ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

たかひで先生に贈るエール

2016-12-30 17:28:09 | FC東京

ぼくは、加賀さんが東京を退団したときに綴りましたように、基本的に選手個人に想い入れることはありません。加賀さんを除いて。でも、高橋秀人選手の移籍の報に接しこころが揺れました。ぼくは、自分が高橋選手の存在を大きく感じていたことを、今更ながら知りました。

敬愛を込めて、秀人と呼ばせてください。

ぼくは不器用な秀人が好きでした。

日頃から東京サポの秀人に対する反応に触れるたびに思うことですけど、秀人は好き嫌いが別れる選手だったと思います。それゆえ、秀人の移籍に対する感慨もひとそれぞれでしょう。秀人が移籍することを公表したこのタイミングで、ぼくらが高橋秀人というプレイヤーを身近に感じられた時間の価値をあらためて振り返ってみたいと思います。

ぼくは、プレイヤーとしての秀人はまだ発展途上だと思います。本質的な秀人のスタイルは、恵まれたフィジカルとポジションの一般的なイメージに反し、エッジの効いたスペシャリストだと思っています。それは、中盤のゲートキーパー。秀人自身がどう思っていたかは分かりませんけど、デビューしてしばらくは誤解を受けていたと思います。時にはセンターバックをやらされることもありました。ボランチにしても、No.5的なプレーを期待されていた面もあったと思います。ぼくも、秀人が入ったころはそんなイメージを持っていました。

でも、ポポさんからフィッカデンティさんに至る四年間で魅せた姿こそ、秀人の本質なのだと思います。秀人は狩人なんです。その優し気なルックスに反して、激しいコンタクトを辞さない猛々しさがあります。相手のキープレイヤーに見舞うタックルは、サイズが大きいだけにダイナミックで、スタンドから遠目に見ても大迫力です。対峙している選手にとっては、ピッチ上での秀人の存在感は抜群だと思います。プレーだけでなく、たとえばプロフェッショナルファールをした後に見せる、「何か?」な雰囲気のしれっとした涼しい立ち姿は、秀人のなかにある勝負師の本性を垣間見せてくれているのだと思います。

一方で、見た目に反し、ストロングポイントに成り得るほどにはフィジカルに秀でているわけではけしてありません。ずば抜けたスピードやパワーもありません。また、秀人自身の期待は知るよしもありませんけど、攻撃をオーガナイズする卓越した技術もありません。秀人に不満を覚えるのは、ボランチというテクニカルなポジションにして攻撃面でのミスの多さだと思います。それも、フィニッシュに絡むチャレンジの結果ならまだしも、守攻が切り替わる重要な局面でのことが多い印象があって、それがプレーへの不満の原因になっていたと思います。

たぶん秀人は、自分自身がセンスに恵まれた生まれながらのサッカー選手ではないことを、誰よりもよく分かっているのだと思います。だからぼくは、秀人は人並はずれた優れた挑戦者だと思います。サッカーの世界では一般的でないトレーニングアプローチを積極的に取り入れ、他人と違うストイックな修練を日々重ねることで、トップエリートに追いつき追い越す野心を持っているのだと思います。そして、この姿勢こそ秀人の魅力だと思います。それこそが、秀人が東京にもたらしていた素晴らしい価値なんだと思います。

秀人は常に進化し続けています。デビューした頃は割合淡々とプレーするイメージがありましたけど、いつの頃からか、しきりに周囲とコミュニケーションを取る姿が観られるようになりました。小平で練習試合を見るとよくわかるのですけど、フィールドプレイヤーで一番発声が多いのは秀人です。チームを組織足らしめる要素はプレーだけではありません。言葉こそが、選手間の触媒です。もちろんサッカーは相対的なスポーツですから、自チームの選手のみならず、スタッフ、相手チーム、レフリーに対しても相手の主張を聞き、チームとしての意思を伝達する必要があります。秀人は、自ら積極的にその役を担っていたのだと思います。コミュニケ―ションは才能であり技術です。秀人は、サッカーのなかでの言葉の大切さを誰よりも知り、向上させることに努めてきたのでしょう。

秀人の言葉は、ぼくらサポや一般社会に向けても影響を及ぼせる力があると思います。それはまだ、情報過多なのかもしれません。実際に言葉にしてみるとよく分かるのですけど、展開がダイナミックなサッカーは、言葉で表現することがとても難しいスポーツです。もしかするとサッカーで起こっている事象をすべて言葉で表現することは不可能なのではないかと思います。トレーニングや試合中のタクティクスの意思疎通は、近年になって海外の方法論が急速に入ってきて、単語の面では不自由は無くなってきていると思います。でも、プレーを誰にでも分かりやすく文学的に表現する技法は、今もって確立されていません。中継の解説も、サッカーの知識があるとないとでは視聴者の受け取りかたも全然違うのが現実です。もしかすると秀人の言葉に対する取り組みは、将来のサッカー界に対しエポックメイキングな価値があるのかもしれませんし、そう期待しています。

秀人はヴィッセル神戸に完全移籍します。もしかするとぼくらは、来年、そして将来の東京にとって、とてつもない喪失をしたのかもしれません。いやむしろ、自虐的にいうならば、そうあってほしいとも思います。

秀人が東京でもっとも輝いていたのは、2015年の5月からの約半年間。とくによっちがいた期間は近年でもっとも東京が輝いていた時間でもあります。あの頃のチームが、いくつかの時代を過ごし、これからも経験するなかで、ベストのひとつと言っていいと思います。わずか一年半の間で多くの喪失がありました。でもその多くはポジティブなものです。秀人の移籍は、違います。なにか、ひとつの時代の終止符を迎える象徴のような想いがします。それが、秀人がいなくなることに対する寂寥感とともに、残るぼくらのこころがざわつく理由なのだと思います。

ぼくは、新しい生活を迎える秀人に気持ちいっぱいのエールを贈りたいと思います。2015年にプレイヤーとしての完成形を見せてくれたと思ったのだけど、進化の過程にある秀人のことだから、もっと違う、もっと素敵なプレーを魅せてくれると思います。それを身近に感じられないのは残念だけど、神戸と対戦するのが楽しみになりました。

独特の試合前のアップや、ゴールした選手の頭を嬉しそうにペシペシ叩くときの笑顔や、充実した試合後にすこし上向き加減で安堵する表情や、悔しいときにちょっと笑ったみたいになってしまう表情をもう観られないと思うと、やっぱり寂しいです。それとともに、複雑ではあるけれど、秀人をはじめ、他の道を選んだ選手たちに後れを取ってはならないと思います。東京と一緒に時間を過ごした選手たちを良きライバルとして、彼らよりも先にリーグ優勝しなければと強く思います。

秀人のサッカー人生に幸多かれ。


第96回天皇杯準決勝大宮アルディージャvs川崎フロンターレ@日スタ20161229

2016-12-30 14:30:21 | サッカー

今年もあとわずか。穏やかな天候の年末年始を迎えられそうです。

この時期ごく一部のサッカーファンは師走中の師走。選ばれた4クラブのサポーターのみに許される嬉しい悲鳴です。ぼくらはあれからはやもう五年が経ちました。お裾分けにあやかろうと、小机から吹田へのチャンピオンロードに同行します。まずは大宮vs川崎の組み合わせから。

ここから二試合は、われらが東京小金井市の市民のヒーローにして2016JリーグMVP、中村憲剛選手を応援します。計ってみると憲剛さんのチャントがきっちり14秒だとわかり、川崎サポさんの凄みを感じます。

大宮の川崎対策がはまってワンチャンス勝負になりましたけど、終了間際のセットプレー一発で川崎が吹田につながる扉を開きました。

大宮はベスト8と同じ布陣です。シフトは4-4-2。GKは塩田。CBは菊地と河本。SBは右に奥井左に大屋。ボランチは大山と横谷。メイヤは右にマテウス左に泉澤。2トップはムルジャと江坂です。

川崎もベスト8と同じ布陣で臨みます。シフトは3-4-2-1。GKはチョン・ソンリョン。3CBは右から田坂、エドゥアルド、谷口。ボランチは憲剛とエドゥアルド・ネット。WBは右にエウシーニョ左に車屋。2シャドウは右に悠左に登里。1トップはエース嘉人。

川崎の基本的な作戦は、すでにベスト4で観てきましたので詳細は省きます。ピッチ幅をいっぱいに使ったオープンワイドな攻撃をクイックに展開する風間さん独特の集大成で今日も臨みます。

では、大宮の川崎対策を見ていきましょう。大宮は攻守両面で対策を施してきました。先に概略をいうと、実のところは川崎のための対策というよりかは、大宮の基本的な作戦です。なので、大宮と川崎が互いの全力で四つに組んだ結果、大宮のほうが相性が良かったということでしょう。今年のリーグ戦は1stステージは2-0で川崎、2ndステージは3-2で大宮です。2ndステージでは、今シーズンのJリーグ最多得点チームである川崎にどつきあいで勝っているわけですから、対策というか、川崎の攻めかた守りかたを熟知しているのかもしれません。

まずは守備から。リーグ最終戦を欠席したので、大宮を観るのは実に開幕戦以来。新鮮でもあり、またシーズン最終盤の完成形を観られてとても楽しかったです。大宮の守備はとてもオーソドックスかつスタイリッシュです。4+4の2ラインを維持することを生命線とします。川崎の攻撃を、アタッカー四人の縦横無尽なポジション変更に惑わされることなく、人ではなくプレーエリアで考えると案外シンプルに見てとれるのかもしれません。ようするに、アタッキングサードのスペースをケアすること。このため大宮の守備網の重心は、心持ち低めです。かつ、2ラインの距離感をクローズドに保ちます。これで、バイタルエリアを使われたとしても、その後の川崎のクイックな展開に十分に追従することができます。川崎の独特なリズムは、ワンタッチによるパスの連鎖と、パス&ゴーのスペースメイクにあります。このリズムを遮断するために大宮が選択したのは、攻撃の基点であるポストを消すことではなく、その後の展開に使われるスペースを消すことなのだと思います。これが奏功します。

川崎は個のタレントが立った選手が揃っています。にもかかわらず、基本的な闘いかたはコレクティブです。ディシプリンが行き届いているというよりもむしろ、ナチュラルに組織的であることを個人に選択させているところが凄みです。コレクティブにプレーすることのほうが利己的であるよりも楽しいと自然に感じられていることが、試合を通じても伝わってきます。なので、今日の大宮のようなゾーンをケアされた場合、際立ったタレントを活かした独力突破も、もしかすると打開策の一つだったかもしれません。でも、あくまでも川崎は、コレクティブであることに徹します。

川崎の攻撃における組織化のポイントは、ボールホルダーを追い越してスペースを狙う選手が常にいることにあります。とくに両サイド。エウシーニョと登里。さらに、この二人をサポートする田坂と車屋。川崎は、サイドアタックを有効化するために攻撃時の布陣をアジャストします。エドゥと谷口が開き、サイドのスペースをケアするとともに攻撃の起点になります。中央には憲剛かネットが下がります。少し気になるのは、CBが開く間隔が少し広過ぎるなと感じるところです。CBの守りかたの基本的な考え方は個でスペースをケアすることなのだと思います。このあたりは大宮と真逆の発想で、とても興味深いです。

というわけで、川崎のウィークポイントはサイドのスペースにあります。大宮がとった対策のもうひとつのコンセプトは、攻撃は最大の防御なり、だと思います。大宮は、マテウスと泉澤を使って、執拗に谷口とエドゥに1on1を仕掛けます。これにより、川崎の攻撃の起点に守備を意識させるとともに、田坂と車屋にも背後をケアさせて、攻撃の鋭利を鈍らせようという意図だろうと思います。

これがジャブのように効いてきます。とうとう風間さんが対応します。15分頃にシフトを4-4-2に変更します。田坂が右SBにずれ、車屋が一枚下がります。エウシーニョと登里がメイヤに入ります。2トップは嘉人と悠。守備を重視した布陣です。いったんサイドの厚みを増して、大宮の攻撃を受け止めようという意図だと思います。今シーズンの川崎を追っているわけではないけど、風間さんをしてリアリスティックな選択をすることもあるのだなと、ちょっと驚きました。

このプラン変更がはまって、試合は落ち着きます。大宮はマテウスと泉澤が人数をかけてケアされるため、当初プランがここで終息します。川崎も守備の安定を見た反面、アタッカー四人の距離感が開きますから攻撃が停滞します。もしかすると渋谷さんも風間さんも、この状況を予測されていたかもしれませんね。9月のリーグ戦でどつきあいを演じていますからそれが教訓になっているでしょうし、なにしろ一発勝負の天皇杯ですから。こうして今日は、ワンチャンスマッチの様相を呈するようになりました。

そこで、川崎は心理戦を仕掛けてきます。孤立気味になった嘉人と悠にあえてボールを集めます。そして嘉人と悠は意図的にディフェンダーに向かっていくプレーを見せます。川崎は、比較的はやい時間帯からセットプレーが勝負を分ける可能性を感じていたのでしょう。一方大宮も、前述したアタッカーの積極的な仕掛けを継続しますから、必然的にセットプレーが増えます。お互いに、CKとFKを合わせて計27本のアテンプトがありました。セットプレーに可能性を見出すと言っても勝負を決するクオリティに高めることは一朝一夕にできることではないと思いますので、ここにおいても、今シーズンの積み重ねが成果として現れるのだなと思いました。前半はスコアレスのまま終了。

後半の頭から、渋谷さんが少し攻撃をアジャストします。サイド基調だった攻撃に中央を加えたアレンジをします。サイドアタッカーのサポートを担っていた江坂を中央に置き、トップ下のような位置付けにします。これが機能します。川崎の守りかたが、ゾーンというよりかは人をケアするスタイルなので、中央は憲剛vs江坂、もしくはネットvs江坂の構図になります。とくにネットと江坂がマッチアップするとき、アジリティで江坂が勝ることがありました。川崎の守りかたの場合、守備網の一箇所が決壊すると全体にリスクがおよびます。たったひとつの渋谷さんの作戦変更で、イニシアチブは大宮に渡ります。泉澤とムルジャが決定機を捉えていたら、もちろん結果は真逆になっていたことでしょう。これはもう、勝利の女神が川崎側にいたとしか思えません。

そこで風間さんが動きます。登里に代えて僚太を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。僚太はボランチ。憲剛がトップ下、田坂が左WG、エウシーニョが右SBにそれぞれ回ります。目には目をというか、風間さんも前線に納め処を置こうという意図だと思います。さらに、中盤から前線に至る縦の突破ルートを確保する作戦だと思います。これが機能します。僚太が江坂に対しコンタクトすることで、江坂が止まります。さらに、トランジションしたボールが僚太から憲剛に供給されます。憲剛がより高い位置でタクトを振ることで、散発気味だった攻撃が活性化し、アタッカー四人が息をふきかえします。

これを受け、渋谷さんが動きます。マテウスに代えて家長を同じく右メイヤに投入します。ボールの落ち着かせ処を作る意図だと思います。江坂シフトが止められたので、基点を分散することで、もう一度イニシアチブを取り戻そうという意図だと思います。

ただ、この作戦の仕掛け合いの威力は、川崎のほうが少しばかり優位になりました。そこで渋谷さんがアジャストします。シフトを4-2-3-1に変更します。家長がトップ下、江坂が右WGに回ります。ここに来て、本来の2016大宮の姿が出現しました。なにしろ家長は、9月の対戦で2ゴールしていますから、心身の疲れが現れるこの時間帯でのAチームの出現は、川崎にとっては不気味だったと思います。そして試合は、オープンファイト気味になってきます。

渋谷さんが続けます。大山に代えて金澤を同じくボランチに投入いします。これは大山のコンディションを考慮したのだと思います。と同時に、オープンになってきた流れをケアするために、少しだけ守備の強化を意識したと思います。

直後に風間さんが動きます。悠に代えて三好を左WGに投入します。田坂が右SBに戻ります。エウシーニョは右WG。これも、本質的には悠のコンディションを考慮したという点では渋谷さんと意図は同じだと思います。でも、風間さんのそれは、あくまでも攻撃的です。左右のWGにドリブラーアタッカーを置くことで守備網をかき乱すこと。これにより、中央の嘉人と憲剛がさらにプレーの選択肢を持てるようになります。

もしかすると、守備的な選択をした渋谷さんと攻撃的な風間さんの思考の違いが、今日の結果の分かれ目だったかもしれません。そして、その審判のときが訪れます。

85分。憲剛の直接FKを塩田が弾いて得た、憲剛の右CK。川崎は中央の主力のほかにファアに遊軍を置く分散配置です。主力は谷口、ネット、エドゥ、車屋。遊軍はエウシーニョです。大宮はハイブリッド。ストーンはニアに横谷と江坂、ファアに奥井の三枚。マーカーは河本、菊地、金澤、ムルジャ。エウシーニョには大屋。川崎の狙いは、ニアに谷口とネットを飛び込ませて中央を開け、エドゥをフリーにする作戦です。ところが、エドゥの手前で横谷が頭でカット。これが大きな大きな大きな、対空時間の長いロブになります。落下点で構えて競るのは、エドゥとムルジャ。85分間の緊張感溢れる攻防の果ては、じれったいほどに一瞬の、誰も触れてはならぬマッチアップです。パワー勝負は、重心を下げ体幹をガッチリ固めたエドゥがムルジャの腰を折り、ボールが着地する前に勝負有り。ボールの真下にエドゥが入り、ゴールに向かってフリック。ほぼ全員がこの静なる攻防の瞬間に魅入っていたなか、ただひとりエドゥの意図を察した谷口が、誰よりもはやく反応します。小さいロブになったバックヘッドフリックを右足ダイレクトボレーで合わせました。ゴラッソ。大宮0-1川崎。

直後に渋谷さんが動きます。泉澤に代えて清水を同じく左WGに投入します。これも泉澤のコンディションを考慮したのだと思いますけど、今度の選択は攻撃でした。もしかすると、先に攻撃的な選択をしなかったことを渋谷さんは悔やんだかもしれません。

大宮がサポの願いを乗せて猛攻を仕掛けますけど、川崎の集中力は落ちませんでした。このまま試合終了。大宮0-1川崎。

大宮に賛辞を送りたいと思います。川崎の攻撃をほぼ完璧に封じていました。少なくとも流れのなかでは完封でした。イニシアチブは揺れ動いたけれど、試合の趨勢を決めていたオーガナイザーは常に大宮だったと思います。最終的な結果を分けたのは、本質的な攻撃気質と本質的な守備気質の差だけだったろうと思います。その意味では、全力を出し切った大宮には、結果は残念だったけど、悔いはないでしょう。そして、大宮サポの絶え間のない、一体感が満載の歌声は、確実に選手たちを後押ししたと思います。来年がどんな編成になるかわからないけど、楽しみなチームです。

川崎は、前身の富士通サッカー部を通じて初めての天皇杯ファイナル進出です。おめでとうございます。五年間積み重ねてきた風間川崎の成果だと思います。ただ攻撃一辺倒ではなく、懐の深さを見せるようになりました。それが強さに繋がっていると思います。川崎サポに交じると、幸せなときを過ごしていらっしゃることが肌身で感じることができます。次は、CSで辛酸をなめさせられた鹿島。リベンジの舞台は整いました。

さあ、中村憲剛選手の、サッカー人生初の元旦決勝。2016シーズンを名実ともに有終の美で飾ってほしいと思います。


第96回天皇杯準々決勝FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20161224

2016-12-25 17:30:46 | FC東京

メリークリスマス!

穏やかな天皇誕生日とクリスマスの連休を迎えました。いかがお過ごしでしょうか。

クリスマスイブと言えば、天皇杯。天皇杯は各都道府県のサッカー協会が主催を分担しますので準々決勝は地方巡業のイメージが強いですけど、今年はJクラブ側からの意向もあったのか、すべてJクラブのホームスタジアムで行われます。

というわけで、本日は天皇杯準々決勝。今年三回目のクラシコです。今年は二戦二敗。戴冠へのロードマップとともに多摩川奪還の願いも籠った一戦です。本日のYou'll Never Walk Alone♪。イブ恒例のサンタが街にやってきた♪

川崎サポから、コロンビアの飛行機事故で亡くなったアルトゥール・マイアさんへの追悼のレクイエムがありました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

結果、内容ともに完敗でした。この五年間のプロセスの差を見せつけられた想いです。東京の2016シーズンが終了しました。

東京は、中断期間中に広貴が手術のため離脱。入れ替わるように徳永と拓馬がようやく戦線復帰です。シフトはおなじみ篠田さんの4-2-3-1。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは右に室屋左に徳永。今日のボランチは草民と秀人。WGは右に宏太左に翔哉。トップ下は慶悟。肋骨骨折で出場が危ぶまれましたけど、1トップには遼一が入ります。

川崎は離脱中の大島を除き、ほぼベストメンバーです。シフトは中盤スクアエの4-4-2もしくは3-4-2-1です。風間川崎らしく、その集大成はやっぱりポジションレス。どっちでも良いのですけど、メンバー表は4-4-2なのでそういうことにしておきます。GKはチョン・ソンリョン。CBはエドゥアルドと谷口。SBは右に田坂左に車屋。ボランチは憲剛とエドゥアルド・ネット。メイヤは右にエウシーニョ左に登里。2トップは嘉人と悠。

風間さんの退任が決まっている川崎は、集大成を迎えます。この五年間で結果的には無冠の風間川崎は、集大成の成果として最上級のプレゼントを欲していると思います。東京が負けちゃったので、元旦に向けては(たぶん)風間川崎初戴冠ストーリーを辿ってみたいと思います。

川崎は、とてもエッジの効いた、比類のないチームです。特長をひと言で表すとパスをつなげるポゼッションスタイルです。でも、その言葉から、我々日本人のサッカーファンが連想するスタイルとは大きく異なります。ぼくらは、良しにつけ悪しきつけ、メディアのバイアスを通じてサッカーを知ります。バルセロナスタイルとオシムさんがもたらしたポリバレントは、その真意がわからないままこの国のなかで独自の捉え方をされました。それは、日本人が好むサッカースタイルの正当化だったろうと思います。風間さんは、その思想にエレガントに斬りかかりました。

いわゆるポゼッションスタイルの解釈は、スモールゾーンを基調としたパスの連携にあります。これはある意味パンドラの箱で、考え方を誤るとボールをつなげること自体が目的になってしまいます。結果的にこの国からポゼッションスタイルのトレンドが早々と廃れたのは、ポゼッション率の割にゴールが少なく、成績もエンターテイメント性も芳しくなかったためだと思います。ぼくらも、見ていてイライラするポゼッションを少なからず体感したと思います。

風間さんが川崎で挑んだ発想の起点そのものはとてもシンプルなんだと思います。ゴールこそすべての目的であるということ。ただ、風間さん個人が川崎にもたらした方法論は、もしかすると川崎が今日までで得たものに対し、もっと小さいものだったろうと思います。そこに、幸福なるケミストリーがあったのでしょう。憲剛、嘉人、エウシーニョ、レナト、悠、大島などを中心とした、技術と頭脳においてハイレベルなクオリティを持った選手が風間メソッドをさらに拡張解釈して、その化学反応のなかで育まれた成果だと思います。風間さんがフロンターレを引っ張り、フロンターレが風間さんを導いたのでしょう。

川崎は、原則として相手チームに合わせたサッカーをしません。今日も、明確な東京対策はただ二点をおいて他なく、基本的には普段のサッカーを展開します。川崎が施した対策はまず、翔哉を封じること。それを担ったのは田坂です。川崎は、本質的に攻撃を志向の中心に置きますので、試合のエレガントを損なうようなプレーを自らすることはありません。風間さんが来る前の川崎はフォースのダークサイドにどっぷりつかっていましたけど、変われば変わるもの。でも、だからこそ強さを身につけるためには、田坂のような存在も必要なのだと思います。田坂は、翔哉から縦を奪うべく、ドリブルの始点を捉えます。

守備に関し、特別なミッションを帯びていたのはもう一人。エドゥです。端的に言えば、今の東京の攻撃は、翔哉と遼一を抑えることができれば止まります。翔哉に対しては田坂、遼一に対してはエドゥが密着マークします。とくに遼一については、リーグ戦終盤に強力な安定感を見せたポストプレーが、四連勝で終幕した原動力になっていました。これを封じることは、翔哉を止めること以上に、東京のコレクティブネスを奪うという点で重要なテーマでした。結果的にエドゥは遼一を完封します。もちろん、これは遼一だけの問題ではありませんけど、実戦間隔が一か月以上あったことと、その期間に遼一が骨折していたことの影響が少なからずあったのだろうと思います。

川崎の守備はオーソドックスです。今年の川崎の進化は、おおよそ言われている通り守備と攻撃の連動性ができたことに起因していると思います。前線のアタッカーがフォアチェックをするようになりました。これで相手の攻撃コースを限定するとともに、攻撃のリズムも生まれにくくします。そうして、中盤の局面でのタイトなチェックでトランジションを狙います。なので川崎の守備布陣は、4+3のゾーンとアタッカー3人の役割の異なる二つのグループで構成されるように見えます。トランジションは、縦に入ってくるパスを狙う前線のグループが担いますので、ラインそのものはそれほど高くはありません。おそらく風間さんのオリジナルの守備方法は、ゾーンで囲い込む考え方だと思いますけど、そこに実戦の有効性を加え、ハイプレスをアレンジしていったのだと思います。風間さんと選手のコレボレーションの成果が一番見られるのは、案外と守備なのでしょう。

さて、最も特長的なのは攻撃です。川崎の攻撃における生命線は二つ。ポストプレーとサイドアタックです。ポストプレーの考え方は、意外と好い加減なものです。一般的には、より高い位置でポストする方が有効だと言われています。四連勝中の遼一や、先日のW杯予選の大迫のプレーが象徴しています。川崎の場合は、高さよりも精度を重視しています。嘉人も悠も、とても低い位置に下がってポストします。ポストの位置は、もしかすると相手の守備布陣に応じてアジャストしているのかもしれません。今日の場合は、ボランチとSBの間付近を狙っていました。

ポストの位置が低くても問題がないのは、川崎のボール回しの基本的な約束事にあります。それはワンタッチ基調であること。ほとんどの攻撃では、パスは基本的に縦の出し入れです。それをワンタッチで行うことで、守備に不協和音を生み出します。一方攻撃のほうは、ワルツのような優雅さとロックンロールの力強さを合わせもつハーモニーを奏でます。その理由のひとつがワンタッチです。もうひとつの理由は、そこにこそ風間川崎の真骨頂があると思うのですけど、パスの多彩さです。一般的なポゼッションスタイルのイメージはショートパス基調です。でも川崎の場合は、パスは非常に多彩です。縦のパス交換も、ただパスをつなげるのではなく、パスの出し手と受け手の発想のプライオリティは、あくまでも縦にはやくということ。このため、中盤のパス回数はそれほど多くなく、前を向いてボールを持った選手から、躊躇なくアタッキングサードにボールが供給されます。そこには、必ず受け手がいます。このパスの出し手と受け手のコンセンサスが非常にダイナミックに調和することこそ、風間川崎の自他ともに認める特長なのだろうと思います。

象徴的に縦を強調しましたけど、パスはなにも同サイドばかりではありません。視野が広く技術の高い選手が前線に揃っていますから、反対サイドのアタッキングサードにもメッセージ性の高いパスが供給されます。そこにも必ずアタッカーがいます。いったいどうやったら、川崎のように、ピッチ幅いっぱいのコンセンサスが生まれるのか、不思議でなりません。和製ポゼッションスタイルは、約束事で固めて、繰り返しトレーニングすることで成立するものですけど、風間川崎のそれは、ピッチ上の選手が思考した状況判断のなかで生まれているように見えます。成立までに時間がかかっていることには変わりはないのでしょうけど、それだけではない秘密があるような気がします。

というわけで、試合はいきなり川崎がリズムをつかみます。戦前気になったのは、試合間隔です。東京はまる一か月以上開いたのに対し、川崎はCSで一度たたいています。しかも結果的にリーグを征した鹿島との激闘ですので、チームとしての上積みがあったろうと思います。東京はむしろ、遼一、広貴、慶悟の離脱もあってリセットされたイメージです。この差は大きいと思います。そして実際、キックオフ直後に如実に表れてしまいます。

でも篠田さんは、ある程度押し込まれることを想定していたかもしれません。東京は約7分間、川崎の縦横無尽な攻撃に耐えます。ゾーンを維持することよりも、最終局面での1on1の粘りを重視し、シュートタイミングでのコンタクトで防止します。この時間を耐えて、7分過ぎにようやく攻撃権を得ました。まずは川崎の独特なリズムを壊すべく、ゆっくりとボールを回していきます。ここから失点するまでの10分強の時間は、今日のなかでは最も東京のリズムが良かった時間帯です。その意味では、篠田さんの計算通りだったでしょう。手応えもあったと思います。

イニシアチブを取り戻したきっかけは、やはり遼一のポストプレーでした。8分頃に、今日初めて高い位置でのポストが成功します。それをきっかけに東京がよっこらしょと重心を押し上げ、攻撃モードに入ります。さらに、それまでまったくボールを触れなかった翔哉が初ボールタッチを見せたのも、この遼一のポストの直後。やはり、いまの東京は、遼一のポストを前提に翔哉を中心としたアタックで構成されていることがあらためて確認できました。

この時間帯の翔哉は、シュートアテンプトを立て続けに見せてくれました。これが本来の翔哉の役割だと思います。受けに回るため、田坂もタイトにマークできなくなり、翔哉はアタッキングサードで躍動します。

この攻撃を境に、守備も安定を取り戻します。今日の東京は川崎対策を講じていました。それは、状況に応じた二重の構えです。川崎にポストを納められた場合は、前述したそこから縦へのクイックなアタックを防止するために、ボールサイドに人数をかけて、コンパクトなゾーンを作ります。これで、ボールホルダーへのチェックとともに、パスコースとエリアを消すことに成功します。もうひとつは、そもそも攻撃の起点を消すこと。嘉人と悠にパスを供給する中盤の選手に対し、前線がフォアチェックを仕掛けます。言わずもがなですけど、後者の構えはそのままショートカウンターを意図したものです。ですので、フォアチェックを仕掛けられる状況になったということは、とりもなおさず東京にイニシアチブがあったということです。

このように、今日は結果的には完敗でしたけど東京に成す術がまったくなかったわけではありません。もし、この約10分強の間で先制していたなら、東京が川崎を封じる秘策があったならですけど、結果はまた違っていたかもしれません。惜しむらくは、この時間帯の攻撃が成就しなかったことです。

篠田東京の成果は、スクランブルを乗り切るための闘いかたが結果的にはまり、それを最後までやり通したことです。ですから布陣は比較的固定されました。篠田さんはもっと違うチャレンジもしたかったと思いますけど、アプローチを変えないことは勝つためには致し方無かったことだと思います。ただ、最終盤に来て広貴が離脱したことは、ホントに痛かったと思います。数試合は宏太で乗り切ることができましたけど、それなりの時間を遼一、慶悟、翔哉、広貴のコンビネーション作りに費やしてきましたから、宏太を急遽はめ込もうとしてもワンショットならともかく、コンペティティブな領域に持ってくることは難しかったと思います。これはけして宏太のクオリティの問題ではありません。それほどチームを作るのは難しいということだろうと思います。広貴と宏太の違いは実はただ一点。ダイアゴナルランの有無です。広貴はとてもプレーエリアが広い選手です。とくに翔哉が左サイドでボールを保持したときに繰り出す、タイミングとコースの良いダイアゴナルランは、夏を過ぎると、それが得点パターンのひとつとして確立されるまでに至りました。広貴の月間ベストゴールも記憶に新しいところです。

今日の東京は、それなりに左右バランスの取れたアタックを見せていたけれども、それぞれが単発になっていました。川崎にしてみれば、翔哉の可変駆動を除けば守り易かっただろうと思います。もしそこに広貴が見せるような左右をつなげるプレーが加わっていたらと思う少しばかりのエクスキューズは許されると思います。右サイドに関してはもうひとつ問題がありました。宏太と室屋のコンビネーションプレーをなかなか見せられなかったことです。今日の宏太はやや内に絞った位置で基点になる役割でした。当然ライン際を室屋がオーバーラップしますけど、宏太が中央もしくは逆サイドを意識していたのか、なかなか室屋にパスがでません。宏太のアイデア豊富なプレーは、それはそれで結果を伴えば評価されるのだと思いますけど、今日はパスのクオリティが伴いませんでした。室屋のフリーランニングを活かせていたなら、もう少し川崎の守備をかき乱せたと思います。

東京がプラン通りにイニシアチブを取り戻しながらも、攻撃のクオリティ不足であと一息押し込めないなか、守備のイージーミスで先制を許します。

20分。東京はボールサイドに寄せるゾーンパターンで、車屋を起点としたサイドアタックを封じます。状況を変えようと、車屋からの戻しを受けた谷口がサイドチェンジ。エドゥに渡ります。エドゥは絞っていたエウシーニョが受けるために下がってくるのを見て、縦に入れます。この時、田坂がライン際にはります。問題はここ。翔哉が中途半端にエドゥを見て、田坂を追いません。コースを消そうとしたのかもしれませんけど、全力で田坂をケアすべきでした。エウシーニョはワンタッチで内に落とします。そこに憲剛がいました。エウシーニョに渡った時点で田坂がスプリントを開始。憲剛もこれを想定していて、田坂の前方にパスを送ります。田坂を見るべき翔哉は、この一連のプレーでボールウォッチャーになっていました。ディフェンスの状況判断とプレーの選択、それから集中は翔哉の今後の課題ですね。ゴールライン際で追いついた田坂は、当然どフリーでルックアップ。東京はペナルティエリア内に四枚揃っています。川崎はニアに悠ファアに嘉人。ニア側からエウシーニョ、ファア側から登里も入ってきていますけど、実質4on2の数的優位。田坂はクロスを、悠とそのマーカーのモリゲの頭上を越えるロブで嘉人に送ります。田坂がクロスを上げるタイミングと嘉人が落下点に走り出すタイミング、そして落下点のポイントは、嘉人と田坂が長年積み重ねた阿吽なのだと思います。嘉人の動き出し一発でマークについていた室屋が置いてけぼりにされます。嘉人はどフリーで合わせました。東京0-1川崎。

翔哉と室屋。今年ブレイクした東京の希望の二人に、すごくベーシックなプレーで課題が突き付けられました。実質今日の結果を左右した失点でしたから、その重さを加えて、翔哉と室屋には、ホントに良い経験になったと思います。ど素人の自分でも分かるほど、翔哉はあまりに田坂をイージーに見ていましたし、室屋は嘉人に寄せるべきでした。

失点しても、ここではまだ東京は落ち着いていました。ミスでの失点ですけど守備の仕組みそのものを崩されたわけではありませんので、慌てる理由もなかったでしょう。でも、またしてもミスを起因に追加点をあびます。

28分。翔哉のクロスを谷口がクリアしたボールが中央に転がります。拾った秀人は、右サイドで呼ぶ室屋を確認していて、ダイレクトでパスを送ります。でもこれが少し流れ、登里にカットされます。登里はダイレクトで前方の嘉人に渡します。カウンターが発動します。嘉人はどフリーでターン。中央をスプリントしてくるネットにパス。ネットも、パス&ゴーで上がってきていた登里にダイレクトで渡します。アタッキングサードに入ります。登里はモリゲを引き付けてタメます。東京は秀人も下がって四枚。川崎も中央にネット、エウシーニョ、ファアに悠と四枚の4on4。登里はネットに渡します。ネットはさらにエウシーニョへ。右足で止めたエウシーニョはルックアップ。ゴールを確認して、右足のフェイク一発でまるを振り切って、その態勢のまま左足を振り向きました。ボールはゴール左隅に刺さりました。ゴラッソ。東京0-2川崎。

さすがにこの失点の直後数分間は、東京は混乱していました。まるのパスミスもあって、川崎がこの機に乗じてフォアチェックを仕掛け、東京のこころを折ろうとします。この時間帯は危険でした。モリゲすら慌ててホスピタルパスをしていたくらいですから。今日の結果はもとより、とても微妙な時期に闘いかたが崩壊することは、来シーズンの編成に向けても悪影響があると思っていました。

この数分間をなんとかしのぎ切り、ふたたび落ち着きを取り戻したのは、翔哉の使いかたを少し変えたためです。翔哉は位置を下げ気味にして、基点を担うようになります。遼一のポストが安定しないので、なんとか基点を作るために翔哉を使ったのだろうと思います。川崎がここぞと襲いかかってくるため守備基調になりながらもカウンターの脅威を見せられたのは、翔哉が基点になり得たからです。ただしこれは功罪伴う選択でした。ご存じの通り、翔哉がフィニッシャーではなくゲームを作りはじめると、途端に独善的になりコレクティブネスが損なわれます。縦に仕掛けることが少なくなり、横に動くようになります。シュートではなくパスを選択するようになると、必然的にチームのシュートアテンプトが急落します。良くも悪くも翔哉依存に偏重した篠田東京の弊害が、極端に表れるようになります。それでもチームを落ち着かせるためには致し方なかったろうと思います。前半はビハインドのまま終了。

後半頭から篠田さんが動きます。徳永に代えて諒也を同じく左SBに投入します。諒也が帯びたのは攻撃の役割でした。ビハインドですから当然のこと。J3の成果はほとんど見ていないので分かりません。でも、諒也はずいぶんポジショニングが改善されました。高い位置が取れるようになりました。それに、守備面でも1on1でのスペースのケアの仕方が上手くなっていると思います。後半の川崎はロングカウンター基調に移行していました。そのなかで数度、右サイドでエウシーニョと嘉人が絡むアタックがありました。結果的に不発に終えられたのは、エウシーニョに対する諒也のコースの切りかたが良かったためだと思います。ただ、諒也本来のレゾンデートルを考えると、クロスに威力がないことはまだまだ課題です。なんとなく筋量が不足しているのではないかと思います。身体が大きくフィジカルに恵まれているように見えるけど、フリーキックを見ても強さが感じられません。クロスの精度とスピードを高めるために必要な筋肉があるのだと思いますので、課題として取り組んで欲しいと思います。

篠田さんが続きます。遼一に代えて相太を同じく1トップに投入します。遼一がポストに苦しんでいたので、エドゥに対し相太をぶつけてみようという意図だと思います。ポストの精度そのものは上がりませんでしたけど、川崎がリトリート気味になったことも相まって、東京に攻撃権が渡ります。中盤でボールを確保できるようになり、室屋と諒也を基点とした高速サイドアタックを見せられるようになります。

風間さんが動きます。登里に代えて三好を同じく左メイヤに投入します。登里のコンディションを考慮したのだと思います。加えてボールを持てるドリブラーアタッカーを置くことで、カウンターのバリエーションを豊かにするとともに、東京に後方の脅威を感じさせる意図だと思います。前述しました通り、作戦通りにロングカウンターを見せられていましたし、うち一本は嘉人の決定機につながっていました。作戦の進め方という意味でも、川崎に軍配が上がりました。

篠田さんが動きます。宏太に代えて拓馬を同じく右メイヤに投入します。拓馬は篠田さん体制になって初めての出場です。長期の怪我が重なる不運がありましたけど、来年払拭するためにも試合の感覚を得させたかったのでしょう。本来の拓馬は、より高い位置で相手に囲まれながらも基点になれますし、ダイアゴナルランもできます。さらにフィニッシャーでもありますから、流れを変えるにはうってつけだと思います。でもまだまだ違いを生み出すクオリティは戻っていないようです。

風間さんが動きます。悠に代えて板倉を投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。憲剛がトップ下に入ります。怪我開けの悠のコンディションを考慮しつつ、板倉の出場機会を作ったのだと思います。

さらに風間さんが続けます。嘉人に代えて中野を同じく1トップに投入します。これでオリジナルのストライカーはいなくなりました。いわゆるゼロトップ。風間さんの成果が凄いのは、チームとしての成熟だけではなく、ちゃんとポスト風間を担う人材を育て上げてきたことです。その象徴が大島であり三好であり板倉であり中野です。客観的に見ると、やはり憲剛と嘉人が居てこそコンペティティブ足り得るだろうと思います。嘉人が居なくなるのは確実で、2016JリーグMVPの憲剛も永遠にプレーし続けられるわけではありません。三好にしろ板倉にしろ中野にしろ、こうしてプレー機会を貰えることは、風間イズムを受け継ぐために重要なことだろうと思います。川崎には、この五年間をエポックメイキングなこととして、風間イズムを永続してもらいたいと思います。風間さんが後継者の育成にまで視野を持っていらっしゃったのかは分かりません。クラブがサッカースタイルにアイデンティティを持つことはとても難しいことだと思います。今Jリーグで、いつ誰が観ても感じかたが変わらない個性を持つのは、鹿島、マリノス、ガンバ、セレッソ、広島、ヴェルディくらいでしょう。いずれも長い時間をかけて身につけたクラブばかりです。でも、その権利を持つ川崎にはチャレンジし続けてほしいと思います。

東京は、押し込み続けた成果をようやく見せ、最後の最後で一矢報います。

後半アディショナルタイム+1分。直前のプレーで得た諒也の左FK。東京はファアに相太、秀人、モリゲ、翔哉、拓馬、まるが集合します。ニアに慶悟が一枚。川崎は八枚が単横陣に並ぶフルゾーンで、エリアを全消しします。諒也は、ソンリョンとラインのちょうど中間付近に柔らかいクロスを送ります。タイミングを合わせて、ニアに秀人ファアに相太が飛び込むサインプレー。川崎のラインは一瞬反応がずれ、秀人と相太が抜け出します。おそらくどちらが合わせてもゴールだったと思います。クロスは秀人が伸ばした足を越え、相太の頭に合いました。東京1-2川崎。

このサインプレーを持ってたのなら、もっとはやく出せなかったのかなと悔やんでも、とき既に遅し。失点を受け、川崎が完全に守りをかためたため、これ以上の波は立ちませんでした。このまま試合終了。東京1-2川崎。

川崎が風間さんのサッカーを熟成した五年間に、東京はポポさん、フィッカデンティさん、ヒロシ、そして篠田さんと四人の監督を経ました。東京のベーシックなビジョンに基づいたことかもしれませんので、その判断は敬意を持ってそのまま受け入れます。ただ、彼我の差を直接見せつけれるという機会は、ぼくらサポーターにとってもクラブにとっても良いことだと思います。東京が東京として存在し続けるという目標は、たぶん東京に関わる誰しも共通で持っていると思います。そのために必要なことのひとつに、プレースタイルを共通認識できることだとぼくは思います。その点で東京はまだ未熟です。攻撃偏重から守備偏重へとスタイルの大ブレを経て、この先どんなスタイルを目指したいのか、ぼくら自身も持っていたいし、クラブからも提案してほしいと思います。

東京2016の闘いが終わりました。今年の激闘の振り返りは、たぶん始動日までにはやると思います。個人的にはまずは来シーズンに向けてしっかりリセットしたいと思います。

末筆になりましたけど、今年もぽちごやの東京ブログをご覧いただき、ありがとうございました!。見ていただける東京サポのみなさんがいらっしゃるからこそ、続けていくことができています。来年も続けるつもりですので、もし良かったらまたご覧ください。それではみなさん、良いお年をお迎えください。


愛された時間のなかで

2016-12-21 20:45:43 | 加賀さん

2015年1月13日。加賀さんは少しまぶしそうな目で、澄み渡った空を見上げていました。いつになく遠くを見ているような表情は、あの日の空の美しさとともに、期待と希望を想わせました。

この2年間のスタッツを振り返ってみます。トータルで11試合出場プレー時間は473分。スタメンフル出場は2回。ゴールはゼロ。受けた警告は3。年度別に見ます。2015年は、リーグ戦の4試合出場はすべてサブで計108分。ACLは3試合出場で、スタメンフル出場が1試合の計180分。残りの2試合は悔しい前半での交代でした。天皇杯は1試合のみでしたけどスタメンフル出場。一年間合計378分間で4.2試合相当です。サブは11回。2016年はわずか3試合の出場に留まりました。リーグ戦はスタメンで出場した6月のガンバ戦で71分間。ルヴァンカップは8月の神戸戦の途中出場1分間と10月の東京戦23分間です。一年間合計で95分間。サブは14回。

あえてデータを持ち出すまでもなく、レッズでは、ことプレーについては間違いなく、加賀さん自身にとってもぼくらファンにとっても、とても満足できるものではありません。結局、加賀さんがレッズのなかでどんな化学反応をもたらすのか分からないまま時が過ぎました。その意味では、加賀さんは御簾の向こう側の麗人のごとく、ミステリアスな存在だったといえるかもしれません。

でも、だからこそ、加賀さんは眩しい光彩を放っていたと思います。ぼくはレッズの加賀さんを観念として捉えています。存在としてのひとつの到達点に達していると思います。加賀さんはレッズで大きく進化しました。それはプレーでもキャラクターでも、そしてルックスでも。この二年間で、成熟した大人の魅力を纏いました。

一番嬉しいことは、長年悩まされ続けた怪我から解放されたことです。2016年は、二週間を超える長期の離脱が一度もありませんでした。加賀さんのターニングポイントとなった2010年の頚椎骨折以来、東京に来てからも頸や足の怪我で、毎年のようにシーズン後半はリハビリをしていました。晩秋の長い影を写して、小平で黙々とリハビリをしていた寂しげな姿が目に焼き付いています。ようやくトレーニングマッチに参加できたのはもう木枯らし吹く時期で、別人のように痩せた頬に切ない想いをした記憶がいまも鮮やかです。その苦しみから解放され、ふたたびサッカーに集中できるようになったことは、加賀さんのリニューアルのためにとても大切な時間だったと思います。それどころか、むしろ体がひとまわり大きくなり、筋肉質になってきたと思います。いくたびの怪我を経験して、純粋な肉体を補強する科学的なアプローチに取り組んだのではないかと思います。年間を通じてフルに動けたのは、2011年以来5年ぶりです。その真の成果をプレーで十分に表現できなかったことは残念でなりません。

プレー面は、さすがにサンプルが少なく、正直進化の確認は困難です。でも、進化は確かです。貴重なサンプルはとても象徴的でした。今年唯一のスタメンとなった2016年6月のアウェイガンバ戦です。レッズ加賀さんのキーワードは、クレバーです。より具体的に言うと、局面での様々な選択肢のなかで、加賀さんに求められる最善をとてもクイックかつスムーズにチョイスできるようになりました。スピードとコンタクトに安定感が加わったイメージです。レッズに入って18ヶ月の苦心の果てに掴んだニュースタイルです。加賀さん自身のプレーイメージ、フィジカルコンディション、ミシャのチームプレービジョンと加賀さんへのオーダーが調和されず、かなりの時間をもどかしさのなかで過ごしたのではないかと思います。苦しんだ時間のなかで、内面への問いかけやサッカーの学びを経て今があるのでしょう。それは、レッズの環境にいたからこそ得られた財産だと思います。

レッズのチームカラーは外から見ていた印象とは違い、サポーターを含めてファミリー性の強いクラブです。それが、もともと仲間を大切にする加賀さんのキャラクターに合っていたのだと思います。とくにレッズのなかでの居場所を見つけてからは、明るい笑顔が印象的になりました。ミシャと選手たちが作る家族的な雰囲気のなかで、個が先立つ選手も気持ち良さそうに自然に過ごすことができているように見えます。加賀さんは、若手やチームを支える現場のスタッフにも目が届くアニキ肌のムードメーカーでありながら、けして輪の中心にいたがらないひとですから、レッズの環境は、加賀さんにベストなポジションを与えてくれたのかもしれません。

でもそれが、客観的には戸惑いでもありました。試合に出られないフラストレーションをトレーニングで表現しないことは、加賀さんが大人になったと受け取っていいのか、それとも加賀さんから野生を奪うものなのか、分からなかったからです。けしてプロプレイヤーとしてのプライドや競争心を失ったわけではないと思います。レッズの環境のなかでは、それを内に秘め、自分の向上に専念していたんじゃないかと思います。その成果が、コンディションの向上であり、プレーの安定なのでしょう。

加賀さんがチームにもたらしたことは、独特のツンデレな間を持つ触媒としての効能と、真摯でストイックなトレーニング方法だろうと思います。とくに、サッカー選手のなかでは格別に美しいランニングフォームは、基礎的なトレーニングがプレーの向上に繋がることをチームメートに気づかせたことでしょう。たとえば食事や睡眠、フィジカルなどの繊細なケアは、意識を持った選手が触媒となり、チームに浸透していくのだと思いますし、そのようなチームは強くなっていくと思います。

ぼくが加賀さんを好きなホントの理由は、もちろんルックスです。レッズでの加賀さんは、コーディネーションで遊んでみせてくれました。ぼくが一番好きな加賀さんは東京の新入団会見のころで、まだ磐田時代のやんちゃな雰囲気を残して、とんがり気味で襟足が長めのヘアスタイルです。東京では、衝撃の坊主事件はともかく、だいたい似たようなヘアスタイルで通していた印象です。加賀さんを象徴するプーマも、ほぼ黄色か白でした。この二年間は、なにがどうなったのか、毎月のようにヘアスタイルを変えていて、時折公式やファンのかたから送っていただく画像でチェックするのが楽しみでした。スパイクも、新入団会見の衝撃の赤から始まり、モデルも二度変わりました。アップシューズも黄色以外に青や白もありました。ほばストレートだった印象が強いヘアスタイルはウェーブ基調になりました。前髪パッツンのときはまるでヘルメットです。それが、あのソリッドなルックスに可愛らしさを加えることになるのですから、まったく罪なものです。

2017年、加賀さんはモンテディオ山形に移籍します。正直言うと、もう少しだけJ1で勝負する姿を観たかったです。レッズ独特のチームオーダーで出場機会が限られ、パフォーマンスのイメージがあまり良くないことが残念だけど、アデミウソンや翔哉と対峙しても安定していたので、J1チームからリクエストはあると思っていました。J1とJ2ではサッカーのスタンダードそのものが違いますから、レッズの二年間で培ったクオリティを発揮する場に資するのか、心配です。またゼロからのスタートだとさすがに辛いですから。

それからモンテは2017年シーズンからガラッと体制が変わることも不安要素です。石崎さんが引かれ、木山さんが新監督に就任されました。石崎さんのサッカーは既知なので、加賀さんもフィットし易いと思うし、石崎さんのライトバックは加賀さんに合っていますから。木山さんのサッカーは観たことがありません。過去加賀さんとの縁もないようですから、やはりゼロから信頼を作る必要があります。

さらに言えば、加賀さんは首都圏に来て5年。札幌も合わせると7年間を都会で過ごし、すっかり都会の人の雰囲気を纏うようになりました。こだわらないことに対しては徹底的におおらかなキャラクターは変わらなくて、その意味では大きくて広い空の下が似合うのだけど、他人、とくにファンとの適度な距離感がある都会のクラブのほうが、過ごし易くはあると思います。ご家族にとっても、お子さんも大きくなってくるので、就学環境の選択も悩ましいと思います。

でも、そんな心配ごとをぜんぶひっくるめて包み込んでしまうほど、嬉しいことがあるんです。加賀さんはついに東北に帰ります。15年ぶりの帰郷です。秋田ではなくお隣の山形です。お隣といっても、ふるさと潟上から天童までは、男鹿線から奥羽本線に乗り換えて片道5時間半。羽越本線から陸羽西線経由の奥羽本線でも同じく片道5時間半。東京-天童が山形新幹線一本でちょうど3時間ですから、東北の時間的空間的な広さを実感します。そんな広大な東北の地にこそ、加賀さんの伸びやかなランニングフォームが似合うことでしょう。そしてふたたび、あの野武士のごとく野生的なスプリントを取り戻してくれると思います。

そして、きっと加賀さんは、モンテをJ1に戻すために働きたいのだと思います。新しい目標は、自身の復活もさることながら、チームを大切にする加賀さんのことですから、東北にもっと高いレベルのサッカーをもたらすことだと思います。Jクラブこそ、ベガルタ仙台、グルージャ盛岡、福島ユナイテッドFC、そしてふるさと秋田のブラウブリッツと、青森以外の全県にありますけどトップカテゴリーは仙台だけ。より高い目標を東北の子どもたちに見せてあげることが大切です。選手では小笠原満男選手や芝崎岳選手が活躍されてますけど、お二人とも秋田県外人。残念ながら秋田出身のJ1選手がいなくなってしまいましたから、東北を、そして秋田のサッカーを盛り上げるため、モンテのJ1復帰は加賀さんにとっても大きな願いとなっていることでしょう。

山形は夏が暑くて冬が寒い盆地気候だそうです。天童でのトレーニングで、加賀さんの光る汗と輝くふともも、そしてタイツ姿がますます艶っぽくなりそうです。

末筆になりましたけど、レッズの加賀さんファンのみなさんには大変お世話になりました。大原での様子を教えてくださいましたし、写真をお送りいただいたり、公式グッズを分けていただいたりしました。なかでも、手作りの加賀さんグッズを作っていただいたり、このブログを見つけてご紹介いただいたときは、本当に嬉しかったです。有志のかたで横断幕を作っていただいたときは感動しました。東京サポでありながら加賀さんを追うことは想像以上に苦しくて辛いこともありましたけど、クラブの垣根を越えた加賀さんファンのファミリーに入れていただいた気持ちがして、とても嬉しかったです。なによりも、ほとんどプレーする姿を見せられないにも関わらず加賀さんを受け入れ応援していただいたことは、アカの他人が言うのもおかしいかもしれないけど、とてもありがたかったです。二年間、本当にありがとうございました。

ぼくは加賀さんを追い続けます。ちょっと遠くなるけど、東京と山形はJ1とJ2で袂を分けますから試合に行き易くなるかもしれません。それに山形は大好きな地ですから。モンテサポーターのみなさんにも、加賀さんが愛されるといいなと思います。

2017年が加賀さんにとって素敵なときになりますように。


べっぴんさんロケ地の旅 -20161217 土曜スタジオパークin神戸「べっぴんさんが神戸にやってくる」-

2016-12-17 22:35:14 | 連続テレビ小説べっぴ...

べっぴんさんイベントは、BKワンダーランドで落選してがっかりしていましたけど、再挑戦の機会が訪れました。土曜スタジオパークのBK朝ドラ公開放送もすっかりおなじみになりましたね。今年はちょっとはやめに、年内に開催です。見事当選しまして、今年3回目の神戸でごさいます。NHK神戸放送局では、エントランスロビーのイベントスペースの窓が、オープニングタイトル映像でデコレーションされてます。

今回の目的地は甲南女子大学。べっぴんさんのモチーフになったファミリアの坂野惇子さんの母校です。今回神戸開催となった理由のひとつはそれなんだとか。

土スタの収録は、こちら。芦原講堂で行われます。キャンパス内の入れるエリアは、会場に入れない人でいっぱいでした。

当選ハガキをチケットに交換します。

さすがにBKの施設ではないためか、べっぴんさんの衣装や小道具の展示はありませんでした。ちょっと残念。少し足を伸ばして三宮まで行けば、べっぴんさん展を開催しています。そのかわりに、講堂内で「べっぴんさんたちとその時代展」をやっていました。「ファミリアの軌跡」では写真の展示がなかった記憶があって、拝見できて嬉しかったです。

それでは、イベントの模様をご紹介します。土スタの模様は放送されてるので割愛します。ご容赦ください。BKイベント恒例通り、オープニングは若手営業マンの受信料PRからです。今回は、地元神戸生まれ神戸育ちのNHK神戸放送局営業部の神吉さんがPRされてました。

続いては主催者挨拶。今回の主催は、べっぴんさんを全面的にバックアップしている神戸市。神戸市長の久元さんが登壇です。久元市長もべっぴんさんをご覧になっていて、公務でお忙しいなか、リアルタイム視聴がかなわず録画で、いまは大急の小山さんにキアリスのタグを外すように言われたところまで追いついたそうです。ぶっちゃけで笑いを取りに来るあたり、さすが政治家のかたも関西ですね。

次に、NHK神戸放送局の長谷川局長が挨拶されました。今回の応募総数は6,000で、見事招待を勝ち得たのは1,500人。倍率にして四倍です。ちなみにごちそうさんが六倍、マッサンが八倍で、あさが来たは当選しなかったので分からないのですけど、今回初めて応募数が下がってます。例年は年明けにファン感をやるので時期ずれなのと、大阪本局開催ではないからでしょうね。朝ドラは女性がターゲットですから、男前がいないと客足が減るというのがホントのところでしょうけど。イベント自体は変に男性キャストがいないからこそナチュラルな女子トークになって、とても楽しかったです。

最後はスタッフさんから本放送収録時の注意事項がありました。さすが関西。スタッフさんにも話術がたくみなかたがいるのですね。東京出身だそうだけど。地元神戸のお客さんは三分の一くらいでした。遠くは福島や北海道からいらしてました。北海道のかたは日帰りらしく、本放送収録で帰られました。

5分前くらいにスタッフさんリードで拍手の練習があった後、MCのビビる大木さん、大沢あかねさん、中野淳アナが登場です。今回のイベントは、神戸市と甲南女子大学が協力されてます。イベントの運営は甲南女子の学生さんとスタッフさんがお手伝いされていました。休日なのにありがとうございます。心なしか、会場が華やいでいた気がします。甲南女子大学芦原講堂といえばパイプオルガン。在校生以外はクリスマスのイベントで聴けるのかな。ビビる大木さんの「みなさん生放送ですよ。全国のお茶の間にみなさんの顔が映っちゃいますよ。メイク直し大丈夫ですか」の煽りから、いよいよキアリスのみなさんの登場です。

放送はVTRやキャストさんがアップになることがあったので、その間のほかのキャストさんの様子はテレビでは分かりませんね。遠目に見ても、四人のキャラ分けがなんとなく分かって楽しかったです。女子会に参加したことがないので感覚がわからないけど、女性にとってはキアリスのメンバー構成は女子トークあるあるなんじゃないでしょうか。

BKワンダーランドのイベントの話を聞いた通り、芳根さんと百田さんはふられなくても積極的に話されます。とっても自然体です。百田さんは慣れてらっしゃるのでしょうけど、芳根さんの度胸の良さはすごいです。しっかり挨拶なさるし周りも見えているし、とてもちゃんとされてます。というわけで二人のトークを中心に話が進みます。朝ドライベントでは話芸のプロではない俳優さんがメインですから、どうしても話が途切れることがあるのですけど、今日はまったくそんな心配がありませんでした。MCも楽だったんじゃないかな。まったく、芳根さんと百田さんのおかげですね。

その芳根さんと百田さんの間に谷村さんが座っていたことが絶妙でした。谷村さん自身はニコニコと楽しそうにしてるだけなんだけど、カメラを気にせず芳根さんと百田さんが谷村さんに話しかけてました。盛り上がったときは仲よさそうに谷村さんの肩や腕に触れていました。なんていうか、たぶん谷村さんはナチュラルな聞き上手なんだと思います。いい触媒なんでしょうね。

土村さんは、トークでの話題にもあったのですけど、ほんわりしてる雰囲気が1,500人規模のホールでも伝わりました。フレグランスのような存在というか、その場の空気を無意識に作っているのだと思います。たぶん今日の土スタがほんわかと暖かかったのは、土村さんのパワーなんだと思います。

つまり、トークそのものの流れを作って楽しくするのは芳根さんと百田さんだけど、場の空気感を決定しているのは谷村さんと土村さんの見えざる力なんですね。なんていうか、バンドに例えるならドラムが土村さん、ベースが谷村さん、ギターが百田さんでリードボーカルが芳根さんという感じ。集団における行動学として、とても興味深いサンプルだと思います。おひさまのときに、井上真央さんと満島ひかりさんとマイコさんが、仲良しトリオの雰囲気を作るためにクランクインのロケ地で飲み会をしたって聞いたことがあって、いつも一緒にいるグループを10ヶ月から11ヶ月も演じることは、ホントにグループとしての関係が成立していないと不可能なんだと思います。その意味でも、べっぴんさんのキャスティングは神ってると思います。

本放送のエンディング後は、恒例のファンをバックにした記念撮影です。たぶんメイクチェックのためいったんキアリスの四人はバックステージに引きました。ふたたび出てきて撮影です。MCが入ったバージョンとキアリスの四人だけのバージョンを撮影してました。カメラマンはプロではなく、たぶんスタッフさんかな。

記念撮影の後は、最後のコーナーです。キアリスの四人にひとりずつインタビューです。サマリーで失礼します。

芳根京子さん(キアリスのみなさんにはキョンちゃんって呼ばれてました)「今日は楽しかったです。こうして四人でイベントに出ることがないので私も楽しかったですし、見てるかたも新鮮だったんじゃないかと思います」
ビビる大木さん「キアリス辞めたんですよね?」
芳根さん「はい。私はキアリスを辞めたばかりなのでこの先どうなるかわかりませんけど、来週の今日はちょうどクリスマスイブですから、来週はそんなお話もあります。楽しみにしてください」。

谷村美月さん「みんなに不思議って言われたけど、今ここにいること自体に私が一番不思議です。こんがらがっちゃってます。週末はお休みですけど、また来週から気を引き締めて頑張ります」
大木さん「今撮影しているのは何歳くらいなんです?」
谷村さん「三十代です」
大木さん「昨日の撮影中も踊ったんですか?」
谷村さん「踊ってないです(^_^;)」
大沢さん「タケちゃんとの恋愛も気になりますね」
芳根さん「タケちゃんだけじゃなくて、タケちゃんの中の人の中島くんもね」
百田さん「栄輔さんも気になるし、モテるんですよ、谷村さんは」

百田夏菜子さん「今日は楽しかったです。いつもとは違う、綺麗なドレスとハイヒールの、しっとり夏菜子はどうですか?。撮影はあと1クール分くらいなんです。最後まで頑張ります」
中野さん「神戸にいらっしゃる新幹線でずっと寝てらっしゃったって伺いました。お体大丈夫ですか?」
百田さん「私、風邪ひかないんですよ。子どもの頃に、砂場で遊んでるとき、砂を食べてたそうなんです。そのせいかな」
大木さん「いや、砂は効果ないと思いますよ」
百田さん「丈夫に産んでくれた両親に感謝してます」

土村芳さんは、中野さんにここまでの撮影の感想を聞かれていきなり笑いはじめました。
百田さん「やっぱり笑うタイミング変ですよね」
土村さん「なんか可笑しくって」
大木さん「中野さんがつっちーさんをずっと見てるからですよ。あんまり見てるから触れちゃマズいのかなと思いましたよ。進行忘れちゃうんだから。しっかりしてくださいよ」
中野さん「失礼しました。同じ東北人なので気になって。せっかくなのでつっちーさんの東北弁を聞かせていただけませんか?」
大木さん「それずっと考えてたからつっちーさんを見てたんですね」
中野さん「そうなんです。いきます。俺は福島なんだども、おめさんどこだ?」
土村さん「そうでがんすか。あ、そうなんだって意味です。朝ドラであまちゃんがあったじゃないですか。私岩手出身なんですけど、じぇじぇじぇ知らなかったんです。盛岡はじゃじゃじゃなんです」
一同「そうなんですか!」
中野さん「あらためて、これまでの撮影を振り返っていかがでしょう?」
土村さん「今日こんな髪型で出てきて誰って思われたかもしれませんけど(ボブではなくショートヘアになってました)。朝ドラは、一人の人を長い期間演じるので、キャラクターの人としての成長を描いていけることが楽しくてやりがいがあります。ご覧いただいているかたも、キャラクターの変化を楽しみに、最後まで応援してください」

去り際に、芳根さんがいつもの神戸弁で「ありがとう!」を聞かせてくれました。

なによりも誰よりも、キアリスのみなさんが一番今日を楽しんでらっしゃる雰囲気が伝わってきて、なんだかとってもほっこりしたし、楽しかったです。もしかしたら、これまで参加したBKイベントのなかで一番楽しかったかもしれません。あらためて、せっかくの大事な休日に時間をさいていただいて、キアリスのみなさんに感謝です。

なんか、なんかな。これからの展開も楽しみですね!。応援していきましょう。