ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

ひよっこロケ地の旅 ―20170624 常陸太田市・大子町―

2017-06-24 23:52:20 | 連続テレビ小説ひよっこ

雨天が集中する梅雨というよりかは、晴れと雨が両極端な今年の梅雨。はやくすっきり夏になってほしいです。

梅雨の合間をうかがいまして、ようやくやってまいりました、県北。茨城県北部。奥茨城でございます。

あいかわらず、のどかに進む赤坂編の最中ですけど、ちょっと振り返って、ひよっこロケ地巡りの旅奥茨城編でございます。前半の県北ロケ地は広範囲にわたっていて、すべて廻るのは時間的にしんどいので、今回はメインロケ地の高萩市を除くエリアを巡ります。

県北では、ひよっこラボを展開中です。日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町の里山を巡るスタンプラリーです。楽しそうですね。今回のロケ地巡りでは、大子町の諏訪神社がラリーポイントでした。

まずは、常陸太田市町屋町の里川沿いのシカゴモータースさんのすぐ近く。こちらの小さなお堂の先です。

それでは、ひよっこロケ地巡りの旅奥茨城編の一回目をスタートします。「お父さん。お元気でお過ごしでしょうか?。私は高校生活最後の夏を迎えています。大して勉強もできねえし、本当なら、そんな余裕なんてないのに、高校に行かせて頂いて、みね子は、本当に本当に、心から感謝しています」。みね子の自転車の通学路の橋。

「♪ふるえちゃうけどやっぱり待っているそれは~」。

「元気出して行くぞ~!」。子供たちが旗を振りながら聖火リレーを追いかけてた橋。

「1965(昭和40)年1月7日 冬休みも終わり、今日から3学期です」「グッド モーニング!」「は? 何だ?」。

地徳橋です。

続いては、同じ町屋町の少し北側にある、赤い壁面が印象的なかわいらしいこの施設。旧町屋変電所です。

「これでよし!」。みね子と時子と三男が掲示板に手書きのポスターを貼ってた建物。

「よし。次行くよ!」「うん。急げ~!」。

「ちょっと待てよ」。

「いいですか? 思ったより、重いですからトーチは」。木脇先生がランニングの指導をしていた建物の前。

「姿勢が悪いと辛くなります」。

「トーチは、まっすぐ、こう持つ!」。

「いいですね! いいね! 村長!」「はい?」。

「違う! まっすぐ!」。

「政治だ」。

「んだ」「んだ」。

「時子!」。時子が聖火を待ってた中継所。

「映画会社! テレビ! テレビ来てっと! しっかり映れ! な?」。

「豊作さんが来たぞ~!」「あっ、来た! 豊作だ!」。

「豊作!」。

「時子、頼んだど!」。

「待ってろよ! 奥茨城村からのスターになってみせっと!」。

「時子~! 時子~!」。

「絶対なってやる!」。

「大好きだ。奥茨城村!」。

「待ってろよ! 奥茨城村からのスターになってみせっと!」。

「こちらのスラリとしたお嬢さんは、助川時子さん。奥茨城小町、ミス奥茨城と、村中が認めている、村一番の、美人さんであります。夢は、東京へ行って、女優さんになることだそうで。春には東京へ、夢を追って旅立つことを決めているそうであります。全国から、同じ夢を持って、おらが村の美人が集結する東京で、夢の翼が折れないことを祈ろうではありませんか」。

「それにしても、戦後生まれの、女性のスタイルの向上には、目をみはるものがあり」。

「どうか、翼が折れないことを祈るばかり」。

町屋町のかたが貼っていただいたのか、旧町屋変電所にはひよっこのポスターやドラマのカットの写真が観られて、気持ちが盛り上がります。

最初の地徳橋は、ポスターについてたPOPが教えてくれました。別の橋がロケ地だと思ってそちらに行ったら空振りで残念だなと思っていたので、とても助かりました。

続いては、国道349号線を南下します。JA常陸太田のさとの径のちょっと東側の里川にかかる、この橋。白羽橋です。

「はぁ、はぁ、先生…。木脇先生! お願いします!」「聖火リレーねぇ。何で三男、そんなこどが知りたいのけ?」。

「ですからですね…。ニュースを見て、興味を持ちまして。あのトーチを持ちながら、走るというのは、なかなか難しいのではなかろうかと」。

「なるほどね。そごに興味持ったんだ」「はい」。

「よ~し、わがった! 走りながらはなそう!」「え~!?」。

「大変失礼しました」。

「でね…。あっ、おれが中学入ったばっかりの頃なんですけど。学校でケガしちまって。で、医務室で寝でて、帰りが遅れでしまったことがあって」。澄子とばあちゃんが抱き合ってた橋。

「そんでね、あっ、おれが、大好きな一本道があってね。そこを、松葉杖でこうやって、とぼとぼ帰ってきたわけですよ」。

「そしたら、向こうの方から、おれおばあちゃんがやって来んのが見えて。でも、な~んか様子が違くって。なんとばあちゃん、腰が、ピ~ンとまっすぐになってで!」。

「澄子~大丈夫があ!」。

「ばあちゃん…腰…」「澄子! 大丈夫が? 澄子!」。

「大丈夫だけど。ばあちゃん、腰…」「あ? あれま」「ばあちゃん…」「澄子~!」「ばあちゃん、ありがど」。


 
「えっ? そのばあちゃんの腰はどうなったのよ?」「帰り道にはもう元に戻ってしまいました」「えっ?」「こんなふうです」。

「腰まっすぐで、びっくりした、おれ」「え~?」「そいはおかしいでしょ」「つくり過ぎでしょ~」「エへへへへ」。

「田神先生、なかなかいい走りですよ。どうしたんでしょう?」。お正月にみね子が帰省したと聞きつけた田神先生が走ってた橋。

「みね子~! 帰ってんですか? 工場が潰れたって聞いたんだけど」。

「し~っ!」「えっ? し~っ?」「俺より遅れてるわ、先生」「み…水…水…水…」。

今回の奥茨城編の最後は、国道349号線を北上し、461号線を西に入った、奥久慈。久慈郡大子町小生瀬にある諏訪神社です。461号線の沿道に看板がありますので、ここを左折。

諏訪神社の参道の階段を上がります。

拝殿に行く手前のここを左手に入ると、すぐ広場に出ます。

「私は少し、東京が嫌いです…」。学校帰りにみね子と時子が座っていた空き地。

「私の好きな人は、みんな東京に行ってしまう…。何でみんな、ずっと奥茨城にいては、いけないのでしょうか?」。

「お父さん。その後、いかがお過ごしでしょうか?。奥茨城は、すっかり秋になってまいりました。ソバが立派に育ってきました。栗も、食べ頃です。お父さんが青年団長だった話を聞きました。何だか私も、誇らしかったです。そしてお父さん、私たち3人は…。あっ、まだ、決まったわけではないので、内緒にしておきます」。みね子と時子と三男が聖火リレーの相談をしていた空き地。


 
「しょうがねえな、見せてやるか」。

「優しいな、やっぱ時子は。みね子とは大違えだな」「うっせえな」。

「え…?」。

「奥茨城村で、聖火リレーが行われることになり、大忙しの日々が始まりました」。

「これが、藤井先生のつくった、トーチです!」「皆さん、注目して下さい。試作品、点火してみます」。

「おぉ~!」。

「せ~の!」。聖火リレーのゲートが立てられた空き地。

「何かすごいね~」「うん」。

「あっ! そうだ、みね子。これ見て。じゃ~ん。マイ鉢巻き~!」。

「あら~目立つね、これ」「んだよ。目立たないとね」「あっ、ほら、映画会社、映画会社!」「フン。まぁね」「フフフフ!」。

「1964(昭和39)年10月4日」。

「そして、本物の聖火リレーが茨城県内を通る日。ここ、奥茨城村でも、聖火リレー大会が始まろうとしていました」。

「皆様。本日は、お忙しい中お集り頂き、まことに、ありがとうございます!」「間もなく、奥茨城村聖火リレーを始めたいと思います」。

「何かひと言お願いします」「三男! しっかり!」「おう」「みね子…みね子! 頑張って!」「お姉ちゃん、頑張って!」「頑張って」「うん。頑張る!」「時子! 豊作! 頑張れ!」「三男! 太郎! しっかりやれ~!」。

「では、出発致します!」「よ~い!」。

「三男大丈夫か? 腹減ってねえか?」「うん」「頑張んだぞ! しっかりやれ~!」「ありがとう!」「三男頑張れ~! 」「三男~!」「三男~! 三男…。三男~!」。

「おう、間に合った。何だこれ! すげえな、奥茨城村!」。宗男さんが到着。

「だっぺ!」。

「すげえな、みね子ら。かっこいいな~! 日本の新しい世代の幕開けだっぺや、これ! なぁ!」「んだね」「すげえ」。

「お姉ちゃんだ。見えてきた」「来た、来た?」「お姉ちゃん!」。

「見えねえ!」「みね子~!」「頑張って~!」「よいしょ!」。谷田部家のみんながみね子が戻ってくるのを待っていたのは、この叢です。撮影当時は綺麗に刈られていたのでしょう。

「お姉ちゃ~ん!」「みね子~! みね子~!」「あと少しだ!」「みね子! 転ぶなよ、転ぶなよ!」「気を付けて。みね子!」「転ぶなよ」。

「みね子!」「行け! みね子、行け! 行け行け!」。

「みね子! みね子、頑張れ!」。

「みね子~!」「みね子!」「みね子~!」「わぁ~!」。

「お姉ちゃん、かっこいい!」。

「みね子~!」。聖火台にみね子が点灯。

「来たる東京オリンピックに向けて、東京・千駄ヶ谷の国立競技場を目指して、日本全国を駆け抜けております聖火リレーは、各地で、大変な賑わいを見せております。その人気に便乗するかのごとく、あやかろうと、ここ、茨城県の北、福島に程近い、その名のとおり、奥茨城村では、村主催の聖火リレーが行われました」「さあ、間もなくスタートです」。

「こちらが、聖火リレーの実行委員、青年団団長の、角谷太郎さん」「奥茨城も、元気でやってるぞと、村を離れだ仲間に、伝えたいと思い、計画しました」。

「第一走者は、角谷三男君。来春には、集団就職で、東京へ向かうことが決まっている、農家の三男坊。いかにも農家の三男坊という顔をしています」「三男! 三男、頑張れ~!」「三男~!」「三男~!」「孫を応援するおばあちゃん。おばあちゃんは、孫の雄姿に、感動の涙が止まりません」。

「村の重鎮も見守っています」「村の子供たちも一緒に走ります。おや、めんこいねえ」。

「村の男の子は、たとえ転んでも、泣かずにすぐに起き上がります。都会のもやしっ子とは、そこが違う。さすが大地とともに生きる、たくましい子供なのです」。

「いよいよ最終走者は、谷田部みね子さん。最終走者が女性であるというのも、新しい時代の女性を象徴しているかのようであります」「頑張れ~!」。

「こちらは、先ほどの時子さんのお母さんと、今は知っているみね子さんのお母さん。お二人によると、これでも昔は、この辺りで、一二を争う美人であったとか」「なかなか美人の多い、奥茨城村。侮れませんな」。

「みね子さん、涙で顔が、グシャグシャになってしまっています。みね子さんは東京に出稼ぎに行っている、お父さんの実さんのことを思って走っているのです。東京にいるお父ちゃん、見てますか? みね子は元気です。お仕事頑張って下さい。お正月には帰ってきてください。待っています。お父ちゃんに、自分の元気な姿を見てもらおうと、頑張って走っています。村人達のひときわ大きな声援を受け、走るみね子さん。お父さんへの思いが、届くのを、祈るばかりです。そしてついに、聖火は、聖火台へと点火されます」。

「というわけで、まるで金メダルでも取ったかのような、奥茨城の秋の一日でした。続いて、ニュースです」。

残念ながら撮影はできなかったのですけど、県北の道の沿道にひよっこロケ地PRののぼりが立ってました。ひよっこラボも開催中ですし、ひよっこを機会に茨城県北を訪れてみたいなと思うかたが増えると嬉しいなと思います。次回の奥茨城編は、たぶん高萩市にお邪魔します。


2017J1リーグ第15節FC東京vs横浜F・マリノス@味スタ20170618

2017-06-21 00:22:09 | FC東京

日曜日から、ようやく梅雨らしい天気になりました。

よりによって、そんな日曜日開催の割り当てにあたる不運の、父の日の本日は水に縁のある、港でも負けるわけはないさ、マリノス戦です。

そういえば、ご当地俺の東京をやらなくなっていくひさしいですね。イケイケ団も、クラブの立ち位置とサポ層がすっかり変わり、キュートなエスプリを効かせる余地がなくてつまんなく思ってると思います。でも、昔と変わらず、まずイケイケ団自身が一人称で楽しみ、東京とサッカーと程よい距離感を保つスタンスは、サポ全体に良いメッセージを与えてくれてると思います。常にリスペクトします。You'll Never Walk Alone♪

互いに意図のこもった作戦をぶつけあう好マッチになりましたけど、ドラマチックな幕切れでの悔しい敗戦です。

東京はほぼ、勝利した前節を継続します。シフトは4-2-3-1。GKは彰洋。CBはモリゲとカズ。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と拳人。WGは右に慶悟左に翔哉。トップ下は嘉人。1トップには今日はウタカが入ります。

マリノスはデゲネクがコンフェデレーションズカップ、バブンスキーもU-21ユーロ選手権のため不在。さらにマツケンがサスペンションです。それ以外は快勝の前節を踏襲します。シフトは4-2-3-1。GKは飯倉。CBはボンバーと勇蔵。SBは右に金井左に山中。ボランチは中町とタカ。WGは右にまな左にマルティノス。トップ下はあまじゅん。1トップはウーゴ・ヴィエイラです。

マリノスは順位こそ中位ですけど、引き分けを挟んで三連勝中。四戦負け無しと、地味に好調です。とはいえ主力が不在の谷間の試合で、普段の闘いかたを変えてくるのかなと思ってました。でも、良くも悪くもメンバーを固定せず、いろんな選手にプレー機会を与えた効果か、マリノスはまったく普段着のマリノスです。

東京とマリノスの試合は地味戦になる印象があります。近年は守備重視をテーマにかかげてそれが認知されている東京ですけど、もともとディフェンスファーストはマリノスのお家芸。マリノスとの対戦が地味になるのはそれゆえだと思います。ところが今日は、意外なことに互いの攻撃面の作戦が噛み合う、愉快なオープンマッチになりました。

マリノスは、クラブそのものの改革中で、マネジメント面では唯一、グローバルに開かれています。マリノスのマーケティング戦略は分からないけど、もしかすると、日産以来の伝統の強さだけでなく興行的な楽しさのエッセンスを入れようとしているのかもしれません。

ただ、それにしても、楽しさを具現するのはエリクさんであり、エリクさんのサッカーを表現するタレントに他なりません。そしてマリノスには、象徴的な選手がいます。まなとマルティノス。

というわけで、マリノスは伝統にのっとりサイド加重を基本プランとします。まなとマルティノスはテイストが異なるサイドプレイヤーですけど、独力でのシチュエーションメイクがタスクである点は共通しています。

試合の入りは、互いに正攻法で臨みます。今日の布陣のなかで、最高のストロングポイントをぶつけ合います。東京は、言わずもがな翔哉。マリノスもこれまた言わずもがなまな。東京は、翔哉を基点に宏介とウタカを絡め、左サイドを打開していく作戦です。

序盤、この作戦が機能します。ウタカが左寄りのバイタルエリアに下がることで勇蔵のマークをはがし、心地良いタイミングで翔哉にパスを供給します。このことで縦への円滑な推進力が生まれ、東京らしいカウンターが繰り出されました。ベストコンディションのウタカはいざ知らず、現状では、コンタクト下でのポストよりか、スペースの優位性を重視したほうが安定するようです。

ところが東京の攻勢は長く続きません。理由はマリノスの守備ではなく、まな。マリノスは左サイドで試合を作りつつ、逆サイドのまなにスペースを供給します。その際、ボランチの役割がポイントになります。中町とタカは縦の関係です。タカがアンカーを担います。高さがあるので、最終ラインのセーフティネットとしても機能するためですけど、むしろタカをチョイスするのはロングフィードの供給と中盤のパス回しの安定を意図してのことだと思います。事実、マリノスのポゼッションのクオリティは高いです。

一方中町は攻撃に絡みます。どちらかというと中町は右寄りのアタッキングエリアを浮遊します。左はあまじゅん。攻撃時に2シャドウのようなかたちになるのはエリクさんの十八番です。俊輔や兵藤が抜けても、エリクマリノスの基本プランは変わっていないようです。

さて、アタッキングサード右サイドでスペースを作ることに成功したマリノスは、いよいよまなに渡します。ボールを持つだけで空気が変わるJの内国産選手はそうはいません。まなは雰囲気が変わったように感じます。以前よりも背筋が伸び、スクエアに構えるようになってます。まなのドリブルは前傾姿勢ゆえ直線的なブルファイターでしたけど、スクエアに構えることで広角になり、またアジリティも増してます。

まなの対処が今日の東京のポイントのひとつでした。基本的には宏介が1on1で対応します。情緒的に見れば、宏介の意地を東京が快く送り出した感じです。それほどまなに対峙する宏介の表情が引き締まって見えました。結果的に宏介はまなをほぼ完封します。セオリーとは反するかもしれませんけど、宏介は縦とアウトサイド側を抑え、イン側はやや開け気味だったかもしれません。そのためシュートこそあれ、まなからのクロスはほとんどなかった印象です。

互いにサイドからのチャンスメークはできていました。いくぶん、チャンスの質は東京のほうが良く、珍しくゴールの香りが漂います。東京がゴール前に嘉人とウタカを並べていたのに対し、マリノスは最終局面でのアタッカーの絶対数が不足していたからかもしれません。ウーゴはモリゲとカズの全消しで、ほぼ消えていました。

前半は互いに良さを出しつつも、基本的にはコンサバティブに進みます。なので緊張感がありつつも、ちょっと見には地味で、いつものマリノス戦だなぁと思っていました。スコアレスのまま終了。

後半から、一気に試合の雰囲気が変わります。まず仕掛けたのは篠田さんでした。東京は右サイドに加重移動します。ポイントはウタカと室屋。まず左右にパスを大きく振り、マリノス守備網を揺さぶります。それから宏介を基点に、左で試合を作ります。そうしておいて室屋を高い位置に押し上げます。このとき、慶悟のポジションが鍵です。慶悟はサイドから内に移動することで、マルティノスの注意を引き寄せます。これで室屋がフリーになります。

次に、室屋が高い位置で基点になるうちに、空いたバイタルエリアにウタカが入ります。この狙いはふたつ。ひとつ目は、前半から積極的な攻撃参加を見せていた山中の背後を脅かすこと。もうひとつは、もともと山中のカバーのため担当エリアが広いボンバーをターゲットにすることです。これがとても機能します。東京の右サイドが活性化してペナルティエリアに入ることができるようになります。

エリクさんも、ならばと作戦をアジャストします。今度は左加重に移ります。マルティノスにボールを預け、独力でのカウンターを仕掛けます。もちろん攻撃モードになった室屋の背後に脅威を与えるためです。つまり、東京の右マリノスの左と、喧嘩四つのガチファイトの展開に入ります。

このことが、守備重視の両チームにしては珍しく、オープンファイトを呼び寄せることになります。なので、篠田さんとエリクさんの選択は、まずはオープンファイトの流れを変えるか流れに乗るか、になりました。まず篠田さんが動きます。翔哉に代えて拓馬を同じく左WGに投入します。篠田さんの選択は、様子見というか、バランスを見たと思います。機能しはじめた攻撃を加速させるために、嘉人とウタカのコントローラーを増やしつつ、左サイドの守備を強化したのだと思います。

篠田さんが続きます。慶悟に代えて永井を同じく左WGに投入します。拓馬が右に回ります。これもバランスと見ることもできますけど、意図はイケイケにすることだと思います。一気に篠田さんが仕掛けます。縦にはやい展開になったので、ギアをトップに入れる作戦でしょう。

先に二枚カードを切ることは不利です。でも、なんとなく、篠田さんは今日の試合を重視していたような気がします。最後にモリゲを上げるパワープレーを見せたこともその現れでしょう。ホームで二カ月近く勝ってないことと、土曜日に柏が止まって、ふたたび上位争いに近づけるチャンスだったからだと思います。それから、ひさしぶりにA代表が途絶えたことで、チャレンジ志向というか、チームに貪欲さが失われることを防ぎたかったのかもしれません。

さて、エリクさんが動きます。ウーゴに代えて敬真を同じく1トップに投入します。結果的にエリクさんが使ったカードはこの一枚だけでしたけど、十分です。終盤戦に出てくる敬真には、東京にとっては良い思い出がないですから。なんとなく嫌な予感がしました。

そこで篠田さんが動きます。拳人に代えて梶山を同じくボランチに投入します。正直なところ、この意図はよくわかりませんでした。洋次郎が攻撃に良い感じで絡めていたので、梶山をアンカー気味に置いてパスを散らそうとしたのかもしれません。あるいは、逆に梶山がスルーパスを供給することを期待したのか。いずれ、組み立てに問題がありそうには見えなかったので、ちょっと不思議でした。

結果的に、リードされてからの打ち手を失ったので、直接の敗因ではないけど裏目に出ました。そして、決勝ゴールが生まれます。

88分。彰洋のキックミスからの、山中のスローインから。この時点で、マリノスはすでに、アタッキングサード手前に入ってます。にもかかわらず、山中のスローインを受けたタカはどフリー。まずこれが甘かったです。このとき、あまじゅんがポストを受けに下がりますけど、これまたどフリー。あまじゅんは前方の敬真にパス。敬真もカズが近くにいますけど、難なく丁寧にあまじゅんに戻します。あまじゅんは、いまだにどフリー。どフリーのまま、敬真の戻しをダイレクトで合わせて、右足を振り抜きました。これがゴール左隅に決まります。あまじゅんのJ1初ゴールはゴラッソでした。そして東京の守備がエアポケットにはまったように緩慢でした。東京0-1マリノス。

予感があたってしまいました。遼一を残しながら既に打ち手はつきます。珍しくモリゲを前線にはるパワープレーも奏功せず。ただ、勝ちたいという意欲は感じました。

でも、意欲は結果をもたらさず。このまま試合終了。東京0-1マリノス。

苦しみながら結果を残した清水戦に比べると、やりたいことが明解で、しかもそれをしっかり表現できていた点は評価できると思います。その意味では、前節よりチームにとって収穫がありました。あきらかにウタカを軸にした布陣を優先していますけど、ようやくかたちが見えてきたような気がします。

それにしても、やっぱり大事なのは内容より結果。前述の通り味スタで勝てていないので、成績面でも興行面でも、はやくホームのサポに勝利を届けてほしいですね。

前半残り二試合はアウェイ。今日掴んだ良いイメージを根付かせるよう、がんばってほしいです。


2017J1リーグ第14節清水エスパルスvsFC東京@アイスタ20170604

2017-06-05 23:12:15 | FC東京

爽やかな好天に恵まれた6月最初の日曜日。いかがお過ごしでしたか?

ひよっこロケ地巡りの流れから、本日はひさしぶりの日本平。帰ってきた清水です。You'll Never Walk Alone♪

スタイル変更の過程で攻撃が機能しないなか、値千金の嘉人の2ゴールで勝ち点3をゲットしました。

東京は前節のテスト結果をうけて、幾分もとに戻します。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲとカズ。SBは室屋と宏介。ボランチは洋次郎と拳人。メイヤは右に慶悟左に翔哉。2トップは遼一と嘉人です。

清水はミッドウィークのYLCで今年ホーム初勝利をあげました。でも代償もあります。テセが脳しんとうで一時離脱。なのでアジャストが必要です。今日のシフトは4-4-2。GKは六反。CBは今日は角田と村松。SBは右に鎌田左に松原。ボランチは六平と竹内。メイヤは右に枝村左に白崎。2トップはチアゴ・アウベスとミッチェル・デュークです。

清水は、日替わりオーダーになっているCBに比べると中盤から前、それからサイドの布陣はほぼ固定されています。これは、一般的な小林さんのサッカーのイメージに反し、今の清水が攻撃重視であり、かつある程度の到達点にあることを示していると思います。それを証明するように、今日の清水は、テセ不在を感じさせないほど、好調な滑り出しを見せます。テセが最前線にはるかたちを見たことがないので、クオリティの違いは分かりませんけど、少なくとも今日のセットは機能していました。

清水の攻撃の特長は二つ。基本的に清水の攻撃はカウンター志向です。なのでポストはタメを作るためではなく、攻撃を加速させるスイッチです。チアゴにしろデュークにしろ、ポストをシンプルに落とします。ポイントは、ポストのそばにアタッカーを置くこと。この連携が機能して、序盤の清水は縦への推進力を生み出すことに成功しました。

清水の攻撃パターンは左加重のサイドアタックです。松原の攻撃力を活かす作戦だと思います。清水は比較的サイズのあるSBを好むチームで、松原もその伝統に沿います。松原のおもしろさはゴリゴリとした強引なドリブルアタックができること。華麗さはありませんけどパワーを感じるドリブルは、慶悟と室屋に守備を意識させるのに十分です。これにデュークが絡みサイドを厚くするとともに、シュート力のある白崎を中央に位置取らせることができます。

清水はサイドを制圧するためにSBを高い位置に配します。そのためにCBが開きます。そこに六平が入って攻撃をオーガナイズします。東京もポゼッションスタイルの場合に3バックのようなかたちになりますので、似た志向を持っているのかもしれません。

清水の、ワンタッチの連鎖でアタッキングサードにはやく入り、その先はパワフルな押し相撲でゴールに迫る迫力のある攻撃は、東京を守備加重に専心させます。ただ、その先が今日の清水にはありません。テセ不在の影響は、シュートアテンプトにもっとも顕著に現れます。と、それもあるのですけど、東京の清水対策も機能します。今日はあえてモリゲを左に持ってきます。カズと組んだからでもあるのですけと、清水のエースチアゴを止める意図だったと思います。結局チアゴは流れのなかでほとんどシュートを打てませんでした。チアゴの大好物である、右サイドからカットインするスペースも、一度だけフリーで前を向かせましたけど、室屋の寄せもタイトで事無きを得ました。

加えて、チアゴがプレースキッカーを担うことも、結果的に今日は、セットプレーの威力を削ぐ原因になっていたと思います。その意味では、東京の地味なれど効果的な守備の作戦と、清水の事情があいまって、東京にアドバンテージがありました。ちょっと不思議だったのはセットプレーでモリゲがカウンター対策を担い、カバーを二枚にしていたことです。モリゲの状態もあるのかもしれないけど、ここでもチアゴを中心とした清水のカウンターを予防する意図だった気がします。

清水がイニシアチブを握るなか、20分にアクシデントが起こります。白崎がコンタクトで負傷して下がります。代わって北川がトップに入ります。デュークが左メイヤに回ります。しばらくの間は清水の勢いが保たれますけど、このアクシデントが流れを変えます。

とても不可解なのは清水がフルリトリートしたこと。きっかけは、室屋のアーリークロスが、この試合初めてゴールの香りを漂わせたことでした。清水がビビったということではないと思います。ファーストアタックで先制できなかったので、ペースダウンしただけなのかもしれません。

東京は、守備はさておき攻撃に苦労します。東京も左加重です。翔哉にボールを集めてアタッキングサードの壁を突破させる作戦です。でも枝村と六平と鎌田が作る網はタイトかつ強力で、翔哉は蜘蛛の糸に囚われたような窮屈なプレーになっていました。

ところが、白崎の交代、清水のリトリートと時を同じくして、東京も攻撃プランをマイナーチェンジします。バイタルエリアとボランチの間で縦に少し大きめのワンタッチパス交換でダイナミックに展開するようになります。これを実現するためのアジャストは、嘉人が下がってポストを受けはじめることと、中央が起点になること。これにより室屋と宏介の位置が高くなります。このため清水も鎌田と松原に守備の意識を持たせる必要が出てきます。これは翔哉がフリーでプレーできる機会を生み出しました。

以降は、東京がイニシアチブを取る展開になり、結局最後までそれは続きます。前半はスコアレスのまま終了。

イニシアチブを握りながらも、アタッキングサードから先で有効な攻撃ができないのは、ショートパスを連携させるために不可欠なコンビネーションがまだできてきないためです。とくに最終局面を生み出すパスが通りません。これは少しばかりの進歩を示しています。前節まではアタッキングサードを打開する組み立ての段階でパスミスをしていたのですけど、今日はチャレンジの失敗です。清水がリトリートしたことも影響しているのだけど、少なくとも攻撃ルートは、パスを供給する側は見えていたのだと思います。受け手と意識が合うようになり、それがチームとして確立できれば、パターン化した攻撃で満足しているチームより遥かに強力な攻撃力を身につけることができます。

さて、篠田さんが動きます。遼一に代えてウタカをトップに投入します。遼一のコンディションを考慮したのだと思います。やはり遼一が入ったほうがポストが安定しますね。

ただ、このあたりから嘉人がいらだちを見せはじめます。意図と異なる選択を後方がしたときにあからさまに不満を見せるようになります。まったくおもしろい個性だなと思いました。それでもチャンスの香りが立つとにわかに元気になるのですから、嗅覚と切り替えのはやさは嘉人ならではなのでしょう。そして、先制ゴールをこの男が叩き出します。

68分。チアゴの左FKが低い弾道となり、ウタカがカット。そのまま前方の翔哉に渡します。自陣で受けた翔哉がドリブルをはじめます。カウンターが発動されました。このとき前方では、嘉人が全力スプリントをはじめています。これを見た翔哉は自陣からロングスルーを送ります。マークに来たチアゴと競る嘉人は、一瞬はやく追いつき、右足でチアゴの背後に落とす絶妙トラップ。ハイスピードのなかでの驚愕ボールコントロールです。抜け出した嘉人は、ペナルティエリアに入って、大きく右足を振り上げながら六反との間合いを図って、ゴール右隅に流し込みました。清水0-1東京。

皮肉なことに、ゴールはやっぱりカウンターでした。今日は清水がリトリートしたことによる必然のポゼッションだったのかもしれないけど、結局ゴールの可能性が高いのはカウンターなんですね。

これを受け、小林さんが動きます。枝村に代えて村田を同じく右メイヤに投入します。バランサーからアタッカーへの変更です。攻撃のバランスを左加重から右加重に変える意図だと思います。さらにチアゴを最前線に添えて、シュートアテンプトを増やそうとしたのでしょう。これが機能して右奥深くに村田が何度か進入し、チャンスメークしてました。

ゴールに迫りながらもゲットまでには至らず、小林さんが動きます。六平に代えて長谷川をトップに投入します。北川がボランチに下がります。サイドでかたちが作れるようになったので、前線に高さを加える意図だと思います。

リーグ戦でいまだ今年勝利のない清水は、ゴールへの意欲を見せます。その清水が前加重になったところで、ふたたびエースが魅せます。

84分。慶悟が自陣で奪ったボールを引き継いだウタカと洋次郎が、清水のコンタクトを受けながら粘って、ボールをホールド。右サイドでボールを動かしながら細かなスペースメイクでリズムを作り、清水を自陣に押し込めます。そして洋次郎の慶悟への縦パスで攻撃スイッチを押します。嘉人のスルーから左に展開して、受けた翔哉の落としをウタカがダイレクトでシュートしますけど、これは清水守備網にかかります。跳ね返ったボールを拾った慶悟は、フリーでターン。ルックアップした先のゴール前には、翔哉へのスルーから姿を消していた嘉人が、にわかにファアから走り込んでいました。この時ゴール正面にいた室屋がファアに流れ、松原がマークにつきます。これでゴール前がぽっかり空きます。慶悟と嘉人はこれを見逃しませんでした。慶悟は嘉人にクロス。嘉人は脅威のバックヘッドでゴールにたたき込みました。スーペルゴラッソ。清水0-2東京。

もしかしたら、篠田東京が目指す攻撃の理想形を垣間見られたかもしれません。嘉人の嗅覚もさることながら、一連の攻撃に起点から終点まで絡んだ慶悟の、地味だけどプレー範囲の広さにも感嘆の想いです。

篠田さんが試合を落ち着かせます。あの男がJ1の舞台に帰ってきました。翔哉に代えてヨネをボランチに投入します。拳人が左メイヤに回ります。ヨネの約一年ぶりのJ1リーグ復帰の場にふさわしい、緊張感のあるクローザーです。

嘉人すらも、いや嘉人だからこそなのかもしれないけど、追加点が入ってからは試合をコントロールする姿勢を見せます。積極的なアタックを仕掛ける室屋に対し、嘉人と洋次郎が落ち着くようにさとしてました。そして篠田さんが〆にかかります。慶悟に代えて永井を同じく右メイヤに投入します。永井の運動量で清水の攻撃の芽をつみ、試合を落ち着かせる意図だと思います。

意図通りに、このまま試合終了。清水0-2東京。眠らない街♪嘉人のシュワッチ

チアゴを封じきった守備の安定がひかりました。一方で、攻撃プランはまだまだ形成過程で、今日も、2点目のシーンなど良いかたちはありましたけど、全体的には苦労しました。それでも前進の予感はします。苦しみながらも勝利を得られたことは、攻撃プランの完成に向けて、貴重な時間を得られたのだと思います。

拳人が戻って、中盤に攻守の安定感を取り戻した印象です。拳人は怪我の度に成長してきます。ヨネも実戦に復帰したし、中盤の層が一気に厚くなりました。もう試す時期ではないので、今日のセットを維持するのが最善だと思いますけど、バックアップが揃ってきたのは頼もしい限りです。

ワールドカップ予選の都合で二週間のお休み。今日掴んだ攻撃のかたちをしっかり具体的に落とし込んでほしいです。


ひよっこロケ地の旅 ―20170603 浜松―

2017-06-03 23:06:30 | 連続テレビ小説ひよっこ

富士市から新幹線で静岡を横断します。

浜松は、おんな城主直虎でいっぱい。

続いてのロケ地は、浜松オートレース場です。浜松オートレース場には、開場時は浜松駅から無料のシャトルバスが出ています。浜松駅北口のバスターミナルのD通路を入り、2番目の階段を上がります。

17番のりばです。

浜松オートレース場。

バスを降りると、さっそくひよっこ。オートレースとの違和感満載。

それではひよっこロケ地めぐり浜松編をスタートします。ロケ地めぐりの旅で、最も刺激的なロケ地でした(^^;。「すみません、出口はどこですか?」「出口はあちらです」「すみません」。実さんを探しに美和子さんが到着した上野駅。

「あっ、すみません! すみません! すみません」。

「お父さん…。何でお母さんは、私にうそをつくんですか? 私の知らないところで、嫌なことが起きてる気がして…。怖いです」。

「あぁ、やっぱりいた」「私の勘が当たったね。始発まで駅にいるんじゃないかって。ね?」「「絶対いるから」って、「今から行く」って聞かなくて。この人一度言いだしたらもう引かないんですよ」「うるさいね、もう! お夜食、食べましょ!」「これ…。店のじゃないから、いいでしょ?」。奥茨城に帰る美和子さんを勇気づけるために鈴子さんと省吾さんがやってきた上野駅。

「でも、どうして…?」「せっかくの、ご縁じゃないですか。ああ~! 何だか楽しい! おしゃべりしましょ、いろいろと」「話長いですよ、この人」「しつこいね、もう…この子は、もう! どうぞどうぞ、さっ、食べましょ! どうぞどうぞ」。

「呉服屋の旦那さんね、東大出なの。それで、お店を継がなくちゃいけないことになって。まぁ、商売のことは何も分からないし、まして着物のことも分からないし。それに、人と話すのが大嫌いでね…」。

「上野~上野~上野入線でございます」。

「上野駅に着くと、ここで子どもたちは、迎えに来た人と共に、それぞれの職場へと向かいます」。

「お父さん、東京に着きました。私は、こんなに大勢の知らない人を見るのが初めてで、みんな、何だかものすごく急いでて、怒ってるみたいで、怖いです」。

「え~っと、角谷三男君、どこかなぁ? 角谷三男君! え~…」。

「あ…はっ、はい!」「おぉ! あ~君か! ハハハ、ハハハハ! さっ、さささ、はい、行こう行こう」「あっ、いや、あっ、あの…」。

「あっ、忘れてた! 先生、先生! 先生! 田神先生~!」「あっ、はいはい! あ~安部さんですか?」「はい」「常陸高校の、田神と申します」。

「はいはい、はいはいはい。とういうわけで、え~角谷三男君。確かに、お預かりしますんで。はい! では!」。

「あっ、いや、どうか、よろしくお願いします! 三男、しっかりな!」「はい」。

「三男! 頑張ろうね!」「おう!」「三男、負けんな! 負けたら嫌いになっかんね!」「おう。わがった!」「あっ、あっ、連絡、取り合おうね!」「おう!」。

「大丈夫が? 寒くねえが?」「はい」「夏にはまた帰ってこれっから。うん、頑張れ」。

「ごめんなさい、遅くなってしまって! ごめんなさいね。えっと、こんにちは。こんにちは。こんにちは。こんにちは」「あの、常陸高校の田神ですが、向島電機さん?」「はい、永井です」「いがった」「すみません」「いえいえいえ」。

「お電話の感じだと、もう少し、おじいさんかと思ってました。フフフ!」「ハハハ…。あっ、あの子たちです。おい、おめえら、来い」「はい! あらかわいらしい」「か…かわいらしい?」。

「よろしくね。永井愛子です。愛子さんって呼んで。えっと、舎監といって、あなたたちの面倒をみたりします。えっと…」「助川時子さん」「はい」「はい。青天目澄子さん」「はい」。

「はい。ん?」「ん?」「あっ、書類だと2名になってますけど…」「えっ!? いやいやいや、向島電機さん! 追加で一人、お願いしてるはずですよ。谷田部みね子」「そうでしたよね! えっ? どうなってんだろ? 会社大丈夫なのかな? ここに書いてないけど」「ちょっと、ちょっと! しっかり調べて下さいよ!」「どうしましょう?」「どうしましょうって…。ちょっと…」。

「ちょっと電話借りて、会社に確認してきます。ちょっと待ってて下さいね」「あ~一緒に行ぎます! ちょっと、ここで待ってろ! 動ぐな! いいな!」「はい」「ごめんなさいね、ごめんなさいね」「みね子、大丈夫?」「どうしよう…」「えっ?」「私…働げないのがな?」「そんなわけないよ」「どうしよう…。どうなるんだろう、私。え…帰んの? このまま? 帰れないよ…。帰るわげにいがないよ…。うう…いがないよ、帰るわげには…」「大丈夫だ。きっと大丈夫だよ。な?」。

「ごめんなさいねえ。確認できました。ありました。谷田部みね子さん」。

「はぁ~。いがったぁ…。いがった…」「いがったぁ」「ごめんなさい。心細い思いさせて、ごめんね」「はい…」。

「よろしくね、みね子さん」「はい。よろしく、お願いします」。

「うん。じゃ、行きましょう!」「重っ!」「あっ、大丈夫です」「フフフ…」「じゃ、永井さん、どうが、よろしくお願いいだします」「はい。お引き受けしました」。

「みね子、時子…。それに、澄子…。頑張れ。体に気ぃ付けてな」。

「はい! お世話になりました!」「先生、ありがとうございました!」。

「じゃ…こっちです」「頑張れ…頑張れ…」。

「ごめんなさいね。もう一人違う列車で到着するのつい忘れてて…ハハハ…」「アハハ…」「えっと…。あら? えっと…」「青森市立第二中学の兼平豊子なら、わだしですけんど」「えっ? あっ! えっ? はい、そうです! ごめんなさい。待った?」「はい。かなり待ちました」。

「だよねえ。ごめんね。あれ? 一人? 工藤先生…」「探しに行ぎました」「誰を?」「向島電機の永井愛子さんを」「あっ、私? あら、どうしましょう! ちょっと待っててね! ごめんなさい」。

「あの…よろしくね」「あ…私は、谷田部みね子。で、こっちが、助川時子。2人は茨城。で、この子が、福島の、青天目澄子ちゃん」「お二人は高校ですか?」「うん」「そうだよ」「中学の3年の成績はいくつでしたか?」「ん? 4が多がったから、平均よりは上かな、私は」「私は、あの、体育と、実技科目は得意なんだけど、それ以外は、アヒルの行列、2ばっかしだった。フフフ!」「私は体育以外はでした」「えっ!?」「なのに高校には行かずに、ここさいます」「あぁ…何か、すみません」「お父さん…。この子、何だか怖いです」。

「ごめんなさいね、ごめんなさい! では豊子さん、お預かり致します」。

「豊子、大丈夫け?」「みんな、バラバラにならないで。はぐれちゃうから。私がら離れないで」「分がった」「大丈夫、大丈夫」。澄子を探すこすもすさんたち。

「澄子が乗るのは常磐線だったよね」「そう」「行ごう!」「澄子~! 澄子~! 澄子~!」。

「澄子、あれ乗ってっちゃったのがな…」「わがんないね」「もっど早ぐ気づいてあげればよがっだな」「ひょっとしたら、寮に帰ってるかもしれないし。ね? 帰ろう」「そうだね」。

「お姉ちゃんたち、どうした? 行く所ないのか? 迷子か? ハハハ! どっかうまいもんでもごちそうしてやろうか?腹減ってんだろ?」「仕事困ってんだったら、いい仕事紹介してやってもいいよ」「よし。行こう行こう!」「触らないで!」「何だ? 何だ、このガキ!」「私だぢは行ぎ場のない迷子なんかじゃない! ちゃんと自分だぢの力で、自分たちの場所で生きてます! バガにしないで下さい!」「ハハハハ」「ハハハハ」「まぁ、いいや。とりあえず行こう! な?」「触んな!」「何だ、このクソガキ! こら!」「逃げるよ!」「お父さん。東京に出てきた私たちは、迷子みたいなもんなんでしょうか。私は、何だかとても悔しくて」。

ドキドキしたけど、刺激的なロケ地めぐりでしたー。


ひよっこロケ地の旅 ―20170603 富士―

2017-06-03 21:44:13 | 連続テレビ小説ひよっこ

ご安全に(^_^)/。

梅雨時ですけど、爽やかな5月の陽気が続きます。

スタート以来、ほんわかのどかなで懐かしいひよっこがますます快調です。あまり大騒ぎされないことも嬉しいです。なかなか時間が取れず、ようやく本格的にロケ地めぐりをスタートします。

岳南電車に乗っていきます。

岳南原田駅。

駅を出て、県道22号線を東に向かいます。

ミニストップが見えましたら、橋の手前を左折。

川沿いを進みます。

道なりに行くと小野製紙さんに出ます。

それではひよっこロケ地めぐり富士編をスタートします。「みね子たちは上野駅を出て、工場と寮のある、墨田区向島へと向かいました。今日からみね子たちが働き暮らす、墨田区向島は、東京都の東部、桜の名所、隅田川を望む下町です。お相撲さんがいますね。近くに国技館がありますからね」。みね子たちが働く向島電機です。

「今は東京スカイツリーが有名ですが、当時は高い煙突が立ち並ぶ工場の町で、集団就職者が、東京で一番多かった地区といわれています」。

「就職列車で出会った、澄子ちゃんもいます。一人、仲間が増えていますね。実は上野駅で…。ということで、仲間が一人増えました」。

「さっ、着いた。ご苦労さま。あれが、あなたたちが働く工場」。

「そしてその隣に、今日からあなたたちが暮らす乙女寮あります。私も一緒に住んでるのよ。フフフ!」。

「お父さん。何か、見られています」「愛子さんも、乙女ですもんねえ。ヘヘ…」「そう? じゃ、大丈夫かしら」「はい! エヘヘ!」「さっ、行きましょう」。

「すみません。何か、泣いてばっかしで」。みね子が綿引さんと喫茶店に行った帰り。

「あ…いや、また会いに来るよ。今度は、俺もクリームソーダにする」「ヘヘヘ!」。

「じゃ、ここで」。

「はい。じゃ、ありがとうございました」。

「見上げてごらん 夜の星を ぼくらのように 名もない星を ささやかなしあわせを祈ってる」。銭湯帰りのこすもすさんたち。

「何?」「何だ、音痴じゃなかったぺよ」「んだから違うってしゃべってるべさ。照れ屋さんなだけだ」「はぁ~。照れ屋さんって自分で言うがよなぁ」「あ? 喧嘩売ってんのか?」「あ~怖っ」。

「頑張りましょう。明日からまた」「んだね。頑張ろう」「んだね」。

「きれいだね」。

「それで、たとえ小さなネジ1本でも…」「この男性の名前は、高島雄大さん。幸子さんの婚約者なんですね。芝浦にある、大きな工場で働きながら、音楽の勉強をしています」。コーラスの指導に来た雄大さんと幸子。

「どうしたの? それ」「あっ、これ? これはね、先輩にもらったんだ。でもちょっと大きいかな。やっぱり先輩、すごい大男だからさ。ちょっとでかい?」「ちょっとじゃないよ」。

「そっかぁ。あっ、でも、小さいよりいいだろ。大は小を兼ねるからね」「まぁね。それはそうだね」。

「うん。それに、これ結構いいやつらしいんだ。いざとなったら質屋に持ってけば、少しは金になるし」「そうか」「ヘヘヘ!」。

「あっ、こないだごめんね」「えっ? 何だっけ?」「さぁ、何だっけ?」「えっ!?」。

「あっ、そういえば、「えっ?」と言ったままだった、綿引さんは?」。

「黒い瞳が待つよ あの森越せば 走れトロイカ 今宵は 楽しい宴」。

「あ、あ、あ~あ~。あめんぼ赤いな。アイウエオ。うきもにこえ…。こ…」。時子が発生練習をしてた河原

「時子が、テレビドラマのオーディションを受ける日が近づいてきました」。

「柿の木栗の木。カキクケコ。啄木鳥(きつつき)こつこつ枯れけやき」。

「すごがったね」。オーディションに向かう時子とみね子。

「うん。驚いた」。

「ふ~…」「うん」。

「あ、あ~。水馬赤いな。アイウエオ。浮藻に子蝦もおよいでる。柿の木…」。

「邪魔しちゃいけねえよな」。

「おお、ロミオ! ロミオ! お父上に背き、その名を捨てておくれ。さもなければ、それが…」。

はじめてのオーディションを終えてしょんぼりする時子が発声練習をしてた河原。

「夏がくれば 思い出す はるか尾瀬 遠い空」。

「霧のなかに うかびくる やさしい影 野の小道」。

「水ばしょうの花が 咲いている 夢見て咲いている 水のほとり しゃくなげ色に たそがれる はるかな尾瀬 遠い空」。

「そして季節は秋から冬へ」「1965(昭和40)年11月」。

「寒ぐなってきたねえ」「んだねぇ」「幸子さん、山形じゃないですか。寒いのには強いんですか?  やっぱし」「そんなごどないよ。北の方の人間でも寒いの平気なわけじゃないがらね。私あんまり好きじゃないし」「私んところはすごいですよ、雪。私より高いぐらい。時子さんよりも高ぐ積もりますよ」「え~! んだか?」「んだ」「すげぇな!」「んだべ?」「そういう例に私使うのやめて。しかもそれで驚くのやめて」「すいません…」。

「でもすごいんだね、雪」「ね! そんな雪見たこどねえよ」「んだねえ」「フフフ! フフフ! 給料日だね、明日は」「んだねえ」「そうだった」。

「松下さん?」「おっ! 銭湯?」「はい」「こんな時間までお仕事だったんですか?」「えっ? あ…。あうん、まぁね。あっ、銭湯?」「はい」「そう。じゃ、気を付けて帰って」。

「はい」「ご苦労さまでした」「ご苦労さまでした」。

「何か疲れてるっつうが、元気ないよね、松下さん」「うん…。工場で何かあっだのがな?」「えっ?」「何か難しい顔とか多いですよね」「そうそう!」。

「そうなのがぁ?」「あんた、ぼんやりしてんねえ。のんきだねえ」。

「でもさ…嫌なだけじゃないよね。子供としてうれしいことでもあるよね。そう思わない?」「……はい。そう思います」「遊びに来るよ。茨城なんて近いもんだよ。な?」「んですね」「うん。お父さん、きっと見つかるよ。諦めんな」「はい。ありがとうございます。ありがとうございました。本当に、ありがとうございました」。高萩に帰る綿引さんを送った帰りのみね子。

「あ~溶けちゃったね」「溶けでもおいしいですから、クリームソーダは」「あ~そうが。偉いな。頑張るな、クリームソーダ。ハハハハ! 働きもんだな~」「んですね」。

「よがったね、決まって、仕事」「ありがとう…。ほっとした」「私もだ。ほっとした」「アハハ!  でも離れちゃうんだよね、時子と」「んだねぇ」「大丈夫がな? 私たち」「わがんねえけどさ。目の前のこど、一生懸命頑張るしかないよね」「そうだね。そうしてればいいんだよね」「うん」。

「時子は、夢に向がって進んでんの?」「わがんねえよ。どれっくらいかがんのが、そもそもなれんのかどうかも。でも、何も頑張らながったら、なれないでしょ?」「んだね。頑張ってればいいんだよね」「それが生きるってこどなんでないの?」「おぉ」「おぉ」「アハハハ!」「楽しかったね。時子と一緒でいがった」「私も、みね子がいてくれてよかった」「お世話になりました」。

「青春映画みたいだっぺ!」。

「お父さん…。笑ってるけど、泣きそうです。泣きそうだけど、楽しくてしかたないです」。

「みね子たちが向かったのは、向島から近い、浅草の街。かなりの大冒険だったと思われますが、どんなことがあったんでしょうね」。

「ありがとうございました!」。秋田に帰る優子を見送ってた乙女たち。

「また会おうね!」「さいなら! また会おうね!」。

「お父さん…。優子さんはお母さんと、秋田に帰っていきました。何だか優子さんの小さな背中が、切なかったです」。

「1965(昭和40)年12月20日 工場最後の日」「そして、工場の最後の日がやってきてしまいました。お父さん…。この作業も、今日で最後です」「はい。ストップ」「おいー。ここか」「あっ、じゃあ…」。運び出される道具を見守る乙女たち。

「ご苦労さまです。よろしくお願いします!」。

「よろしくお願いします!」「よろしくお願いします!」。

「すみませんでした」。

「さっ、行こう!」「はい!」。

「さっ、おなかすいたね。和夫さんのごはん食べに帰ろう。今日は最後だから、カレーライスだよ。通いの子も特別に入っていいって。さっ、行こう!」「はい!」。

乙女たちに最敬礼する松下さん。

「そうそう、和夫さんは、何でも、俺は別れが苦手なんだとか、歌謡曲みたいな理由で、一人でそっと去っていきました。何か、小林旭の映画気取りですね」。

小野製紙さんのロケ地を反対側から見ました。

ドラマでは映らないですけど、小野製紙さんの正門の前から富士山がでっかく見えます。

富士市はどこに居ても富士山が見えて、まるで富士山に見守られているようでした。気持ちの良い、のびやかな街でした。