択します。今年のスターターはたまとなったようでまたちょっと中盤のテイストが変わってくると思いますけど、今日は残念ながら確認できず。

藤村が捌くパスは、サイドにはるメイヤを経由して前線に供給されます。サイドアタックは左右アシンメトリー。金久保はライン際からのドリブルを基調とします。裏パターンは、内に絞る動きでライン際にスペースを作り、大岩を押し上げます。梁は基本的に内に絞ったポジショニングです。これは梁を軸に、奥埜、直樹が衛星のように動くかたちを作る意図です。

現状の、そしてもしかすると絶対的な仙台の課題はここからにあると思います。メイヤで一次基点を作れても、そこから前に仕掛けることができません。アタッキングサードに有効なパスを供給できません。ウィルソン、奥埜、金久保、梁の前線は熟成が進んでいるのですけど、その綾というか、連携のパターンが固定化されていて、おそらく読み易いんだと思います。基本的にはバイタルエリア中央で二次基点を作りたいのですけど、ウィルソンを左右に流してアタッキングサードでのパワープレーに備えさせていますから、中央は奥埜一人。バイタルエリアにボランチとCBでボックスを作っておけば、いかに奥埜といえど、ダブルチームを仕掛ければ二次基点として有効たらしめません。つまり、今の仙台は、奥埜のボール保持力にかかっているということです。

仙台はスキルでギャップを作る編成を持ち合わさないので、ビルドアップスタイルとはいえ、守備陣形が整う前にワンタッチパスを縦に繋ぎたいプランだと思います。そのなかで中央の奥埜を活かすには、ようするに起点から一次基点へのリズムを生み出すアイデアが大切になってくるのですけど、少なくとも現状では、あまりにもオーソドックスすぎるのというのが、酷なようですけど渡邉仙台を現在地以上にしえない要因になるのではないかと思います。だからなおのこと、たまの存在が今年の鍵になりそうな気がします。

という問題は時間の経過とともに現れるとして、時間を遡ると、試合は勢いを持った仙台がはやばや先制します。

7分。梁の左CKから。仙台はゴール前にウィルソン一人を置いて、残り5人がゴールに向かって平行に並びます。ニアから藤村、博文、平岡、直樹、大岩です。対する東京はハイブリッド。ストーンはニアに徳永、草民、慶悟の3枚。マーカーは藤村に拓馬、博文にまる、平岡にモリゲ、直樹に諒也、大岩に拳人がつきます。梁はニアに低めのクロスを送ります。そこにシンプルにダイアゴナルに博文が飛び込みます。初速でまるが置き去りにされてしまいます。加えてウィルソンと平岡がいるニアに敢えて飛び込み、密集を作って東京のマークを機能不全にしました。仙台1-0東京。

今日はメインスタンドで観ていたのですけど、周りの仙台サポさんから「嬉しいけど、まだこの先長いね」という声が聞こえ、自分もそうだなと思ってました。ただ、仙台の守備プランが高い次元ではまったら怖いなと思っていたら、早々とラッキーゴールが生まれます。

9分。諒也の左FKから。東京はゴールと平行して6枚並びます。ニアから慶悟、まる、草民、遼一、モリゲ、拳人。仙台はストーンを1枚前において、マンマークです。モリゲがラインをスクリーンに使ってファアに流れます。仙台は予測できずモリゲはフリー。諒也はこれに合わせます。モリゲが右足ダイレクトで合わせたシュートは、草民、拳人、博文、平岡がごちゃごちゃといるエリアに入り、ごちゃごちゃっとゴールに吸い込まれます。仙台1-1東京。

今日は宏太はお休みでしたけど、右の宏太、慶悟に左の諒也が並べば、宏介ロスの解消というには時期尚早だけど、心強いと思います。諒也は、ウィルソンにぶっとばされるシーンはあったけど、少なくともセットプレーではしっかりとチームにストロングポイントの味付けをするスパイスになっていました。モリゲを活かせるフリーキッカーは案外かなりの力量が求められるのだと思います。

話を仙台に戻すと、ビルドアップが手詰まりになった仙台は、これまた既定路線のセカンドプランを持っています。サイドにはるウィルソンに長いボールを合わせます。SBとのミスマッチを意図的に作り出し、できればそのまま独力突破で中央にショートカウンターのかたちと数的優位を作る意図です。予想通り、やはりウィルソンは諒也を狙っていました。ぶっとばされることはあっても結果的に諒也は完封しましたから、十分合格点でしょう。ちょっとマーク対象との距離が開き気味なのが気になりますけど、体幹ができたら安定感も増すと思います。

ウィルソン大作戦はあえて孤立状態を作ることが前提なので、ウィルソンが機能しないと事実上仙台の攻撃は流れのなかでは投了になります。なのでセットプレーがとても重要になるでしょう。東京は、今日ははやめに追いつけたので大過なく終えられましたけど、昨年よりマークがルーズになっているような気がするので、課題として取り組んでほしいと思います。

仙台がやりたいサッカーは、東京が手中にします。仙台のパターン化された攻撃を見切った東京は、その流れのなかで中盤でのトランジションが効きはじめます。仙台が仕掛けた中盤の局面でのハイプレスに対し、そうくるならと元来ハードコンタクトをむしろ得意とするファイターが揃う東京ですから、むき出しのガチバトルが展開されます。

今日の中盤の布陣の特長は、コンダクターがいないことと、ドリブラーを入れていることです。おそらくポゼッションによる支配から志向をちょっとアジャストしてみるという意図だと思います。

なので、今日は比較的はやめに前線につけます。まずはアタッキングサードにはやく入れることを意図したのだと思います。この点では互いに狙いが一緒ですから、試合の印象がどこかせわしなく感じたのはそのせいでしょう。基本プランは、中央で遼一か拓馬に預け一次基点を作ってサイドに展開、アタッキングサードに入ったらボランチとSBとCBの三角ゾーンで二次基点を作って裏のスペースに誰かを走らせるパターンです。

今日はここに草民がいたので、多少強引なるもドリブルでゴリゴリアタッキングサードに入るオプションもありました。そう!。漢っぽく進化した草民を帰国から半年経ってようやく確認できました。草民はダブルあるいはトリプルチームを仕掛けられても耐える体幹が備わったようです。加えてタイトゾーンでもボールをコントロールできる技術も向上していて、十分公式戦でストロングポイント足り得るクオリティになったようです。仙台との違い、ヒロシ東京の攻撃の生命線は、二列目がどれくらい粘れるか、ボールロストしないかにあります。今日担ったのは、拓馬、慶悟、草民ですけど、とくに宏太ではなく草民をチョイスしたのは、裏に飛び出す長めのフィードによる飛び道具的な推進力ではなく、局地戦の優位性を前提とした歩兵戦を仕掛ける意図だと思います。ヒロシのプランを草民が具現化してくれるという信頼感が、今の草民には見てとれます。

スコアはイーブンなれど、おそらく仙台サポがため息するほど仙台がやりたいサッカーを表現する東京がこの試合のイニシアチブを握ります。前半はこのまま終了。

後半から仙台が少し工夫を見せます。これまた常套です。梁が三列目の位置まで下がって試合を作ります。富田の可動域と、起点のアイデアを増やす意図でしょう。これに直樹を高い位置でフリーにできれば、直樹からゴール前に供給するかたちができます。

ただ今日の直樹は期待に応える威力に欠けました。仙台はウィルソンと奥埜を右サイドに寄せることで意図的に直樹をフリーにします。このことが結果的に直樹に試合の趨勢を握らせることになります。東京の右サイドはこれを心得ていて、草民が直樹に渡る前に絶妙なポジショニングを見せ、直樹の前方に蓋をします。これが直樹のアグレッシブネスとパス精度に影響を及ぼします。

仙台のあの手この手を封じて、試合の流れを盤石にした東京に、待望の追加点が生まれます。

51分。諒也のスローインから。拳人が受けキープ。慶悟が下がって来て受けます。この時仙台は、ラインをあげてオフサイドをしかけます。この動きのカウンターのように、富田の背後を拳人がパス&ゴーで仕掛け、裏をとります。慶悟はワンタッチで拳人に流します。まさに今年の東京が目指すパターンが炸裂します。ペナルティエリアに進出した拳人はルックアップ。ゴール前では、博文がマークしていた遼一が博文よりはやく拳人の動きに反応し、体ひとつ抜け出します。拳人は遼一に合わせ、左足で低空クロスを送ります。飛び込んだ遼一は、右足ダイレクトで合わせました。仙台1-2東京。

シーズンはやめ第ニ節でのエースのゴールは、これから先のチームに良い影響を与えてくれそうな気がします。それにチームが目指す理想形でもありました。前線からアタッカーが降りてきて基点となり、つられてラインが上がったところに次の選手が裏に抜け出すパターンです。ここまで左サイドでは何度か成功していますけど、右でも連携ができると幅が広がると思います。

今年はじめてのビハインドとなり、渡邉さんが動きます。金久保に代えて金園をトップに入れます。奥埜が右メイヤに回ります。前線に高さを二枚揃えて、クロスターゲットを増やす意図だと思います。でも問題はパス供給元にありますから、解決になりません。むしろ高い位置にはりたい金園と中盤の距離が開き、ます推進力を失います。

これを受けヒロシが動きます。草民に代えて羽生を同じく右メイヤに投了します。右サイドのバランスを盤石にする意図だと思います。

打ち手が不十分と見たのでしょう。渡邉さんがすぐに動きます。藤村に代えて晃樹を右メイヤに投了します。奥埜が左メイヤに回ります。梁が一つ下がってボランチに入ります。すでに梁がコンダクターを担っていたのでバランスに違和感がないことを前提に、明らかな晃樹プランです。直接前線につけるのではなく、晃樹にボールを集め、ドリブルでの打開を期待する意図だったと思います。仙台の右サイドが活性化します。ユアスタ独特のヒートアップ現象を今年も体感できました。

ところが終盤、仙台をアクシデントが襲います。六反が足首を痛め退場します。代わって関がゴールを守るスクランブルです。結果的に今日は問題なかったけど、代表候補に選出されたばかりの六反本人も辛いでしょうし、堅い守備が前提となる仙台にとって、六反が長期離脱となればとても大きな痛手でしょう。大事ないことを祈ります。

仙台の猛攻も中盤でいなす安定感を見て、ヒロシが〆にかかります。諒也に代えて秀人をボランチに投了します。徳永が左SBに入り、右には拳人が回ります。

さらにヒロシが続きます。慶悟に代えて宏太を右メイヤに投了します。羽生が左に回ります。前線にフレッシュでかつ裏を狙える宏太を置くことで、前掛かりの仙台に守備を意識させる意図でしょう。

同点以降は盤石の試合運びで、最終盤も方程式を思わせるパターンを作れました。仙台らしい、サポの大音声に応える果敢なアタックはついに見せられず、このまま試合終了。仙台1-2東京。眠らない街♪遼一のシュワッチたまが挨拶に来てくれました

東京は似た者同士のガチファイトを予見していたのでしょう。中盤のハードコンタクトの掛け合いも、心備えがあったのか気押されることなく押し返せました。フォアチェックはあまり見せなかったので、もしかしたら今日は、中盤を征せば勝てる算段があったのかもしれませんね。受け身加減で支配するかたちを成果することができたことは、チームの幅として大きいと思います。ただ、パワーに勝ることを前提としているかたちですから、イーブンな相手で通用するか、確認する必要がありますね。

他のACL組同様、シーズンインから走りはじめた心身の疲れが出てきている難しい時期に、公式戦を連勝できました。ACLはともかくリーグ戦で、ズルズルいくことなく勝利で悪い流れを止められたことは、シーズンの流れに好影響をもたらしてくれると思います。

とはいえ、とくにモリゲとまるを中心とした主力を休ませられないことは負担であることに変わりありません。休みつつ勝つ難しいオペレーションですけど、バックアップメンバーが活躍してくれていますから、なんとか乗り切って欲しいと思います。